三菱 ASX VR-e Mitsubishi ASX VR-e
三菱自動車が2026年8月17日に発表した、オーストラリアとニュージーランド向けのスモールSUV型EV。鴻海精密工業傘下の鴻華先進科技が開発し、台湾の裕隆汽車製造が生産する車両をOEM供給で受け、2026年内に発売する。日本での販売は発表されておらず、三菱自動車の発表は豪州・NZの2市場に限られる。電池容量や出力などの諸元は三菱自動車本社のリリースに無く、現地法人の公表値として豪州・NZの自動車媒体が伝えている。
概要
- 発表日
- 2026年8月17日 (三菱自動車 東京) mitsubishi-motors.com
- 発売時期・市場
- 2026年内、オーストラリアとニュージーランド。スモールSUVの区分に投入。ニュージーランドでは2026年12月に販売店へ届くと報じられた mitsubishi-motors.com
- 日本での販売
- 未発表。三菱自動車の発表は豪州・NZのみで、日本やその他地域への投入は記載がない。日本のCEV補助対象車両一覧にも無い mitsubishi-motors.com
- 供給形態
- 鴻華先進科技股份有限公司 (鴻海精密工業グループ) からのOEM供給。鴻華先進科技が開発し、裕隆汽車製造股份有限公司が台湾で生産 mitsubishi-motors.com
- 開発の経緯
- 2025年5月7日に三菱自動車と鴻華先進科技がEVのOEM供給の覚書を締結。2024年に発表した豪州での2030年に向けた商品計画に含まれる車両で、オセアニアで2026年後半に販売開始予定とした mitsubishi-motors.com
- 生産工場
- 裕隆汽車製造 (台湾)。工場所在地は三菱自動車の発表に無く、台湾苗栗県の裕隆汽車の工場とエレクトライブ (ドイツのEV専門媒体) が報じた electrive.com
- ベース車
- 鴻華先進科技の自社開発モデル「ブリア」(台湾で2025年12月発売) の三菱ブランド版、とエレクトライブが報じた。三菱自動車の発表にはベース車名の記載が無い electrive.com
- デザイン
- イタリアのデザイン会社ピニンファリーナと鴻華先進科技とともに開発した、と三菱自動車ニュージーランド法人は説明している mmnz.co.nz
- 三菱自動車の関与
- 現地で走行テストを重ね、専用のサスペンションチューニングを実施した、と三菱自動車は説明している mitsubishi-motors.com
- 車名の由来
- 「ASX」は豪州・NZで販売してきたコンパクトSUVの名称を継承、「VR-e」は『ギャランVR-4』に由来 mitsubishi-motors.com
- 外装
- フロントバンパー中央からボンネット上面へ空気を導く「Sダクト」、「アクティブグリルシャッター」、水平基調のストライプパターンのランプ類 mitsubishi-motors.com
- 電動化方針との位置づけ
- EVはアライアンスパートナーとの協業を活用し、HEV・PHEVは独自技術で開発する、と三菱自動車は説明している。欧州ではルノー、北米では日産からもOEM供給を受ける計画 mitsubishi-motors.com
- グレード (ニュージーランド)
- LS / XLS / Exceed / GSR の4グレード。GSRが最上位 mmnz.co.nz
- グレード (オーストラリア)
- LS / Aspire / Exceed / GSR の4グレード。LS・Aspire・Exceedは後輪駆動、GSRは2モーターの四輪駆動 (豪州法人の2026年10月2日の公表としてカーエキスパートが報じた) carexpert.com.au
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 駆動用電池 (豪州法人の公表値として報道) | 57.7kWh リン酸鉄リチウムイオン (LFP)、全グレード共通 | carexpert.com.au |
| 充電 (同上) | 直流 最大134kW (CCS2)、交流 最大6.6kW。外部給電 (V2L) に対応 | carexpert.com.au |
| モーター (同上) | LS・Aspire・Exceed: 後輪1モーター 171kW・350N・m、0-100km/h 6.8秒。GSR: 2モーターの四輪駆動、合計342kW・700N・m、0-100km/h 3.9秒 | carexpert.com.au |
