Sakana AIのSakana Fugu(複数のLLMを使い分けるモデル) Sakana Fugu
複数の大規模言語モデル (LLM) を呼び出して分担させ、1つの答えにまとめるモデル。司令塔の小さな言語モデルが、いつ、どのモデルに任せるかを判断する。2026年6月22日に一般提供を始め、9月11日に低価格のFugu Maxと上位のFugu Ultra v2を出した。オープンAIのAPI (ソフト同士をつなぐ仕組み) と同じ形式で使え、料金は100万トークンあたりの従量課金と月額の定額制がある。
詳細解説
- ベータ版
- 2026年4月24日に試験利用者の募集を始めた。社内の研究者・技術者が使ってきたツールを社外に公開した sakana.ai
- 一般提供
- 2026年6月22日にFuguとFugu Ultraの2つで一般提供を始めた。ベータには500人近くが参加した sakana.ai
- Fugu Cyber
- サイバー防御向けのFugu Cyberを2026年7月21日に出した。利用には用途を書いた申請と審査が要る sakana.ai
- Fugu Ultra v1.1
- 2026年7月24日に更新し、性能を最大7.9ポイント上げた。同日にアンソロピックのClaude Codeから呼び出せる接続先 (エンドポイント) を加えた sakana.ai
- Fugu Max・Fugu Ultra v2
- 2026年9月11日に出した。Fugu Maxは費用を抑える版、Fugu Ultra v2は性能を優先する版 sakana.ai
- 企業向けのAPI利用サービス
- 組織単位で利用者・利用量を管理できるSakana API Platformの先行利用を2026年10月28日に始めた。まずFuguとFugu Ultraを提供する sakana.ai
- 外部の仲介サービス
- 米オープンルーター、米バーセルのAIゲートウエイでも呼び出せる (製品ページ) sakana.ai
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 工場はない (ソフトウエア) | 東京都港区麻布台 (本社・開発拠点) | 司令塔のモデルの学習と提供を本社のチームが担う。学習と推論に使う計算資源の提供元・GPU (画像処理半導体) の台数は公表されていない | sakana.ai |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- 2層の構造
- 協調の仕方を学習させた司令塔役の小さなモデルと、実際に答えを作るモデル群からなる。モデル群にはパラメーター (変数) 数が数千億の最先端のモデルも入る sakana.ai
- 呼び出し先の選び方
- 標準のFuguでは、司令塔のモデルの内部の情報をもとに、小さな判定用の層がどのモデルを呼ぶかを点数で決める。役割の割り振りを省いて待ち時間を短くした arxiv.org
- 学習の方法
- 標準のFuguは大規模な教師ありの追加学習の後に進化的アルゴリズムで、Fugu Ultraは強化学習で学習させる (Sakana Fugu技術報告) arxiv.org
- 土台の研究
- 国際会議ICLR 2026 (表現学習国際会議) の論文Trinity (思考・実行・検証の役割を割り振る) とConductor (強化学習で協調の型を見つける) を発展させた sakana.ai
- 司令塔の土台
- これまでアリババの公開モデルQwenを土台にしてきた。グーグルのGemma 4 (E2B) を土台にしても同等の性能が出ることを2026年8月10日に示した sakana.ai
- 呼び出し先の入れ替え
- 提供元が利用を止めても別のモデルに切り替えられる設計。新しいモデルが公開されると、約2週間の学習と評価を経て組み込む sakana.ai
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 品ぞろえ | Fugu (標準)・Fugu Ultra (v2.0)・Fugu Max (v1.0)・Fugu Cyber (v1.0) | sakana.ai |
| 呼び出し方 | オープンAIのAPIと同じ形式。Claude Codeと同じ形式の接続先もある | sakana.ai |
| 扱える文脈の長さ | 100万トークン (米オープンルーターの掲載値) | openrouter.ai |
| Fugu Ultraの評価 (会社発表) | 端末操作の課題を解く能力を測るTerminal Bench 2.1で正答率82.1%、GPQA-Diamond (大学院水準の科学の設問) で95.5% (技術報告の図4、2026年6月) | arxiv.org |
| Fugu Ultra v2の評価 (会社発表) | 8つの評価のうち5つで単独または同率の首位。Fable 5、Fable 5.1、GPT-6-Astraは呼び出し先のモデルに使っていない | sakana.ai |
| Fugu Cyberの評価 (会社発表) | 脆弱性の確認を測るCyberGymで成功率86.9%、脅威情報から検知規則を作るCTI-REALMで72.1% | sakana.ai |
| 呼び出し先の除外 | 標準のFuguは管理画面で特定のモデルを外せる。Fugu UltraとFugu Maxは呼び出し先が固定 | sakana.ai |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| 司令塔のモデルの土台 | Qwen (従来版) 公開モデル。型番は公表されていない |
アリババ | — | 中国 公表されていない |
Gemma 4版の検証の発表 A |
| 司令塔のモデルの土台 (検証版) | Gemma 4 E2B 米ナスダック上場のアルファベット傘下 |
グーグル | — | 米国 公表されていない |
Gemma 4版の検証の発表 A |
