日産サクラ Nissan Sakura
日産自動車と三菱自動車の合弁会社NMKVが企画・開発した軽の電気自動車で、2022年6月に発売した。三菱自動車の水島製作所 (岡山県倉敷市) で姉妹車の三菱eKクロスEVとともに生産し、駆動用電池パックも水島で組み立てる。2022年度から2025年度まで4年連続で国内EV販売台数1位、2026年6月までの累計販売は101,018台。
概要
- 発表日
- 2022年5月20日 (新型軽電気自動車「日産サクラ」を発表) global.nissannews.com
- 発売日
- 2022年6月 (日産は2023年7月25日の発表で「昨年6月に発売」としている) global.nissannews.com
- 生産工場
- 三菱自動車工業 水島製作所 (岡山県倉敷市)。2022年5月20日にオフライン式。所内でのバッテリーパック一貫生産への対応と、EVプラットフォーム製造ラインの増設の設備投資を行ったと日産・三菱自動車が発表 global.nissannews.com
- 企画・開発
- NMKV (日産と三菱自動車の合弁会社) が企画・開発をマネジメント。日産の電動化技術と三菱自動車の軽自動車の知見を組み合わせた global.nissannews.com
- 姉妹車
- 三菱 eKクロス EV global.nissannews.com
- 車両区分
- 軽自動車 (乗用)、型式 ZAA-B6AW、4人乗り、前輪駆動 www-asia.nissan-cdn.net
- プラットフォーム
- 軽エンジン車の日産デイズ/ルークス、三菱eKシリーズと共用の軽自動車用プラットフォームを流用。エンジンと燃料タンクの代わりに電池とモーターを積む (日経クロステック 2022年7月8日) xtech.nikkei.com
- 開発の経緯
- 2021年8月27日に三菱自動車が、NMKVで企画・開発中の軽EVを2022年度初頭に発売すると発表 (実質購入額は約200万円からの見込み)。既存の軽用車台とリーフ系の電池・部品を流用してコストを抑えたと日経クロステックが報じた (2022年7月8日) mitsubishi-motors.com
- マイナーチェンジ
- 2026年4月16日発表、同日受注開始、発売は2026年夏の予定。Sグレードを一般向けの入門グレードに変更し、G・Xの外観を刷新。1500W AC電源 (メーカーオプション) を追加 global.nissannews.com
- 受賞
- 2022-2023 日本カー・オブ・ザ・イヤーと K CAR オブ・ザ・イヤー (2022年12月8日発表)。JNCAP 自動車安全性能2022 ファイブスター賞 (2023年1月24日発表) global.nissannews.com
価格と補助金
| グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| S | 2,448,600 | 2026-04-16 (2026年夏発売予定のマイナーチェンジ後) | global.nissannews.com |
| X | 2,599,300 | 2026-04-16 | global.nissannews.com |
| G | 2,998,600 | 2026-04-16 | global.nissannews.com |
| S (旧価格・2024年6月4日〜) | 2,536,600 | 2024-05-30 | global.nissannews.com |
| X (旧価格・2024年6月4日〜) | 2,599,300 | 2024-05-30 | global.nissannews.com |
| G (旧価格・2024年6月4日〜) | 3,082,200 | 2024-05-30 | global.nissannews.com |
| X 90th Anniversary (2024年6月4日〜) | 2,709,300 | 2024-05-30 | global.nissannews.com |
| S (2022年12月22日改定) | 2,493,700 | 2022-12-22 | global.nissannews.com |
| X (2022年12月22日改定) | 2,548,700 | 2022-12-22 | global.nissannews.com |
| G (2022年12月22日改定) | 3,040,400 | 2022-12-22 | global.nissannews.com |
| S (発売時) | 2,333,100 | 2022-05-20 | global.nissannews.com |
| X (発売時) | 2,399,100 | 2022-05-20 | global.nissannews.com |
| G (発売時) | 2,940,300 | 2022-05-20 | global.nissannews.com |
