安川電機i³-Mechatronics(データで工場を動かす仕組み) Yaskawa i3-Mechatronics
ロボット・サーボモーター・インバーターによる自動化に、機器の稼働データの活用を加える安川電機のソリューションの考え方。1969年に提唱した「メカトロニクス」に、統合的・知能的・革新的の3つの「i」を重ねた。安川電機は2017年に提唱したと記す。中核となるソフトウエアとして、データを集めて見える化する「YASKAWA Cockpit」を2018年6月に出した(報道)。中期経営計画「Dash 35」は方針2に「i³-Mechatronicsの実践拡大」を置く。考え方そのものに価格はない。
詳細解説
- 定義(会社発表)
- 安川電機が1969年に提唱した「メカトロニクス(機構と電子工学を合わせた造語)」に、統合的(integrated)、知能的(intelligent)、革新的(innovative)の3つの「i」を重ね、顧客の経営課題の解決に役立てるソリューションの考え方。 disclosure2dl.edinet-fsa.go…
- 提唱・発表の時期
- 安川電機は2017年に提唱したと記す(2023年11月29日、会社発表)。2017年10月に、それまでの取り組みを再編して発表したと報じられた(MONOist、2018年6月19日)。 yaskawa.co.jp
- 3段階の進め方
- まず工場の生産セルや設備の機器をつないでデータを見える化し、生産管理などのIT(情報技術)システムへ渡す。次に集めたデータを分析して使い、最後に設備の稼働率と品質を高める。 yaskawa.co.jp
- 中期経営計画での位置
- 「Dash 35」(2026〜2029年度)は5つの方針の2番目に「i³-Mechatronicsの実践拡大」を掲げる。前の計画「Realize 25」の振り返りでは「i³-Mechatronics展開が弱い」を課題に挙げた。 yaskawa.co.jp
- AIとの組み合わせ
- 安川電機はi³-MechatronicsにAI(人工知能)を組み合わせ、その実行力を一段と高める考え方を「i³-Singularity(アイキューブ・シンギュラリティ)」と名づけ、2035年に向けた長期ビジョンの柱に据える。Dash 35 では方針5「YDXの進化とi³-Singularity」に置く。 disclosure2dl.edinet-fsa.go…
- 対応製品
- コントローラー群「iCube Control」(マシンコントローラー MPX1000シリーズ・iC9000シリーズなど)と、ACサーボドライブ「Σ-Xシリーズ」を、i³-Mechatronicsを実現する製品と位置づける。 disclosure2dl.edinet-fsa.go…
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 安川電機の自社工場での実践 | 福岡県北九州市(ロボット第5工場) | ACサーボとロボットを一貫生産するロボット第5工場が2026年3〜8月の上期中に本格稼働した。分散セル方式で生産し、MOTOMAN NEXTを使ったフィジカルAIを実践する(会社発表)。 | yaskawa.co.jp | |
| 対応製品の生産拠点 | 埼玉県入間市・福岡県行橋市など | モーションコントロールの電子機器は入間事業所、制御器具・装置は行橋事業所で造る(2026年2月期の有価証券報告書)。ソフトウエアの開発拠点は公表されていない。 | disclosure2dl.edinet-fsa.go… |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- データの集約(YASKAWA Cockpit)
- 他社の製品を含む現場の機器をつなぎ、機器同士の時刻を合わせて100万分の1秒単位でデータを集め、蓄える。 yaskawa.co.jp
- データの分析
- 上位のシステムでAIが作った推論モデルを YASKAWA Cockpit の上で動かせる。生産管理・基幹業務のシステムへのデータの受け渡しも一元的に管理する。 yaskawa.co.jp
- 使い道(会社発表)
- 故障予知、稼働状況の監視、機器の異常診断、品質不良の検知、不良原因の分析、深層学習を使う製品の良否判定を挙げる。 yaskawa.co.jp
- AIピッキング
- 独自に開発したAI技術「Alliom(アリオム)」で、AIピッキング(AIで物を見分けて取る作業)の実運用までの導入時間を縮めるとする。 yaskawa.co.jp
- 自律分散
- サーボモーターのトルク・振動・温度のデータをコントローラーに集め、ロボットの動き方を判断させる。Σ-XシリーズのFT54仕様は、サーボ単独でセンサーのデータの一次解析と自らのモーターの制御をこなす。 disclosure2dl.edinet-fsa.go…
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| YASKAWA Cockpit のデータ取得の時間分解能 | 100万分の1秒単位(会社発表) | yaskawa.co.jp |
| マシンコントローラー iC9200 | 国際電気標準会議(IEC)の規格61131-3に沿う、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラー)向けのプログラム言語を使う。モーション制御用のネットワーク「EtherCAT」を採用した。第1弾は iC9226M-EC と、機能安全対応の iC9226M-FSoE | disclosure2dl.edinet-fsa.go… |
| 考え方としての仕様 | i³-Mechatronics は製品ではなく考え方のため、固有の仕様はない | yaskawa.co.jp |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| データ集約ソフトウエア | YASKAWA Cockpit | 安川電機 | 6506 | 日本 該当しない(ソフトウエア) |
安川電機の製品紹介 A |
| コントローラー | iCube Control(MPX1000シリーズ・iC9000シリーズ・YRM1030) | 安川電機 | 6506 | 日本 公表されていない(電子機器は入間事業所などで製造) |
有価証券報告書 A |
