ホンダ N-ONE e: Honda N-ONE e:
本田技研工業が2025年9月12日に発売した軽乗用EV。グレードはe: G (269万9,400円) とe: L (319万8,800円) の2つ。29.6kWhの電池と47kWのモーターを積み、WLTCモードの一充電走行距離は295km。駆動系は2024年10月発売の軽商用EV「N-VAN e:」と基本的に共通で、三重県鈴鹿市の鈴鹿製作所で生産するとMONOistが報じた。
概要
- 発表日
- 2025年9月11日 (ニュースリリース) global.honda
- 発売日
- 2025年9月12日 global.honda
- 先行予約の開始
- 2025年8月1日 (公式サイトで先行公開は2025年7月28日) global.honda
- 車両区分
- 軽乗用車 (車名・型式 ホンダ・ZAA-JG5、乗車定員4名、FF) honda.co.jp
- グレード
- e: G / e: L。e: Lは急速充電・9インチHonda CONNECTディスプレー・14インチアルミホイールが標準。e: Gの急速充電はメーカーオプション global.honda
- 生産工場
- 鈴鹿製作所 (三重県鈴鹿市平田町1907) で生産するとMONOistが報じた。ホンダの鈴鹿製作所の紹介ページは主な製品としてN-ONEを挙げるが、N-ONE e: の名は書いていない monoist.itmedia.co.jp
- プラットフォーム・駆動系
- ガソリン車N-ONEを基にし、パワートレーンは軽商用EV「N-VAN e:」と基本的に共通 (29.6kWh・47kW・162N・m)。前面投影面積の縮小・軽量化・タイヤの変更で航続距離をN-VAN e: より約50km伸ばしたと日経クロステックが報じた xtech.nikkei.com
- 開発の経緯 (計画の公表)
- 2023年4月26日の事業説明で「2025年にN-ONEベースのEVを発売」と公表 global.honda
- 開発の経緯 (コンセプト)
- グランドコンセプトは「e:Daily Partner」。N360から続くM・M思想 (マン・マキシマム/メカ・ミニマム) を継承 global.honda
- 開発の経緯 (開発責任者)
- 開発責任者は堀田英智氏 (四輪開発本部 完成車開発統括部 LPL室) global.honda
- 開発の狙い
- 航続距離に不安を持つ顧客が多いとして航続距離を重視して開発 (開発責任者の説明、日経クロステック) xtech.nikkei.com
- 想定顧客
- 従来のN-ONEは特に女性に好評で、買い物や通勤など20〜30km程度の短距離移動が中心の、時間と費用の効率を重視する利用者を想定 (会社の説明) global.honda
- 派生車
- N-ONE e: を基にした小型EV「Super-ONE」(登録車、2026年5月22日発売)。2028年中にはN-BOXのEV版を投入予定と会社は公表 global.honda
価格と補助金
| グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| e: G | 2,699,400 | 2025-09 | global.honda |
| e: L | 3,198,800 | 2025-09 | global.honda |
| 有料色 (3万3,000円高の色) | 33,000 | 2025-09 | global.honda |
| e: G (CEV補助金一覧の税抜本体価格) | 2,699,400 | 2026-04 | cev-pc.or.jp |
| e: L (CEV補助金一覧の税抜本体価格) | 3,198,800 | 2026-04 | cev-pc.or.jp |
| 項目 | 額 (円) | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| CEV補助金 (令和7年度補正、車両届出日2026年4月1日〜2026年12月31日) | 580,000 | 別表1の見出し行は「登録日:R8.4.1〜R8.12.31」「登録日:R9.1.1以降」「自家用車両」「貸自動車業用車両」の順。N-ONE e: e:G (車両コード1020)・e:L (同1019) はいずれも580千円・458千円 (2026年10月21日現在)、保有義務4年・3年 | cev-pc.or.jp |
