ルメンタムCPO用超高出力レーザーと外部光源ELSFP Lumentum Ultra-High-Power (UHP) Laser and ELSFP External Laser Source
光電融合 (CPO) のスイッチで光エンジンに光を供給する、インジウムリン (InP) 製の UHP (超高出力) レーザー。それを収める着脱式の外部光源モジュール (ELSFP) もある。米ルメンタムは UHP レーザーをサンノゼの自社工場で設計・製造し、自社をこの部品の主要な供給元と説明する。2025年には、エヌビディアの光電融合スイッチに採用されると発表した。2026年8月の決算発表では、外部光源モジュールの初受注に触れた。価格は公表していない。
詳細解説
- 製品の区分
- UHP レーザーは、変調器を持たない高出力の連続発振 (CW) レーザー。光電融合 (CPO) では、スイッチ IC と同じパッケージに置いた光エンジンが信号を載せ、レーザーは外部から光だけを供給する lumentum.com
- ルメンタムの位置づけ
- ルメンタムは2025年8月7日、自社が CPO に欠かせない UHP レーザーの主要な供給元だと発表した。InP を使う製品で、米カリフォルニア州サンノゼの自社の半導体工場で設計・製造している。同じ発表で、米国の半導体工場の生産能力を大幅に増やすと表明した (増強する工場の名は示していない) investor.lumentum.com
- 開発の経緯
- 2023年10月の欧州光通信会議 (ECOC) で、25°C で400mW 超の出力を実演した。2024年3月に米国で開かれた光通信の国際会議 (OFC) には、50°C で400mW のベータ版を出した。2026年3月の発表は、400mW の UHP レーザーを2025年に発売したとしている。製品ページの現行の仕様は50°C で最大350mW で、400mW 品との関係は書かれていない investor.lumentum.com · investor.lumentum.com · investor.lumentum.com
- エヌビディアとの関係
- エヌビディアは2025年3月18日、光電融合スイッチ Spectrum-X Photonics と Quantum-X Photonics を発表し、協業先の1社にルメンタムを挙げた。部品の種類は書いていない。ルメンタムは同日と4月1日の発表で、自社の高出力・高効率のレーザーがこれらのスイッチに採用されると説明した。2026年3月2日のエヌビディアの発表は、ルメンタムの「先進レーザー部品」の購入と供給枠の確保に触れたが、UHP レーザーや CPO 用とは書いていない nvidianews.nvidia.com · investor.lumentum.com · sec.gov
- 出荷
- ルメンタムは2025年1〜3月期の決算資料で、AI インフラを手がける大手顧客に CPO 向けに出荷していると説明した。2026年2月3日の決算発表では、最高経営責任者が CPO 向けの追加受注 (数億ドル規模、2027年1〜6月に納入) を明らかにした。出荷は2026年4〜6月期まで増え、2026年末に売上への寄与が本格化する見込みと決算資料は説明する s21.q4cdn.com · s21.q4cdn.com
- 外部光源モジュール ELSFP
- UHP レーザーを、着脱式の外部光源モジュールの規格 ELSFP の形に収め、装置の前面に挿す。光エンジンから熱源のレーザーを離すので、熱の管理と信頼性がよくなり、交換もしやすいと説明する。2025年9月の ECOC で実演し、2026年1〜3月期にサンプル出荷を始める予定と発表していた。2026年8月11日の決算発表で、最高経営責任者は外部光源モジュールの初受注に触れた investor.lumentum.com · sec.gov
- 次の品種
- 2026年3月の OFC で、出力をさらに高めた SHP レーザー (25°C で1W 超・50°C で800mW 超) と、ELSFP 2個で16波長を出す高密度波長多重 (DWDM) の光源を紹介した。2026年9月には8波長の DWDM ELSFP を発表し、出荷開始は2027年前半の見込み investor.lumentum.com · investor.lumentum.com
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| サンノゼの半導体工場 | 米カリフォルニア州サンノゼ | UHP レーザーの設計と製造 (2025年8月の発表) | 同じ発表で米国の半導体工場の生産能力の大幅な増強を表明した。金額と工場の名は示していない | investor.lumentum.com |
| グリーンズボロ工場 (コルボから取得し改装) | 米ノースカロライナ州グリーンズボロ | 2026年3月に米コルボから取得した24万平方フィートの工場を改装し、6インチの InP ウエハーで連続発振 (CW) レーザーと UHP レーザーを作る。量産開始は2028年半ばの見込み。今後数年で数億ドルを投じ、400人超の雇用を維持・創出すると説明する。エヌビディアがこの工場の顧客になると発表した | 取得額は3,800万ドル (2026年1〜3月期の四半期報告書)。年次報告書は自社保有の面積を14万8,000平方フィートとしており、発表の24万平方フィートと食い違う。差の理由は説明していない | investor.lumentum.com |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- InP の高出力 DFB レーザー
- 1311nm の分布帰還型レーザーで、50°C で最大350mW、70°C で235mW を出し、電力変換効率は20%超。線幅は500kHz 未満、相対強度雑音 (RIN) は −147dB/Hz 未満 lumentum.com
- 信頼性の裏付け
