日本ルメンタムCWレーザー(シリコンフォトニクス用光源) Lumentum CW Laser (A6 / A8 Series)
変調器を持たず、一定の強さの光を出し続けるインジウムリン (InP) の半導体レーザー。シリコンフォトニクスの光トランシーバーで外部光源になる。日本ルメンタムは採用サイトで、EML (電界吸収型変調器集積レーザー) と並ぶ主力製品に CW (連続発振) レーザーを挙げる。親会社の米ルメンタムは、2025年7〜9月期の決算資料で出荷の開始を挙げた。2026年4〜6月期には、自社の毎秒1.6テラビットの光トランシーバーの一部にも使い始めた。光電融合 (CPO) 用の UHP (超高出力) レーザーは親会社がサンノゼの工場で作り、日本で作るとは公表していない。価格は公表していない。
詳細解説
- 製品の区分
- CW (連続発振) レーザー。シリコンの光回路にある変調器に光を送り込む外部光源。親会社は製品ページで、シリコンフォトニクスの着脱式光トランシーバーに要る、安定した雑音の少ない光源だと説明している lumentum.com
- 日本ルメンタムの説明
- 日本ルメンタムは採用サイトで、EML と並ぶ主力製品に CW レーザーを挙げ、「『超高出力』と『極限の安定性』を両立した、次世代光コンピューティングの基幹光源」と説明する hrmos.co
- 現行の品種
- A6 シリーズ (1311nm、型番 HL13A6CPxx-L2) と A8 シリーズ (粗い波長多重〈CWDM〉の4波長、HL13A8CPxx-Ln) lumentum.com
- 出荷の開始と広がり
- 親会社は2025年7〜9月期の決算資料で、CW レーザーの出荷開始を挙げた。2026年1〜3月期の決算資料で、1.6T の光トランシーバーに自社製の CW レーザーを搭載し始めると説明した。4〜6月期には、1レーンあたり毎秒200ギガビット用の販売先を複数の光トランシーバーメーカーに広げた。1.6T の初出荷の一部にも自社製を使った s21.q4cdn.com · s21.q4cdn.com · s21.q4cdn.com
- CPO 用の UHP レーザーとの違い
- 親会社は2025年8月、光電融合 (CPO) 用の UHP レーザーを米カリフォルニア州サンノゼの自社の半導体工場で設計・製造していると発表した。日本で作るとは公表していない。UHP レーザーを収める外部光源モジュール (ELSFP) を含め、詳しくは親会社の「CPO用超高出力レーザーと外部光源 ELSFP」のページにある investor.lumentum.com
- 米国の新工場
- 親会社は2026年3月、ノースカロライナ州グリーンズボロの工場で6インチの InP ウエハーを使い、CW と UHP のレーザーを作ると発表した。量産開始は2028年半ばの見込みで、エヌビディアがこの工場の顧客になると発表した investor.lumentum.com
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 相模原 (本社とウエハー工場) | 神奈川県相模原市中央区小山 | 求人票によると、国内の製造拠点に EML と CW レーザーの検査技術を担う部署がある。A6・A8 のチップを相模原で作るかどうかは公表されていない | CW レーザーは日本ルメンタムの採用サイトが主力製品に挙げる | hrmos.co |
| 高尾工場 (第二工場) | 東京都八王子市東浅川町 | InP のウエハー工場。当時の所有者の米ネオフォトニクスは2021年の年次報告書で、短距離のシリコンフォトニクス用の高出力レーザーダイオードのアレイを製品に挙げ、InP の生産を日本の工場に集約したと開示した。現在の CW レーザーとの関係は公表されていない | sec.gov | |
| 親会社のサンノゼ工場 (参考) | 米カリフォルニア州サンノゼ | CPO 用の UHP レーザーの設計・製造 | 日本ルメンタムの工場ではない | investor.lumentum.com |
| 親会社のグリーンズボロ工場 (参考・2028年半ば量産の見込み) | 米ノースカロライナ州グリーンズボロ | CW と UHP のレーザーを作る予定 | 日本ルメンタムの工場ではない | investor.lumentum.com |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- EML と共通の土台
- A6 の製品ページは「EML と同じ DFB コアと埋め込みヘテロ (BH) 構造の土台の上に作った」と書き、A8 の製品ページは「EML と A6 と同じ BH 構造の DFB プラットフォーム」と書く。製品一覧のページは、400G・800G・1.6T で EML 並みの信頼性を持ち、通信機器の信頼性規格 Telcordia GR-468 に適合する耐久性を持つと説明する lumentum.com · lumentum.com
- 外部光源の役割