| 呼び出し先のモデル (学習時の例) | Gemini 3.1 Pro・Claude Opus 4.8・GPT-5.5 製品版の呼び出し先の全体は公表されていない |
グーグル・アンソロピック・オープンAI | — | 米国 公表されていない |
技術報告の学習設定 A |
| 呼び出し先のモデル (公開モデル) | Nemotron 米ナスダック上場 |
エヌビディア | — | 米国 公表されていない |
エヌビディアとの協業の発表とFugu Maxの発表 A |
| 計算資源 | 公表されていない | 公表されていない | — | 製品ページと技術報告に記載がない A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1モデルの提供外部の会社のモデルと公開モデルが呼び出し先になる企業: グーグル・アンソロピック・オープンAI・エヌビディアほか
- 2司令塔の学習Sakana AIが司令塔のモデルを学習させ、呼び出し先の組み合わせを決める企業: Sakana AI
- 3販売自社の管理画面のほか、外部の仲介サービスからも呼び出せる企業: Sakana AI・オープンルーター・バーセル (仲介サービス)
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1製造ラインはないソフトウエアで、製造工程はない。新しいモデルの組み込みは約2週間の学習と評価を経て順に提供する
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| Fugu Ultra v2 (従量課金) | 100万トークンあたり入力5ドル・出力30ドル・キャッシュ済み入力0.50ドル。文脈27万2,000トークン超は入力10ドル・出力45ドル | 2026-11-06 | sakana.ai |
| Fugu Max (従量課金) | 100万トークンあたり入力2ドル・出力6ドル・キャッシュ済み入力0.25ドル。ウェブ検索は1回0.007ドル | 2026-11-06 | sakana.ai |
| Fugu (従量課金) | 2027年1月5日まで、処理に使った呼び出し先のうち最も高いモデルの料金。それ以降は入力5ドル・出力25ドル (文脈27万2,000トークン以上は7ドル・35ドル) の固定 | 2026-11-06 | sakana.ai |
| Fugu Cyber | 公表していない。営業窓口に問い合わせる | 2026-11-06 | sakana.ai |
| 定額制 (Standard・Pro・Max) | 月20ドル・100ドル・200ドル。Proは利用枠がStandardの10倍、Maxは20倍 | 2026-11-06 | sakana.ai |
| 税の扱い | 製品ページに税の扱いの記載はない。料金は米ドルで示す | 2026-11-06 | sakana.ai |
🛒 購入方法
🛠️ アフターサービス・保守サービス
🌏 海外輸出
📈 販売の実績
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| Fugu Maxの出力料金の水準 | アンソロピックのSonnet 5、オープンAIのGPT 5.6 Terra、ムーンショットAIのKimi K3より40〜60%低い (会社発表) | sakana.ai |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
Sakana AIはFuguで、自前の大型モデルを持たずに、他社のモデルの使い分けを学習させたモデルを売る。性能の土台は呼び出し先のモデルにあり、提供元の値上げや利用の制限は原価と品ぞろえに直接響く。
Sakana AIはこの弱点を、呼び出し先を入れ替えられる設計で売りに変えた。6月の一般提供から3か月で、サイバー防御向けのFugu Cyberと低価格のFugu Maxを足し、Fugu Ultraを2回更新した。Fugu Maxでは公開モデルを増やし、出力料金をアンソロピックのSonnet 5など似た価格帯のモデルより40〜60%低くした (会社発表)。
標準のFuguは2027年1月から、呼び出し先のモデルや数によらない固定料金に改める。
Sakana AIは8月、司令塔の土台をQwenからGemma 4に替えても性能を保てると示した。土台を選べるようにするのは、国内の用途ごとに求められる「ソブリン性」(自国で管理できること) の要件に合わせるためだと説明する。
公表されていないこと
- 製品版の呼び出し先モデルの全体と、組み合わせの比率
- 学習と推論に使う計算資源の提供元とGPUの台数
- Fuguの売上高と利用企業の数
- Fugu Cyberの料金
出所
- Sakana Fugu 製品ページ (2026-11-06)
- Sakana Fugu: One Model to Command Them All (2026-06-22)
- Sakana Fugu ベータ開始 (2026-04-24)
- Fugu-Cyber (2026-07-21)
- Fugu-Ultra v1.1 and Claude Code interface (2026-07-24)
- Gemma 4版 Sakana Fuguの検証 (2026-08-10)
- Fugu Max and Fugu Ultra v2 (2026-09-11)
- Sakana Fugu Technical Report (arXiv 2606.21228) (2026-06-19)
- Sakana API Platform アーリーアクセス (2026-10-28)
- オープンルーターのFugu Ultraの掲載 (2026-11-06)
出所との照合日: 2026年11月6日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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