日立ヴァンタラのHitachi iQ(AI計算基盤とエージェント開発ソフト) Hitachi iQ
日立の子会社の日立ヴァンタラが売るAI計算基盤。エヌビディアの画像処理半導体 (GPU) を積むサーバーと日立の高速ストレージ、ネットワーク、ソフトを一式にする。2024年3月に第1弾を発表した。AIエージェントを作るソフト「Hitachi iQ Studio」も2026年6月30日に国内で売り出した。価格は公表されていない。
詳細解説
- 発表
- 2024年3月19日、エヌビディアとの協業の一環で、米国子会社の日立ヴァンタラが第1弾製品を発表した。エヌビディアの認証「DGX BasePOD」を取得した構成 hitachi.com
- 国内の発売
- 2024年7月31日に日本国内で販売を始めた。世界での販売開始は2024年7月25日 (米国時間) hitachi.com
- 中位・入門機種
- 日本向けのミッドレンジとエントリーのモデルは2024年10月から展開している hitachi.com
- M Series
- 2025年3月18日 (米国時間)、小規模から始めて段階的に広げられる構成の「Hitachi iQ M Series」の提供開始を発表した hitachi.com
- 品揃え (日本)
- AIインフラはエントリー・ミッドレンジ・エンタープライズの3種。エンタープライズはエヌビディアのHGXを積む hitachivantara.com
- Hitachi iQ Studio
- 2026年6月30日、日立ヴァンタラが日本国内で販売を始めた。国内の販売パートナーと直販で売る hitachi.com
- 2026年3月の拡充
- Hitachi iQ Studioに複数エージェントの連携機能を加え、GPUの選択肢をエヌビディアのBlackwell世代に広げた。日本ではBlackwell・Blackwell Ultra・RTX PRO 6000 Blackwell Server Editionの搭載機種を売っている (2026年3月18日時点) hitachi.com
- HMAXとの関係
- 日立のAIサービス群「HMAX」でも使われている hitachi.com
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 製造・組み立ての拠点 | 公表されていない | どの工場でHitachi iQの構成を組むかは公表されていない。サーバーは他社製を使う | hitachivantara.com | |
| 日立ヴァンタラの製造子会社 | 米国オクラホマ州 | 日立の議決権100%の子会社で、日立製作所からコンピューター周辺機器用の部品の供給を受ける。Hitachi iQとの関係は公表されていない | disclosure2dl.edinet-fsa.go… |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- GPUが直接読み出せるストレージ
- GPUが中央演算処理装置 (CPU) のメモリーを経ずに、高速ネットワーク越しにストレージから直接データを読む。CPUへの無駄な複写を省いて遅延を減らす hitachivantara.com
- 分散ファイルシステム
- データだけでなく管理情報 (メタデータ) も各ノードに分散させ、負荷の集中をなくす。台数を増やすと性能がほぼ比例して上がる hitachivantara.com
- 階層化
- 高速のフラッシュメモリーと、安価なハードディスクを使うオブジェクトストレージを1つの名前空間で扱い、データを移す手間なく使い分ける hitachivantara.com
- エージェントの開発 (iQ Studio)
- ファイル・オブジェクト・データベースを横断して検索して回答を作る検索拡張生成 (RAG) と、外部のデータにつなぐ標準規格MCP (モデル・コンテキスト・プロトコル) に対応する hitachivantara.com
- 複数エージェントの役割分担
- 作業役のエージェントが仕事をこなし、監督役のエージェントが結果を見て全体の流れを調整するひな形を加えた (2026年3月) hitachi.com
- 運用管理
- エヌビディアの運用管理ソフト「Base Command Manager」とAI開発ソフト群「NVIDIA AI Enterprise」を組み合わせられる hitachivantara.com
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 対応GPU (2026年3月) | エヌビディアのBlackwell (空冷)、Blackwell Ultra (空冷と液冷)、RTX PRO 6000 Blackwell Server Edition (4基を積む高さ2Uの機種)。RTX PRO 4500も対応を計画 | hitachi.com |
| M Seriesの計算ノード (2025年5月の資料) | GPUはH200 NVL・H100 NVL・L40Sから1種、CPUはインテルのXeon 6 (6900番台) を2基 | hitachivantara.com |
| HGX構成の計算ノード | スーパー・マイクロ・コンピューター製の計算ノード「GPU SuperServer SYS-821GE-TNHR」(1台にH100を8基、高さ8U) を参照構成では16台つなぎ、最大128台まで広げられる。計算用と保存用のネットワークはともに毎秒400ギガビットのインフィニバンド | hitachivantara.com |
| 認証 | エヌビディアの企業向けストレージ認証 (Enterprise Storage) と、GPU 約1,000〜4万基規模の大規模AIクラウド向けの認証 (NCP) の構成を用意する | hitachivantara.com |