| 航続距離 | ニュージーランドのWLTP値: LS 403km、XLS 398km、Exceed 380km、GSR 328km (報道)。オーストラリアの値は未公表 | autotrader.co.nz |
| 寸法 (報道) | 全長4,315mm×全幅1,885mm×全高1,535mm、ホイールベース2,800mm | carexpert.com.au |
| 電池保証 (報道) | 8年または16万km。期間内に使用可能容量の70%以上を保証 | carexpert.com.au |
🏭 部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは自動車メーカーか部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| 車両一式 (完成車) | 鴻華先進科技が開発したEV (報道では鴻華先進科技「ブリア」の三菱ブランド版) 鴻華先進科技は台湾証券取引所上場 (2258)、裕隆汽車も台湾上場 (2201)。東証コードは無い。部品単位の供給元は三菱自動車も鴻華先進科技も公表していない |
鴻華先進科技 開発)、裕隆汽車製造 (生産 |
— | 台湾 台湾 (三菱自動車の発表)。苗栗県の裕隆汽車の工場と報道 |
自動車メーカー発表 A |
| 駆動用電池 | 57.7kWh リン酸鉄リチウムイオン (LFP) (豪州法人の公表値として報道) セル・パックの供給元は公表されていない |
公表されていない | — | 報道 (豪州法人の公表値として) B | |
| 駆動用モーター | 後輪用 171kW・350N・m。GSRは2モーターで合計342kW (豪州法人の公表値として報道) モーター・インバーターの供給元は公表されていない |
公表されていない | — | 報道 (豪州法人の公表値として) B | |
| サスペンション (チューニング) | 専用サスペンションチューニング 部品の供給元ではなく設定の調整。サスペンション部品の供給元は公表されていない |
三菱自動車工業 チューニングのみ |
7211 | 日本 | 自動車メーカー発表 A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から車両の組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
-
1
材料・セル・モーター・インバーター
公表されていない企業: 公表されていない
-
2
車両開発
鴻華先進科技が開発。三菱自動車は現地走行テストとサスペンションチューニングを担当。外装デザインはピニンファリーナと報じられた企業: 鴻華先進科技、三菱自動車工業
-
3
車両組み立て
台湾で生産 (報道では苗栗県の工場)企業: 裕隆汽車製造
-
4
販売
オーストラリアとニュージーランドの三菱自動車現地法人と販売網。日本での販売は未発表企業: 三菱自動車オーストラリア法人、三菱自動車ニュージーランド法人 (販売店60以上)
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年度 (2025年4月〜2026年3月) | 三菱自動車 オーストラリア・NZ 小売台数 (参考、全車種) | 71,000 | 台 | うちオーストラリア57千台。2026年度計画は69千台。同地域の売上高は2,860億円、営業利益は75億円の赤字 (決算補足資料)。ASX VR-eは未発売で実績は無い | mitsubishi-motors.com |
💴 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| ニュージーランドの販売価格 (報道) | LS 5万7,990NZドル、XLS 6万3,990NZドル、Exceed 6万7,990NZドル、GSR 7万2,990NZドル (諸費用別) | autotrader.co.nz | |
| オーストラリアの販売価格 | 未発表 (2026年10月2日時点)。「市場で最も安い選択肢にはならない」と豪州法人の社長が述べた、とカーエキスパートが報じた | carexpert.com.au | |
| 電池保証 (報道) | 8年または16万km、使用可能容量70%以上 | carexpert.com.au |
