📦 製品の詳細 車種

スズキ e ビターラ Suzuki e VITARA

スズキ初の量産電気自動車で、BEV世界戦略車の第1弾。インド・グジャラート州のハンサルプール工場で生産し、日本へは輸入して2026年1月16日に発売した。駆動用電池はBYD子会社フィンドリームズ・バッテリー製のリン酸鉄リチウムイオン電池で、中国から輸入する。電動アクスルは、アイシン・デンソーと共同開発したブルーイーネクサスがインドで生産して供給する。

🏢 スズキ の企業ページ 🇯🇵 価格・グレード・電費・補助金 (日本で買えるEV)

概要

日本発売日
2026年1月16日 (2025年9月16日発表。2024年11月4日にイタリア・ミラノで世界初公開) suzuki.co.jp
生産工場
マルチ・スズキ・インディア ハンサルプール工場 (インド・グジャラート州)。旧スズキ・モーター・グジャラート (2014年設立)。2025年12月1日にマルチ・スズキ・インディアへ吸収合併 business-standard.com
出荷開始記念式典
2025年8月にハンサルプール工場で e ビターラの出荷開始記念式典 (IR資料の年表 p.5) suzuki.co.jp
生産工場 (補足)
スズキ・モーター・グジャラートで2025年春から生産開始と2024年11月に発表 suzuki.co.jp
車両区分
登録車 (普通乗用車)。型式 ZAA-PA2AS (X、Z 2WD)、ZAA-PB3AS (Z 4WD)。全長4,275mm×全幅1,800mm×全高1,640mm、ホイールベース2,700mm、乗車定員5名 suzuki.co.jp
プラットフォーム
BEV専用に新開発した「HEARTECT-e」。高ハイテン材の使用率を上げ、メインフロア下メンバーを廃止して電池容量を最大化 suzuki.co.jp
プラットフォームの共同開発
スズキ・トヨタ自動車・ダイハツ工業の3社で共同開発したと日経クロステックが報じた (2024年11月5日)。トヨタへOEM供給する xtech.nikkei.com
トヨタでの販売 (欧州)
欧州ではトヨタ「アーバンクルーザー」として販売。トヨタ欧州が2024年12月12日に発表した motor-fan.jp
開発の経緯
2023年1月のインドのオートエキスポで公開したコンセプトカー「eVX」の量産モデル。商品コンセプトは「Emotional Versatile Cruiser」 suzuki.co.jp
インドでの販売
2026年2月17日にマルチ・スズキ・インディアが販売開始。100以上の国・地域へ輸出 globalsuzuki.com
グレード
X (2WD・49kWh) / Z 2WD (61kWh) / Z 4WD (61kWh、電動4WD「ALLGRIP-e」) suzuki.co.jp

価格と補助金

グレード税込価格 (円)時点出所
X (2WD・49kWh)3,993,0002026-10suzuki.co.jp
Z 2WD (61kWh)4,488,0002026-10suzuki.co.jp
Z 4WD (61kWh)4,928,0002026-10suzuki.co.jp
メーカーオプション: アークティックホワイトパール ブラック2トーンルーフ88,0002026-10suzuki.co.jp
メーカーオプション: 2トーンルーフ55,0002026-10suzuki.co.jp
メーカーオプション: アークティックホワイトパール塗装33,0002026-10suzuki.co.jp
リサイクル料金 (別途)12,9302026-10suzuki.co.jp
項目額 (円)備考出所
CEV補助金 (令和7年度補正、登録日2026年4月1日〜2026年12月31日)1,270,000別表1。車両コード X=1072、Z 2WD=1073、Z 4WD=1074。全グレード同額。保有義務 自家用4年。列は見出し行「登録日:R8.4.1〜R8.12.31/登録日:R9.1.1以降/自家用車両/貸自動車業用車両」で確認cev-pc.or.jp
CEV補助金 (登録日2027年1月1日以降)762,000同じ別表1の「登録日: R9.1.1以降」欄。経済産業省が2026年10月21日に補助額の見直しを発表し、98万円から76万2,000円に変わったcev-pc.or.jp
CEV補助金 (登録日2026年1月1日〜2026年3月31日)1,270,000cev-pc.or.jp
CEV補助金 (登録日2025年12月16日〜12月31日、令和6年度補正の水準)870,0002025年9月16日の発売発表時点でスズキが案内した額も87万円cev-pc.or.jp
エコカー減税 (自動車重量税)免税 (2028年4月30日新車登録まで)suzuki.co.jp
グリーン化特例 (翌年度の自動車税)軽減 (2028年3月31日新車登録まで)suzuki.co.jp