| 導入例 | 自動車メーカー1社で深層学習の処理時間が80時間から4時間に縮まり、採用された (会社発表) | hitachivantara.com |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| GPU | Blackwell・Blackwell Ultra・RTX PRO 6000 Blackwell Server Edition・H200 NVL・H100 NVL・L40S 米ナスダック上場 |
エヌビディア | — | 米国 公表されていない |
日立の発表と製品資料が対応GPUとして型番を明記 A |
| GPUサーバー (M Series) | X14 AC520 (計算ノード) 米ナスダック上場 |
スーパー・マイクロ・コンピューター | — | 米国 公表されていない |
M Seriesの資料で、計算ノードをスーパー・マイクロ・コンピューター製と示している A |
| GPUサーバー (HGX構成) | GPU SuperServer SYS-821GE-TNHR (NVIDIA HGX H100を搭載) 米ナスダック上場 |
スーパー・マイクロ・コンピューター | — | 米国 公表されていない |
HGX構成のデータシートで、部品表にスーパー・マイクロ・コンピューター製と型番を示している A |
| GPUサーバー (第1弾のDGX BasePOD構成) | NVIDIA DGX | エヌビディア | — | 米国 公表されていない |
日立ヴァンタラの発表 (2024年7月) で、第1弾がDGX BasePODの認定を取得したと示している A |
| CPU (M Series) | Xeon 6900番台 | インテル | — | 米国 公表されていない |
M Seriesの資料が計算ノードのCPUとして明記 A |
| インフィニバンドのスイッチ | NVIDIA Quantum-2 (QM9700) | エヌビディア | — | 米国 公表されていない |
日本語の製品案内と構成図が型番を明記 A |
| イーサネットのスイッチ (HGX構成) | NVIDIA SN4600 (200ギガビット)・SN2201 (1ギガビット) | エヌビディア | — | 米国 公表されていない |
HGX構成のデータシートの部品表で、管理用と保存用の網のスイッチとして型番を示している A |
| イーサネットのスイッチ (M Series) | Nexus 93600 | シスコシステムズ | — | 米国 公表されていない |
M Seriesの構成図 (図1) に保存用ネットワークのスイッチとして型番を記載 A |
| 分散ファイルシステムのソフト | Hitachi Content Software for File powered by WEKA ウェカは未上場。証券コードは親会社の日立製作所 |
日立ヴァンタラ 中核技術はウェカ |
6501 | 米国 なし (ソフトウエア) |
日本語の製品案内で、「powered by WEKA」と示している A |
| データ管理の層 (M Series) | ハマースペースのデータ管理ソフトとサーバー (Anvil・DSX) 未上場 |
ハマースペース | — | 米国 公表されていない |
M Seriesの資料と2026年3月の発表が連携を明記 A |
| ブロックストレージ | VSP One Block 28 証券コードは親会社の日立製作所 |
日立ヴァンタラ | 6501 | 日本・米国 公表されていない |
M Seriesの資料が構成品として明記 A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1計算GPUとGPUサーバーはエヌビディアと米国のスーパー・マイクロ・コンピューターから調達し、エヌビディアが定めた構成に合わせる企業: エヌビディア・スーパー・マイクロ・コンピューター
- 2保存日立のストレージ「VSP One」を土台に、ウェカの技術を使う分散ファイルシステムとハマースペースのデータ管理を組み合わせる企業: 日立ヴァンタラ・ウェカ・ハマースペース
- 3ネットワークエヌビディアのインフィニバンドのスイッチ (Quantum-2) を計算と保存の網に、HGX構成ではエヌビディアのイーサネットのスイッチ (SN4600・SN2201) を管理用の網に使う。M Seriesの保存用の網はシスコシステムズのスイッチ (Nexus 93600)企業: エヌビディア・シスコシステムズ
- 4販売と導入日立ヴァンタラが一式を一括で売り、販売店などと組んで導入から保守・運用の支援までを受け持つ企業: 日立ヴァンタラ
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1構成の設計検証済みの参照構成をもとに、顧客の用途に合わせてGPUの数・ストレージ・ネットワークを決める設備・企業: 日立ヴァンタラ
- 2組み立て・据え付けサーバー・ストレージ・スイッチ・ソフト・導入支援をまとめて納める。工場での組み立ての工程は公表されていない設備・企業: 日立ヴァンタラ
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| AIインフラ (エントリー・ミッドレンジ・エンタープライズ) | 公表していない。見積もり | 2026-11-07 | hitachivantara.com |
| Hitachi iQ Studio | 公表していない | 2026-11-07 | hitachivantara.com |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 直販 | HGX構成は日立ヴァンタラが一括で販売する | hitachivantara.com |