| 項目 | 額 (円) | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| CEV 補助金 (令和7年度補正・登録日 2026年4月1日〜2026年12月31日) | 580,000 | 別表1 (2026年10月21日現在)。S・X・G とも58万円。保有義務期間は自家用4年・貸自動車業用3年。列は見出し行「登録日:R8.4.1〜R8.12.31/登録日:R9.1.1以降/自家用車両/貸自動車業用車両」で確認 | cev-pc.or.jp |
| CEV 補助金 (令和7年度補正・登録日 2027年1月1日以降) | 458,000 | 経済産業省が2026年10月21日に補助額の見直しを発表し、別表1の2027年1月1日以降の列が58万円から45万8,000円に変わった。S・X・G とも同額。一覧の定価 (税抜) は S 2,226,000円・X 2,363,000円・G 2,726,000円 | cev-pc.or.jp |
| 補助金適用後の実質価格 (日産の説明) | 約187万円から (Sグレード) | global.nissannews.com | |
| 発売時の国の補助金 (参考) | 550,000 | 2022年5月時点の見込み額。実質購入価格は約178万円からと日産が説明 | global.nissannews.com |
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 電池容量 (総電力量) | 20kWh (リチウムイオン電池、総電圧350V) | www-asia.nissan-cdn.net |
| 一充電走行距離 (WLTC) | 180km (S・X・G 共通) | www-asia.nissan-cdn.net |
| 交流電力量消費率 (WLTC) | 124Wh/km (市街地 100・郊外 113・高速道路 142Wh/km) | www-asia.nissan-cdn.net |
| モーター | 型式 MM48、交流同期電動機、定格出力 20kW。最高出力 47kW (64PS)/2,302〜10,455rpm、最大トルク 195N・m/0〜2,302rpm | www-asia.nissan-cdn.net |
| 減速比 | 8.153 | www-asia.nissan-cdn.net |
| 急速充電 | 30kW以上の充電器で80%まで約40分 | global.nissannews.com |
| 普通充電 | 3kW以上の充電器で約8時間 (100%まで)。車載充電器は2.9kW用 (諸元表) | global.nissannews.com |
| 暖房・熱管理 | ヒートポンプシステム (省電力暖房) と PTCヒーター (5kW) を全車標準 | www-asia.nissan-cdn.net |
| 車両重量 | 1,070kg (S・X)、1,090kg (G) | www-asia.nissan-cdn.net |
| タイヤ | 155/65R14 75S (S・X)、165/55R15 75V (G) | www-asia.nissan-cdn.net |
| 寸法 | 全長3,395×全幅1,475×全高1,655mm、ホイールベース2,495mm、最小回転半径4.8m、最高速度130km/h | www-asia.nissan-cdn.net |
| 外部給電 | 100V AC 1500W 電源 (荷室とインストルメントパネルの2か所、メーカーオプション) | global.nissannews.com |
🏭 部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは自動車メーカーか部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| 駆動用電池セル | ラミネート型リチウムイオン電池 (三元系・NMC)。AESC が「Gen4」と呼ぶ世代で、リーフと同じ電池 日経クロステック (2022年7月8日) が「エンビジョンAESCグループから調達、リーフと同じ電池」と報じた。レスポンス (2022年5月27日) は日産ブースの技術者の説明としてエンビジョンAESC製のNMC型と伝えた。日経クロステック (2023年8月30日) は現行世代「Gen4」の搭載車にサクラ/eKクロスEVを挙げた。マークラインズの部品供給情報 (2026年4月) も電池セルの供給元をAESCジャパンとする |
エンビジョンAESCグループ AESC |
— | 日本 (本社 神奈川県座間市。2019年から中国エンビジョングループ傘下、日産が約20%出資) 公表されていない (記事は座間市の本社所在地のみ) |
分解調査ではなく報道と日産技術者の説明 B |