→ グレード別の実質価格・電費・安全性能は「日本で買えるEV」の車種ページ

主要諸元

項目値出所
電池容量 (総電力量)X 49kWh / Z 61kWhsuzuki.co.jp
電池の種類リン酸鉄リチウムイオン電池、水冷式suzuki.co.jp
電池の構成 (諸元表)容量160Ah、セル電圧3.18V、セル数 Z=120 / X=96、総電圧 Z=381V / X=305V。編集部の計算では160Ah×381V=約61.0kWh、160Ah×305V=約48.8kWhsuzuki.co.jp
一充電走行距離 (WLTC、国土交通省審査値)X 433km / Z 2WD 520km / Z 4WD 472kmsuzuki.co.jp
交流電力量消費率 (WLTC)X 124Wh/km / Z 2WD 131Wh/km / Z 4WD 144Wh/kmsuzuki.co.jp
モーター最高出力X 106kW / Z 2WD 128kW / Z 4WD 合計135kW (フロント128kW+リヤ48kW)。型式 フロント1CG、リヤ2CG、交流同期電動機suzuki.co.jp
モーター定格出力X フロント59kW / Z 2WD フロント64kW / Z 4WD フロント64kW+リヤ31kWsuzuki.co.jp
最大トルクX・Z 2WD 193N・m / Z 4WD 合計307N・m (フロント193+リヤ114)suzuki.co.jp
減速比13.925suzuki.co.jp
急速充電CHAdeMO。90kW充電器で約45分 (警告灯点灯時から80%まで)、50kW充電器で約55分。90kWで30分充電すると約10%→約65%suzuki.co.jp
普通充電車載充電器6kW。6kWで Z 約10.5時間 / X 約8.5時間、3kWで Z 約22時間 / X 約15時間。付属ケーブルはAC200V・16A・7msuzuki.co.jp
外部給電急速充電インレットからDC給電 (V2H・V2L、車両側最大9kW、機器は別売)。車内AC100Vコンセント1,500W (非常時給電モード付)suzuki.co.jp
車両重量X 1,700kg / Z 2WD 1,790kg / Z 4WD 1,890kgsuzuki.co.jp
タイヤ225/55R18 98V、18インチガーニッシュ付アルミホイールsuzuki.co.jp
ブレーキ・サスペンション前後ベンチレーテッドディスク、油圧・回生ブレーキ協調式、電動パーキングブレーキ。前マクファーソンストラット、後マルチリンクsuzuki.co.jp
熱管理ヒートポンプシステム、急速充電前の寒冷時バッテリー昇温、普通充電中の高温時バッテリー冷却を全車標準装備suzuki.co.jp
電池保証新車登録から8年・16万km (期間内に容量劣化度70%未満の場合も保証)suzuki.co.jp
最小回転半径5.2msuzuki.co.jp

🏭 部品と部品メーカー

部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは自動車メーカーか部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。