- ルメンタムは2025年4月の OFC に合わせた発表で、UHP レーザーの信頼性は、ラマン増幅器向けの InP 励起レーザーで長年積み上げた実績に裏付けられていると説明した。2025年8月の発表も、高出力の通信用レーザーの数十年の経験を挙げる investor.lumentum.com
- 外部光源の分離
- CPO では、熱に弱いレーザーをスイッチ IC のそばから離し、装置前面の差し込み口に挿す ELSFP に収める。レーザーだけを交換でき、熱の負担も下がる investor.lumentum.com
- 2つの熱電冷却素子
- ELSFP-350 は熱電冷却素子 (TEC) を2つ持ち、50°C で1波長あたり最大 +24dBm を出す。気密封止をしない差し込み式 lumentum.com
- 高密度波長多重 (DWDM)
- 8波長の DWDM ELSFP は、1311nm 付近と1331nm 付近の2つの帯に4波長ずつ、計8波長を±0.2nm の精度 (目標値) で出す。光の接続仕様を定める企業連合 OCI MSA の要件に合わせて設計した。8つのチャネルすべてに量産中の UHP レーザーを使う investor.lumentum.com
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| UHP レーザーの波長と出力 | 1311nm、50°C で最大350mW・70°C で235mW | lumentum.com |
| UHP レーザーの効率と雑音 | 電力変換効率 20%超、線幅 500kHz 未満、RIN −147dB/Hz 未満 | lumentum.com |
| ELSFP-350 | 1311nm、50°C で1波長あたり最大 +24dBm、線幅 500kHz 未満、TEC 2個、気密封止をしない差し込み式。入出力の合計が毎秒100テラビットを超える CPO、800G・1.6T 用 | lumentum.com |
| SHP レーザー (2026年3月に紹介) | 1310nm、25°C で1.0W 超・50°C で800mW 超、線幅 100kHz 未満、副モード抑圧比 (SMSR) 40dB 超 | investor.lumentum.com |
| 8波長 DWDM ELSFP | 1波長あたり最大 +24dBm (約250mW)、消費電力 約12W、波長精度 ±0.2nm (目標) | investor.lumentum.com |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| レーザーチップ | InP の UHP レーザー 2028年半ばからはグリーンズボロでも作る見込み |
ルメンタム 自社で設計・製造 |
— | 米国 米カリフォルニア州サンノゼ |
2025年8月7日の発表 A |
| InP 基板 | インジウムリンのウエハー (グリーンズボロは6インチ) | 公表されていない | — | 年次報告書は、中国が日本向けに課した輸出規制が基板 (種類は書かれていない) の調達に影響したとしているが、供給元の社名は記していない A | |
| 熱電冷却素子 | TEC (ELSFP-350 は2個) | 公表されていない | — | 製品ページは個数だけを示す A | |
| モジュールの筐体 | ELSFP 形状の差し込み式モジュール | ルメンタム (自社製品)。筐体の部品の供給元は公表されていない | — | 公表されていない |
製品ページ A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1レーザーチップサンノゼの自社の半導体工場で設計・製造する企業: ルメンタム
- 2外部光源モジュール製品ページは、UHP レーザーを自社の ELSFP モジュールに組み込むと説明する。2025年1〜3月期の決算資料は、UHP の CW レーザーを大手顧客に出荷したと書くが、チップのまま出荷したのか、モジュールに組んで出荷したのかは明らかにしていない企業: ルメンタム
- 3光電融合スイッチエヌビディアの Spectrum-X Photonics・Quantum-X Photonics に採用されるとルメンタムが発表した。エヌビディアの2026年10月21日の供給網の発表は、基板・パッケージ・検査・光エンジンの増産が対象で、レーザーは扱っていない企業: エヌビディア
- 4大口の契約2026年3月2日、エヌビディアと複数年の非独占の契約を結んだ。数十億ドル規模の購入契約と、先進レーザー部品の将来の供給枠を確保する権利を含む。エヌビディアは20億ドルを出資し、ルメンタムはこれを研究開発・将来の生産能力・運営に充てる。ルメンタムが新しい工場で米国の製造能力を築くのに合わせた出資だ企業: エヌビディア
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1サンノゼの工程公表されていない。発表は設計と製造を同じ工場で行うことだけを説明する
- 2グリーンズボロの工程6インチの InP ウエハーで作る。募集する職種として、ウエハー工程や装置の技術者、製造の技能職、品質管理などを挙げる。前の所有者のコルボから熟練した従業員を引き継いだ設備・企業: 装置メーカーは公表されていない
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| UHP レーザー・ELSFP-350 | 公表されていない (顧客ごとの契約) | 2026年10月31日に製品ページと問い合わせページで確認 | lumentum.com |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 直接の契約 | 大手顧客と直接契約する。エヌビディアとは2026年3月に、複数年の購入契約を含む契約を結んだ | sec.gov |
| ルメンタムの顧客窓口 | 見積もり・注文・注文状況の問い合わせを受け付ける | lumentum.com |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 交換のしやすさ | ELSFP は前面から抜き差しでき、レーザーだけを交換できる設計だと説明する | investor.lumentum.com |