| 駆動用電池パック | 20kWh パック。デイズのフレームを流用し、高さの異なる3種類のスタックモジュールで構成。エアコン冷媒で冷却 パックの構造はレスポンス (2022年5月27日) の取材記事による (B)。https://response.jp/article/2022/05/27/357606.html。三菱自動車は2020年7月28日に水島製作所の軽EV向け設備投資 (総額約80億円、駆動用電池の組立・検査設備の新設、電池ケース内製化) を発表した |
三菱自動車工業 水島製作所で組み立て |
7211 | 日本 岡山県倉敷市 水島製作所 |
自動車メーカー発表 A |
| e-Axle (モーター・インバーター一体ユニット) | 原動機型式 MM48。平角巻線のIPMSM (埋込磁石同期モーター) と直冷型IGBTのインバーターを一体化。明電舎は従来機比で出力密度1.5倍、最大効率2.5%向上、一体化で体積30%・質量10%削減としている マークラインズの分解調査リポート (2022年11月4日) は、サクラの駆動モーターに明電舎製の新開発e-Axle (型式MM48) が載り、直冷型IGBTのインバーター・SC巻線のIPMSM・減速機で構成すると記す。https://www.marklines.com/ja/report/rep2381_202210。モーターはノートe-POWERやアウトランダーPHEVの小型モーターの流用と日経クロステックが報じた (2022年7月8日)。IGBT のメーカーは公表されていない |
明電舎 | 6508 | 日本 公表されていない |
部品メーカーの製品ページ (供給先に日産サクラ・eKクロスEV・ノートe-POWER・アウトランダーPHEVを明記) A |
| 減速機 | 減速比 8.153。日産リーフのものを流用と日経クロステックが報じた 日経クロステック (2022年7月8日) が「減速機は日産のEV『リーフ』のものを流用した」と報じた。供給元は公表されていない |
公表されていない | — | 報道 B | |
| タイヤ | 155/65R14 75S (S・X)、165/55R15 75V (G) タイヤメーカーの「新車装着」発表は見つからなかった |
公表されていない | — | 自動車メーカーの諸元表 (サイズのみ) A | |
| ヒートポンプ (省電力暖房システム)・PTCヒーター 5kW | 全車標準 | 公表されていない | — | 自動車メーカーの諸元表 A | |
| 電動パワーステアリング | ラック&ピニオン式、電動 | 公表されていない | — | 自動車メーカーの諸元表 A | |
| 運転支援 (プロパイロット・プロパイロット パーキング) | 軽自動車初搭載のプロパイロット (高速道路の単一車線での運転支援) とプロパイロット パーキング | センサー・ECU の供給元は公表されていない | — | 自動車メーカー発表 A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から車両の組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
-
1
正極材・負極材・電解液・セパレーター
公表されていない
-
2
電池セル
ラミネート型三元系セル (AESC Gen4)。日本国内で生産 (記事は座間市の本社所在地を挙げるのみ)。2024年3月に量産を始めたAESC茨城工場の第一棟は次世代Gen5を日産とホンダ向けに生産するとされ、サクラ向けかは公表されていない企業: エンビジョンAESCグループ
-
3
モーター・インバーター一体ユニット (e-Axle)
明電舎が日産サクラ・三菱eKクロスEV向けに供給企業: 明電舎 (6508)
-
4
電池パック組み立て
所内でのバッテリーパック一貫生産に対応 (日産・三菱自動車 2022年5月20日)。三菱自動車は2020年7月28日に総額約80億円の設備投資を発表した。内容は電池の組立・検査設備の新設、電池ケース内製化のプレス・溶接・塗装設備の増設、EVプラットフォームのライン増設企業: 三菱自動車工業 水島製作所 (岡山県倉敷市)
-
5
車両組み立て
EVプラットフォーム製造ラインを増設して日産サクラと三菱eKクロスEVを生産。2023年5月31日に両車の生産累計5万台を達成企業: 三菱自動車工業 水島製作所
-
6
企画・開発マネジメント
NMKV (東京都港区、日産と三菱自動車の共同出資会社)企業: NMKV
-
7
販売
全国の日産販売会社で受注。販売会社数・店舗数は公表資料で確認できなかった企業: 日産の国内販売会社
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年1〜12月 | 新車販売台数 (通称名別・確報) | 14,093 | 台 | 全軽自協 2025年12月確報の「本年累計」列。前年累計 22,926台、前年累計比 61.5%。日産の月次実績 (小売) も同じ14,093台 (前年比 -38.5%) | zenkeijikyo.or.jp |
