キオクシアUFS・e-MMC(スマートフォン・組み込み機器向け) KIOXIA UFS 5.0 / 4.1 / 3.1 and e-MMC Embedded Flash Memory
スマートフォンやタブレット、ゲーム機などに組み込む、キオクシアの制御機能付きフラッシュメモリ。BiCS FLASH と自社コントローラーを、半導体の標準化団体 JEDEC の規格の1パッケージに収める。エラー訂正やウエアレベリング (書き込み回数の平準化) はメモリ側で行う。最新の UFS 5.0 (512GB・1TB) は理論上毎秒10.8GB のインターフェースを持つ。2026年7月29日にサンプル出荷を始め、量産は2026年中の予定。UFS 4.1 には QLC 版もある。低容量向けには e-MMC 5.1 (64GB・128GB) の供給を続ける。この製品群を含む「スマートデバイス」の売上は2026年3月期に7,600億円。価格は公表していない。
詳細解説
- 製品の区分
- 組み込み式フラッシュメモリ。「スマートデバイス」用途 (スマートフォン・タブレット・テレビ等の民生機器、車載、産業機器) 向けの制御機能付きメモリ製品。スマートフォン向けは規模が大きく成長している重要市場とキオクシアは位置づける ssl4.eir-parts.net
- UFS 5.0
- JEDEC UFS 5.0 準拠。MIPI M-PHY 6.0 HS-Gear6 と UniPro 3.0 で理論上最大毎秒10.8GB (1レーン毎秒46.6Gbit、2レーン)。連続読み出し最大毎秒10GB、連続書き込み最大毎秒9.0GB、UFS 4.1 比で読み出し123%・書き込み113%向上 (会社試験)。自社開発コントローラーと第8世代 BiCS FLASH。7.5×13mm BGA (格子状の端子のパッケージ)。512GB・1TB。2026年2月24日に評価サンプル (512GB。1TB は3月以降)、7月29日にサンプル出荷開始、量産は2026年中の予定 kioxia.com · kioxia.com
- UFS 4.1 (第8世代 TLC)
- 2025年7月9日サンプル出荷。256GB・512GB・1TB。前世代 (UFS 4.0) 比で不規則な書き込み約30%、不規則な読み出し約35〜45%向上、電力効率は読み出し約15%・書き込み約20%改善 (会社試験)。9×13mm BGA、1レーン毎秒23.2Gbit kioxia.com
- UFS 4.1 QLC 版
- 2026年1月28日サンプル出荷。第8世代 BiCS FLASH QLC、512GB・1TB。前世代 QLC UFS (第6世代) 比で連続書き込み約25%、不規則な読み出し約90%、不規則な書き込み約95%向上、パッケージを11×13mm から9×13mm に縮小 (会社発表) kioxia.com
- UFS 3.1・e-MMC
- UFS 3.1 は128〜512GB、11×13mm 153ボール BGA。e-MMC は JEDEC 5.1 準拠の64GB・128GB で、UFS に移行していない低容量の機器向け kioxia.com
- 用途の広がり
- UFS 5.0 はオンデバイス AI を載せた高級スマートフォンのほか、AI タブレット、ゲーム機、AR/VR 機器、ロボット、監視カメラ、産業用エッジ機器にも向けるとキオクシアは説明。大規模言語モデルや RAG のデータベースを端末に置く用途を想定 kioxia.com
- QLC の方針
- 有価証券報告書は、HDD では対応できない性能領域で拡大が見込まれる QLC (1セル4ビット) 製品の開発と市場展開を進めると記す。QLC の UFS 4.1 (2026年1月サンプル) はこの方針に沿う ssl4.eir-parts.net
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| NAND の前工程 | 三重県四日市市・岩手県北上市 | 搭載する第8世代 BiCS FLASH を生産 | ssl4.eir-parts.net | |
| パッケージ (後工程) | 公表されていない | NAND とコントローラーを1つの BGA に封止する後工程は外部委託。有価証券報告書は2022年時点でメモリ製品の組立工程を上海の後工程工場に委託していたと記し (都市封鎖で一時閉鎖)、台湾子会社 (キオクシア半導体台湾) が委託品の生産管理を行う。委託先の社名と現在の全委託先は公表されていない | ssl4.eir-parts.net |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- コントローラー内蔵
- エラー訂正 (ECC)、ウエアレベリング、アドレス変換、不良ブロック管理をメモリ側で行い、ホストプロセッサーの負荷を減らす。UFS 5.0 のコントローラーは自社開発 kioxia.com
- PAM-4 (UFS 5.0 HS-Gear6)
- 信号を4段階の振幅で送り、配線を増やさずに送れるデータ量を実質2倍にする kioxia.com
- WriteBooster
- ユーザー領域の一部を一時的な SLC バッファーとして使い、容量を減らさずに書き込みを速くする。UFS 4.1 ではバッファーの大きさを変えられる kioxia.com