| CEV補助金 (令和7年度補正、車両届出日2027年1月1日以降) | 458,000 | 経済産業省が2026年10月21日に補助額の見直しを発表し、別表1の2027年1月1日以降の列が58万円から45万8,000円に変わった。e:G・e:L とも同額 | cev-pc.or.jp |
| CEV補助金 (車両届出日2025年4月1日〜2026年3月31日) | 574,000 | 次世代自動車振興センターの令和7年度補正別表1 (届出日R7.12.16〜R8.3.31、第1版・第2版) でもe:G・e:Lとも574千円。第3版 (R8.4.1〜) には無い | honda.co.jp |
| 東京都ZEV補助金 (令和8年度、2026年7月1日以降届出) | 900,000 | 通常分80万円+給電機能付車両10万円。V2H等の充放電設備で最大10万円、再エネ100%電力契約15万円、太陽光発電設置30万円を加算できる。届出日2026年4月1日〜6月30日は60万円〜 | honda.co.jp |
| LEVO補助金 (事業用のみ、CEV・ZEVと併用不可) | 644,000 | honda.co.jp |
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 電池 | リチウムイオン電池、容量82.7Ah、総電圧358V (総電力量29.6kWh) | honda.co.jp |
| 一充電走行距離 (WLTCモード、国土交通省審査値) | 295km | honda.co.jp |
| 交流電力量消費率 (WLTCモード、国土交通省審査値) | 105Wh/km (市街地76・郊外96・高速道路124Wh/km) | honda.co.jp |
| モーター | 型式MCF7、交流同期電動機、定格出力39kW、最高出力47kW (64PS)、最大トルク162N・m (16.5kgf・m) | honda.co.jp |
| 急速充電 | CHAdeMO 50kW対応 (webcatalog)。出力50kW以上の急速充電器で、充電残量警告灯の点灯時から80%まで約30分 (リリース) | global.honda |
| 普通充電 | 6kW、満充電まで約4.5時間 | honda.co.jp |
| 外部給電 | AC100V 最大1,500W (ディーラーオプションのHonda Power Supply Connectorが必要)。V2H機器による家への給電に対応 | global.honda |
| 寸法 | 全長3.395m×全幅1.475m×全高1.545m、ホイールベース2.520m、トレッド前後1.305m、最低地上高0.140m、最小回転半径4.5m | honda.co.jp |
| 車両重量 | 1,030kg (e: G・e: Lとも) | honda.co.jp |
| タイヤ | 155/65R14 75S (前後) | honda.co.jp |
| ブレーキ・サスペンション | 前 油圧式ディスク/後 油圧式リーディング・トレーリング。前マクファーソン式/後車軸式。最終減速比11.001 | honda.co.jp |
| 電池の温度管理 | 低温時はヒーターの熱で温め、高温時はラジエーターで冷却 | honda.co.jp |
| 運転支援 | Honda SENSINGを全タイプ標準。ホンダの軽自動車として初のトラフィックジャムアシスト (渋滞運転支援機能)、ホンダの軽乗用車として初のシングルペダルコントロール | global.honda |
🏭 部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは自動車メーカーか部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| 駆動用電池セル・モジュール | 三元系リチウムイオン電池 (パウチ型)、総電圧358V・82.7Ah ホンダは2022年4月12日の事業説明で「日本:軽EV向けにエンビジョンAESCから調達」と公表した。2023年4月26日には「軽商用EV向けにエンビジョンAESCから調達」と公表した。N-ONE e: 単体を名指しした採用発表は無い。N-VAN e: の電池は三元系NCM・エンビジョンAESC製・パウチ型とモーターファン (2024年6月15日) が報じた。三元系は日経クロステック (2024年8月9日) も報じた。N-ONE e: については日経クロステック (2025年10月1日) がLFPを選ばず容量もN-VAN e: と同じ29.6kWhと報じた |
AESCグループ 旧エンビジョンAESC、AESCジャパン |
