ルメンタム800G ZR+コヒーレント光トランシーバー Lumentum 400G ZR / 800G ZR+ Coherent Pluggable Transceivers
データセンター間や都市間を数十〜数千km 結ぶ、コヒーレント方式の着脱式光トランシーバー。米ルメンタムは光電部品を自社でそろえ、信号処理用の半導体 (DSP) は自社開発をやめて協業先の製品と組み合わせる。400G ZR は120km、800G ZR+ を毎秒400ギガビットで動かす高性能モードは2,000km 超を伝送できる。C 帯の 800G ZR+ は2025年4月に一般販売を始め、L 帯対応品の限定サンプル出荷も始めた。価格は公表していない。
詳細解説
- 製品の区分
- コヒーレント方式 (光の位相と偏波も使って情報を載せる方式) の着脱式光トランシーバー。ルーターやスイッチのポートに直接挿し、専用の伝送装置を使わずに離れた拠点を長距離で結ぶ lumentum.com
- 現行の品種
- 400G ZR/ZR+ (OSFP-DCO・QSFP-DD-DCO)、800G ZR+ (QSFP-DD・OSFP)、L 帯対応の 400G・800G ZR+ lumentum.com · lumentum.com
- 800G ZR+ の経緯
- 2023年10月の欧州光通信会議 (ECOC) で実演し、2023年12月にサンプル出荷を始める予定と発表し、2024年3月には性能を高めた品をサンプル出荷中とした。同年に米業界誌ライトウェーブの技術評価で表彰された。C 帯の 800G ZR+ は2025年4月1日に一般販売を始めた investor.lumentum.com · investor.lumentum.com
- L 帯対応品
- 2025年4月1日、L 帯に対応した 400G・800G ZR+ の限定サンプル出荷を始めた。L 帯まで使うと、光ファイバーで使える波長の幅とファイバーの容量が実質的に約2倍になる。800G はデータセンター間と都市内、400G は変調方式に QPSK を使い、長距離向け investor.lumentum.com
- 他社との相互接続
- 2024年9月、米マーベル、米コヒレントと共同で、3社の 800G ZR/ZR+ のモジュールをつなぐ相互接続を実演した。3社のモジュールともマーベルの DSP「Orion」を使い、16QAM で520km の光ファイバー伝送を2dB 超のマージンを残して実現した。業界団体 OIF の 800G ZR の規格に準拠したまま、距離を標準の120km から最大500km に延ばした investor.lumentum.com
- DSP の自社開発の中止
- ルメンタムは、コヒーレント伝送用の DSP と高周波 IC (RFIC) の自社開発を2024年6月期の第4四半期にやめた (事業再編費用3,580万ドル。うち仕掛研究開発の減損2,910万ドル)。2024年3月の発表は、自社の光部品と協業先の最新のコヒーレント DSP を組み合わせると説明する。製品版の DSP の供給元は公表されていない sec.gov · investor.lumentum.com
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 公表されていない | 公表されていない | コヒーレント光トランシーバーの組み立て拠点は公表されていない。ルメンタムの2021年の技術資料は、英国カズウェル工場の主力製品を波長可変レーザー・光集積回路などのコヒーレント部品としている | ルメンタムの主な自社工場は米国・タイ・中国・英国・スロベニア・日本、受託製造会社の所在国はタイ・台湾・マレーシア・フィリピン (2026年6月期の年次報告書) | ethernetalliance.org |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- コヒーレント伝送
- 光の振幅・位相・偏波を使い、1波長で毎秒400〜800ギガビットを伝送する。受信側の DSP が波形のひずみをデジタル処理で補正するため、長距離を伝送できる lumentum.com
- 自社製のシリコンフォトニクス COSA (400G ZR)
- 400G ZR は、自社製のシリコンフォトニクスの送受信光サブアセンブリー (COSA)、nano-ITLA (波長可変レーザー)、回路線幅7ナノメートルの DSP を使う lumentum.com
- InP とシリコンの組み合わせ (800G ZR+)
- 800G ZR+ は、自社の InP (インジウムリン) の光集積回路とシリコンフォトニクスを組み合わせて使う。ルメンタムは光電部品を自社で垂直統合していると説明する (DSP は前述のとおり他社と組む) lumentum.com
- 高性能モード