- HS-LSS (高速リンク起動)
- 機器との接続の初期化を低速の PWM-G1 ではなく HS-G1 Rate A (毎秒1,248Mbit) で行い、起動時間を約70%短くできるとキオクシアは説明する kioxia.com
- QLC 版の工夫
- コントローラー技術とエラー訂正の向上で QLC の性能と容量のバランスを取り、書き込み増幅率を最大3.5倍改善 (WriteBooster 無効時、会社発表) kioxia.com
- e-MMC のセキュリティ
- RPMB (認証した機器だけが読み書きできる保護領域、Replay Protected Memory Block) で、ホストと認証鍵を組にした機器だけが保護領域を読み書きできる kioxia.com
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| UFS 5.0 | THGJFST2E48BATM (512GB、7.5×13.0×0.8mm)、THGJFST3E88BATN (1TB、7.5×13.0×0.9mm)。最大転送速度毎秒10,830MB、VCC 2.4〜2.7V、VCCQ 1.14〜1.26V、-25〜85度 | kioxia.com |
| UFS 5.0 性能 (1TB、会社試験) | 連続読み出し毎秒10,000MB、連続書き込み毎秒9,000MB (WriteBooster)、不規則な読み出し116万IOPS (1秒当たりの回数)、不規則な書き込み102万IOPS | kioxia.com |
| UFS 4.1 | 256GB・512GB・1TB、9×13mm BGA、1レーン毎秒23.2Gbit (2レーンで毎秒46.4Gbit)。UFS 3.1 比で連続読み出し約100%・連続書き込み約150%向上 | kioxia.com |
| e-MMC 5.1 | THGAMSG9T15BAIL (64GB)、THGAMST0T25BAIL (128GB)。最大毎秒400MB、11.5×13.0×0.8mm、-25〜85度 | kioxia.com |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| NAND フラッシュメモリ | 第8世代 BiCS FLASH TLC (UFS 5.0・UFS 4.1)、第8世代 QLC (UFS 4.1 QLC 版) 持株会社キオクシアホールディングスの東証コードは285A |
キオクシア 自社製 |
— | 日本 四日市工場・北上工場 |
会社発表 A |
| UFS コントローラー | 自社開発 UFS 5.0 コントローラー UFS 4.1・e-MMC のコントローラーの開発元は製品ページに明記がない |
キオクシア 自社開発 |
— | 日本 公表されていない (製造委託先は非公表) |
会社発表「自社開発の UFS 5.0 コントローラーと第8世代 BiCS FLASH を組み合わせ」 A |
| BGA パッケージ基板・封止材 | 公表されていない | 公表されていない | — | 製品ページに記載なし A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1開発メモリ事業部 (執行役員 メモリ事業部長 井上敦史) が製品開発。コントローラーとファームウエアの開発強化を全社方針に掲げる企業: キオクシア
- 2NAND四日市・北上で生産企業: キオクシア
- 3後工程外部委託。台湾子会社 (キオクシア半導体台湾)が生産管理企業: 委託先 (非公表)
- 4顧客スマートフォンなどの機器メーカー。有価証券報告書はスマートフォン市場で「グローバルな主要企業と強固な関係性を長年に亘って構築」と記す。アップルは2026年3月期売上の20.4% (製品内訳は非公表)企業: 機器メーカー
- 5販売窓口国内は特約店とメモリ営業推進統括部、海外は販売子会社企業: 特約店・販売子会社
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1NAND 生産四日市・北上の前工程設備・企業: キオクシア
- 2パッケージ組み立てNAND ダイとコントローラーを JEDEC 規格の BGA に封止。外部委託設備・企業: 委託先 (非公表)
- 3サンプル評価と量産UFS 5.0 はサンプル出荷 (2026年7月) を経て2026年中の量産を予定設備・企業: キオクシア・機器メーカー
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| UFS 5.0・4.1・3.1・e-MMC (全品番) | 公表していない。法人向けの相対取引で見積もり | 2026-11-01 | kioxia.com |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 法人向け (国内) | 国内特約店 (緑屋電気・光アルファクス・エー・ディーデバイス・ミタチ産業・和田電機・ヤマト無線) か、メモリ営業推進統括部 (発表資料の問い合わせ先) | kioxia.com |
