いすゞの自動運転レベル4路線バス(ティアフォー・エヌビディアと開発) Isuzu Level 4 Autonomous Bus
いすゞが大型路線バス「エルガ」と電気バス「エルガEV」をもとに開発する、特定の条件のもとで無人で走る自動運転レベル4のバス。運転のソフトはティアフォー、演算装置はエヌビディアのDRIVE AGX Thorを使う。神奈川県平塚市での実証を経て、2027年度に路線バス事業を始める計画を掲げる。価格は公表されていない。
詳細解説
- 開発の発表
- ティアフォーといすゞは2026年3月17日、エヌビディアと共同で自動運転レベル4バスを実用化すると発表した。車両はエルガとエルガEVを使う。 isuzu-global.com
- 提携の始まり
- いすゞは2024年3月6日、ティアフォーに60億円を出資し、路線バスの自動運転システムの開発で資本業務提携を結ぶと発表した。 isuzu-global.com
- 平塚での実証
- いすゞは2024年1月19日、平塚市・神奈川中央交通などと6者で連携協定を結んだ。2024年1月の第1期からディーゼルのエルガを使い、2024年12月からは既存の路線と同じ約4.3キロメートルのルートで走らせた。いずれも運転士が乗る自動運転レベル2の実証。 city.hiratsuka.kanagawa.jp
- エルガEV自動運転バス
- エルガEVをもとにした「エルガEV自動運転バス」は、平塚市の2025年度の実証 (2025年12月16〜26日、2026年1月8〜21日のうち20日間) に使われた。2025年10月中旬から準備走行を始め、同月のジャパンモビリティショーで初めて公開した。 city.hiratsuka.kanagawa.jp
- 平塚の次の実証
- 平塚市は2026年度の実証を下半期に予定している。2026年6月26日には、国の自動運転社会実装推進事業の重点支援事業に平塚市が採択された。 city.hiratsuka.kanagawa.jp
- 事業化の目標
- いすゞは2027年度に平塚駅南口の実証路線で自動運転路線バス事業を始め、その後に他の路線や地域へ広げる計画を示す。この進め方を「平塚モデル」と呼ぶ。 isuzu-global.com
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| ジェイ・バス宇都宮工場 | 栃木県宇都宮市 | いすゞはエルガEVの製造をジェイ・バスに委託し、ジェイ・バスが宇都宮工場で2024年11月に量産を始めた。ジェイ・バスはいすゞと日野自動車が50%ずつ出資するバス製造会社 (2024年11月時点)。 | isuzu-global.com | |
| 自動運転システムの組み付け | 公表されていない | 自動運転の装置をどこで車両に組み付けるかは公表されていない。 | isuzu-global.com |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- ソフトウエア
- ティアフォーがオープンソースの自動運転ソフト「Autoware」をもとに開発したソフトの一式を使う。 isuzu-global.com
- 演算の基盤
- エヌビディアのレベル4車両向けの開発基盤「DRIVE Hyperion」をもとに、冗長性を確保するためにDRIVE AGX ThorのSoC (システム・オン・チップ) を載せる。 isuzu-global.com
- いすゞの役割
- いすゞは車両の設計技術を担い、通常時と緊急時の車両制御の技術と、顧客の使用実態の知見を自動運転に生かすと説明する。 disclosure2dl.edinet-fsa.go…
- 周囲の認識
- エルガEV自動運転バスは、カメラ、LiDAR (光で距離を測るセンサー)、ミリ波レーダーで周囲を認識し、各部品を協調させる車両統合制御で走る。 isuzu-global.com
- 実証の成果
- 約3年の実証で自動運転率は83.8%から96.5%に上がり、1便あたりの運転士の介入は6.4回から1.7回に減った (いすゞ発表)。 isuzu-global.com
- 運行の新しい試み
- 2025年度の実証では、運賃の完全キャッシュレス化、夜間の運行、人工知能 (AI) によるドアの監視と開閉も試した。 isuzu-global.com
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| DRIVE AGX Thor の性能 | 最大2,000テラフロップス (TFLOPS、1テラフロップスは1秒に1兆回の浮動小数点演算)。自動車の機能安全の規格で最も厳しい水準 (ASIL-D) に準拠する | isuzu-global.com |
| 実証車の型式 | ZAC-LV828L1 (エルガEV自動運転バス、参考値) | isuzu-global.com |
| 実証車の大きさ | 全長1万740ミリ、全幅2,485ミリ、全高3,330ミリ、ホイールベース4,990ミリ (参考値) | isuzu-global.com |
| 実証車の動力 | 交流誘導電動機2基で最大出力250キロワット、最大トルク960ニュートンメートル。リチウムイオン電池242キロワット時 (社内参考値)、急速充電はCHAdeMO方式 | isuzu-global.com |
| 実証車のセンサー | 自動走行用のLiDAR 8台、ミリ波レーダー6台、カメラ11台。遠隔監視用は既設のカメラ8台に複数台を足した。位置の推定に全球測位衛星システム (GNSS) と慣性計測装置 (IMU) を使う | isuzu-global.com |
| 実証車の乗車定員 | 68人 (運転席を含め座席は20席) | isuzu-global.com |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| 車載の演算装置 | DRIVE AGX Thor (DRIVE Hyperionに基づく) 米ナスダック上場 |
エヌビディア | — | 米国 公表されていない |
ティアフォーといすゞの2026年3月17日の共同発表 A |
| 自動運転のソフトウエア | Autowareをもとにしたソフトの一式 未上場。いすゞが2024年に60億円を出資 |
ティアフォー | — | 日本 公表されていない |
ティアフォーといすゞの2026年3月17日の共同発表 A |
| ベースの車両 | エルガ・エルガEV 製造はジェイ・バスに委託 |
