オムロンの基板外観検査装置VT-S10シリーズ(MDMC撮像・はんだ検査AI) VT-S10 Series
オムロンが電子基板の実装工程向けに売る3次元の外観検査装置。部品ごとに照明を変えるMDMC (多方向・多色) 撮像と、はんだ検査専用の人工知能 (AI) を載せ、2021年8月5日に発売した。現行機はVT-S1080とVT-S1040。価格は公表されていない。
詳細解説
- 発売
- オムロンは2021年8月2日、VT-S10シリーズを8月5日から世界で発売すると発表した。 kyodonewsprwire.jp
- 機種
- 3次元の基板外観検査装置 (AOI) の最上位機VT-S1080、VT-S1040、2.5次元の形状復元を使うVT-Z600を共通の設計でそろえる。 fa.omron.co.jp
- 狙い
- 第5世代移動通信 (5G)・電気自動車 (EV)・自動運転の需要で検査が難しくなった車載用電子基板を検査し、設定を熟練者に頼らず済ませる。 kyodonewsprwire.jp
- 会社の主張
- オムロンは、基板外観検査でのMDMC撮像を「業界初」と主張した (2021年7月の自社調べ)。 kyodonewsprwire.jp
- 需要
- オムロンは2026年4〜6月の受注で、AIサーバー向けの基板検査の需要を取り込んだと説明した。商品別で大きく伸びたのはX線検査装置 (AXI) で、外観検査装置ごとの数字は示していない。 omron.com
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 制御機器の生産拠点 | 滋賀県草津市・京都府綾部市・中国上海 | オムロンは制御機器の生産設備を草津事業所・綾部事業所・上海の子会社に持つ。VT-S10をどこで造るかは公表されていない。 | disclosure2dl.edinet-fsa.go… |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- MDMC照明
- 照射の方位・角度・色・光量を部品やはんだの形に合わせて自動で変え、はんだの形を正確に写す。背の高い部品の影の影響も除く。 kyodonewsprwire.jp
- 位相シフトの3次元計測 (MPS)
- しま模様 (モアレ) を使う位相シフトとMDMC照明を組み合わせ、はんだと部品の形を3次元で復元する。VT-S1040ではオプション。 fa.omron.co.jp
- はんだ検査のAI
- 30年以上の外観検査とはんだ検査の知見を学ばせたAIを、MDMCの定量検査と組み合わせる。オムロンは、ある顧客との実証で目視の工数を85%減らしたとする。 kyodonewsprwire.jp
- AIオートプログラム
- 基板上の部品の形からAIで部品の種類を見分け、検査枠の調整や基準値を自動で設定する。 fa.omron.co.jp
- AIロジック
- サーバーにためた良品画像に注釈を付けてAIモデルを作り、精度を事前にシミュレーションで確かめてから検査に使う。 fa.omron.co.jp
- 品質基準に沿う定量検査
- IATF 16949やIPCの品質基準などの値を検査基準にそのまま当て、熟練者の技量に頼らずに判定する。 fa.omron.co.jp
- 装置どうしの連携 (M2M)
- 印刷機や部品実装機など他社の設備とデータをやり取りし、前の工程の検査基準を自動で直す。オムロンは、ある顧客との実証で不良の発生率を50%以上減らしたとする。 kyodonewsprwire.jp
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| カメラ (VT-S1080) | 真上 (直視) 2,500万画素、斜め (斜視) 500万画素 | fa.omron.co.jp |
| 分解能 | 直視10マイクロメートル (R10仕様) または12.5マイクロメートル (R12仕様)、斜視10マイクロメートル | fa.omron.co.jp |
| 視野 | 直視51.2×51.2ミリ (R10仕様)、52.5×52.5ミリ (R12仕様) | fa.omron.co.jp |
| 対象の基板 | 50×50ミリから510×680ミリ (1レーン)、厚さ0.4〜4ミリ、重さ4キログラムまで | fa.omron.co.jp |
| 高さの計測範囲 | 25.4ミリ (VT-S1080・VT-S1040) | fa.omron.co.jp |
| 外形と質量 | 幅1,180×奥行き1,450×高さ1,500ミリ、約1,240キログラム | fa.omron.co.jp |
| 電源 | 交流200〜240ボルト単相、定格2.0キロボルトアンペア。圧縮空気は要らない | fa.omron.co.jp |
| 設定工数 | 約70%削減 (複数の顧客との実証実験の一例、2021年の会社発表) | kyodonewsprwire.jp |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| カメラ | 直視2,500万画素・斜視500万画素のカメラ | 公表されていない | — | 公表されていない 公表されていない |
オムロンは仕様表で画素数だけを公表している A |
| 照明 | MDMC照明 | オムロン | 6645 | 日本 公表されていない |
オムロンは製品ページで照明を自社独自のものと説明している A |
| 3次元計測の投影部 | 位相シフト (MPS) の投影 | オムロン | 6645 | 日本 公表されていない |
オムロンは製品ページで特許取得済みの自社技術と説明している A |
| 制御機器 | 装置内の制御機器 (オムロン制御技術) | オムロン | 6645 | 日本 公表されていない |
オムロンは製品ページで自社の制御技術を載せると説明している A |
| 印刷検査との連携 | はんだ印刷検査の基準を最適化する機能の使用許諾 装置の部品ではなく連携機能 |
CKD | 6407 | 日本 公表されていない |
オムロンは製品ページで、印刷検査の基準の最適化にCKDのライセンスが要ると明記している A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1開発と販売オムロンの制御機器事業の検査システム事業本部が担う。企業: オムロン
