キオクシアAiSAQ(SSDを使う生成AI向けベクトル探索ソフト) KIOXIA AiSAQ (All-in-Storage ANNS with Product Quantization)
生成AI の RAG (検索拡張生成) で使うベクトルデータベースの索引を、DRAM ではなく SSD に置くソフトウエア。サーバーのメモリ使用量を抑える近似最近傍探索 (ANNS) の技術だ。キオクシアが2025年にオープンソースで公開し、無償で GitHub から入手できる。2026年3月17日には1台のサーバーで48億個の1,024次元ベクトルを検索したと発表した。エヌビディアのライブラリー cuVS を使う画像処理半導体 (GPU) で、索引の構築は最大20倍速くなった。キオクシアはこれを自社 SSD の需要を広げる技術と位置づけ、1兆ベクトル規模への拡張を目標に開発を続ける。
詳細解説
- 製品の区分
- SSD を活用した生成AI 用ベクトル探索ソフトウエア。近似最近傍探索 (ANNS) の技術で、索引データを SSD から直接読み、DRAM の使用量を抑える。オープンソースとして公開 kioxia.com
- 2026年3月の実証
- 1台のサーバーで48億個のベクトルの高次元 (1,024次元) 検索を実現。エヌビディアの cuVS ライブラリーで GPU を使い、索引構築時間を最大20倍 (CPU の28.4日から Hopper 世代の GPU 4基で1.4日)、全体の構築時間を最大7.8倍 (31日から4日) 短縮。処理したベクトルデータは計19.66TB kioxia.com
- 設計の考え方
- 10億個規模のベクトルを DRAM だけで運用するのは現実的でなく、数百億個に迫るデータは SSD 上での運用に移るとキオクシアは説明。ハイブリッドクラスタリングとグラフ検索を組み合わせたグローバルインデックスのアルゴリズムで、複数の利用者が共有する環境と大規模な単一索引の両方に向く kioxia.com
- 応用例
- 椿本チエイン・EAGLYS と共同で物流工程の商品を自動判別する画像認識システムを開発し、AiSAQ を提供 (2025年12月)。Milvus データベース環境で1台の検索用サーバーが数十億規模の検索を行い RAG の応答時間の要件を満たした (会社発表) ssl4.eir-parts.net
- 位置づけ
- 有価証券報告書は、CM9/CD9P・LC9 の製品群に AiSAQ の技術を組み合わせることでシステム全体の性能向上に寄与すると記す。投資家向け説明会 (Investor Day 2026、2026年6月2日) では CMX・Storage-Next とともに「DRAM 容量に依存しない大規模 RAG」の要素 ssl4.eir-parts.net
- 今後
- 48億ベクトルを超える大規模展開、1兆ベクトル規模のデータベース展開に向けて開発を続けるとキオクシアは説明 (会社の目標) kioxia.com
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 該当なし (ソフトウエア) | 開発拠点は公表されていない | ソフトウエアのため製造工場はない。SSD 事業部 (常務執行役員 SSD 事業部長 横塚賢志) が発表の主体。SSD ソフトウエアの研究開発はイスラエル・英国の子会社も担う (有価証券報告書) | kioxia.com · ssl4.eir-parts.net |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- SSD 上の索引
- ベクトルデータベースの索引を SSD に置き、必要な部分だけ読み出す。DRAM の制約を外し、サーバー1台で扱えるベクトル数を増やす kioxia.com
- 探索アルゴリズム
- ハイブリッドクラスタリングとグラフ検索を組み合わせたグローバルインデックス。性能とベクトル数の拡張性のバランスを調整できる kioxia.com
- GPU による索引構築
- エヌビディアの cuVS ライブラリーで GPU を使い、1,024次元ベクトルの索引構築時間を最大20倍短縮 kioxia.com
- 公開の形
- 公開先のリポジトリ名は aisaq-diskann (GitHub)。SSD 向けには別に、RocksDB で SSD の寿命と性能を上げるプラグインもオープンソースで公開した (2025年10月、有価証券報告書) ssl4.eir-parts.net
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 実証規模 (2026年3月) | 48億ベクトル、1,024次元、1台のサーバー、データ量19.66TB | kioxia.com |
| 索引構築時間 | CPU 28.4日 → GPU 4基で1.4日 (最大20倍)。全体では31日 → 4日 (7.8倍) | kioxia.com |
| 提供形態 | オープンソース (GitHub kioxia-jp/aisaq-diskann) | github.com |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| ソフトウエア本体 | KIOXIA AiSAQ (aisaq-diskann) 持株会社キオクシアホールディングスの東証コードは285A |
キオクシア 自社開発・オープンソース公開 |
— | 日本 | 会社発表と GitHub の公開先 A |
| GPU ライブラリー (索引構築) | NVIDIA cuVS 海外上場: NASDAQ NVDA |