- シリコンは自ら光を出しにくい。そこで InP のレーザーが一定の光を出し、シリコンの光回路の変調器が電気信号を載せる。親会社は製品ページで、変調器の性能と信号の品質を保つための光源だと説明する。変調器の方式は製品ページに書かれていない lumentum.com
- 半導体光増幅器 (SOA) の集積
- A6・A8 は光を増幅する SOA を集積した品種を選べる。日本ルメンタムの技術者は2022年の光ファイバー通信会議 (OFC) で、SOA を集積した1.3µm 帯の CW-DFB レーザーが80度まで単一モードで100mW 超を出すと発表した。80度で700時間を超えて動かす試験の結果も示した opg.optica.org
- 円形に近いビーム (研究)
- 日本ルメンタムの技術者は2022年の欧州光通信会議 (ECOC) で、出射光の広がり角を縦横とも18度にそろえた高出力の CW-DFB レーザーを発表した。光ファイバーとの結合効率が3dB 上がる設計は、シミュレーションで求めた opg.optica.org
- 8波長のレーザーアレイ (研究)
- 日本ルメンタムの技術者は2024年の OFC で、業界団体の共通仕様 CW-WDM MSA に合う400GHz 間隔の8チャンネルの CW-DFB アレイを発表した。50度まで100mW を出し、20〜75度で波長の間隔のずれを±100GHz 以内に収めた。チャンネルごとの出力の差は0.56dB で、80度で2,000時間を超えて動かす試験も示した opg.optica.org
- 2021年時点の位置づけ
- 親会社の2021年の技術資料は、シリコンフォトニクス用の CW レーザーを「EML チップで培った強み」を生かした製品とし、CPO 用には20mW から400mW 超までの品ぞろえがあると説明していた ethernetalliance.org
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| A6 シリーズの波長・出力 | 1311nm、光出力 70mW 超 | lumentum.com |
| A6 シリーズの温度・信頼性 | 非冷却 5〜75°C、GR-468 に適合 (湿熱試験に対応した設計)、SOA 集積の選択肢 | lumentum.com |
| A6 シリーズの用途 | 400G DR4、800G DR8・DR4 | lumentum.com |
| A8 シリーズの波長・出力 | CWDM4 の 1271・1291・1311・1331nm、1311nm で 100mW 超・全波長で 70mW 超 | lumentum.com |
| A8 シリーズの温度 | 非冷却 5〜75°C、SOA 集積の選択肢 | lumentum.com |
| A8 シリーズの用途 | 400G DR4・FR4、800G DR8・DR4・2xFR4、1レーン200G の 1.6T DR8・2xFR4、CPO | lumentum.com |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| InP 基板 | インジウムリンのウエハー | 公表されていない | — | 親会社の年次報告書は、中国が日本向けに課した輸出規制が基板の調達に影響したとしているが、供給元の社名は記していない A | |
| DFB レーザーの発光部 | BH 構造の分布帰還型 (DFB) レーザー | ルメンタムのグループ EML と共通の土台 |
— | 公表されていない |
A6・A8 の製品ページに、EML と同じ DFB コアと BH 構造の土台とある A |
| 半導体光増幅器 (SOA) | 集積型の SOA (選択肢) | ルメンタムのグループ チップに集積 |
— | 公表されていない |
A6・A8 の製品ページに、SOA を集積した品種を選べるとある A |
| エピタキシャル層 | InP 系の結晶層 CW レーザーとの対応は日本ルメンタムの資料から推定した |
日本ルメンタム 推定 |
— | 日本 相模原 (推定) |
求人票は相模原の業務に有機金属気相成長 (MOCVD) によるエピタキシャル層の成膜を挙げる。CW レーザーのエピタキシャル層を相模原で作るとは明記していない B |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1材料InP の基板を外部から買う。供給元は公表されていない企業: 公表されていない
- 2チップ日本ルメンタムは主力製品に挙げ、国内の製造拠点に検査技術の担当を置く。チップをどこで作るかは公表されていない企業: 日本ルメンタム
- 3光トランシーバーCW レーザーをシリコンフォトニクスのチップと組み合わせ、800G・1.6T の光トランシーバーにする。親会社の 1.6T 2×DR4 OSFP は、1311nm の CW-DFB レーザーとシリコンフォトニクスと DSP を使う企業: 複数の光トランシーバーメーカー (社名は公表されていない)、ルメンタム