— | 日本 (本社は横浜市、座間工場は神奈川県座間市) 公表されていない (座間工場がN-VAN e: 向けを製造と工場見学記。同記事は茨城工場もホンダ向けの生産を始めたとする) |
自動車メーカー発表 (軽EV向けの調達先) + 報道 B |
| 駆動用モーター | MCF7型 交流同期電動機、定格39kW・最高47kW・162N・m 型式と出力は会社の諸元表。N-VAN e: と同じモーターとモーターファンが報じた。製造者は公表されていない |
公表されていない | — | 自動車メーカー発表 (諸元表) A | |
| タイヤ (新車装着) | BluEarth AE-01 155/65R14 75S 2025年9月11日発表。横浜ゴムは「新車装着 (OE) 用として納入を開始した」としている |
横浜ゴム | 5101 | 日本 公表されていない |
部品メーカーの「新車装着」発表 A |
| 車載充電器 (普通充電6kW) | 6kW普通充電器 (標準装備) 6kWでの普通充電を標準搭載。供給元は公表されていない |
公表されていない | — | 自動車メーカー発表 A | |
| 急速充電ポート | CHAdeMO 50kW対応 e: Lは標準、e: Gはメーカーオプション |
公表されていない | — | 自動車メーカー発表 A | |
| 電動パワーステアリング | ラック・ピニオン式 (電動パワーステアリング仕様) 供給元は公表されていない |
公表されていない | — | 自動車メーカー発表 (諸元表) A | |
| ブレーキ (回生協調) | 電動サーボブレーキシステム、前 油圧式ディスク/後 油圧式リーディング・トレーリング、EBD付ABS 会社は「ブレーキ時に起きる減速エネルギーの多くを回生」としている。供給元は公表されていない |
公表されていない | — | 自動車メーカー発表 (装備表) A | |
| 電池の熱管理 | ヒーター加温・ラジエーター冷却 N-VAN e: では電池パック内に水冷の配管があり、モーターインバーターに冷却用ラジエーターが付くとモーターファンが写真で解説した。N-ONE e: での同じ構成は確かめられていない。ヒートポンプ空調の有無は公表されていない。供給元は公表されていない |
公表されていない | — | 自動車メーカー発表 (webcatalog) A | |
| 内装の植物由来樹脂 | DURABIO (インストルメントパネルの水平のアクセント部の加飾) 諸元表に「DURABIOは三菱ケミカル株式会社の商標」と記載。2025年7月28日のリリースは「植物由来のバイオ樹脂をインストルメントパネルの水平のアクセントに採用」としている。部位の対応はこの2つの資料からの読み取り |
三菱ケミカル 三菱ケミカルグループ |
4188 | 日本 公表されていない |
自動車メーカー発表 (諸元表の商標表記 + 先行公開リリース) A |
| フロントグリル材料 | バンパーリサイクル材 (廃棄バンパーを再利用) 再生材の加工元は公表されていない。フロアカーペットとインシュレーターには再生PETボトルと従業員の作業服の再生材を使う |
公表されていない ホンダ車の廃棄バンパーを再利用した材料 |
— | 自動車メーカー発表 A | |
| 12V補機バッテリー | 44B19L (32Ah(5)、40Ah(20)) 供給元は公表されていない |
公表されていない | — | 自動車メーカー発表 (FAQ) A | |
| AC外部給電器 (ディーラーオプション) | Honda Power Supply Connector (AC100V 最大1,500W)、税込29,700円 普通充電器Honda EV Chargerは税込222,200円 |
ホンダアクセス 本田技研工業の子会社 |
— | 日本 公表されていない |
自動車メーカー系の発表 A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から車両の組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
-
1
正極材・負極材・電解液・セパレーター
公表されていない企業: 公表されていない
-
2
電極 (正極・負極ロール)
AESCジャパンの相模原工場でロール状の正極・負極を製造し、座間工場へ送る (工場見学記の説明)企業: AESCジャパン
-
3
電池セル・モジュール
ホンダは軽EV向けの電池をエンビジョンAESCから調達すると2022年・2023年に公表。工場は公表されていない。工場見学記は座間工場 (生産能力2.6GWh) がN-VAN e: 向け電池を造っているとし、茨城工場もホンダ向けの生産を始めたとする企業: AESCグループ (旧エンビジョンAESC)