部品品名・型式メーカー銘柄国・製造拠点根拠
駆動用電池パック リン酸鉄リチウムイオン電池 (49kWh / 61kWh、水冷式)
日経クロステック (2025年11月18日) は、電池は中国BYD子会社の弗迪電池製のリン酸鉄系で、セル単位ではなくパック単位で輸入すると報じた。日本経済新聞 (2025年9月14日) も電池はBYD製と報道。スズキの発表資料は電池の種類をリン酸鉄リチウムイオン電池と書くだけで、供給元は書いていない。量産直前に弗迪電池からスズキへ約50か所の設計変更依頼があったと日経クロステック (2026年5月28日) が報じた。内容はハーネス取り付け位置や固定用クリップなど。親会社BYDは香港 (1211)・深圳 (002594) 上場
弗迪電池
フィンドリームズ・バッテリー、BYD子会社
— 中国
中国 (工場名は未公表)。パック単位で中国からインドへ輸入し、グジャラートの工場で組み付け
取材報道 B
電動アクスル (eAxle、フロント・リヤ) モーター・インバーター・トランスアクスル一体型eAxle。4WDは前後に独立した2基。モーターは交流同期電動機 1CG (フロント、最高出力106kW/128kW)・2CG (リヤ、48kW)
アイシン・デンソー・ブルーイーネクサスの2025年1月20日発表。小型のモーターとインバーターで出力密度を高め、損失低減技術で電費に寄与。ブルーイーネクサスはアイシン・デンソーが設立、トヨタが10%出資 (2020年) の非上場会社。モーターの型式と出力はスズキの主要諸元表による。モーター単体の製造者は未公表。デンソーの発表は https://www.denso.com/jp/ja/news/newsroom/2025/20250120-01/
ブルーイーネクサス。アイシン・デンソーと共同開発 — 日本
インド国内。ブルーイーネクサス・オートモーティブ・インディアから供給 (州・都市は未記載)
部品メーカーの「採用」発表 A
インバーター eAxle一体型インバーター
日経クロステック (2025年7月10日) は、電池パックは中国から、インバーターは日本から調達し、その他部品の大半はインドで現地調達すると報じた。インバーターの製造者とパワー半導体の種類 (SiCかSi) は公表されていない
公表されていない (eAxleの構成品)。日本から調達と日経クロステックが報じた — 日本 (報道) 取材報道 B
タイヤ グッドイヤー EfficientGrip 2 SUV 225/55R18 98V
日本グッドイヤーの2026年1月30日発表。日本を含むインド国外向け仕様車に純正装着。親会社グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバーは米ナスダック上場 (GT)
日本グッドイヤー
米グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバーの日本法人
— 米国
未記載
部品メーカーの「採用」発表 A
プレミアムサウンドシステム Infinity (インフィニティ) 8スピーカー+サブウーハー+アンプ (Z)
装備表に Infinity はハーマン・インターナショナル・インダストリーズの登録商標と注記。スピーカー・アンプの製造者は未公表。親会社サムスン電子は韓国上場 (005930)
ハーマン・インターナショナル
サムスン電子子会社、商標からの推定
— 米国
未記載
商標注記 (供給元の明記ではない) B
空調のイオン発生装置 ナノイーX搭載フルオートエアコン (Z)
装備表にナノイーXの商標注記のみ。エアコン本体とイオン発生装置の製造者は未公表
パナソニック
商標からの推定
6752 日本
未記載
商標注記 (供給元の明記ではない) B
車載充電器 (OBC) 6kW車載普通充電器、双方向 (V2H・V2L対応、DC最大9kW給電)
仕様はスズキ資料。供給元の発表・報道は見当たらない
公表されていない — 自動車メーカーの主要装備表 A
ヒートポンプ (空調・熱管理) ヒートポンプシステム、寒冷時バッテリー昇温・高温時バッテリー冷却
ヒートポンプの作動範囲はマイナス10℃以上とカーウオッチが報じた。供給元は公表されていない
公表されていない — 自動車メーカーの主要装備表 A
ブレーキ 前後ベンチレーテッドディスク、油圧・回生ブレーキ協調式、電動パーキングブレーキ (ブレーキホールド付)
供給元は公表されていない
公表されていない — 自動車メーカーの主要諸元表 A
電動パワーステアリング ラック&ピニオン式、パワーステアリング
供給元は公表されていない
公表されていない — 自動車メーカーの主要諸元表 A
ADASセンサー デュアルセンサーブレーキサポートII、アダプティブハイビーム (ミリ波レーダーと単眼カメラで先行車・対向車を検知)。ブラインドスポットモニター、全方位モニター用4カメラ、ドライバーモニタリングカメラ、前後パーキングセンサー
センサー構成の明記はアダプティブハイビームの説明のみ。供給元は未公表
公表されていない — 自動車メーカーの安全装備ページ A
車体材料 高ハイテン材 (使用率を従来プラットフォームより向上)、軽量衝撃吸収ボディーTECT、18インチホイールの樹脂製ガーニッシュ
鋼材の供給元は未公表
公表されていない — 自動車メーカー発表 A
ディスプレイ インテグレーテッドディスプレイシステム (10.1インチセンター+10.25インチメーター)
供給元は公表されていない
公表されていない — 自動車メーカー発表 A
エアコン冷媒 HFO-1234yf (GWP 1)、使用量600g
供給元は公表されていない
公表されていない — 自動車メーカーの車種別環境情報 A