| 法人向け (海外) | 米国・中国・台湾・韓国・シンガポール・ドイツの販売子会社 | ssl4.eir-parts.net |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 保証 | UFS・e-MMC の保証年限は公表されていない。法人向けの個別契約による | kioxia.com |
| 技術資料 | 製品概要、WriteBooster・TBW・ECC・不良ブロック管理・ウエアレベリング・ガベージコレクションの技術解説 (PDF) を公開 | kioxia.com |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 中国・台湾など機器メーカーの生産地 | 外部顧客向け売上 (拠点所在地ベース、2026年3月期) は中国3,819億円、台湾3,009億円。UFS の仕向け地別の販売量は非公表 | ssl4.eir-parts.net |
| 輸出管理 | UFS・e-MMC の外為法・米国の輸出管理規則 (EAR) の該非は公表されていない | ssl4.eir-parts.net |
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | スマートデバイス売上高 | 7,600億円 | 円 | 前期5,011億円。スマートフォン・タブレット・民生機器・車載・産業機器向けの組み込みメモリ | ssl4.eir-parts.net |
| 2026年7〜9月 | スマートデバイス売上高 | 7,889億円 | 円 | 前四半期5,257億円。決算短信は増収の理由を、データセンター向け顧客の需要による平均販売単価の大幅な上昇と出荷量 (記憶容量ベース) の増加と記す | ssl4.eir-parts.net |
| 2026年4〜9月 | スマートデバイス売上高 | 1兆3,145億円 | 円 | 前年同期2,363億円 | ssl4.eir-parts.net |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| UFS 5.0 のインターフェース速度 | 理論上最大毎秒10.8GB (10,830MB) | kioxia.com |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
UFS を含むスマートデバイス向け売上は2026年7〜9月に7,889億円と、1四半期で2026年3月期通期の7,600億円を上回った。キオクシアは、スマートフォンの出荷台数は伸びないが1台当たりの搭載量は増えると説明する。増収を押し上げたのは平均販売単価の上昇だと決算短信は記す。UFS 5.0 は毎秒10.8GB のインターフェースで、端末内に大規模言語モデルを置く用途を狙う。ただし2026年11月時点で確かめられるのはサンプル出荷までで、量産と採用端末は公表されていない。アップル向け売上が全社の20.4%を占める開示はあるが、製品の内訳は示されない。QLC の UFS 投入は、有価証券報告書が掲げる QLC 製品の開発と市場展開の方針に沿う。キオクシアが「2026年中」とした UFS 5.0 の量産開始が年内に発表されるかが、次の節目だ。
公表されていないこと
- UFS・e-MMC の製品別売上高・出荷数量は公表されていない
- UFS 5.0 の量産開始の実績と採用端末は公表されていない
- UFS 4.1・e-MMC のコントローラーの開発元は製品ページに明記がない
- パッケージ (後工程) の委託先の社名は公表されていない (2022年時点で上海の後工程工場に委託)
- 価格・保証年限は公表されていない
出所
- 民生・産業機器用UFS & e-MMC (UFS 5.0 製品ページ) (2026-11-01)
- 民生・産業機器用UFS 4.1/3.1 (2026-11-01)
- 民生・産業機器向けe-MMC (2026-11-01)
- UFS 5.0対応組み込み式フラッシュメモリ製品の出荷について (2026-07-29)
- 次世代モバイル機器向けUFS 4.1対応組み込み式フラッシュメモリ製品のサンプル出荷について (2025-07-09)
- QLC技術を採用した UFS 4.1組み込み式フラッシュメモリ製品のサンプル出荷について (2026-01-28)
- 車載機器向けUFS 4.1準拠の組み込み式フラッシュメモリのサンプル出荷について (問い合わせ先) (2025-07-31)
- キオクシアホールディングス 有価証券報告書 2026年3月期 (2026-06-24)
- 2027年3月期 第2四半期 (中間期) 決算短信 (2026-10-30)
- 法人のお客様向け製品のお問い合わせ (2026-10-01)
- 次世代モバイル機器向けUFS 5.0対応組み込み式フラッシュメモリ製品のサンプル出荷について (2026-02-24)
出所との照合日: 2026年11月1日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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