-
4
電池パック (IPU) の組み立て
公表されていない企業: 公表されていない
-
5
モーター・インバーター
モーター型式MCF7 (交流同期電動機)。製造者は公表されていない企業: 公表されていない
-
6
タイヤ
BluEarth AE-01 155/65R14 75Sを新車装着用に納入企業: 横浜ゴム (5101)
-
7
車両組み立て
鈴鹿製作所 (三重県鈴鹿市) で生産とMONOistが報じた。鈴鹿製作所は市場に連動したフレキシブルな生産ができると会社は説明企業: 本田技研工業 鈴鹿製作所
-
8
販売
全国のHonda Cars (店舗数は公表されていない)。純正アクセサリーはホンダアクセスが2025年9月12日発売企業: Honda Cars各社・ホンダアクセス
-
9
海外展開
N-ONE e: 自体の輸出は公表されていない。派生のSuper-ONEは英国 (Super-N)・アジア・オセアニアに投入予定企業: 本田技研工業
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年9月 | 新車販売台数 (N-ONE e: 単体) | 2,508 | 台 | 自販連・全軽自協が2025年10月6日に発表した車名別新車販売台数を基に日本経済新聞が報じた。国内メーカーのEVで首位、同月の日産サクラは1,432台 | nikkei.com |
| 2025年9〜11月 | 月平均販売台数 (N-ONE e: 単体) | 1,568 | 台/月 | モーターファンの車種別解説。2025年10月1,141台・11月1,058台とマイナビニュース (2025年12月18日) が全軽自協の電動車内訳台数を基に報じた数字と平均が合う | motor-fan.jp |
| 2026年1月 | 新車販売台数 (N-ONE e: 単体) | 328 | 台 | 日刊自動車新聞 (2026年2月17日) の記事を日本自動車会議所が転載。発売月の2,508台から勢いが落ちたとしている | aba-j.or.jp |
| 2025年1〜12月 | N-ONEシリーズ販売台数 (ガソリン車を含む、全軽自協調べ) | 19,744 | 台 | ホンダの「N」シリーズ累計450万台の発表に付いた表。N-ONE e: 単体の内訳は公表されていない | global.honda |
| 2026年1〜9月 | N-ONEシリーズ販売台数 (ガソリン車を含む、全軽自協調べ) | 14,652 | 台 | シリーズ累計は363,330台 | global.honda |
| 2026年9月 | N-ONEシリーズ新車販売台数 (軽乗用車15位、ガソリン車を含む) | 2,018 | 台 | 全軽自協の通称名別データを基にした集計。前年同月比46.5%。前年同月はN-ONE e: の発売月 | car-repo.jp |
| 2025年4〜9月 | 国内EV新車販売台数 (軽を含む、市場全体) | 28,501 | 台 | 前年同期比3%増、新車に占める比率1.5%。N-ONE e: がけん引したと日本経済新聞が報じた | nikkei.com |
| 2026年4〜9月 | 国内乗用EV新車販売台数 (軽を含む、市場全体) | 70,273 | 台 | 前年同期比2.5倍で過去最高、比率3.7%。国のEV補助金の増額が主因と日本経済新聞が報じた | nikkei.com |
| 2026年3月期 (2025年4月〜2026年3月) | ホンダのEV小売台数 (世界、速報値) | 73 | 千台 | 前期77千台。中国を除くと57千台 (前期67千台)。車種別は公表されていない | global.honda |
💴 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 車両本体価格 (税込) | 269万9,400〜319万8,800円 (有料色は+3万3,000円) | global.honda | |
| CEV補助金 (令和7年度補正) | 2026年4月1日〜12月31日の届出は58万円、2027年1月1日以降は45万8,000円 (2026年10月21日の見直し後の別表1) | cev-pc.or.jp | |
| CEV補助金 (2025年4月1日〜2026年3月31日の届出) | 57万4,000円 | 次世代自動車振興センターの令和7年度補正別表1 (第1版・第2版、届出日R7.12.16〜R8.3.31) にも574千円の記載。第3版 (R8.4.1〜) には無い | honda.co.jp |