- 800G ZR+ を毎秒400・600ギガビットで動かす高性能モード (400ZR+・600ZR+) は、光信号対雑音比 (OSNR) と波長分散への耐性を高め、毎秒400ギガビットなら2,000km 超を伝送できる。2024年3月の OFC では、光増幅器で中継する400km 超の伝送路での伝送を実演した investor.lumentum.com
- IP over DWDM
- ルーターやスイッチに直接挿して、波長多重の光伝送網に光を出す。専用の伝送装置を省けるため、ネットワークの構成を簡素にし、費用を抑えられるとルメンタムは説明する investor.lumentum.com
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 400G ZR/ZR+ OSFP-DCO の速度・距離 | 400Gbps・120km (増幅器を使わない直結〈グレー〉は40km)。1本の光ファイバーに80波長を重ねると合計32Tbps | lumentum.com |
| 400G ZR/ZR+ の光 | 送信の出力 −10dBm 超、受信感度 −12dBm (増幅あり)・−20dBm (グレー)、所要 OSNR 26dB 未満 | lumentum.com |
| 400G ZR/ZR+ の波長と電力 | C 帯と C++ (Super C) 帯の全域で可変・75/100GHz 間隔、消費電力18W 未満、OIF 400ZR 準拠・CFEC | lumentum.com |
| 800G ZR+ の形状と距離 | QSFP-DD・OSFP、毎秒400ギガビットの高性能モードで2,000km 超、0dBm の高出力 400G に対応、CMIS 準拠 | lumentum.com |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| 信号処理 | コヒーレント DSP (400G ZR は回路線幅7ナノメートル、800G の実演はマーベルの Orion) ルメンタムは DSP の自社開発を2024年6月期にやめた |
製品版の DSP の供給元は公表されていない。2024年9月の 800G ZR/ZR+ の実演では、モジュールの DSP にマーベルの Orion を使った | — | マーベル・ルメンタム・コヒレントの共同発表に、実演したモジュールはすべて Orion を使ったとある。製品版の DSP の供給元は明らかにしていない A | |
| 送受信光サブアセンブリー | シリコンフォトニクスの COSA (400G ZR) | ルメンタム 自社製 |
— | 公表されていない |
製品ページに「最新の自社製のシリコンフォトニクス COSA」とある A |
| 波長可変レーザー | nano-ITLA 外部共振器型 (ECL)。線幅100kHz 未満 |
ルメンタム 自社製 |
— | 公表されていない |
製品ページ A |
| 光集積回路 | InP の光集積回路とシリコンフォトニクスの組み合わせ (800G ZR+) | ルメンタム 自社製 |
— | 公表されていない |
製品ページに「自社の InP の光集積回路とシリコンフォトニクス」とある A |
| ヒートシンク (放熱器) | 一体型のヒートシンク (400G ZR OSFP) | 公表されていない | — | 製品ページは一体型のヒートシンクとだけ説明する A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1光部品波長可変レーザー・送受信の光部品・光集積回路を自社で作る企業: ルメンタム
- 2DSPルメンタムは2024年3月の発表で協業先の DSP と組み合わせると説明し、800G の相互接続の実演ではマーベルの Orion を使った。製品版の供給元は公表されていない企業: マーベル (800G の実演)
- 3顧客・用途大手クラウド事業者が地域内のデータセンターどうしをつなぐ用途、通信会社の都市内・地域・長距離の光伝送網企業: 公表されていない
- 4組み合わせる装置ルメンタムは2025年4月の OFC で、L 帯の「400G ZR++」を、C 帯と L 帯を一体にした自社の波長選択スイッチ TrueFlex Micro Twin 2x34 と組み合わせて実演した企業: ルメンタム
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1製造ライン公表されていない
