KDDIのGPUクラウドサービス(大阪堺データセンター) KDDI GPU Cloud
KDDIのGPUクラウド「KDDI GPU Cloud」は、大阪堺データセンターのエヌビディアGB200 NVL72を貸すサービス。ベアメタルの画像処理半導体(GPU)サーバーとして1台から月単位で使える。2026年1月の大阪堺データセンターの稼働に合わせて試験提供を始め、4月1日から申し込みを受け付けている。通常プランは1台月495万円(税込)。主な用途はAIモデルの学習。KDDIの閉域網とも接続できる。
詳細解説
- 発表
- 2025年10月28日に提供を発表した。大阪堺データセンターを使う第1弾のサービスと位置づけた newsroom.kddi.com
- 試験提供と申し込みの受け付け
- 2025年10月28日の発表では、大阪堺データセンターを稼働する2026年1月下旬から試験提供を始めるとした。新規の申し込みは2026年4月1日から受け付けている newsroom.kddi.com
- 提供の形
- GB200 NVL72に載る計算ユニットを、ベアメタル(仮想化しない専有の物理サーバー)のGPUサーバーとして1台単位で貸す。複数台をNVLinkでつないだクラスターにも広げられる newsroom.kddi.com
- 想定する顧客
- 自動運転モデルを開発するモビリティ事業者、取引データを解析する金融機関、ゲノム解析を行う医療研究機関、専門分野の大規模言語モデル(LLM)を作る企業やスタートアップを挙げる newsroom.kddi.com
- 採用例
- マクニカが5,500億パラメーター規模のモデルを使うローカルAIエージェント環境の検証にKDDI GPU Cloudを採用した(2026年7月、KDDIのサービスページ) biz.kddi.com
- 外部の評価
- KDDIは、米調査会社IDCによる国内のAI向け計算資源サービスの評価で、KDDI GPU Cloudが最上位の「リーダー」に位置づけられたと発表した(2026年10月27日) newsroom.kddi.com
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 大阪堺データセンター | 大阪府堺市堺区(シャープ堺工場の跡地) | GB200 NVL72のラックを置き、直接液体冷却と空冷を併用して動かす。地上4階、延床面積約5万7,000平方メートル。2026年1月22日に稼働した | newsroom.kddi.com |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- 参照設計への準拠
- エヌビディアのクラウドパートナー契約に基づき、エヌビディアが定めた参照設計(リファレンスアーキテクチャー)に沿って構築した newsroom.kddi.com
- GPU間の接続
- エヌビディアのGPU間接続技術NVLinkで複数のGPUを低遅延・高帯域でつなぎ、クラスター全体の処理を速める newsroom.kddi.com
- ソフトウエア
- エヌビディアの開発用ソフトウエア群NVIDIA AI Enterprise(GPU向けの開発環境CUDA、AIモデルの実行部品NIMなど)を追加の費用なしで使える。利用者は管理画面でサーバーの増設やクラスターの構築ができる(追加費用なし)。構成の変更の一部は後日の提供とする biz.kddi.com
- ネットワーク
- インターネット接続は10ギガビット毎秒から。KDDIの閉域網KDDI Wide Area Virtual Switch 2(WVS2)とマルチクラウドゲートウェイを経由すると最大100ギガビット毎秒で接続できる biz.kddi.com
- 学習から推論へ
- KDDIは学習に加えて推論にも力を入れると説明し、2026年12月から大阪堺データセンターの推論環境で使えるAIモデルを増やす newsroom.kddi.com
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| GPUシステム | エヌビディアのGB200 NVL72(ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)製のラック単位のシステム) | newsroom.kddi.com |
| GB200 NVL72の1ラックの構成(エヌビディアの仕様) | Grace CPU(中央演算処理装置)36基とBlackwell GPU 72基。GPUメモリはHBM3E(広帯域メモリー)で合計13.4テラバイト | nvidia.com |
| GB200 NVL72のGPU間通信(エヌビディアの仕様) | NVLinkの帯域は1ラックで毎秒130テラバイト | nvidia.com |
| 最小の利用単位 | ベアメタルのGPUサーバー1台。1台に載るGPUの数は公表されていない | biz.kddi.com |
