ラムリサーチALTUS金属成膜装置(タングステン・モリブデンALD/CVD) ALTUS Tungsten / Molybdenum CVD-ALD (ALTUS Halo)
コンタクト、ビア、3次元 NAND (NAND 型フラッシュメモリー) のワード線などに金属を埋め込む装置。化学気相成長 (CVD) と原子層堆積 (ALD) を組み合わせ、タングステンとモリブデンを成膜する。2025年2月19日発表の ALTUS Halo はモリブデンの ALD 装置で、量産で使える世界初のモリブデン ALD 装置 (会社主張)。発表時点で韓国とシンガポールの3次元 NAND 工場と先端ロジック工場で採用が始まり、マイクロンはモリブデンを NAND の量産に入れたとコメントした。価格は公表していない。
詳細解説
- 製品の区分
- 金属膜の成膜 (CVD・ALD)。タングステンとモリブデンで、コンタクト・ビア・プラグ・ワード線を形成する。バリア膜の ALD にも使う (10-K) sec.gov
- 型式
- ALTUS 製品群。モリブデン ALD の ALTUS Halo (2025年2月19日発表)。極低温エッチングの解説ページは高アスペクト比のタングステン埋め込みを ALTUS W と記す lamresearch.com
- ALTUS Halo の採用 (会社発表)
- 発表時点で主要なチップメーカーのいずれでも認定か立ち上げが進んでいるとラムリサーチは説明する。韓国とシンガポールに工場を持つ3次元 NAND メーカーと先端ロジック工場で早期採用が始まり、DRAM 顧客とは開発中。マイクロンの NAND 開発担当副社長は、Halo でモリブデンを量産に持ち込めたとコメントした newsroom.lamresearch.com
- 用途の広がり
- ラムリサーチは1,000層の3次元 NAND、4F2 DRAM、先端の GAA (ゲート・オール・アラウンド) ロジックを Halo の対象に挙げる newsroom.lamresearch.com
- 共同開発
- IBM との1nm 未満ロジックの共同開発 (2026年3月10日) に ALTUS Halo が含まれる newsroom.lamresearch.com
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 米国の製造拠点 (フリーモント・リバモア・トゥアラティン・シャーウッド) | 米カリフォルニア州フリーモント・リバモア、オレゴン州トゥアラティン・シャーウッド | ラムリサーチは年次報告書 (10-K・2026年6月期) で、製造・倉庫の施設をカリフォルニア、オハイオ、オレゴン、オーストリア、韓国、マレーシア、台湾に持つと説明する。フリーモント・リバモア・トゥアラティンの施設の大半とシャーウッドの製造施設は自社所有。製造の中身は部品・部分組立品・モジュールの組み立てと試験で、それを完成した装置に組み上げる | sec.gov | |
| オハイオ州の製造拠点 (イートン・スプリングフィールド) | 米オハイオ州イートン、スプリングフィールド | 会社の所在地一覧では米国の製造拠点。オハイオの製造施設は自社所有 (10-K)。何を製造するかは公表していない | lamresearch.com | |
| 韓国の製造拠点 (竜仁・華城・烏山) | 韓国京畿道竜仁市、華城市、烏山市 | 所在地一覧ではアジアの製造拠点。竜仁は年次報告書が主要な事業・研究開発拠点にも挙げる。子会社ラムリサーチ・マニュファクチャリング・コリア (Lam Research Manufacturing Korea LLC・10-K 別紙21) | lamresearch.com | |
| マレーシアの製造拠点 (バトゥカワン) | マレーシア・ペナン州バトゥカワン | アジアの製造拠点の1つで、製造施設は自社所有 (10-K)。2022年6月期から15年間の税制優遇を受け、2026年6月期の税負担を約9億6,800万ドル減らした (10-K) | sec.gov | |
| 台湾の製造拠点 (桃園・中壢) | 台湾・桃園市中壢区 | アジアの製造拠点の1つ (所在地一覧) | lamresearch.com | |
| オーストリアの製造拠点 (フィラッハ) | オーストリア・フィラッハ | 欧州の製造拠点 (所在地一覧)。フィラッハの施設は賃借で、更新または買い取りの選択権が付く (10-K)。ザルツブルクは主要な事業・研究開発拠点 (10-K) | sec.gov | |
| 製品ごとの製造地 | 公表されていない | ALTUS をどの工場で組み立てるかは公表していない | sec.gov |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- なぜモリブデンか
- 発表は、ナノスケールの配線ではモリブデンの抵抗率がタングステンより低く、密着層やバリア層が要らないため工程数が減ると説明する。製品ページは、ALD による埋め込み性の良さと、フッ素を含まないハロゲン化物の前駆体でタングステン工程で起きる絶縁膜の損傷を避けられることを並べ、固体の前駆体の大量供給を量産化の課題に挙げる newsroom.lamresearch.com
- 多ステーション連続成膜
- 核形成層の形成と本体部分の CVD/ALD 埋め込みを同じチャンバー内で続けて行う多ステーション連続成膜 (Multi-Station Sequential Deposition) 構造 (10-K)。Halo は4ステーション構成のモジュール (クアッドステーションモジュール) (会社発表) sec.gov
- ALD のバリア膜
- 金属のバリア膜を ALD で付け、従来法より段差被覆性と組成の制御性が高い (10-K) sec.gov
- モリブデン ALD の課題
- 製品ページは、高温の適用、反応器と工程順序の設計、ウエハー温度の精密制御が量産化の課題だったと記す lamresearch.com
- 後工程との整合