🔗 部品製造サプライチェーン

材料から車両の組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。

  1. 1 正極材・負極材・電解液・セパレーター
    公表されていない
  2. 2 電池セル
    公表されていない。日経クロステックは「セル単位ではなくパック単位で輸入」と報じており、セルの製造者名は報じられていない
  3. 3 電池パック
    リン酸鉄リチウムイオン電池パックを中国で製造し、インドへ輸入 (報道)
    企業: 弗迪電池 (BYD子会社、中国)
  4. 4 インバーター
    日本から調達 (報道)。製造者は未公表
    企業: 公表されていない
  5. 5 電動アクスル (ユニット)
    モーター・インバーター一体のeAxleをインド国内で生産し、ブルーイーネクサス・オートモーティブ・インディアから供給
    企業: ブルーイーネクサス (アイシン・デンソー・トヨタ出資)
  6. 6 タイヤ
    EfficientGrip 2 SUV 225/55R18 を純正装着
    企業: 日本グッドイヤー
  7. 7 その他部品
    大半をインドで現地調達と日経クロステックが報じた (企業名は非公開)
    企業: 公表されていない
  8. 8 車両組み立て
    ハンサルプール工場 (グジャラート州)。第4ライン (Dライン、年25万台) が2026年7月に稼働した。インドの四輪生産能力は2026年7月時点290万台、2030年度以降に約400万台を目指す。スズキの出資比率58.5%は有価証券報告書 (関係会社の状況) による
    企業: マルチ・スズキ・インディア (スズキ58.5%出資)
  9. 9 輸出・輸入
    インドから日本・欧州など100以上の国・地域へ輸出。2025年度 (見込み) のインドからの日本向け輸出は全車種で4.4万台 (前年比480%)
    企業: マルチ・スズキ・インディア → スズキ
  10. 10 OEM供給
    トヨタ自動車へOEM供給 (日経クロステックの報道)。欧州ではトヨタ「アーバンクルーザー」として販売 (トヨタ欧州 2024年12月12日発表)
    企業: トヨタ自動車 (7203)
  11. 11 日本での販売
    スズキの四輪販売会社・全国のスズキ販売店。店舗数は公表資料で確認できなかった
    企業: スズキ (7269)
  12. 12 インドでの販売・保証
    ディーラー網2,000店以上。BaaS (電池サブスクリプション) 価格109万9,000ルピー+3.99ルピー/km、3年後に60%の残価を保証、電池保証8年
    企業: マルチ・スズキ・インディア