| 追加の記憶装置 | 高速外部ストレージを100ギガバイト単位で追加できる | biz.kddi.com |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| GPUラックシステム | NVIDIA GB200 NVL72 by HPE HPEはニューヨーク証券取引所に上場 |
ヒューレット・パッカード・エンタープライズ HPE |
— | 米国 公表されていない |
KDDIと日本ヒューレット・パッカードの共同発表(2025年6月26日) A |
| GPU | Blackwell GPU(GB200 Grace Blackwell Superchipに2基) エヌビディアはナスダック上場 |
エヌビディア | — | 米国 公表されていない |
KDDIと日本ヒューレット・パッカードの共同発表(2025年6月26日) A |
| CPU | Grace CPU(GB200 Grace Blackwell Superchipに1基) | エヌビディア | — | 米国 公表されていない |
エヌビディアのGB200 NVL72の仕様 A |
| 冷却 | 直接液体冷却と空冷の併用(ハイブリッド型) 建屋側のターボ冷凍機・冷却塔の製造元は公表されていない |
ヒューレット・パッカード・エンタープライズ HPEの冷却技術 |
— | 米国 公表されていない |
KDDIとHPEの共同発表 A |
| 閉域網 | KDDI Wide Area Virtual Switch 2(WVS2) | KDDI | 9433 | 日本 公表されていない |
サービスの発表 A |
| 外部ストレージ・ネットワーク機器 | 高速外部ストレージ、スイッチ類 | 公表されていない | — | 公表されていない 公表されていない |
KDDI GPU Cloudのサービスページ(製造元は公表されていない) A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1GPUの設計Blackwell GPUとGrace CPU、NVLinkを含むGB200 NVL72の基本設計企業: エヌビディア
- 2ラックシステムの供給GB200 NVL72を液冷のラックスケールシステムとして組み、大阪堺データセンターに導入する企業: ヒューレット・パッカード・エンタープライズ
- 3建屋と電力・冷却設備シャープから取得した堺工場跡の電力・冷却設備を再利用した企業: KDDI(元の設備はシャープ)
- 4運用と販売KDDIがデータセンターを運用し、法人営業とサービスページから販売する企業: KDDI
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1用地と設備の転用2025年4月に堺工場の土地・建物を取得し、新設工事を抑えて約半年で構築した設備・企業: KDDI
- 2水冷設備の設計KDDI Telehouse渋谷データセンターの検証で作った水冷専用の設計・運用指針を適用した設備・企業: KDDI
- 3サーバーの設置GB200 NVL72のラックを置き、冷却水設備、ターボ冷凍機、冷却塔、電源設備と組み合わせた設備・企業: KDDI・HPE
💴 販売価格と補助金
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| ベアメタルサーバー(GB200)通常プラン | 1台あたり月495万円 | 2026-11-06 | biz.kddi.com |
| 長期利用プラン(1年・3年契約) | 公表していない(問い合わせ) | 2026-11-06 | biz.kddi.com |
| 高速外部ストレージの追加 | 100ギガバイトあたり月3,300円 | 2026-11-06 | biz.kddi.com |
| 10ギガビット毎秒のインターネット接続・グローバルIPアドレス1個・NVIDIA AI Enterprise | 標準の料金に含む | 2026-11-06 | biz.kddi.com |
| 項目 | 額 (円) | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 経済安全保障推進法の供給確保計画 | KDDIは2024年4月にクラウドプログラムの供給確保計画の認定を経済産業省から受け、生成AIの計算基盤に4年で1,000億円規模を投じると発表した | この認定と大阪堺データセンターの設備との関係は公表されていない | newsroom.kddi.com |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 法人営業とサービスページ | KDDIの法人営業担当者かサービスページの問い合わせ窓口で申し込む。サービスページのチャットからオンライン相談を予約できる(2026年2月4日から) | biz.kddi.com |