| 2026年1〜9月 | 新車販売台数 (通称名別・確報) | 8,279 | 台 | 全軽自協 2026年9月確報の「本年累計」列。前年累計 12,198台、前年累計比 67.9%。9月単月は1,371台 (前年同月 1,432台、前月 853台) | zenkeijikyo.or.jp |
| 2025年度 (2025年4月〜2026年3月) | 国内小売販売台数 (日産集計) | 10,417 | 台 | 前年度 20,832台、-50.0%。日産の月次「生産・販売・輸出実績」車名別表 | nissan-global.com |
| 2024年度 (2024年4月〜2025年3月) | 国内販売台数 | 20,832 | 台 | 3年連続で国内EV販売台数1位 (日産調べ)。国内累計EV販売の約4割 | global.nissannews.com |
| 2023年度 (2023年4月〜2024年3月) | 国内販売台数 | 34,083 | 台 | 国内EV販売に占める比率 約41% (2024年4月 日産調べ) | global.nissannews.com |
| 2024年1〜12月 | 国内小売販売台数 (日産集計) | 22,926 | 台 | 2025年12月実績表の前年値 | nissan-global.com |
| 2026年1〜8月 | 国内小売販売台数 (日産集計) | 6,908 | 台 | 前年同期 10,766台、-35.8%。2026年度 (4〜8月) は4,527台 (-3.9%) | nissan-global.com |
| 2022年5月〜2026年6月 | 国内累計販売台数 | 101,018 | 台 | 発売から約4年。同期間の国内累計EV販売の約3割 | global.nissannews.com |
| 2022年5月〜2023年7月 | 累計受注台数 | 50,000 | 台 | 受注開始からの累計が5万台を突破 (2023年7月25日発表)。2022年の国内EV販売の約4割 | global.nissannews.com |
| 2025年1〜6月 | 国内販売台数 (報道) | 8,773 | 台 | 前年同期比 27%減と日本経済新聞が報じた (2025年7月4日)。同期間の国内EV販売は27,321台、EV比率1.4% | nikkei.com |
| 2022年度〜2025年度 | 国内EV販売台数順位 | 1 | 位 | 4年連続1位 (日産サステナビリティデータブック2026)。暦年でも2022〜2025年の4年連続 (日産 2026年4月16日発表) | nissan-global.com |
| 2025年度 | 日産の国内出荷台数に占めるEV比率 | 4 | % | パワートレイン比率 (出荷台数ベース): ガソリン車48%・e-POWER 39%・EV 4%・ハイブリッド9% | nissan-global.com |
| 2025年度 | 日産の国内小売販売台数 (全車種) | 398,681 | 台 | 前年度 460,868台、-13.5%。連結売上高 12兆79億円、営業利益 580億円、当期純損失 5,331億円 (2025年度決算説明資料) | nissan-global.com |
月間の新車販売台数 (直近5か月)
| 年月 | 台数 | 前年同月比 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 2026-09 | 1,371 | 95.7% | 全軽自協 軽四輪車通称名別新… |
| 2026-08 | 853 | 99.2% | 全軽自協 軽四輪車通称名別新… |
| 2026-07 | 1,083 | 95.6% | 全軽自協 軽四輪車通称名別新… |
| 2026-06 | 1,913 | 168.2% | 全軽自協 軽四輪車通称名別新… |
| 2026-05 | 303 | 80.8% | 全軽自協 軽四輪車通称名別新… |
💴 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 車両本体価格 (2026年夏のマイナーチェンジ後) | 244万8,600〜299万8,600円 (税込) | global.nissannews.com | |
| 価格の推移 | 発売時 233万3,100〜294万300円。2022年12月22日の改定で249万3,700〜304万400円。2024年6月4日に253万6,600〜308万2,200円。2026年のマイナーチェンジで244万8,600〜299万8,600円。2022年の改定理由は原材料費と物流費の高騰 | global.nissannews.com | |
| CEV 補助金 | 2026年4月1日〜12月31日の登録は58万円、2027年1月1日以降は45万8,000円 (2026年10月21日の見直し後の別表1)。全グレード同額 | cev-pc.or.jp | |
