住友電気工業のマルチコア光ファイバー(2C Z-PLUS Fiber ULL) Sumitomo Electric multi-core fiber 2C Z-PLUS Fiber ULL
マルチコア光ファイバーは、1本の光ファイバーの中に光の通り道 (コア) を複数持たせ、伝送容量を増やす。住友電気工業は2コアの極低損失品「2C Z-PLUS Fiber ULL」を2023年10月に発売した。メタが持つ大西洋横断の海底ケーブル「ペタル (Petal)」に供給する。運用開始は2029年の予定だ。データセンター向けの4コア品は、住友電気工業など4社で作る SDM4 MCF MSA が2026年9月17日付で共通仕様の第1版を出した。
詳細解説
- 発売
- 住友電気工業は2023年9月22日、2C Z-PLUS Fiber ULL の量産化に成功し10月に販売を始めると発表した。極低損失のマルチコア光ファイバーの量産は世界で初めてと説明する (会社の主張) sumitomoelectric.com
- 海底ケーブル ペタル
- 住友電気工業は2026年9月22日、メタ、NECとペタルの構築で協力すると発表した。米国とフランスを結ぶ総延長約7,000キロで、2029年の運用開始を予定する。住友電気工業が2コアの光ファイバーを提供する sumitomoelectric.com
- ペタルの構成
- 24対 (48心) の光ファイバーのすべてに2コアの品を使う。3社が先に構築した「アンジャナ (Anjana)」の2倍の伝送容量を目指す sumitomoelectric.com
- データセンター向けの共通仕様
- 住友電気工業は2026年4月20日、アメリカ・フジクラ (AFL)、米コーニング、テラホップと、4コアのマルチコア光ファイバーの業界の共通仕様 (SDM4 MCF MSA) を定める取り組みを始めた sumitomoelectric.com
- 共通仕様の第1版
- 住友電気工業など4社で作る SDM4 MCF MSA は、2026年9月17日付で共通仕様の第1版を出した (住友電気工業のサイトに掲載)。Oバンド (波長1.3マイクロメートル帯) の短距離用で、4つのコアを2×2の正方形に並べる。データセンターやキャンパスの網での使用を想定する sumitomoelectric.com
- 採用の遅れ
- 住友電気工業は2026年5月の決算説明会で、顧客がデータセンターを早く稼働させることを優先しているため、マルチコアの採用は従来の想定より遅れていると説明した sumitomoelectric.com
- 受賞
- 2026年8月、海底向けマルチコア光ファイバーの量産と商用化で、MM総研大賞2026の審査委員特別賞を受けた sumitomoelectric.com
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 横浜製作所 | 神奈川県横浜市栄区 | 光ファイバー・ケーブルなどの製造設備を持つ。マルチコア光ファイバーをどこで作るかは公表されていない | disclosure2dl.edinet-fsa.go… |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- 仕組み
- 標準と同じ直径125マイクロメートルのガラスの中に純石英ガラスのコアを2本設け、それぞれで別々に信号を送る。1本あたりの伝送容量は2倍になる sumitomoelectric.com
- コア間の干渉
- コア同士の信号の漏れ (クロストーク) を、逆向きに伝わる場合にマイナス43デシベル以下に抑えた sumitomoelectric.com
- 伝送容量
- 住友電気工業は、海底向けのマルチコア光ファイバーで1本あたり毎秒40テラビットを数千キロ以上送れると説明する sumitomoelectric.com
- データセンター向け
- 共通仕様の第1版は、Oバンドの短距離の接続で、強度変調・直接検波と位相を使うコヒーレントの両方の方式に使える4コアの光ファイバーを定める sumitomoelectric.com
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 伝送損失 | 0.158dB/km (波長1550ナノメートル、典型値) | sumitomoelectric.com |
| ガラス径・被覆外径 | 125マイクロメートル・250マイクロメートル | sumitomoelectric.com |
| 実効断面積 | 112平方マイクロメートル | sumitomoelectric.com |
| コア数 | 2 (2C Z-PLUS Fiber ULL)。共通仕様の第1版は4コア | sumitomoelectric.com |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| 母材 | マルチコア用の母材 | 公表されていない | — | 公表されていない 公表されていない |
住友電気工業は光ファイバーの量産を発表した。母材の製造者と製造地は公表されていない A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1光ファイバー2コアのマルチコア光ファイバー企業: 住友電気工業
- 2システムの設計・構築ペタルの全体設計と構築企業: NEC
- 3所有・運用ペタルの所有者としてケーブルを運用する企業: メタ
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1量産2023年10月に販売を始めた。生産能力は公表されていない設備・企業: 住友電気工業
- 2生産能力の増強2026年5月の決算説明資料で、海底光ケーブル用の極低損失ファイバーとマルチコアファイバーの生産能力増強を取り組みに挙げた設備・企業: 住友電気工業
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 2C Z-PLUS Fiber ULL | 公表されていない。見積もりで決まる | 2026-11-06 | sumitomoelectric.com |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 直販・案件ごとの契約 | 海底ケーブルではシステムを構築する会社の案件に光ファイバーを納める。ペタルでは NEC が構築を担う | sumitomoelectric.com |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 信頼性 | 外径が標準と同じため、標準の光ファイバーと同等の機械的・環境的な信頼性を持つとする (会社発表)。保証の年限は公表されていない | sumitomoelectric.com |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 米国・フランス間の海底ケーブル (ペタル) | メタの大西洋横断ケーブルに供給する。輸出管理の対象かどうかは公表されていない | sumitomoelectric.com |
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年4〜6月 | 光ファイバ・ケーブル、通信用ケーブル・機器、光融着接続機の売上高 | 467 | 億円 | マルチコア光ファイバーだけの売上高は公表されていない | sumitomoelectric.com |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| ペタルの契約額 | 公表されていない | sumitomoelectric.com |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
住友電気工業のマルチコア光ファイバーは、2023年に始めた海底向けの量産で先に実用の場を得た。ペタルは2029年の運用開始の予定で、24対 (48心) の光ファイバーのすべてに2コアの品を使う。データセンター向けは4コアの共通仕様の第1版が2026年9月に出た。ただし住友電気工業は5月の時点で、データセンター事業者が早い稼働を優先し採用が遅れていると認めていた。住友電気工業は、データセンター向けの4コア品を量産する時期をまだ示していない。共通仕様の第1版は、Oバンドの短距離用で4つのコアを2×2の正方形に並べる。海底向けの2コア品とは用途も構造も違う。海底向けの2コア品とデータセンター向けの4コア品は、用途も構造も違う。
公表されていないこと
- マルチコア光ファイバーの生産能力と売上高は公表されていない
- データセンター向けの4コア品を住友電気工業がいつ量産するかは公表されていない
出所
- 世界初 極低損失マルチコア光ファイバの量産化に成功 (2023-09-22)
- Meta、NEC、住友電工、商用ペタビット級光海底ケーブルシステム「Petal」の構築に向けて協業 (2026-09-22)
- AIデータセンタ向けマルチコア光ファイバの共通仕様の策定で協業開始 (2026-04-20)
- SDM4 Multicore Fiber MSA Technical Specifications Version 1.0 (2026-09-17)
- 「MM総研大賞2026審査委員特別賞」を受賞 (2026-08-27)
- 住友電気工業 2025年度期末決算説明会 質疑応答要旨 (2026-06-10)
- 住友電気工業 2025年度決算説明会資料 (2026-05-22)
- 住友電気工業 有価証券報告書 (2026年3月期) (2026-06-26)
- 住友電気工業 ファクトブック 2026年度第1四半期 (2026-07-31)
出所との照合日: 2026年11月6日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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