| 補助金後の参考価格 (東京都在住、2026年7月1日以降届出の会社試算) | e: G 121万9,400円、e: L 171万8,800円 (国58万円+東京都90万円=148万円) | 国の58万円は2026年12月31日までの届出の額。2027年1月1日以降は国が45万8,000円のため、国のみの実質価格は e: G 224万1,400円、e: L 274万800円 (編集部の計算) | honda.co.jp |
| 駆動用電池の保証 | 新車登録日から8年間または16万kmまで、電池容量 (蓄電能力) の70%を保証 | honda.co.jp | |
| 充電・給電機器の価格 (税込) | Honda EV Charger 22万2,200円 (設置工事費は別途)、Honda Power Supply Connector 2万9,700円 | honda.co.jp | |
| 電動化投資 (会社全体) | 2031年3月期までの投入資源10兆円を2025年5月20日に3兆円減の7兆円へ見直し。2026年3月12日の資料では現時点までの投資額を約3.5兆円と示し、追加投資を見直す | global.honda | |
| EV関連損失 (2026年3月期) | 1兆5,778億円 (営業損益への影響1兆4,536億円と持分法投資損失1,241億円の合計)。営業損益は4,143億円の赤字。米国で生産予定だったEV3車種の開発・発売中止など | 損失の内訳は2026年3月12日の会社発表 (四輪電動化戦略の見直しに伴う損失) と2026年3月期決算説明会のスクリプトによる | global.honda |
| EV戦略見直しの損失上限 | 最大2.5兆円 (2026年3月期と2027年3月期で大部分を織り込む。現金支出は約1.7兆円の想定) | global.honda | |
| 設備投資 (会社全体) | 2026年3月期実績7,513億円、2027年3月期見通し1兆2,500億円 (電池生産合弁会社の工場建屋の取得などで増加) | global.honda | |
| 2026年5月14日の投資方針 (報道) | 今後3年で4.4兆円をHEVとエンジン車の開発に投じると日本経済新聞が報じた (2029年度までの投資全体の6割強)。EVへの投資は8,000億円に縮小し、2040年の新車全EV・FCV化の目標を撤回する。WEB CARTOPが報じた6.2兆円は3年間の投入資源の総額で、4.4兆円はその内数 | nikkei.com |
解析 — 部品と供給網の特徴
N-ONE e: の部品で供給元が一次資料まで辿れるのは2つしかない。横浜ゴムのタイヤ (BluEarth AE-01、2025年9月11日の横浜ゴム発表) が1つ。もう1つは三菱ケミカルの植物由来樹脂DURABIO (ホンダ諸元表の商標表記) である。部品の中で最も重要な駆動用電池は、ホンダが2022年4月12日と2023年4月26日に「軽EV向けにエンビジョンAESCから調達」と公表した。これに、N-VAN e: とパワートレーンを共通にしたという日経クロステックの報道をつなげて、AESCグループ製と読むのが現時点の限界である。工場は公表されておらず、工場見学記は座間工場がN-VAN e: 向けを造り、茨城工場もホンダ向けを始めたとする。N-ONE e: を名指しした採用発表は無く、モーター (MCF7型) とインバーターの製造者も公表されていない。
名前の分かる段階 (電池セル・電極・タイヤ・車両組み立て) はいずれも国内にあるが、分かる段階は少なく、正極材などの上流は公表されていない。AESCグループは中国のエンビジョングループの傘下にあり、会社概要は本社を横浜市とし、株主にエンビジョンエナジー・日産などを挙げる。ホンダは2022年の計画で中国向けEVをCATL、北米向けをGMとLGエナジーソリューションとの合弁に振り分けた。2026年3月の見直しで合弁工場はESS・HEV向けへの転用を検討している (質疑応答議事録)。
価格の構成を補助金込みで見る。国の補助58万円 (2026年4月〜12月の届出) に東京都の90万円を足すと、e: Gの参考価格は121万9,400円まで下がる (会社試算)。2026年10月21日の見直しで2027年1月1日以降の届出は国の補助が45万8,000円に減る。ガソリン車のN-ONEを基にし、鈴鹿製作所で生産するとMONOistが報じた。日経クロステックによれば、電池容量はN-VAN e: と同じ29.6kWhのままで、航続距離を245kmから295kmへ伸ばした。伸ばしたのは前面投影面積・重量・タイヤの改善で、電池容量を増やさずに航続距離を伸ばした (日経クロステック)。原価や利益率は公表されていない。