| 補助金後の実質価格 | 2026年12月31日までの登録: S 186万8,600円、X 201万9,300円、G 241万8,600円。2027年1月1日以降の登録: S 199万600円、X 214万1,300円、G 254万600円 (税込価格から国の補助金を引いた編集部の計算。日産は「約187万円から」と説明) | global.nissannews.com | |
| 東京都の補助 (2022年時点・参考) | 45万円、再生可能エネルギー電力契約で60万円。国と合わせ55万〜115万円で実質118万〜178万円と日経クロステックが報じた (2022年6月30日) | xtech.nikkei.com | |
| 1台当たりの利益 | 日産オートモーティブテクノロジーの遠藤雅哉氏 (車両設計グループ主管) が「1台当たりの利益を確保できている」と説明 (日経クロステック 2022年7月8日)。電池コストの金額は非公開 | xtech.nikkei.com | |
| 水島製作所の軽EV生産の設備投資額 | 総額約80億円 (三菱自動車 2020年7月28日発表)。駆動用電池の組立・検査設備の新設、電池ケース内製化に伴うプレス・溶接・塗装設備の増設、EVプラットフォームのライン増設が対象で、日産も一部を負担 | mitsubishi-motors.com | |
| AESC 茨城工場の投資額 (参考) | 約500億円、将来さらに500億円 (日本経済新聞 2023年5月9日)。年産能力は当初6GWh。サクラ向け供給かは公表されていない | nikkei.com |
解析 — 部品と供給網の特徴
サクラの供給網は「日産の電動部品を、三菱自動車の軽の車台と工場に載せる」構図である。企画と開発はNMKVが束ねる。電池セルはリーフと同じAESCのラミネート型である (日経クロステック 2022年7月8日)。モーターとインバーターは明電舎の一体ユニットを使う (明電舎の製品ページ)。電池パックと車両の組み立ては三菱自動車の水島製作所が担う (日産 2022年5月20日発表)。日産が自前で持つのは企画・設計と販売網で、電動部品の製造は社外とグループ外に置いている。
調達先は日本国内に集中しているが、資本は国内に閉じていない。セルを供給するAESCは2019年から中国エンビジョングループの傘下にある。日産の出資は約20%にとどまる (日刊工業新聞 2020年1月22日、日本経済新聞 2023年5月9日)。明電舎、三菱自動車、水島製作所はいずれも日本企業・国内拠点である。正極材や負極材、電解液、セパレーターといった材料の調達先は公表されておらず、国内調達の比率は材料まで遡ると確かめられない。
価格の構成で目立つのは流用による原価抑制である。軽の車台をデイズ/eKシリーズと共用した。モーターはノートe-POWERやアウトランダーPHEV、減速機はリーフのものを流用した (日経クロステック 2022年7月8日)。日産の車両設計の担当者は、発売時の233万3,100円でも1台当たりの利益を確保できていると同誌に説明した。その後2022年12月に原材料費と物流費の高騰で3〜7% (編集部の計算) 値上げし、2026年のマイナーチェンジで再び244万8,600円まで下げた。補助金58万円 (2026年12月31日までの登録) を引いた実質約187万円という水準は、2022年発売時の「約178万円から」に近い位置に戻した形である。2026年10月21日の見直しで2027年1月1日以降の登録は補助金が45万8,000円に減り、Sの実質価格は約199万円になる (編集部の計算)。
販売の推移は電池調達より需要と競争の影響が大きい。2023年度の34,083台を頂点に、2025年 (暦年) は14,093台 (全軽自協)、2025年度は10,417台 (日産集計) と半減した。2026年1〜9月も8,279台で前年の67.9%にとどまる。一方で累計は2026年6月に101,018台に達し、同期間の国内EV累計の約3割を占める (日産 2026年7月9日発表)。日産の国内出荷に占めるEVの比率は2025年度で4%と小さく、サクラの落ち込みは日産全体のEV比率を直接押し下げている。
姉妹車の三菱eKクロスEVは同じ工場・同じ部品である。それでも2025年の販売台数は14,093台対1,442台 (全軽自協 通称名別) と約10倍の差がある。部品の共通化が利益を支える一方、販売の成否は日産の販売網とブランドに依存していることを示す数字である。残る論点は2つある。2026年夏のマイナーチェンジ後の販売回復と、AESCが茨城工場で生産を始めた次世代電池 (Gen5) の採用の有無で、後者は公表されていない。
公表されていないこと
- 電池セルの製造工場 (AESCの座間か茨城か) と採用の正式な発表 (日産・AESCとも採用発表はなく、報道と日産技術者の説明のみ)
- 正極材・負極材・電解液・セパレーターの供給元
- インバーターのパワー半導体 (IGBT) のメーカー
- 減速機のメーカー (リーフからの流用と報じられたが供給元は非公表)
