オムロンの画像処理システムFHシリーズ(欠陥抽出AI・AI欠陥学習検査) FH Series
オムロンが工場の外観検査向けに売る画像処理システム。2020年7月に、傷のサンプルを学習させずに傷を検出する欠陥抽出の人工知能 (AI) を載せた。上位のコントローラーに別売のAI欠陥学習検査ソフトを入れると、良品と不良品の画像を学習して合否を判定する。価格は公表されていない。
詳細解説
- 発売
- オムロンは欠陥抽出AIを載せたFHシリーズを2020年7月1日から世界で順次発売すると、2020年6月29日に発表した。 kyodonewsprwire.jp
- 用途
- 人の目に頼っていた製品の外観検査を自動化する。傷・打痕・汚れの検査のほか、位置決め、2次元コードと文字の読み取りにも使う。 fa.omron.co.jp
- AIの機能
- AI欠陥学習検査、AIキズ抽出フィルタ、AIファインマッチングの3つがある。どれを使えるかはコントローラーの機種で決まる。 fa.omron.co.jp
- 機種の切り替え
- FH-5552・FH-5551・FH-2052・FH-L551などは生産中止の予定で、代替機種はFH-5□53 (□は数字)・FH-2053・FH-L552とする。中止の時期は公表されていない。 fa.omron.co.jp
- 会社の主張
- オムロンは、利用者側での学習が要らず人のような感性で傷を抽出するAIとして「業界初」と主張した (2020年6月の自社調べ)。 kyodonewsprwire.jp
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 制御機器の生産拠点 | 滋賀県草津市・京都府綾部市・中国上海 | オムロンは制御機器の生産設備を草津事業所・綾部事業所・上海の子会社に持つ。FHシリーズをどこで造るかは公表されていない。 | disclosure2dl.edinet-fsa.go… |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- 欠陥抽出AI (AIキズ抽出フィルタ)
- 検査員の「背景と違う模様を欠陥とみなす見方」を画像フィルターにした。複雑な背景の上でも、サンプルや調整なしで傷などの欠陥を検出する。 kyodonewsprwire.jp
- AIファインマッチング
- 良品の画像を学習して良品のばらつきを覚え、良品を不良と誤る過検出を減らす。 kyodonewsprwire.jp
- AI欠陥学習検査
- 過検出が出ないように学習用の画像を自動で選び、学習と結果確認の繰り返しを自動化した。同じ画像の組なら同じ学習結果になる。 fa.omron.co.jp
- AI専用の機器が要らない
- AIの計算量を減らし、FHのコントローラーだけで処理する。オムロンはAI専用のハードウエアやAIの技術者が要らないと説明する。 kyodonewsprwire.jp
- 従来の計測との組み合わせ
- AIの判定を従来の規則に基づく計測と組み合わせ、欠陥の箇所を数値で示す。 fa.omron.co.jp
- MDMC (多方向・多色) 照明
- 13ブロックの照射方向と赤・緑・青 (RGB) のフルカラー、128段階の明るさを組み合わせる。品種が変わっても照明を替えず、照らし方の設定を切り替えて対応する。 fa.omron.co.jp
- 短波赤外 (SWIR) カメラ
- 可視光から波長1,700ナノメートルまで撮る。ウエハーを透かして位置合わせのマーク (アライメントマーク) を撮ったり、透明な液体を写したりする。 fa.omron.co.jp
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 高速・大容量コントローラー FH-5552 | インテルのCore i7 (8コア)、メモリー (RAM) 32ギガバイト・記憶装置 (ROM) 128ギガバイト、カメラ2台 (FH-5552-10は4台、-20は8台) | fa.omron.co.jp |
| 高速コントローラー FH-5052 | インテルのCore i7 (8コア)、メモリー8ギガバイト・記憶装置64ギガバイト。AI欠陥学習検査は使えない | fa.omron.co.jp |
| 標準コントローラー FH-2052 | インテルのCeleron (2コア)、メモリー8ギガバイト。AIの機能はAIファインマッチングだけ | fa.omron.co.jp |
| AIのソフト | AI欠陥学習検査ソフト FH-UMLIC-08 (FH-5552・FH-5551に入れる)、キズ抽出AIソフト FH-UMAI1、シミュレーター用ライセンス FH-UDLIC-SIM | fa.omron.co.jp |
| カメラの画素数 | 30万〜2,040万画素。2,040万画素のFH-SC21R・FH-SM21Rは画像の取り込みに42.6ミリ秒 (高速モードでケーブル2本のとき) | fa.omron.co.jp |
| 位置決めの速さ | 2,040万画素カメラで最速12ミリ秒、500万画素で最速2ミリ秒 (オムロン指定の条件での参考値) | fa.omron.co.jp |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| 演算装置 (CPU) | Core i7 (8コア・4コア)・Celeron・Atom 米ナスダック上場 |
インテル | — | 米国 公表されていない |
オムロンが形式表にCPUの品名を載せている A |
| 短波赤外カメラの撮像素子 | IMX990・IMX991 製品ページの表記は「SONY社製」 |
ソニー | 6758 | 日本 公表されていない |
オムロンが製品ページでソニー製の撮像素子を載せると明記している A |