いすゞ自動車 | 7202 | 日本 ジェイ・バス宇都宮工場 (エルガEV) |
いすゞの発表 (2026年3月17日・2024年11月25日) A |
| LiDAR・ミリ波レーダー・カメラ | LiDAR 8台・ミリ波レーダー6台・カメラ11台 (平塚の実証車) | 公表されていない | — | 公表されていない 公表されていない |
いすゞは台数だけを公表している A |
| 走行用電池 | リチウムイオン電池 242キロワット時 (実証車) | 公表されていない | — | 公表されていない 公表されていない |
いすゞは容量と種類だけを公表している A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1ソフトウエアティアフォーがAutowareをもとにしたレベル4のソフトを開発する。企業: ティアフォー
- 2演算装置エヌビディアがDRIVE HyperionとDRIVE AGX Thorを提供する。企業: エヌビディア
- 3車両いすゞがバスを設計し、ジェイ・バスが製造する。企業: いすゞ自動車・ジェイ・バス
- 4運行 (実証)平塚の実証では、ティアフォーといすゞが自動運転システムを開発し、神奈川中央交通が運行する。企業: 神奈川中央交通
- 5協定の参加者平塚市、神奈川中央交通、三菱商事、いすゞ、アイサンテクノロジー、A-Driveの6者が連携協定を結んでいる。企業: 平塚市・神奈川中央交通・三菱商事・アイサンテクノロジー・A-Drive
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1車両の製造エルガEVはジェイ・バス宇都宮工場で量産する。自動運転の装置を組み付ける工程は公表されていない。設備・企業: ジェイ・バス
- 2評価いすゞは北海道むかわ町の試験場に自動運転専用のテストコースを設ける計画で、2027年9月の本格稼働を目指す。バス停や信号機、連節バスにも対応するコースにする。設備・企業: いすゞ北海道試験場
💴 販売価格と補助金
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 自動運転レベル4バス | 公表していない | 2026-11-08 | isuzu-global.com |
| 項目 | 額 (円) | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| city.hiratsuka.kanagawa.jp |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 公表されていない | いすゞはバス事業者に、自動運転システムを載せた路線バスのサービスを提供する方針を示すが、販売の形と窓口は公表されていない。 | isuzu-global.com |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 遠隔監視 | いすゞは、運行と自動運転システムの状態を遠隔で監視し、異常時に特定自動運行主任者へ知らせる仕組みを組み合わせると説明する。 | isuzu-global.com |
| 保守の条件 | 自動運転バスの保証や保守の条件は公表されていない。 | isuzu-global.com |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 日本 | いすゞは日本の公共交通向けに開発すると説明する。海外への提供と輸出規制の対象かどうかは公表されていない。 | isuzu-global.com |
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年11月8日時点 | 商用運行の台数 | 公表されていない | 台 | 実証の段階 | isuzu-global.com |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| ティアフォーへの出資 | 60億円 (2024年3月6日発表) | isuzu-global.com | |
| 自動運転専用テストコースの投資総額 | 約74億円 (2025年8月28日発表、バスとトラックの共用) | isuzu-global.com |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
平塚の実証は2024年1月にディーゼルのエルガで始まり、2025年度から電気のエルガEVに替わった。約3年で自動運転率は96.5%まで上がったが、運転士が乗るレベル2の実証の数字だ。いすゞは車体と車両制御を受け持ち、運転のソフトはティアフォー、演算装置はエヌビディアから調達する。ティアフォーには60億円を出資しており、ソフトの開発元とは資本でもつながる。2027年度の事業開始には、無人で走るための国の許可と、遠隔監視の体制が要る。平塚市は2026年度の実証を下半期に予定し、国の重点支援事業の採択も受けた。むかわ町のテストコースは本格稼働が2027年9月で、事業開始の年度と重なる。平塚の路線で無人運行を始める日は、まだ発表されていない。
公表されていないこと
- 自動運転バスの価格と、バス事業者への提供の形は公表されていない。
- 平塚の路線でレベル4の無人運行を始める日は公表されていない。
- センサーと走行用電池の供給元は公表されていない。
出所
- ティアフォーといすゞ、NVIDIA DRIVE Hyperionを搭載した自動運転レベル4バスを実装へ (2026-03-17)
- いすゞとティアフォーが資本業務提携 (2024-03-06)
- いすゞ、神奈川県平塚市の自動運転バス実証実験に「エルガEV 自動運転バス」を提供 (2025-10-22)
- 自動運転バス実証実験 (平塚市) (2026-06-30)
- 路線バスの自動運転 (いすゞ) (2026-11-08)
- エルガEVの量産がスタート (2024-11-25)
- 自動運転システムの全体像 (いすゞ) (2026-11-08)
- 国内商用車メーカー初の自動運転専用テストコースを北海道むかわ町に新設 (2025-08-28)
- いすゞ自動車 有価証券報告書 2026年3月期 (2026-06-23)
出所との照合日: 2026年11月8日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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