| ACサーボドライブ | Σ-Xシリーズ | 安川電機 | 6506 | 日本 公表されていない |
有価証券報告書 A |
| つなぐ他社の機器 | 工作機械・センサーなど | 公表されていない 他社製品も接続できるとする |
— | 公表されていない |
安川電機の製品紹介 A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1機器とソフトウエアロボット・サーボ・インバーター・コントローラーと YASKAWA Cockpit を安川電機がそろえる。企業: 安川電機
- 2上位のシステムIT企業が提供する生産管理・基幹業務のシステムやビッグデータの基盤へデータを渡す。接続先の企業名は公表されていない。企業: 公表されていない
- 3導入事例キユーピーの総菜のふた閉めロボット、ベスタクト・ソリューションズのリードスイッチの生産工程を事例に挙げる。企業: キユーピー・ベスタクト・ソリューションズ
- 4IoTの提案・営業の合弁製造業向けIoT(モノのインターネット)の提案を担う合弁会社アイキューブデジタル(2020年7月設立)の持株比率を60.0%から40.0%に下げ、YE DIGITALが中心となって事業を進めると決めた。企業: アイキューブデジタル・YE DIGITAL
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1自社工場での適用ロボット第5工場はACサーボとロボットを一貫生産し、分散セル方式で生産する。設備・企業: 安川電機
- 2国内工場の自動化安川電機は国内のマザー工場の自動化拡大を、前の中期経営計画の成果に挙げた。設備・企業: 安川電機
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| i³-Mechatronics(考え方) | 該当しない | 2026-11-06 | yaskawa.co.jp |
| YASKAWA Cockpit・iCube Control | 公表されていない(個別見積もり) | 2026-11-06 | yaskawa.co.jp |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 安川電機と販売代理店 | 対応製品は安川電機の営業窓口と販売代理店が扱う。考え方そのものの販売はない。 | yaskawa.co.jp |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 保守 | 考え方としての保守はない。インバーターの保守を助けるクラウドサービスを関連の製品として案内しているが、利用の条件は公表されていない。 | yaskawa.co.jp |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 中国・米州・欧州・アジア・インド | 「Dash 35」は「i³-Mechatronicsのグローバル展開の加速」を掲げ、中国はコントローラーを軸にした提案、米州は物流・包装などの一般産業の開拓、欧州はソリューション事業の強化を挙げる。輸出管理の対象かどうかは製品ごとに異なり、対象の一覧は公表されていない。 | yaskawa.co.jp |
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | i³-Mechatronics関連の売上高 | 公表されていない | 対応製品はモーションコントロール(売上収益2,360億5,300万円)とロボット(2,470億1,200万円)の両セグメントにまたがる | disclosure2dl.edinet-fsa.go… |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 連結研究開発費(2026年2月期) | 240億600万円(i³-Mechatronics単独の額は公表されていない) | disclosure2dl.edinet-fsa.go… | |
| 累計投資額(Dash 35 計画、2026〜2029年度) | 2,500億円(設備投資1,300億円・戦略投資1,200億円) | yaskawa.co.jp |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
i³-Mechatronics は売り物ではなく、機器を売るときの提案の枠組みだ。ロボットやサーボを1台ずつ売るのではなく、データでつないだ設備ごとに提案する。安川電機自身は前の計画の総括で「展開が弱い」と認め、新しい計画でも方針の2番目に残した。2017年の提唱から9年たっても、課題として残っている。2026年6月には、提案・営業を担った合弁会社の持株比率を60.0%から40.0%に下げ、YE DIGITALを事業の中心に据えると決めた。安川電機は i³-Mechatronics に AI を組み合わせる考え方を i³-Singularity と呼び、Dash 35 の方針5に置く。考え方の成否は単独の売上高では測れない。2つの部門の利益率が上がり、全社で2029年度に営業利益率15.4%とする会社計画に近づくかで判断することになる。
公表されていないこと
- YASKAWA Cockpit の導入社数・価格
- i³-Mechatronics 関連の売上高や受注額
- つなげる他社機器の一覧
出所
- 安川電機 i³-Mechatronics の紹介ページ (2026-11-06)
- 安川電機 有価証券報告書 第110期(2026年2月期) (2026-05)
- 安川電機 中期経営計画 Dash 35 (2026-05-22)
- 安川電機 2026年度第2四半期 決算説明資料 (2026-10-09)
- MONOist 安川電機が YASKAWA Cockpit を製品化 (2018-06-19)
- 安川電機 アイキューブデジタルの株式の一部譲渡 (2026-06-25)
- 安川電機 MOTOMAN NEXT シリーズの販売開始 (2023-11-29)
出所との照合日: 2026年11月6日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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