| 可視光カメラの撮像素子 | CMOS (相補性金属酸化膜半導体)・CCD撮像素子 (30万〜2,040万画素) | 公表されていない | — | 公表されていない 公表されていない |
オムロンは形式表で撮像素子の種類と画素数だけを公表している A |
| 照明 | MDMC照明 | オムロン | 6645 | 日本 公表されていない |
オムロンが製品ページでMDMC照明を載せると示している A |
| AIのソフト | FH-UMLIC-08・FH-UMAI1 | オムロン | 6645 | 日本 公表されていない |
オムロンが形式表に別売品として載せている A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1開発オムロンの制御機器事業が開発する。2026年3月期は外観検査を使いやすくする技術を開発した。企業: オムロン
- 2部品の調達CPUはインテル製、短波赤外カメラの撮像素子はソニー製と製品ページに載る。その他の部品の調達先は公表されていない。企業: インテル・ソニー
- 3販売オムロン制御機器の販売店と販売拠点を通じて売る。企業: オムロン・制御機器の販売店
- 4利用者製造業の生産ラインで外観検査や位置決めに使う。オムロンはロボットメーカー各社の製品とつなぐプログラムを無償で公開する。企業: 製造業の利用者
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1生産FHシリーズの製造工程と生産ラインは公表されていない。設備・企業: 公表されていない
- 2利用者の現場での立ち上げオムロンは、AI欠陥学習検査なら人に教えるような手順でAIモデルを作れるため、品種を追加するたびにかかる時間を減らせると説明する。設備・企業: FHのコントローラー
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| コントローラー・カメラ・AIのソフト | 公表していない。標準価格 (税抜) はオムロン制御機器のサイトで利用条件に同意すると照会でき、正式な価格は販売店が示す | 2026-11-07 | fa.omron.co.jp |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 販売店・営業 | 正式な価格と納期は、取引先のオムロン制御機器販売店か営業員に相談する。 | fa.omron.co.jp |
| テスト機の貸し出し | オムロン制御機器のサイトにテスト機を貸し出す窓口がある。 | fa.omron.co.jp |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 生産中止と代替 | 旧世代のCPUを積む機種は生産中止の予定で、代替機種の案内は営業員が行う。 | fa.omron.co.jp |
| 保証と保守 | FHシリーズの保証の年限と保守の契約は公表されていない。 | fa.omron.co.jp |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 世界 | オムロンは欠陥抽出AIの搭載機を2020年7月から世界で順次発売すると発表した。外為法と米国の輸出管理規則 (EAR) の規制に当たるかどうかは、オムロン制御機器が形式ごとの判定の見解書をサイトで配っている。 | fa.omron.co.jp |
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 制御機器事業の外部顧客への売上高 | 4,094億7,800万 | 円 | FHシリーズ単体の売上高は公表されていない | disclosure2dl.edinet-fsa.go… |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 制御機器事業の研究開発費 (2026年3月期) | 247億円 | disclosure2dl.edinet-fsa.go… |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
FHのAIは検査装置のコントローラーの中で動き、AI専用の計算機を工場に置かずに済む。オムロンは2020年の発表で、AIの導入を妨げてきた課題に大量の画像の準備、AI技術者の確保、専用機器の設置を挙げた。欠陥抽出AIは傷のサンプルを要らなくし、AI欠陥学習検査は学習の画像選びを自動化した。どちらも、3つの課題のうち人手の部分を装置の側へ移す設計だ。旧世代のCPUの機種は生産中止の予定で、FH-5□53などの代替機種への切り替えが控える。AI欠陥学習検査を使えるのは上位のFH-5552とFH-5551だけで、AIの機能の有無で上位機と下位機が分かれる。カメラは30万〜2,040万画素をそろえ、短波赤外カメラにはソニー製の撮像素子を使う。
公表されていないこと
- FHシリーズの製造工場
- AI欠陥学習検査のソフトの発売日
- コントローラーとAIのソフトの公表価格
- FHシリーズ単体の売上高と出荷台数
- 可視光カメラの撮像素子のメーカー
- 旧世代の機種の生産中止の時期
出所
- 欠陥抽出AI搭載の画像処理システムFHシリーズを発売 (オムロン) (2020-06-29)
- FHシリーズ 商品の特長 (オムロン制御機器) (2026-11-07)
- FHシリーズ 形式/種類 (オムロン制御機器) (2026-11-07)
- オムロン 有価証券報告書 2026年3月期 (2026-06-22)
- 在庫状況/標準価格 照会 (オムロン制御機器) (2026-11-07)
出所との照合日: 2026年11月7日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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