| 保証の期間 | 公表されていない | lumentum.com |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 公表されていない | UHP の出荷先の国は明らかにしていない。米国で作り、米国内の生産能力を増やす方針 (2025年8月・2026年3月の発表) | investor.lumentum.com |
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年1〜3月期 | UHP レーザーの出荷 | AI インフラの大手顧客の CPO 向けに出荷 | s21.q4cdn.com | ||
| 2025年7〜9月期 | UHP レーザー | 成長が続き、量産の拡大は2026年7〜12月の見込み (当時) | s21.q4cdn.com | ||
| 2026年8月11日の決算発表 | 外部光源モジュール | 初受注 | 最高経営責任者の発言。受注の時期と相手は明らかにしていない。同じ期の決算資料は、UHP の出荷が増え、2026年末に売上への寄与が本格化する見込みとする | sec.gov |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| エヌビディアの出資 (2026年3月2日) | 20億ドル (A種転換優先株式 287万6,415株、1株あたり695.31ドル) | sec.gov | |
| CPO 向けの追加受注 (2026年2月3日の決算発表) | 数億ドル規模、2027年1〜6月に納入 (最高経営責任者の発言。相手と品種は明らかにしていない) | sec.gov | |
| グリーンズボロ工場の取得 | 3,800万ドル (2026年3月17日) | sec.gov | |
| グリーンズボロへの投資 | 今後数年で数億ドル (発表の表現) | investor.lumentum.com |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
UHP レーザーは、光電融合のスイッチが広がるかどうかに直結する部品だ。光電融合では、信号を載せる光エンジンをスイッチ IC のそばに置き、光そのものは外部の高出力レーザーから供給する。エヌビディアは、光電融合でレーザーの数を4分の1に減らせると説明する。数が減る分、1個のレーザーには大きな出力と高い信頼性が求められる。
ルメンタムは自社をこの部品の主要な供給元と説明しており、サンノゼの工場で作る。エヌビディアは2026年3月に20億ドルを出資し、先進レーザー部品の購入を約束するとともに、将来の供給枠を確保する権利も得た。ルメンタムは、取得したグリーンズボロ工場の顧客にエヌビディアがなると発表した。
ただし、エヌビディアの2025年3月の発表はルメンタムを協業先に挙げるだけで、使う部品を書いていない。2026年3月の発表も「先進レーザー部品」とするだけで、UHP レーザーとは書いていない。UHP の売上高は公表されておらず、決算資料は2026年末に売上への寄与が本格化するとしている。外部光源モジュールの初受注が売上にどうつながるかが次の焦点になる。
公表されていないこと
- UHP レーザーと ELSFP の売上高・出荷数量
- 大手顧客の社名 (決算資料は「AI インフラの大手顧客」とだけ書く)
- エヌビディアの購入契約の対象となる品種と金額
- 日本ルメンタムが UHP の生産に関わるか
- SHP レーザーの量産の時期
- 400mW 品と、現行の仕様 (50°C で最大350mW) との関係
出所
- ルメンタム CPO 用 UHP レーザーのページ (2026-10-31)
- ルメンタム 製品ページ (UHP レーザー入りの外部光源モジュール ELSFP) (2026-10-31)
- ルメンタム 米国の CPO 用レーザーの生産拡大の発表 (2025-08-07)
- ルメンタム グリーンズボロの新工場の発表 (2026-03-26)
- エヌビディアとルメンタムの共同発表 (8-K の別紙99.1) (2026-03-02)
- ルメンタム 8-K (2026年3月2日。優先株式の発行) (2026-03-02)
- エヌビディア Spectrum-X / Quantum-X Photonics の発表 (2025-03-18)
- ルメンタム エヌビディアのシリコンフォトニクスの協業先に選ばれたとの発表 (2025-03-18)
- エヌビディア 供給網の能力拡大の発表 (2026-10-21)
- ルメンタム ECOC 2023 の発表 (2023-10-02)
- ルメンタム OFC 2024 の発表 (2024-03-25)
- ルメンタム OFC 2025 の発表 (2025-04-01)
- ルメンタム ECOC 2025 の発表 (2025-09-29)
- ルメンタム OFC 2026 の発表 (2026-03-17)
- ルメンタム DWDM ELSFP の発表 (2026-09-21)
- ルメンタム 2026年6月期 第4四半期 決算発表 (8-K の別紙99.1) (2026-08-11)
- ルメンタム 2026年6月期 第3四半期 四半期報告書 (10-Q) (2026-05-06)
- ルメンタム 2026年6月期 年次報告書 (10-K) (2026-08-17)
- ルメンタム 2026年6月期 第4四半期 決算資料 (2026-08-11)
- ルメンタム 2026年6月期 第2四半期 決算発表 (8-K の別紙99.1) (2026-02-03)
出所との照合日: 2026年10月31日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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