📈 販売の実績

期間指標値単位備考出所
2026年1〜9月 (累計)自販連 乗用車ブランド通称名別順位の50位の台数 (e ビターラの登録台数の上限の目安)3,550台上位50位に e ビターラは入っていない。50位のデリカD:2が3,550台なので、1〜9月累計の登録台数はこれ未満。日本メーカーの海外生産車は自販連の燃料別表では輸入車に含まれ、車名別の登録台数は公開資料から取れないjada.or.jp
2025年10月24日〜2026年5月15日 (製作期間)サービスキャンペーン対象台数 (日本仕様 ZAA-PA2AS 520台 + ZAA-PB3AS 363台)883台2026年8月20日に国土交通省へ通知 (開始8月21日)。平均電費の表示不具合。製作台数であり登録台数ではないsuzuki.co.jp
2025年4月〜2026年3月 (2025年度)スズキの日本での登録車販売台数 (全車種)168,376台前年比126.6%。決算説明会資料は「eビターラは順調な滑り出し」とのみ記載suzuki.co.jp
2026年4〜6月マルチ・スズキのインド国内卸販売台数のうち e ビターラ5,000台IR資料 (2026年9月) の「内、eビターラ 5 (千台)」。インド国内卸販売全体は53万5,000台suzuki.co.jp
2025年8〜9月インドからの e ビターラ 輸出台数6,068台マルチ・スズキの発表としてカーウェールが報じた (2025年10月2日)。最初の仕向け地は英国と欧州連合加盟国carwale.com
2025年4月〜2026年3月 (2025年度、見込み)インドからの日本向け輸出台数 (スズキ全車種)44,000台IR資料 (2026年3月17日) 時点の見込み。前年比480%。フロンクス・ジムニーノマド等を含み、e ビターラ単独の台数は非開示suzuki.co.jp
2025年4月〜2026年3月 (2025年度)スズキの欧州販売台数 (全車種)187,000台前年比マイナス15.1%。「e ビターラは2025年9月に欧州で販売開始」と記載suzuki.co.jp
2026年1〜6月スズキの日本からの輸出台数 (全車種、完成車+CKD)109,353台前年同期比124.1%。e ビターラは日本から輸出しない (インド生産)suzuki.co.jp

💴 金額

項目値備考出所
車両本体価格 (税込)399万3,000〜492万8,000円suzuki.co.jp
CEV補助金 (令和7年度補正)2026年4月1日〜12月31日の登録は127万円、2027年1月1日以降は76万2,000円 (2026年10月21日の見直し後の別表1)。全グレード同額cev-pc.or.jp
補助金後の実質価格 (2026年12月31日までの登録、計算)X 272万3,000円 / Z 2WD 321万8,000円 / Z 4WD 365万8,000円税込価格から127万円を引いた編集部の計算。自治体の補助は含まないsuzuki.co.jp
補助金後の実質価格 (2027年1月1日以降の登録、計算)X 323万1,000円 / Z 2WD 372万6,000円 / Z 4WD 416万6,000円税込価格から補助金76万2,000円 (2026年10月21日の見直し後) を引いた編集部の計算。自治体の補助は含まないcev-pc.or.jp
電池の保証8年・16万km (容量劣化度70%未満も保証)suzuki.co.jp
インドでのBaaS価格・残価保証109万9,000ルピー+3.99ルピー/km、3年後の残価60%を保証、電池保証8年suzuki.co.jp
スズキの設備投資 (2025年度実績)連結3,507億円、うちインド1,753億円 (前年1,975億円)。マルチ・スズキ単体は1,657億2,900万円有価証券報告書 (第160期) と決算説明会資料 (2026年5月14日) p.30 に同じ数字。e ビターラ向けの内訳は非開示suzuki.co.jp
スズキの設備投資計画 (2026年度)連結3,800億円、うち在外子会社2,500億円、提出会社1,100億円suzuki.co.jp
中期経営計画の投資枠 (2026年3月期〜2031年3月期累計)設備投資2兆円、研究開発費2兆円 (電池関連投資は市場状況に応じて機動的に)suzuki.co.jp

解析 — 部品と供給網の特徴

e ビターラの供給網は「電池は中国、駆動装置は日本系のインド生産、組み立てはインド」の3か国構成である。駆動用電池はBYD子会社の弗迪電池製リン酸鉄リチウムイオン電池で、パック単位で中国から輸入する (日経クロステック)。電動アクスルはアイシン・デンソー系のブルーイーネクサスがインド法人で生産して供給する (アイシン発表 2025年1月20日)。日経クロステックはインバーターを日本から調達し、その他の部品の大半はインドで現地調達すると報じた。スズキの発表資料には、商標の注記を除き、部品メーカーの社名は無い。電池と電動アクスルの供給元は、部品メーカーの採用発表と報道で分かる。