- 2部品の調達カメラなど主要な部品の調達先は公表されていない。企業: 公表されていない
- 3前後の工程との連携はんだ印刷検査 (SPI)・外観検査 (AOI)・X線検査 (AXI) の結果をつなぎ、部品実装機などの設備とも連携する。企業: オムロン・他社の実装設備
- 4利用者電子機器の製造受託会社などが実装ラインで使う。導入例にアローテックスがある。企業: アローテックス
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1生産VT-S10の製造工程と生産ラインは公表されていない。設備・企業: 公表されていない
- 2利用者の実装ライン部品の欠品・ずれ・浮き、はんだの形や、隣の端子とつながるブリッジ、異物などを調べる。フィレット (はんだの裾の形) の検査はリフロー (はんだの加熱) の後の工程で使う。設備・企業: VT-S1080・VT-S1040
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| VT-S1080・VT-S1040・VT-Z600 | 公表していない | 2026-11-07 | fa.omron.co.jp |
| 価格改定 | 公表していない。オムロンは2026年5月以降の発注から一部製品の価格を改めると2026年4月1日に案内した | 2026-04-01 | fa.omron.co.jp |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 直販の営業 | 検査システム事業本部の営業部 (東京都港区港南) と問い合わせの窓口が導入の相談を受ける。営業は東京・名古屋・大阪の3課が受け持つ。 | fa.omron.co.jp |
| サブスクリプション | 一部のサービスを最短1か月、最長1年の期間で、月ごとの支払いで使える。数量は期間の途中で増やせる。商社を通す場合は問い合わせで対応する。 | fa.omron.co.jp |
| デモセンター | 導入前に装置を試すデモセンターを設けている。 | fa.omron.co.jp |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 保守契約 | 保守の契約はグループ会社のオムロン フィールドエンジニアリングが受け持つ。オムロンはプランの例として、X線検査装置VT-X750の年1回の定期点検を挙げる。 | fa.omron.co.jp |
| ソフトの更新 | サブスクリプションの契約者は利用者向けのサイトから更新のファイルを入手し、自分で更新する。 | fa.omron.co.jp |
| 海外の支援 | 国内のほか、海外の主要5拠点の営業とサービスの担当が支援し、顧客の情報を一元管理する。 | fa.omron.co.jp |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 世界 | オムロンは2021年8月に世界で発売すると発表した。2026年は台湾の半導体展示会「セミコン台湾」に出展した。輸出の規制の対象かどうかは公表されていない。 | fa.omron.co.jp |
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 制御機器事業の外部顧客への売上高 | 4,094億7,800万 | 円 | 基板検査装置の売上高は公表されていない | disclosure2dl.edinet-fsa.go… |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 注力事業の指定 | 基板検査装置は、オムロンが2025年11月に定めた13の注力事業の1つ | disclosure2dl.edinet-fsa.go… |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
VT-S10の強みは、照明のMDMCと位相シフトの3次元計測を自社でそろえ、その画像でAIを学ばせる点にある。AIは単独で判定せず、品質基準の値による定量検査と組み合わせて使う。オムロンは、熟練者の勘に頼っていた設定と目視の確認を減らすことを狙いに挙げる。基板検査装置は、オムロンが2025年11月に定めた13の注力事業の1つに入った。オムロンは2026年4〜6月の受注で、AIサーバー向けの基板検査の需要を取り込んだと説明した。ただ商品別で大きく伸びたのはX線検査装置で、外観検査装置の数字は示されていない。オムロンは2026年12月9〜11日のセミコン・ジャパンにも出展すると案内している。装置は約1,240キログラムあり、真上から2,500万画素のカメラで撮る。
公表されていないこと
- VT-S10の製造工場
- VT-S10の価格と販売台数
- カメラなど主要な部品のメーカー
- 輸出の規制の対象かどうか
出所
- 基板外観検査装置VT-S10シリーズを発売 (オムロン) (2021-08-02)
- AOI 基板外観検査装置 VT-S1080/S1040/Z600 (オムロン制御機器) (2026-11-07)
- VT-S1080 定格/性能 (オムロン制御機器) (2026-11-07)
- VT-S1080 商品の特長 (オムロン制御機器) (2026-11-07)
- オムロン検査システム 価格改定のお知らせ (2026-04-01)
- 保守契約 (オムロン制御機器) (2026-11-07)
- SEMICON JAPAN 2026 出展のお知らせ (オムロン制御機器) (2026-11-07)
- 2027年3月期 第1四半期決算説明資料 (2026-08-05)
- オムロン 有価証券報告書 2026年3月期 (2026-06-22)
出所との照合日: 2026年11月7日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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