販売の実測は、発売月の2025年9月に2,508台 (自販連・全軽自協の車名別、日本経済新聞) で、日産サクラの1,432台を上回った。しかし2026年1月は328台 (日刊自動車新聞) に落ちた。ホンダはN-ONE e: 単体の台数を公表していない。公式の数字はガソリン車を含むN-ONEシリーズ (2025年19,744台、2026年1〜9月14,652台) だけである。2026年5月には、登録車として国の補助130万円を受けられる派生車Super-ONEが339万200円で出た。東京都の会社試算ではSuper-ONEが119万200円、N-ONE e: のe: Gが121万9,400円である。登録車の方が約3万円安い逆転が起きている (差は編集部の計算)。2026年の軽EV側の数字を読むときはこの影響を切り分ける必要がある。
会社全体では、2026年3月期にEV関連損失1兆5,778億円を計上し、電動化投資を10兆円から7兆円へ縮小した (2025年5月)。2026年3月12日の資料は現時点までの投資額を約3.5兆円とし、以後は追加投資を見直す。一方で同じ資料は日本について「登録車を中心にラインアップ底上げ」と書く。2026年5月21日のSuper-ONE発売リリースでは2028年中にN-BOXのEV版を投入予定と公表した。北米の大型EVを止めても、鈴鹿のガソリン車ラインと既存の軽EV用部品を共用する日本の軽EVは投資負担が小さい。戦略見直しの対象にはなりにくいと読める。
公表されていないこと
- N-ONE e: を名指しした駆動用電池の採用発表と、電池の製造工場 (座間か茨城か。AESCの根拠は軽EV向け調達の会社発表とN-VAN e: 向け生産の工場見学記)
- 電池セルの正極材・負極材・電解液・セパレーターの供給元
- 電池パック (IPU) の組み立て場所と組み立て主体
- 駆動用モーター (MCF7型) とインバーターの製造者、SiC等のパワー半導体の有無
- 車載充電器・DC-DCコンバーター・BMS・電動パワーステアリング・電動サーボブレーキの供給元
- ワイヤーハーネス・Honda SENSINGのカメラとレーダー・ディスプレーの供給元
- ヒートポンプ空調の有無
- N-ONE e: 単体の月次販売台数 (2025年12月以降) と受注台数、月販目標
- 鈴鹿製作所での生産開始日と生産能力 (会社の一次資料での明記)
- リース・残価設定の条件
- 部品の価格・原価 (分解調査の報道は見つからない)
- 2026年5月14日の投資方針 (4.4兆円・8,000億円) の会社の一次資料での明記
- リース・残価 (公表されていない (N-VAN e: のe: G・e: L2はリース契約のみの扱い))
出所
- 本田技研工業 ニュースリリース「新型軽乗用EV『N-ONE e:』を発売」 (2025-09-11)
- 本田技研工業 ニュースリリース「軽乗用EV『N-ONE e:』をホームページで先行公開」 (2025-07-28)
- 本田技研工業 N-ONE e: 主要諸元表 (PDF) (2025-09)
- 本田技研工業 N-ONE e: タイプ一覧・補助金 (2026-10-20)
- 本田技研工業 N-ONE e: 補助金 (2026-10-20)
- 本田技研工業 N-ONE e: 充電・給電 (webcatalog relation) (2026-10-20)
- 本田技研工業 N-ONE e: 走行性能 (webcatalog performance) (2026-10-20)
- 本田技研工業 N-ONE e: EVペディア Q&A (電池保証) (2026-10-20)
- 本田技研工業 N-ONE e: FAQ バッテリーの容量/タイプ (2026-10-20)
- 本田技研工業 Honda Stories「軽乗用EVの可能性を切り拓く『N-ONE e:』」 (2025-09-11)
- 本田技研工業 鈴鹿製作所 紹介ページ (2026-10-20)
- 本田技研工業 2022年4月12日 四輪電動ビジネスの取り組みについて (軽EV向けにエンビジョンAESCから調達) (2022-04-12)
- 本田技研工業 2023年4月26日 事業説明 (軽商用EV向けにエンビジョンAESCから調達、2025年にN-ONEベースのEV) (2023-04-26)
- 本田技研工業 2024年6月13日 N-VAN e: 発表 (2024-06-13)