日経クロステックは2025年11月、スズキの電池関連特許の出願が2014〜2023年の10年で286件と前の10年から5割増えたと分析した。それでも量産第1号の電池パックは弗迪電池が製造する。量産直前には弗迪電池から約50か所の設計変更依頼を受けたという (日経クロステック 2026年5月28日)。スズキが中国製部品の採用を広げていることについて、2026年10月7日の日本経済新聞は国内の供給網が空洞化する恐れがあると指摘した。2026年11月発売の軽EV「e SKY」でも同じBYD系の電池が続く。

価格の構成では補助金の比重が大きい。税込399万3,000〜492万8,000円に対し、2026年12月31日までの登録ならCEV補助金127万円が付く。実質価格は272万3,000円からになる。2027年1月1日以降は76万2,000円に下がるため (2026年10月21日の見直し後)、登録の時期で50万8,000円の差が出る (編集部の計算)。補助金は2025年9月の発売発表時点では87万円 (令和6年度補正) だった。発売前の2025年12月の補正予算で40万円増えた。

販売の実数は限られた資料しかない。自販連の乗用車ブランド通称名別順位 (2026年1〜9月) では上位50位に入らない。50位が3,550台なので、累計登録はそれ未満と分かる。日本仕様の製作台数は、2026年8月のサービスキャンペーン届出から読める。2025年10月24日〜2026年5月15日の製作で883台が対象になった。一方インドでは2026年4〜6月の国内卸販売が5,000台である (スズキIR資料)。2025年8〜9月の輸出は6,068台で、マルチ・スズキの発表としてカーウェールが報じた。台数はインド生産・輸出が中心である。スズキはインドからの日本向け輸出を2025年度の見込みで4.4万台 (前年比480%) と示した。e ビターラはフロンクスやジムニーノマドと同じ「インド生産・日本輸入」の流れに乗る車種である。

同じ出所で比べられる数字として、スズキの諸元表から電池の構成を読む。Zは160Ah×381V (120セル)、Xは160Ah×305V (96セル) で、セルは共通でセル数だけが違う。61kWhのZ 2WDは車両重量1,790kg、WLTC電費131Wh/kmである。スズキの軽EV e SKYは26kWh・1,030kg・97Wh/kmで、車格の差がそのまま電費に出ている。

公表されていないこと

  • 電池セルの製造者 (報道は「パック単位で弗迪電池から調達」としており、セルの製造者名は報じられていない)
  • 正極材・負極材・電解液・セパレーターの供給元
  • インバーターの製造者とパワー半導体の種類 (Si/SiC)。「日本から調達」との報道のみ
  • モーターの磁石 (レアアース) の供給元
  • BMS、DC-DCコンバーター、車載充電器、電動パワーステアリング、ブレーキ、ヒートポンプ、ワイヤーハーネス、ADASセンサー (カメラ・レーダー) の供給元
  • ブルーイーネクサス・オートモーティブ・インディアの工場所在地 (州・都市)
  • 日本での月次の登録台数 (自販連の順位表の上位50位に入らず、燃料別表では輸入車に合算される)
  • 日本での受注台数・月販目標 (スズキは「順調な滑り出し」とのみ開示)
  • e ビターラ向けの投資額 (インド設備投資1,753億円の内訳は非開示)
  • 部品の価格・原価、分解調査 (日経クロステックやマンロー・アンド・アソシエーツなどの分解記事は見当たらない)
  • 日本でのリース料金・残価設定
  • トヨタへのOEM供給の契約内容 (トヨタ・スズキの一次資料は未確認。日経クロステックの報道のみ)
  • インドの電池工場 TDSG (TDSリチウムイオン・バッテリー・グジャラート) がe ビターラの電池に関与しているか (IR資料ではHEV用電池工場と記載)

