ファナック R-2000/Eシリーズ (大型ロボット) FANUC R-2000/E series
ファナックの大型産業用ロボットR-2000を全面改良したシリーズで、8機種がある。手首部可搬質量は120〜300kg。前身のR-2000は累計35万台以上が出荷された。2025年12月に販売開始を発表し、量産開始時期を2026年3月とした (会社発表)。自動車の車体ラインのスポット溶接や物流の搬送に使う。価格は公表されていない。
詳細解説
- 発表
- 2025年12月の新商品案内で販売開始を発表し、同月の国際ロボット展に出展した fanuc.co.jp
- 量産開始
- 量産開始時期は2026年3月 (2025年12月の会社発表)。2026年9月の米国の展示会で2台を展示した fanuc.co.jp
- 機種
- /180F-27E・/225F-27E・/300F-27E・/125F-31E・/210F-31E (床置) と /210R-31E・/270R-31E・/120R-39E (棚置) の8機種 fanuc.co.jp
- 前身
- R-2000シリーズは累計35万台以上の出荷実績がある (会社発表) fanuc.co.jp
- 用途
- ハンドリング、組立、シーリング、スポット溶接、プレス間ハンドリング、バリ取り fanuc.co.jp
- 展示
- 2026年9月の米国の展示会IMTS (国際製造技術展) で2台を展示した fanuc.co.jp
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| ロボット工場 (本社) | 山梨県南都留郡忍野村 | ロボットの組み立てと試験。自動組立システムでロボットがロボットを組み立て、自動試験と連続運転・検査を経て出荷する | fanuc.co.jp | |
| ロボット工場 (筑波) | 茨城県筑西市 | ロボットの組み立て。ロボット部品の機械加工と塗装も行う。帳簿価額716億円、従業員606人 (2026年3月末) | fanuc.co.jp | |
| 機種ごとの組立工場 | 公表されていない | R-2000/Eを本社と筑波のどちらで組むかは公表されていない | fanuc.co.jp |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- 性能
- 従来機に比べ、動作速度は最大20%速く、可搬質量は最大10%増え、リーチは最大10%伸び、手首の可搬能力は最大85%高まった (会社発表) fanuc.co.jp
- 保守
- バッテリーの要らないエンコーダーを採用し、グリース交換とケーブル交換も不要にした fanuc.co.jp
- 環境性能
- 消費電力を15%、駆動音を25%減らした (会社発表) fanuc.co.jp
- ソフトウエア
- Pythonとロボット開発基盤ROSに対応し、サイバーセキュリティーと遠隔保守の機能を持つ fanuc.co.jp
- 駆動
- サーボモーターによる電気サーボ駆動の6軸多関節ロボット fanuc.co.jp
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 手首部可搬質量 | 180kg・225kg (オプション240kg)・300kg・125kg・210kg・210kg・270kg・120kg | fanuc.co.jp |
| 動作範囲 (X, Y) | F-27Eの3機種は2,655mm・3,414mm、F-31Eの2機種は3,100mm・4,304mm、R-31Eの2機種は3,095mm・4,733mm、R-39Eは3,905mm・6,347mm | fanuc.co.jp |
| 位置繰り返し精度 | ±0.05mm (国際規格ISO 9283準拠) | fanuc.co.jp |
| 機構部質量 | 1,105〜1,570kg | fanuc.co.jp |
| J2ベース部可搬質量 | 550kg | fanuc.co.jp |
| 制御装置 | R-50iA (A・B・Cキャビネット) | fanuc.co.jp |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| ロボット機構部 | R-2000/E機構部 | ファナック | 6954 | 日本 ロボット工場 (本社と筑波) |
工場紹介 A |
| 制御装置 | R-50iA | ファナック | 6954 | 日本 公表されていない |
製品ページ A |
| サーボモーター | ファナック製サーボモーター | ファナック | 6954 | 日本 サーボモーター工場 (本社と壬生) |
工場紹介は、サーボモーター工場を本社と壬生に置くと示す。機種ごとの搭載品番は公表されていない A |
| モーター用センサー | サーボモーター用センサー | ファナック | 6954 | 日本 隼人サーボセンサ工場 (鹿児島県霧島市) |
工場紹介は、月15万台の製造能力があると示す A |
| サーボアンプ | ファナック製サーボアンプ 制御装置に組み込む |
ファナック | 6954 | 日本 サーボアンプ工場 (本社と壬生) |
工場紹介 A |
| 減速機 | 公表されていない | 公表されていない | — | 公表されていない 公表されていない |
ファナックは減速機の供給元を開示していない A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1部品加工プレス・ダイカスト・モーター部品の旋盤加工を本社と壬生で、ロボット部品の機械加工と塗装を本社と筑波で行う企業: ファナック
- 2電装品サーボモーター・サーボアンプを本社と壬生、モーター用センサーを隼人で造る企業: ファナック
- 3国内子会社ファナックパートロニクス (長野県茅野市) とファナックサーボ (三重県津市) が生産設備を持つ企業: ファナックパートロニクス、ファナックサーボ
- 4外部調達半導体・電子部品・機械部品は外部から買う。ファナックは、納期の長い部品は代替品や第2・第3の調達先から買うと説明した (2026年7月)企業: 公表されていない
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1部品加工ロボットセルで夜間・週末を含め長時間無人で加工する設備・企業: ファナックのロボット・工作機械 (本社と筑波)