- 本田技研工業 2025年5月20日 ビジネスアップデート (電動化投資を7兆円へ) (2025-05-20)
- 本田技研工業 2026年3月12日 四輪電動化戦略の見直しに伴う損失の発生および業績予想の修正 (2026-03-12)
- 本田技研工業 2026年3月12日 記者会見資料 (投資計画10兆円→7兆円→約3.5兆円) (2026-03-12)
- 本田技研工業 2026年3月12日 機関投資家向け説明会 質疑応答議事録 (2026-03-12)
- 本田技研工業 2026年3月期 決算説明会資料 (四輪電動車小売台数) (2026-05-14)
- 本田技研工業 2026年3月期 決算説明会 スクリプト (2026-05-14)
- 本田技研工業 「N」シリーズ累計販売450万台 (N-ONEシリーズ年別台数) (2026-10-06)
- 本田技研工業 Super-ONE 発売リリース (2026-05-21)
- ホンダアクセス N-ONE e: 用純正アクセサリー発売 (2025-09-11)
- 横浜ゴム「BluEarth AE-01」がHondaの「N-ONE e:」に新車装着 (2025-09-11)
- 横浜ゴム「ADVAN FLEVA V701」がHondaの「Super-ONE」に新車装着 (2026-05-25)
- 次世代自動車振興センター 令和7年度補正CEV補助金 別表1 (登録日R8.4.1〜) (2026年10月21日見直し後、10月23日取得) (2026-10-21)
- 次世代自動車振興センター 令和7年度補正CEV補助金 別表1 (登録日R7.12.16〜R7.12.31) (2025-12)
- 日本自動車ジャーナリスト協会 AESCジャパン座間工場 勉強会・見学 (2025-04-09)
- 日経クロステック「ホンダ初の軽乗用EV、電池容量変えずに航続距離50km増 LFP選ばず」 (2025-10-01)
- 日経クロステック「ホンダの新型商用軽EV、三元系電池で航続距離は245km」 (2024-08-09)
- 日経クロステック「ホンダ、商用軽EVを24年前半に発売 100万円台に自信」 (2022-04-12)
- 日経クロステック「ホンダの小型EVは出力1.5倍、軽プラットフォームの可能性示す」(日経Automotive) (2026-05-19)
- 日本経済新聞「EV新車販売、4〜9月は2年ぶり増 ホンダの新型軽がけん引」 (2025-10-06)
- 日本経済新聞「国内EV販売が4〜9月過去最高 補助金効果で2.5倍、シェアは3.7%に」 (2026-10-06)
- 日本経済新聞「ホンダ新EV『N-ONE e:』、航続距離は軽最長 低迷市場でアクセル」 (2025-09-11)
- 日本経済新聞「ホンダ『EV空転の5年』 HV回帰、4.4兆円投資でも中国勢の背中遠く」 (2026-05-14)
- MONOist「N-VANと同じEVシステムで走行可能距離は50km増、N-ONE e:は295kmに」 (2025-09-16)
- MONOist「ホンダが『2030年度まで10兆円投資』の計画から3兆円減」 (2025-05-21)
- モーターファン「N-VAN e:の開発コンセプトは『移動蓄電コンテナ』」 (2024-06-15)
- モーターファン「ホンダが初めて送り出す軽乗用車EV『ホンダ・N-ONE e:』車種別解説」 (2026-05-31)
- 日本自動車会議所 (日刊自動車新聞転載)「2026年1月の国内電動車販売」 (2026-02-17)
- トラックニュース「ホンダ/軽商用EVバッテリーをエンビジョンAESCから調達」 (2023-04-26)
- car-repo「2026年9月 車名別新車販売台数ランキング」 (2026-10-06)
- WEB CARTOP「4143億円の営業赤字の実態はEV戦略の損切り」 (2026-05-15)
- マイナビニュース「ホンダの軽EV『N-ONE e:』は実際のところ売れている? 販売状況を調査」 (2025-12-18)
- 本田技研工業 N-ONE e: 主要装備表 (PDF) (2025-09)
- AESC 会社概要 (About Us。本社横浜市、株主にエンビジョンエナジー・日産など) (2026-10-23)
出所との照合日: 2026年10月20日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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