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 400G ZR/ZR+・800G ZR+ | 公表されていない (顧客ごとの見積もり) | 2026年10月31日に製品ページと問い合わせページで確認 | lumentum.com |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| ルメンタムの顧客窓口 | 2024年3月の発表は、問い合わせ先として顧客窓口 (customer.service@lumentum.com) を挙げた。窓口は見積もりの依頼と注文も受け付ける | investor.lumentum.com |
| 日本の販売代理店 | ルメンタムは販売代理店の一覧で、日本の代理店として伯東と緑屋電気を挙げている。コヒーレント光トランシーバーを扱うかどうかは示していない | lumentum.com |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 管理 | 光モジュールの管理仕様 CMIS に準拠し、ルーターなどの機器から状態を監視・管理できる | lumentum.com |
| 相互接続性 | 光通信の業界団体 OIF の 400ZR・800G ZR の規格に準拠し、他社のモジュールとつながることを実演した | investor.lumentum.com |
| 保証の期間 | 公表されていない | lumentum.com |
🌏 海外輸出
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 公表されていない | コヒーレント光トランシーバーの売上高 | 公表されていない | モジュールの数字はない。部品では、データセンター間接続向けの狭線幅レーザーの売上高が2026年4〜6月期まで10四半期連続で増えたと決算資料にある | s21.q4cdn.com |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| DSP・RFIC の自社開発の中止に伴う事業再編費用 (2024年6月期) | 3,580万ドル (うち仕掛研究開発の減損2,910万ドル、契約解除費用と資産の減損670万ドル) | sec.gov |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
大手クラウド事業者が AI 向けに地域のデータセンターを増やすほど、コヒーレント光トランシーバーの需要は伸びる。主な用途は数十〜数百km 離れたデータセンターどうしの接続で、ルーターに直接挿せるため専用の伝送装置が要らない。
ルメンタムの強みは光電部品を自社でそろえる点にある。波長可変レーザーの nano-ITLA、シリコンフォトニクスの送受信光サブアセンブリー、InP の光集積回路を作る。一方、信号を処理する DSP は2024年に自社開発をやめ、協業先の製品と組み合わせる。800G の相互接続の実演ではマーベルの Orion を使った。
決算資料によると、データセンター間接続向けの狭線幅レーザーの売上高は10四半期連続で増えた。モジュールの売上高、顧客の社名、組み立ての拠点は公表されていない。L 帯対応品が広がれば、既存の光ファイバー1本あたりの伝送容量が増える。
公表されていないこと
- コヒーレント光トランシーバーの売上高と出荷数量
- 製品版の DSP の供給元 (400G ZR の7ナノメートルの DSP を含む)
- 組み立ての拠点
- 顧客の社名
- 800G コヒーレント光トランシーバーの製品ページの内容 (ページの題名しか載っていない)
出所
- ルメンタム 製品ページ (400G ZR/ZR+ OSFP-DCO) (2026-10-31)
- ルメンタム 製品ページ (400G ZR/ZR+ QSFP-DD-DCO) (2026-10-31)
- ルメンタム 製品ページ (800G ZR+ コヒーレント光トランシーバー) (2026-10-31)
- ルメンタム 800ZR の性能向上の発表 (2024-03-26)
- マーベル・ルメンタム・コヒレントの 800G ZR/ZR+ 相互接続の発表 (2024-09-05)
- ルメンタム L 帯の 400/800G ZR+ と 800G ZR+ の一般販売の発表 (2025-04-01)
- ルメンタム ECOC 2023 の発表 (2023-10-02)
- ルメンタム 技術資料 (イーサネット・アライアンスの TEF 2021 での講演) (2021-01-28)
- ルメンタム 2026年6月期 第4四半期 決算資料 (2026-08-11)
- ルメンタム 2026年6月期 年次報告書 (10-K) (2026-08-17)
出所との照合日: 2026年10月31日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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