| 国内の問い合わせ | 日立製作所のウェブサイトの問い合わせ窓口で受け付ける | hitachivantara.com |
| Hitachi iQ Studio (国内) | 国内の販売パートナーと日立ヴァンタラの直販で売る (2026年6月30日から) | hitachi.com |
| 利用形態 | 日立ヴァンタラは、使った分だけ払う形を含む複数の料金体系を用意すると2024年3月に発表した | hitachi.com |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 導入と保守 | 日立ヴァンタラが販売店などと組み、導入から保守・運用の支援までを受け持つ | hitachivantara.com |
| 活用の相談 | 顧客と共にAIの使い道を洗い出す「AI Discovery Service」を用意する | hitachivantara.com |
| 保証の年限 | 公表されていない | hitachivantara.com |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 米州・欧州・アジア太平洋・日本 | 日立ヴァンタラは米州・欧州・アジア太平洋の地域サイトを持ち、各地域で売る。日本では日立ヴァンタラ株式会社が売る | hitachivantara.com |
| 輸出管理 | エヌビディア製GPUを積む構成が、米国の輸出管理規則で規制の対象かどうかは公表されていない | hitachi.com |
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年7〜9月 | ITプロダクトの売上収益 | 1,590 | 億円 | 前年同期比36%増。Hitachi iQ単独の売上は公表されていない。日立は増収の理由にブロックストレージを中心とした販売増を挙げた | hitachi.com |
| 2027年3月期 (見通し) | ITプロダクトの売上収益 | 5,320 | 億円 | 次世代AIの処理を支えるブロックストレージの販売拡大を挙げた | hitachi.com |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| ファイルストレージ事業の減損 | 2026年3月期にデジタルシステム&サービスでファイルストレージ事業ののれんを減損した (減損損失は全社で1,515億円)。Hitachi iQとの関係は公表されていない | disclosure2dl.edinet-fsa.go… |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
Hitachi iQの国内販売は2024年7月31日に始まった。2026年6月30日には、AIエージェントを作るソフトのHitachi iQ Studioを国内でも売り出した。GPUとGPUサーバーは、エヌビディアと米国のスーパー・マイクロ・コンピューターから調達する。日立の付加価値は、GPUへ速くデータを送るストレージの仕組みと、構成を一式で納める点にある。2026年3月にはBlackwell世代のGPUに対応し、日本でもその搭載機種を売っている。ITプロダクトの売上収益は2026年7〜9月に36%増え、日立はブロックストレージを中心とした販売増を理由に挙げた。通期では、次世代AIの処理を支えるブロックストレージの販売を見込む。Hitachi iQ単独の売上や出荷台数は公表されていない。国内で売り出したHitachi iQ Studioの導入例が、次に確かめる点になる。
公表されていないこと
- Hitachi iQの売上高、出荷台数、主要顧客は公表されていない
- Hitachi iQの構成を組み立てる工場は公表されていない
- Hitachi iQ Studioの国内の導入例と価格は公表されていない
- 減損したファイルストレージ事業とHitachi iQの分散ファイルシステムの関係は公表されていない
出所
- 日立とNVIDIAが協業し、生成AIによるDXを加速 (2024-03-19)
- 日立ヴァンタラが、企業のAI対応を支援する「Hitachi iQ」を販売開始 (2024-07-29)
- 日立、フィジカルおよびインダストリアル分野のAIトランスフォーメーションを加速 (Hitachi iQ M Series) (2025-03-19)
- 日立ヴァンタラ、Hitachi iQポートフォリオを拡充 (2026-03-18)
- 日立ヴァンタラ、「Hitachi iQ Studio」を国内販売開始 (2026-06-30)
- Hitachi iQ 製品ページ (日本語) (2026-11-07)
- Hitachi iQ リーフレット (日本語) (2026-11-07)
- Hitachi iQ M Series データシート (2025-05-07)
- Hitachi iQ with NVIDIA HGX データシート (2026-11-07)
- Hitachi iQ Studio ソリューションプロファイル (2026-09-08)
- 2027年3月期 第2四半期 決算説明資料 (2026-10-28)
- 日立製作所 有価証券報告書 (2026年3月期) (2026-06-22)
出所との照合日: 2026年11月7日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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