解析 — 部品と供給網の特徴
ASX VR-eは三菱自動車が自社で部品を調達・生産するEVではない。鴻華先進科技が開発し、裕隆汽車製造が台湾で組み立てる完成車をOEMで受ける商品である。三菱自動車が手を入れたのは現地での走行テストとサスペンションの設定だけである。電池・モーター・インバーターの供給元は三菱自動車も鴻華先進科技も公表していない。水島製作所で電池パックを内製し、国内の部品で組むeKクロス EVとは供給網の性格が正反対である。
三菱自動車は2025年5月7日の覚書の時点でEVの調達方針を示した。EVはアライアンスや外部パートナーからのOEM供給 (欧州はルノー、北米は日産、オセアニアは鴻華先進科技) でそろえる。自社開発はHEV・PHEVに集中する。ASX VR-eはその方針で鴻海グループから受ける最初の車種で、2024年に発表した豪州の2030年商品計画に含まれる。三菱自動車の豪州・NZ事業は2025年度に売上高2,860億円、営業損失75億円 (決算補足資料) と厳しい。都市部のEV需要を取り込む車種として投入される。
諸元は本社のリリースに無い。57.7kWhのLFP電池、171kWの後輪モーター、GSRの合計342kWは、豪州法人が2026年10月2日に公表した値として豪州の媒体が伝えた。ニュージーランドでは価格 (5万7,990〜7万2,990NZドル) とWLTP航続距離 (328〜403km) が報じられた。エレクトライブが発表前に見込んだ合計299kWは台湾向けモデルの値に基づくもので、現地法人の値とは一致しない。日本での販売は発表されていない。2026年10月時点で三菱自動車の国内EVはeKクロス EVとミニキャブEVの2車種のままである。
公表されていないこと
- 日本での販売計画 (未発表。CEV補助対象車両一覧にも無い)
- 電池セル・パック、モーター、インバーター、パワー半導体、車載充電器、ADASセンサーなど部品単位の供給元 (三菱自動車・鴻華先進科技とも未公表)
- オーストラリアの販売価格と発売日 (2026年内とのみ)、販売目標台数
- 三菱自動車本社が公式に示す諸元 (電池容量・出力・航続距離はWLTC値が無い)
- オーストラリア仕様の航続距離 (ニュージーランドのWLTP値のみ報道)
- OEM調達価格、台数契約、三菱自動車の投資額 (公表されていない)
- 裕隆汽車製造の生産工場の正式名称・所在地 (三菱自動車の発表は「台湾」のみ、報道は苗栗県)
- 日本での販売が無いため円建ての税込価格と日本のCEV補助金は無い
出所
- 三菱自動車 ニュースリリース オーストラリア、ニュージーランド向け新型バッテリーEV『ASX VR-e』を年内に発売 (2026-08-17)
- 三菱自動車 ニュースリリース (英語版) ASX VR-e バッテリーEVをオーストラリアとニュージーランドで年内に発売 (2026-08-17)
- 三菱自動車 ニュースリリース Foxtronと電気自動車のOEM供給について覚書を締結 (2025-05-07)
- 三菱自動車ニュージーランド法人 ニュースルーム 全電動のASX VR-eの投入を確認 (2026-08-10)
- 三菱自動車 2025年度決算 補足資料 (豪州・NZの売上高・台数) (2026-05-08)
- 次世代自動車振興センター 令和7年度補正CEV補助金 銘柄ごとの補助金交付額 別表1 (ASX VR-eの掲載は無い) (2026-10-21)
- カーエキスパート (豪州) 2027年型三菱ASX VR-e EVのラインアップ詳細、価格は未定 (2026-10-02)
- オートトレーダー (NZ) 電動の三菱ASX VR-e、NZで5万7,990ドルから (2026-09-24)
- ドリブン・カーガイド (NZ) 三菱ASX VR-e EVのNZ価格、ブランド史上最速の車 (2026-09-24)
- エレクトライブ 三菱がASX VR-eをオーストラリアとニュージーランドで発売 (2026-08-11)
- MONOist 三菱自動車が鴻海OEM供給のEV「ASX VR-e」を発売へ (2026-08-18)
出所との照合日: 2026年10月23日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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