エヌビディア | — | 米国 | 会社発表「NVIDIA cuVS を通じて GPU アクセラレーションを活用」 A |
| 実証に使った GPU | Hopper 世代の GPU 4基 | エヌビディア | — | 米国 | 会社発表の注記 A |
| ベクトルデータベース (検証環境) | Milvus | オープンソース 開発元は非記載 |
— | 会社発表「Milvus データベース環境において」 A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1開発キオクシアの SSD 事業部が開発し、オープンソースとして公開企業: キオクシア
- 2協業エヌビディアと GPU による索引構築の高速化で協業。椿本チエイン・EAGLYS に物流向けシステムで提供企業: エヌビディア・椿本チエイン・EAGLYS
- 3配布GitHub で無償配布。利用者が自らのサーバーと SSD で動かす企業: 利用者
- 4収益化ソフト自体は無償。SSD (CM・LC シリーズ) の需要を広げる技術として位置づける企業: キオクシア
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1該当なし (ソフトウエア)製造工程はない。コードは GitHub で公開し更新する設備・企業: キオクシア
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| KIOXIA AiSAQ | 無償 (オープンソース)。有償サポートの有無は公表されていない | 2026-11-01 | kioxia.com |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| GitHub | kioxia-jp/aisaq-diskann から入手 | github.com |
| 法人向け相談 | SSD との組み合わせや実証は ESSP (サンプル・遠隔アクセスの評価プログラム) で相談できる | kioxia.com |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| サポート | オープンソースのため公式の保守契約は公表されていない。ソースコードと文書は GitHub で公開 | github.com |
| 解説資料 | AI 向けストレージの解説ページで AiSAQ の概要と資料 (英語 PDF) を公開 | kioxia.com |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 全世界 | GitHub で公開しているため国を問わず入手できる。輸出管理上の取り扱いは公表されていない | github.com |
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | AiSAQ による売上 | なし (無償公開) | SSD 販売を通じた間接的な効果の数字は公表されていない | kioxia.com |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 開発目標 | 1兆ベクトル規模のデータベース展開 (会社の目標) | kioxia.com |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
AiSAQ はキオクシアが売る物ではなく、SSD を RAG の基盤に使ってもらうための無償ソフトだ。DRAM に収まらない規模のベクトル検索を SSD で行う考え方は、キオクシアが掲げる「ストレージを GPU の拡張メモリとして使う」方針と同じ向きにある。2026年3月の48億ベクトルの実証は、エヌビディアの GPU ライブラリーを使った成果として発表された。売上への寄与は測れず、採用事例も椿本チエイン・EAGLYS の物流システムなど限られる。製品ではないが、CM・LC シリーズの需要を説明する土台になる技術だ。1兆ベクトル規模への拡張は会社の目標であり、2026年11月時点の実績は48億ベクトルまでだ。次の確認点は、ベクトルデータベースの提供元や大手クラウド事業者が AiSAQ を組み込んだと発表するかどうかにある。
公表されていないこと
- AiSAQ の採用企業数・ダウンロード数は公表されていない
- 開発拠点と開発体制の規模は公表されていない
- 有償サポートや商用ライセンスの有無は公表されていない
- DiskANN を土台にしているかは会社資料に記述がない (リポジトリ名 aisaq-diskann からの推定にとどまる)
出所
- 単一サーバー上で48億個の高次元ベクトル検索データベースを実現 (2026-03-17)
- KIOXIA AiSAQ 公開先 (GitHub) (2026-11-01)
- AI を支えるストレージの解説ページ (キオクシア) (2026-10-23)
- キオクシアホールディングス 有価証券報告書 2026年3月期 (2026-06-24)
- Investor Day 2026 プレゼンテーション資料 (スクリプト付き) (2026-06-02)
- SSD 製品一覧 (ESSP) (2026-11-01)
出所との照合日: 2026年11月1日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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