ACSLのPF4(長距離飛行マルチユースドローン) PF4
ACSLが日本郵便と開発した物流専用機を汎用化した大型のマルチコプター。2025年10月1日に量産を始めた。物流仕様で最大5.5kgを積め、最大積載時の航続距離は40km。1時間10ミリ以下の雨でも飛べる。利用者が物流・測量・空撮の装置を付け替えられる。価格はオープン価格で、代理店が売る。レベル4飛行に要る第一種型式認証は受けておらず、別機種のPF4-CAT3で申請している。
詳細解説
- 開発の経緯
- ACSLは日本郵便・日本郵政キャピタルと2021年6月に資本業務提携し、2022年12月に物流専用の国産ドローンを発表した。その物流機を汎用化したのがPF4だ。 disclosure2dl.edinet-fsa.go…
- 受注と量産
- ACSLは2025年7月22日に受注を始め、10月1日に量産を始めた。 assets.minkabu.jp
- 飛行の区分
- PF4はレベル3.5飛行までが適合範囲で、第一種型式認証は取得していない。ACSLは別機種の「ACSL式PF4-CAT3型」で第一種型式認証を申請していると、2025年7月に発表した。 assets.minkabu.jp
- 多数機の同時運航の実証
- ACSLは2026年2月16日、日本郵便が2月24日〜3月3日に兵庫県豊岡市で行う実証にPF4を2機提供し、運航を支援すると発表した。1機が荷物を運び、1機が土砂崩れなどの巡視をする計画で、同じ型式の2機で2つの用途を同時に飛ばすのは国内で初めてとACSLは説明する。 acsl.co.jp
- インフラ点検への展開
- ACSLは砂防や河川などのインフラの巡視点検でPF4の適用を検証し始めた(中期経営方針、2025年12月23日)。 www2.jpx.co.jp
- 今後の開発方針
- ACSLは物流機について、PF4の機能向上とコスト低減を進め、市場と顧客の要望に応じて新機種の開発を検討する(中期経営方針)。 www2.jpx.co.jp
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 製造拠点 | 公表されていない | PF4をどこで量産するかは公表されていない。 | assets.minkabu.jp | |
| ACSL本社 | 東京都江戸川区臨海町 | ACSLの有価証券報告書の主要な設備は本社(事務所と開発の設備など、賃借)だけで、2020年6月に開発・製造の拠点を本社に統合した。 | disclosure2dl.edinet-fsa.go… |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- 耐環境と航続
- 最大対気速度は秒速25メートルの耐風性能を持ち、物流用途では1時間10ミリ以下の雨でも飛べる。ACSLの説明では、5kgを積んで40km、積まずに50km超を飛び、多回転翼機で最長級の航続性能という。 assets.minkabu.jp
- 冗長性
- 機体内部の重要な機器を二重にした。モーター1個が故障すると対角のモーターを自動で止め、残る4つで着陸する。ACSLは第一種型式認証で求められる冗長性と同等の機能と説明する。 assets.minkabu.jp
- 位置の補正
- 準天頂衛星みちびき(QZSS)のセンチメートル級測位補強サービス(CLAS)を使い、高い精度で離着陸する。 assets.minkabu.jp
- 電池の交換
- 電源を切らずに電池を替えるホットスワップに対応する。 assets.minkabu.jp
- 付け替えられる装置
- 物流・測量・調査・点検・夜間の目視外飛行に合う装置を利用者が自分で付け替えられる。複数の通信会社の携帯電話の通信網(LTE)を同時に使うオプションもある。 assets.minkabu.jp
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 寸法 | アーム展開時2,265mm×2,493mm×624mm(ローター外形を含む)、収納時1,067mm×924mm×624mm | assets.minkabu.jp |
| 機体重量 | 12.1kg(電池なし)、19.4kg(電池込み)、いずれも物流仕様 | assets.minkabu.jp |
| 最大離陸重量 | 24.99kg | product.acsl.co.jp |
| 電池 | 2万mAh×4 | assets.minkabu.jp |
| 最大積載 | 5.5kg(物流仕様)、装置込みで6.1kg | product.acsl.co.jp |
| 最大飛行時間 | 積載なし70分、最大積載時50分 | assets.minkabu.jp |
| 最大航続距離 | 積載なし50km以上、最大積載時40km | assets.minkabu.jp |
| 最大伝送距離 | 2.4GHz運用時4km、LTE運用時は通信圏内で制限なし | assets.minkabu.jp |
| 速度 | 最大対気速度は秒速25メートル、最大飛行速度は秒速20メートル | assets.minkabu.jp |
| 使える気温 | 零下10度〜50度 | product.acsl.co.jp |
| 衛星測位 | 全地球測位システム(GPS)とみちびき、CLAS対応 | assets.minkabu.jp |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| レーザー測量の装置 | Ultra3+(レーザーで地形を測る装置) 標準品ではなく選べる装置 |
イエロースキャン | — | フランス 公表されていない |
ACSLの量産開始の発表によると、付け替えられる装置の一例 A |
| 小型ジンバルカメラ | CX-GB200など | 公表されていない | — | 公表されていない 公表されていない |
ACSLは量産開始の発表で型番だけを公表した A |
| 赤外線と可視光のカメラ | VIO | 公表されていない | — | 公表されていない 公表されていない |