- 2組み立てロボットを多数使う自動組立システムでロボットを組み立てる設備・企業: ファナック (本社と筑波)
- 3試験・検査組み立てたロボットを試験スペースへ自動搬送し、自動試験と連続運転・検査を行って出荷する設備・企業: ファナック
💴 販売価格と補助金
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| R-2000/E 全8機種 | 公表されていない (見積もり) | 2026-11-06 | fanuc.co.jp |
| 項目 | 額 (円) | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 国・自治体の補助金 | 公表されていない | 製品の案内と発表に補助金の記載はない | fanuc.co.jp |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 直販 | 国内はファナックの支社・支店と中央・名古屋のテクニカルセンタが導入相談・見積もりに応じる | fanuc.co.jp |
| システムインテグレーター | 周辺装置を含むシステムはシステムインテグレーターが組むことが多い。ファナックは標準化したソフトウエアを提供し、システムインテグレーターとの関係を保ちながら収益性を高められる余地があると説明した (2026年7月31日) | fanuc.co.jp |
| 海外 | 米州はファナックアメリカ、欧州はファナックヨーロッパなどの子会社が販売・保守する。中国は合弁会社のシャンハイ・ファナック・ロボティクス (SHANGHAI-FANUC Robotics) が扱う | fanuc.co.jp |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 生涯保守 | ファナックは顧客が商品を使い続ける限り保守する「生涯保守」を掲げる。世界に280以上のサービス拠点を置き、100か国以上で保守する (2026年11月時点) | fanuc.co.jp |
| 修理工場 | 本社地区の修理工場で故障したユニットを修理・再生する | fanuc.co.jp |
| 保守契約 | 保証期間満了後の保守契約と、遠隔で稼働を見守るサービスを国内で案内する。保証の年限は公表されていない | fanuc.co.jp |
| 交換部品 | バッテリー・グリース・ケーブルの定期交換を不要にした (会社発表) | fanuc.co.jp |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 輸出管理 | ファナックのロボットのカタログ (R-2000/Eの例) は、掲載商品が外為法の規制対象で、輸出に政府の許可が要る場合と米国の再輸出規制を受ける場合があると記す | fanuc.co.jp |
| 地域別の売上 (会社全体) | 2026年7〜9月の地域別の売上構成比は国内13.1%、米州27.8%、欧州15.9%、中国以外のアジア14.7%、中国27.4% | fanuc.co.jp |
| 米州 | 2026年9月の米国の展示会IMTSで2台を展示した。米国での販売開始時期は公表されていない | fanuc.co.jp |
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | ロボット部門の連結売上高 | 3,786 | 億円 | 前期比14.9%増。連結売上高の44.1%。事業は単一セグメントで、部門別に開示する | fanuc.co.jp |
| 2026年4〜9月 | ロボット部門の連結売上高 | 1,943 | 億円 | 前年同期比12.6%増 | fanuc.co.jp |
| 2026年3月以降 | R-2000/Eの販売台数 | 公表されていない | 台 | 機種別の台数は開示しない | fanuc.co.jp |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 前身のR-2000シリーズの累計出荷 | 35万台以上 (会社発表) | fanuc.co.jp |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
R-2000/Eは、ファナックのロボットの中でも台数の多い大型機の後継機で、自動車の車体ラインのスポット溶接や物流の搬送を用途に挙げる。速さを最大20%上げ、スポット溶接のサイクルタイムを縮める点を前面に出した。バッテリー、グリース、ケーブルの交換をなくしたのは、工場の保全要員の不足に対応する狙いがある。PythonとROSへの対応を大型機にも広げ、外部のAIとつなぐためのオープン化を小型機に限っていない。ファナックは2026年4〜9月に国内では自動車向けが持ち直し、米州では自動車向けが堅調だったと説明した。機種別の台数と価格は公表されていない。前身は35万台以上が出荷されており、置き換えの対象となる機体は多い。量産開始時期は2026年3月と発表しており、2026年9月の米国の展示会で2台を展示した。
公表されていないこと
- R-2000/Eの販売台数と価格
- 組み立てる工場
- 減速機の供給元
- 米国での発売時期
出所
- 新商品案内 R-2000/Eシリーズ (2025-12-01)
- 大型ロボットの仕様一覧 (2026-11-06)
- R-2000/Eカタログ (2026年9月版) (2026-09-01)
- ファナック 有価証券報告書 第57期 (2026年3月期) (2026-06-22)
- ファナック 2027年3月期第2四半期決算短信 (2026-10-23)
- ファナック 決算説明会資料 (2026年10月23日) (2026-10-23)
- ファナック 工場紹介 (2026-11-06)
- ファナック 決算説明会 質疑要旨 (2026年7月31日) (2026-07-31)
出所との照合日: 2026年11月6日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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