- 車載充電器 (2.9kW)、DC-DCコンバーター、BMS の供給元
- ヒートポンプ・冷却系、ADASのカメラ・ECU、ワイヤーハーネスの供給元 (部品供給情報に名前が挙がる会社はあるが、採用発表などの裏付けが無い)
- タイヤの新車装着メーカー
- 水島製作所の軽EVの生産能力
- 電池の保証条件 (公表資料で確認できなかった)
- 日産の国内販売会社数・店舗数
- 輸出台数 (サクラは国内専用のため輸出実績の開示なし)
- 2026年夏のマイナーチェンジ後の正式な発売日
- 電池パック・モーターなど部品単価や原価の内訳
出所
- 日産自動車 ニュースリリース「新型軽 電気自動車『日産サクラ』を発表」 (2022-05-20)
- 日産自動車 ニュースリリース「日産自動車、三菱自動車、NMKVが新型『軽電気自動車』のオフライン式を実施」 (2022-05-20)
- 日産自動車 ニュースリリース「『日産リーフ』と『日産サクラ』、注文受付再開と価格改定について」 (2022-12-22)
- 日産自動車 ニュースリリース「『日産サクラ』受注5万台を突破」 (2023-07-25)
- 日産自動車 ニュースリリース「『日産サクラ』が2023年度の国内販売で電気自動車販売台数No.1を獲得」 (2024-04-11)
- 日産自動車 ニュースリリース「『日産サクラ』を一部仕様向上」 (2024-05-30)
- 日産自動車 ニュースリリース「『日産サクラ』、3年連続で国内市場における電気自動車(EV)販売台数No.1を獲得」 (2025-04-11)
- 日産自動車 ニュースリリース「『日産サクラ』、新デザインを先行公開」 (2026-04-09)
- 日産自動車 ニュースリリース「『日産サクラ』をマイナーチェンジ」 (2026-04-16)
- 日産自動車 ニュースリリース「『日産サクラ』、国内累計販売台数10万台を達成」 (2026-07-09)
- 日産自動車 サクラ 主要装備一覧・諸元表 (2026年6月版) (2026-06)
- 日産自動車 2025年12月度 生産・販売・輸出実績 (車名別国内小売) (2026-01-29)
- 日産自動車 2026年3月度 生産・販売・輸出実績 (車名別国内小売) (2026-04)
- 日産自動車 2026年8月度 生産・販売・輸出実績 (車名別国内小売) (2026-09)
- 日産自動車 2025年度 決算説明資料 (2026-05-13)
- 日産自動車 サステナビリティデータブック2026 (2026)
- 全国軽自動車協会連合会 2025年12月 軽四輪車 通称名別 新車販売確報 (2026-01-15)
- 全国軽自動車協会連合会 2026年9月 軽四輪車 通称名別 新車販売確報 (2026-10)
- 次世代自動車振興センター 令和7年度補正 CEV補助金 銘柄ごとの補助金交付額 (車両登録日 R8.4.1〜) (2026年10月21日見直し後、10月23日取得) (2026-10-21)
- 明電舎 製品ページ「軽EV・HEV・PHEV用搭載ユニット」
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- 日本経済新聞「エンビジョンAESC、電池生産能力20倍に 6カ国で新工場」 (2023-05-09)
- 日本経済新聞「国内新車販売の1〜6月、EVは2年連続減 シェアは1%」 (2025-07-04)
- 日本経済新聞「4月の車名別販売、EVシェア1%止まり 日産『サクラ』は過去最低」 (2025-05-08)
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- ニュースイッチ (日刊工業新聞)「日産、新型EVにCATL製電池を採用」 (2020-01-23)
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- 日産自動車 ニュースリリース「『サクラ』が2022-2023『日本カー・オブ・ザ・イヤー』ならびに『K CAR オブ・ザ・イヤー』を受賞」 (2022-12-08)
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- 三菱自動車 ニュースリリース「新型軽EV生産に向けて、水島製作所で大型設備投資を実施」 (2020-07-28)
- 三菱自動車 ニュースリリース「三菱自動車、軽自動車EVを2022年度初頭に発売」 (2021-08-27)
- 三菱自動車 ニュースリリース「『日産サクラ』と『eKクロス EV』、生産累計5万台を達成」 (2023-05-31)
出所との照合日: 2026年10月20日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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