ACSLは量産開始の発表で品名だけを公表した A |
| 電池 | 2万mAhの電池4本 ACSLは電池など一部部品の特定国への依存を減らす方針 |
公表されていない | — | 公表されていない 公表されていない |
ACSLは諸元で容量だけを公表している A |
| モーター・プロペラ・飛行制御装置 | モーターほか | 公表されていない | — | 公表されていない 公表されていない |
ACSLは製品ページと発表で供給元を公表していない A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1共同開発日本郵便・日本郵政キャピタルとの資本業務提携のもとで物流専用機を開発した。企業: 日本郵便、日本郵政キャピタル
- 2量産量産の委託の有無と製造拠点は公表されていない。企業: 公表されていない
- 3販売製品サイトに載る販売代理店が売る。企業: 販売代理店
- 4運航ACSLは物流で、ドローンの運航事業者との提携を深める方針を掲げる(中期経営方針)。企業: 運航事業者
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1量産の工程PF4の組み立てと検査の工程は公表されていない。設備・企業: 公表されていない
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| PF4(物流・測量・空撮の装置は専用キットを別に購入) | オープン価格 | 2025-07-22 | assets.minkabu.jp |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 販売代理店 | 購入の希望や相談は、製品サイトに載る販売代理店に問い合わせる。 | assets.minkabu.jp |
| 通信の契約 | 上空で使う携帯電話の回線(SIM)は、利用者が通信会社と別に契約する。 | assets.minkabu.jp |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 修理 | 製品サイトに修理依頼の窓口がある。保証の年限は公表されていない。 | product.acsl.co.jp |
| 運航の支援 | ACSLは日本郵便の豊岡市の実証で、機体の提供と運航の支援を行うと発表した。 | acsl.co.jp |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 公表されていない | PF4の海外販売は公表されていない。ACSLの海外販売の開示は小型空撮機に限られる。 | www2.jpx.co.jp |
| 全般 | 輸出管理では、PF4が外為法の規制の対象かどうかは公表されていない。 | disclosure2dl.edinet-fsa.go… |
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 小型空撮機以外の機体の販売 | 21台・1億1,300万円 | 台・円 | PF4・AirTruck・PF2などの合計。PF4単独の台数は公表されていない | www2.jpx.co.jp |
| 2026年1〜6月 | 小型空撮機以外の機体の販売 | 33台・2億1,500万円 | 台・円 | 同じ区分の合計 | www2.jpx.co.jp |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 社会インフラの維持・管理の売上目標 | 2028年12月期10億円(PF4を含む物流・点検の顧客向け、中期経営方針) | www2.jpx.co.jp | |
| 社会インフラの維持・管理の売上高 | 2億6,186万円(2026年1〜6月) | disclosure2dl.edinet-fsa.go… |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
PF4は、日本郵便と2021年から進めた物流機の共同開発の成果を汎用機にしたものだ。量産開始の時点でPF4自体はレベル3.5飛行までの機体で、有人地帯の上空を飛ぶには別機種PF4-CAT3の型式認証を待つ必要がある。ACSLはPF4単独の販売台数を開示しておらず、小型空撮機以外の機体は2026年1〜6月で33台・2億1,500万円だった。ACSLが発表したPF4の物流の取り組みは日本郵便との実証が中心で、豊岡市の多数機の同時運航は人件費を下げるための検証と位置付けられた。ACSLは用途を物流に絞らず、測量やインフラの巡視にも売り込む。日本郵政キャピタルはACSLの筆頭株主で、2025年12月末に6.98%を持つ。ACSLは社会インフラの維持・管理の売上高を2028年12月期に10億円とする目標を掲げ、PF4はその柱の1つになる。
公表されていないこと
- PF4の量産の委託先と製造拠点は公表されていない
- PF4単独の販売台数と売上高は公表されていない
- PF4-CAT3の第一種型式認証の取得時期は公表されていない
- 豊岡市の実証の結果は公表されていない
- モーター・電池・飛行制御装置の供給元は公表されていない
出所
- ACSL、長距離飛行マルチユースドローン「PF4」の量産を開始 (2025-07-22)
- 製品サイト マルチユースドローン PF4 (2026-11-06)
- PF4による多数機同時運航実証を日本郵便と共同実施 (2026-02-16)
- ACSL 有価証券報告書 第14期 (2025年12月期) (2026-03-31)
- ACSL 半期報告書 (2026年12月期中間期) (2026-08-14)
- 2026年12月期 第2四半期決算説明資料 (中期経営方針の再掲を含む) (2026-08-14)
出所との照合日: 2026年11月6日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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