- 4最終の用途AI データセンターの GPU 間とスイッチ間の光接続
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1結晶成長とウエハー工程
- 2検査求人票によると、国内の製造拠点に EML と CW レーザーの検査技術を担う部署がある
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| CW レーザー A6・A8 | 公表されていない (顧客ごとの見積もり) | 2026年10月31日に製品ページと問い合わせページで確認 | lumentum.com |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 親会社の顧客窓口 | 見積もり・注文・注文状況の問い合わせを受け付ける | lumentum.com |
| 日本の販売代理店 | 親会社の販売代理店の一覧は、日本の代理店として伯東と緑屋電気を挙げている。扱う製品の範囲は示していない | lumentum.com |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 信頼性 | A6・A8 とも GR-468 に適合する (A6 は湿熱試験に対応した設計) | lumentum.com |
| 保証の期間 | 公表されていない | lumentum.com |
🌏 海外輸出
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年7〜9月期 | CW レーザーの出荷 | 開始 | 親会社の決算資料 | s21.q4cdn.com | |
| 2026年4〜6月期 | 1レーンあたり毎秒200ギガビット用 CW レーザーの販売先 | 複数の光トランシーバーメーカーに拡大 | 売上高の数字は公表されていない | s21.q4cdn.com |
💰 金額
解析 — 部品・製造・販売の特徴
CW レーザーは、AI データセンターでシリコンフォトニクスの光トランシーバーが増えるほど需要が伸びる部品だ。シリコンは自ら光を出しにくいので、InP のレーザーを外部光源にする。日本ルメンタムは採用サイトで EML と並ぶ主力製品に挙げ、親会社は2025年7〜9月期の決算資料で出荷の開始を挙げた。
強みは、EML と同じ BH 構造の DFB レーザーを土台にしている点で、親会社は EML 並みの信頼性を掲げる。2026年4〜6月期には、自社の 1.6T 光トランシーバーの一部に自社製の CW レーザーを使い始めた。1レーンあたり毎秒200ギガビット用の CW レーザーは、複数の光トランシーバーメーカーにも販売先を広げた。
一方で、どの品種をどこで作るかは公表資料からは分からない。CPO 用の UHP レーザーは米国のサンノゼで作り、2028年半ばにはグリーンズボロの新工場も量産を始める見込みだ。エヌビディアは20億ドルを出資し、数十億ドル規模の購入も約束した。両社は、出資金を研究開発・生産能力・事業運営に充て、米国の新工場の立ち上げを支えると発表しており、日米の工場の役割分担がどうなるかは今後の開示を待つ必要がある。
公表されていないこと
- A6・A8 のチップを相模原と高尾のどちらで作るか (または日本以外か)
- CW レーザーだけの売上高と出荷数量
- 顧客の社名
- エヌビディアの購入契約の対象となる品種
出所
- 日本ルメンタム 採用サイト (2026-10-31)
- 日本ルメンタム 求人票 (テスト R&D リーダー) (2026-10-31)
- ルメンタム シリコンフォトニクス用 CW レーザーのページ (2026-10-31)
- ルメンタム 製品ページ (1311nm CW レーザー A6 シリーズ) (2026-10-31)
- ルメンタム 製品ページ (CWDM CW レーザー A8 シリーズ) (2026-10-31)
- ルメンタム CW レーザーの製品一覧 (2026-10-31)
- ルメンタム 2026年6月期 第1四半期 決算資料 (2025-11-04)
- ルメンタム 2026年6月期 第3四半期 決算資料 (2026-05-05)
- ルメンタム 2026年6月期 第4四半期 決算資料 (2026-08-11)
- ルメンタム 米国の CPO 用レーザーの生産拡大の発表 (2025-08-07)
- ルメンタム グリーンズボロの新工場の発表 (2026-03-26)
- エヌビディアとルメンタムの共同発表 (8-K の別紙99.1) (2026-03-02)
- ネオフォトニクス 2021年12月期 年次報告書 (10-K) (2022-02-25)
- ルメンタム 2026年6月期 年次報告書 (10-K) (2026-08-17)
出所との照合日: 2026年10月31日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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