中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会は2025年12月27日、法律の見直しの報告を承認し、1990年代の郷鎮企業法を含む104件の法律や決定を失効させた。外資系企業に国内の税を適用すると定めた1993年の決定も対象に入った。

全人代常務委員会法制工作委員会の沈春耀主任は12月22日、第14期常務委員会第19回会議で、法律の整理の結果と、各法律の扱いの案を報告した。見直しの対象は139件で、このうち常務委員会が自ら採択した104件は同委員会で失効させ、残る35件は全人代の審議に回すとした。全人代を専門に追う独立系の英語サイトによると、104件の内訳は法律7件、法律の解釈1件、法律に関わる事項を定めた決定96件だった。報告によると、今回の整理は法律の改正には踏み込まず、時代に合わなくなって法体系の整合性を損なう法律について、効力を残すかどうかを決めるものだという。

報告は139件を4つに分けた。新しい法律に置き換わったり組み込まれたりしたものが13件、かつては重要な役割を果たしたが改革に合わなくなり廃止すべきものが6件、対象とする事柄が変わったりなくなったりしたものが17件、期限を迎えたり目的を果たしたりして実際には効力を失っているものが103件だ。対象には1950年代から2010年代までの決定が含まれる。

郷鎮企業法と外資系企業向け税制の決定は「改革に合わなくなった」6件に

郷鎮企業法は1996年10月29日に採択され、1997年1月1日に施行された。農村の集団所有の組織や農民が主に出資して郷・鎮・村に設けた郷鎮企業を育て、守るための法律だ。報告は郷鎮企業法を、外資系企業の税に関する1993年12月の決定とともに、かつて経済や社会の発展に重要な役割を果たしたが改革の進展に合わなくなったとして、廃止すべきものに分類した。報告は、法律ごとの理由までは示していない。習近平国家主席は12月27日、国家主席令に署名し、2件の廃止を公布した。

1993年の決定は、1994年1月の税制改革で導入した増値税(付加価値税)や消費税、営業税の暫定条例を、外資系企業と外国企業にも適用すると定めたものだ。その後、条例そのものが国内企業と外資系企業の区別なく適用される形になり、営業税は2016年に増値税へ切り替わった。同サイトは、郷鎮企業法の各部分が2002年の中小企業促進法や2021年の郷村振興促進法、企業の形態ごとの法律に置き換わったという見方が、学者や当局者の間でおおむね共有されていたと紹介している。

郷鎮企業の就業者は1996年に1億3,500万人、法の役割は中小企業促進法や会社法に

郷鎮企業は計画経済の枠の外で育ち、1980〜90年代の中国経済の成長を支えた。中国統計年鑑によると、郷鎮企業の就業者は1996年に1億3,508万人に達し、その後の2年で約1,000万人減った(1998年は1億2,537万人)。国家統計局によると、1998年には郷鎮企業の工業付加価値が中国の工業全体の46.3%を占めた。

その後、2001年の世界貿易機関(WTO)加盟を経て市場経済の制度づくりが進み、会社法に基づく民間企業が力を伸ばした。会社法は2005年に全面改正され(2006年1月施行)、2023年にも改正された(2024年7月施行)。農村の企業を対象にした郷鎮企業法の中身は、中小企業促進法や会社法などに移っていった。

外資系企業の制度も変わった。企業所得税(法人税)は2008年に国内企業と外資系企業で一本化された。2020年1月施行の外商投資法は、それまでの外資向けの3つの法律を置き換え、参入段階から外資系企業を国内企業と同等に扱う内国民待遇を原則とし、外資の参入を禁止・制限する分野だけを列挙するネガティブリスト方式を採った。

一方、中国への外資の流入は細っている。日本経済新聞によると、国家外貨管理局が2024年2月に公表した速報値では、2023年の対内直接投資は330億ドルと、1993年以来30年ぶりの低水準だった。同局が2024年3月にまとめた国際収支報告では、427億ドルに修正された。

民営経済促進法に合わない規則や通達1,466件も改廃へ

法制工作委員会は同じ12月22日、地方の法規や政府の規則が法律に反していないかを点検した報告で、2025年5月20日施行の民営経済促進法に合わせて、規則や通達など1,466件の改正や廃止を促したと説明した。地方政府の通達などが1,323件と大半を占め、地方の人民代表大会が定めた条例も81件あった。同委員会はこれとは別に、企業を不平等に扱う地方の条例など178件を台帳にまとめ、制定した機関に1件ずつ修正や廃止を求めてきた。大半はすでに対応を終えた。

法律の整理はその後も続いた。全人代は2026年3月12日、常務委員会から回された35件を失効とする決定を採択した。35件には国有企業の運営を定めた1988年の全民所有制工業企業法も含まれ、廃止された。

日本企業は古い規定に基づく契約や税務の前提を確かめる必要

見直しの対象の多くは、すでに役目を終えていたもので、新しい法律に置き換わったものも13件ある。日本企業の事業にすぐ影響が出る場面は限られる。ただ、古い法律や決定を前提に結んだ合弁契約や、税務の扱いを定めた社内規程が残っていれば、引用している条文が今も有効かを確かめる必要がある。

報告によると、失効した法律や決定に基づいて、それらが有効だった間に出された個別の決定は、引き続き効力を持つ。ただ、過去に受けた許可や優遇措置が今どう扱われるかは、1件ずつ確かめておく必要がある。

農村の町や村、農民が企業を興して経済の成長を引っ張った時代を支えた郷鎮企業法は、これで正式に役目を終えた。中国の企業に関する法律は、会社法や民営経済促進法、外商投資法を中心に組み直されている。