出所

  1. スズキ ニュースリリース「バッテリーEVの新型『e ビターラ』を日本で発売」 (2025-09-16)
  2. スズキ ニュースリリース PDF (同上) (2025-09-16)
  3. スズキ ニュースリリース「初のバッテリーEV『e VITARA』を欧州で初公開」 (2024-11-04)
  4. スズキ e ビターラ 主要装備表・主要諸元表 PDF (2026-09-10)
  5. スズキ e ビターラ 車種別環境情報 PDF (2026-04-07)
  6. スズキ e ビターラ 走行・EV性能 (2026-10-20)
  7. スズキ e ビターラ 価格・詳細 (2026-10-20)
  8. スズキ e ビターラ 安全装備 (2026-10-20)
  9. スズキ EVの補助金・優遇税制 (e ビターラ) (2026-10-20)
  10. スズキ e ビターラ サービスキャンペーン (2026-08-20)
  11. スズキ初のBEV e VITARA をインドで発売 (グローバルスズキ) (2026-02-17)
  12. アイシン ニュースリリース「スズキ初のバッテリーEV『e VITARA』にeAxle採用」 (2025-01-20)
  13. デンソー ニュースルーム (同発表) (2025-01-20)
  14. 日本グッドイヤー プレスリリース「EfficientGrip 2 SUV がスズキ e VITARA に純正装着」(共同通信PRワイヤー) (2026-01-30)
  15. 次世代自動車振興センター 別表1 銘柄ごとの補助金交付額 (登録日 R8.4.1〜) (2026年10月21日見直し後、10月23日取得) (2026-10-21)
  16. 次世代自動車振興センター 別表1 (登録日 R8.1.1〜R8.3.31) (2026-10-20)
  17. 次世代自動車振興センター 別表1 (登録日 R7.12.16〜R7.12.31) (2026-10-20)
  18. スズキ 2026年3月期 決算説明会資料 (2026-05-14)
  19. スズキ 第160期 有価証券報告書 (2026年3月期) (2026-06-23)
  20. スズキ IR資料「スズキのインド事業」 (2026-03-17)
  21. スズキ IR資料 2026年9月 (2026-10-20)
  22. スズキ 2026年3月および2025年度 四輪車生産・販売・輸出実績 (2026-04-27)
  23. スズキ 2026年6月および1〜6月 四輪車生産・販売・輸出実績 (2026-07-30)
  24. スズキ 2025年12月および年間 四輪車生産・販売・輸出実績 (2026-01-29)
  25. 自販連 乗用車ブランド通称名別順位 (2026年1〜9月) (2026-10-05)
  26. 自販連 燃料別メーカー別登録台数 (2026年1〜9月) (2026-10-06)
  27. 日本経済新聞「スズキ初のEV『eビターラ』、電池はBYD製 駆動装置はアイシン・デンソー系」 (2025-09-14)
  28. 日経クロステック「スズキの電池特許5割増、トヨタ共同出願増加 LFPはBYDから調達」 (2025-11-18)
  29. 日経クロステック「スズキのインド産EV、BYD製LFP電池を中国調達 供給網道半ば」 (2025-07-10)
  30. 日経クロステック「eビターラ量産直前、BYD系むちゃぶり50の指摘」 (2026-05-28)
  31. 日経クロステック「スズキ初のEV『e VITARA』は専用プラットフォーム、OEM供給しトヨタでも販売」 (2024-11-05)
  32. 日本経済新聞「スズキが中国部品の採用拡大、電池や半導体 EVで揺らぐ日本の供給網」 (2026-10-07)
  33. カーウオッチ e ビターラ 試乗記事 (タイヤ銘柄・諸元) (2026-02-20)
  34. マルチ・スズキが8〜9月に e ビターラ 6,000台を輸出 (カーウェール) (2025-10-02)
  35. マルチ・スズキ・インディア、スズキ・モーター・グジャラートとの合併を完了 (ビジネス・スタンダードの報道) (2025-12-01)
  36. モーターファン「トヨタ新型『アーバンクルーザー』、年内日本発売か」(トヨタ欧州 2024年12月12日の発表を含む) (2025-06-18)
  37. トヨタ自動車 ニュースリリース「ブルーイーネクサスとトヨタ、電動化システム販売体制を強化」(トヨタの10%出資) (2020-07-31)

出所との照合日: 2026年10月20日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。

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