| 契約の組み合わせ | GPUサーバーは1台から複数台まで申し込め、通常プランと1年・3年契約を混ぜて使える | biz.kddi.com |
| 提携先のGPUクラウド | KDDIはさくらインターネットの「高火力 PHY」、ハイレゾの「GPUSOROBAN」も同じページで案内している | biz.kddi.com |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 運用 | KDDIが国内のデータセンターで運用する。稼働率の保証(SLA)の数値は公表されていない | biz.kddi.com |
| 環境の準備 | 基本ソフト(OS)やジョブスケジューラー(作業の管理を自動化するソフトウエア)などの学習環境を短い期間で使えるようにすると説明する | newsroom.kddi.com |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 日本 | 大阪堺データセンター1か所で提供する国内向けのサービス。データを国内に置いたまま学習できることを特長に挙げる。海外向けの提供や、米国の輸出管理規則(EAR)上の扱いは公表されていない | newsroom.kddi.com |
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 大阪堺データセンターの申し込み | 順調に申し込みを受けているとKDDIは記す。金額は公表されていない | disclosure2dl.edinet-fsa.go… | ||
| 2026年4〜6月 | AIインテグレーションのクラウド基盤売上高の伸び | 前年同期比30%超の増加 | KDDI GPU Cloudだけの数字ではない | kddi.com |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 堺工場の土地・建物の取得額 | 100億円(シャープが2025年4月4日に開示した譲渡価額) | www2.jpx.co.jp | |
| 国内外のデータセンターなどインフラの強化 | 3年で3,000億円を計画(2027年3月期〜2029年3月期の中期経営戦略) | kddi.com |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
KDDI GPU Cloudは1台月495万円(税込)の定額料金を公表している。1台に載るGPUの数を公表していないため、GPU1基あたりの単価は計算できない。部品の調達はヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)のラックシステムを一括で入れる形で、エヌビディアの参照設計に沿わせた。差がつくのは施設を用意する速さで、工場跡の電力と冷却を転用し約半年で稼働させた。売上は単独で開示されず、AIインテグレーションのクラウド基盤が前年同期比30%超伸びたことが手がかりになる。2027年度にはRubin世代のサーバーを同じ建屋のコンテナ型施設に入れる計画で、KDDIは学習に加えて推論にも広げる。閉域網で毎秒最大100ギガビットにつなげ、データを国外に出さずに学習できる。
公表されていないこと
- GPUサーバー1台に載るGPUの数と、大阪堺データセンター全体のGPUの台数は公表されていない
- KDDI GPU Cloudの売上高と顧客数は公表されていない
- 稼働率の保証(SLA)の数値は公表されていない
出所
- KDDI ニュースリリース「GPUクラウドサービス「KDDI GPU Cloud」提供開始」 (2025-10-28)
- KDDI GPU Cloud サービスページ(料金) (2026-11-06)
- KDDI ニュースリリース「大阪堺データセンターを1月22日から稼働開始」 (2026-01-22)
- KDDI・日本ヒューレット・パッカード「KDDIとHPE、25年度内のAIデータセンター稼働開始に向け連携」 (2025-06-26)
- エヌビディア GB200 NVL72 仕様 (2026-11-06)
- KDDI トピックス「大阪堺データセンターの推論環境を拡充」 (2026-10-27)
- KDDI 有価証券報告書 2026年3月期 (2026-06-25)
- KDDI 2027年3月期第1四半期決算説明資料 (2026-08-07)
- シャープ「固定資産の譲渡に関するお知らせ」 (2025-04-04)
- KDDI 中期経営戦略「Power-to-Connect 2028」 (2026-05-12)
- KDDI ニュースリリース「生成AI開発を支える大規模計算基盤の整備に1,000億円投資」 (2024-04-19)
出所との照合日: 2026年11月6日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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