- モリブデンのエッチバックと化学機械研磨 (CMP) は既存の薬品と装置で行えるため、工場の工程に組み込みやすい (製品ページ) lamresearch.com
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 成膜する金属 | タングステン (CVD/ALD)、モリブデン (ALD)、バリア膜 (ALD) | sec.gov |
| 抵抗 | 従来のタングステン配線に比べ、多くの場合で50%超の改善 (会社発表)。抵抗率・膜厚の数値は無い | newsroom.lamresearch.com |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| 成膜モジュール | クアッドステーションモジュール (Halo)、多ステーション連続成膜構造 | ラムリサーチ | — | 公表されていない |
10-K と発表が構造を記す A |
| 前駆体 (原料) | モリブデン: フッ素を含まないハロゲン化物の前駆体。タングステン: 製品ページに明記なし | 公表されていない | — | 製品ページが前駆体の種類を記す。供給元は公表されていない A | |
| ウエハー加熱・温度制御 | 高温対応の反応器とウエハー温度の精密制御 | ラムリサーチ | — | 公表されていない |
製品ページが課題として記す A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1部品・原料供給元は公表していない (10-K)企業: 公表されていない
- 2顧客マイクロンが発表内で Halo によるモリブデンの NAND 量産に言及。韓国・シンガポールの3次元 NAND 工場、先端ロジック工場で早期採用 (顧客名は非公表)企業: マイクロンほか
- 3前駆体材料の探索 (計画)JSR (日本) と2025年9月15日に契約。JSR のヤマナカヒューテック買収 (2024年8月) を生かし、ALD とエッチング向けの新しい前駆体材料と工程を探る計画 (会社発表)企業: JSR
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1組み立てと試験部品・部分組立品・モジュールを組み立てて試験し、出荷前または顧客の工場で完成した装置に組み上げる。組み立てと試験は主にクリーンルームで行う (10-K)設備・企業: ラムリサーチ
- 2外部委託製造の一部、生産用の倉庫、物流を第三者に委託する契約がある (10-K)。委託先の社名は公表していない設備・企業: 公表されていない
- 3調達先が1社の部品一部の部品・部分組立品は1社からしか調達できず、代替の供給元の認定や在庫の積み増しで備える (10-K)。部品名は公表していない設備・企業: 公表されていない
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 装置本体 | 公表していない。見積もり (顧客ごとの相対取引) | 2026年11月1日に製品ページと問い合わせページで確認 | lamresearch.com |
| 参考: 前受け収益 | 顧客の前払い金などからなる前受け収益の残高は2026年6月28日時点で24億3,000万ドル (10-K)。装置の価格そのものは開示していない | 2026年6月28日 | sec.gov |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 直販 (製品営業と現場の技術者) | ラムリサーチは年次報告書で、製品マーケティングと営業の担当者に加え、装置・プロセスの技術者が顧客ごとに対応すると説明する。販売代理店の制度は開示していない | sec.gov |
| 注文と検収 | 承認済みの注文書を契約とみなす (10-K)。日本の顧客への出荷は検収まで売上に計上せず、2026年9月27日時点で検収待ちの出荷は4億6,830万ドル (8-K) | sec.gov |
| 顧客向けポータル MyLam | 技術資料・部品の注文・保守の情報は、パスワードで保護した顧客向けサイト MyLam で提供する | lamresearch.com |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 保証 | 標準保証は、材料・製造上の欠陥が無く合意した仕様に適合することを対象とする。修理か新品同等品への交換に限られ、保証期間内の通知が条件 (10-K)。年限は公表していない | sec.gov |
| 保守拠点 | 米国、中国、欧州、インド、日本、韓国、東南アジア、台湾にサービス技術者の網を置く (10-K)。日本は新横浜本社のほか、四日市・北上・大津 (熊本)・大分・諫早・高岡のサービスセンター、鶴岡・東広島・千歳のオフィス、四日市の中部パーツセンター | lamresearch.com |
| 部品 (スペア) | 純正部品のほか、修理・再生部品、長寿命の高性能部品、公差を緩めた低価格部品を扱う。生産を終える部品は最終受注 (ラストバイ) を案内し、代替部品を設計する | lamresearch.com |
| 改造 (アップグレード) | 次の微細化世代への対応、稼働率・処理能力・歩留まりの改善、省エネ・ガス削減の改造を、設置済みの装置に施す | lamresearch.com |
| 遠隔監視と保守の自動化 | Equipment Intelligence (装置の稼働データを使う保守・制御) で、稼働率を高め、処理能力を上げ、欠陥を減らす (10-K)。2024年12月発表の協働ロボット Dextro は、期間を定めた保守契約の一部として提供する | lamresearch.com |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| ラムリサーチ全体の地域別売上高 (2026年6月期) | 中国34%、台湾22%、韓国19%、日本9%、米国7%、東南アジア6%、欧州3%。売上高は顧客の工場の所在地で分ける (10-K)。製品群ごとの内訳は公表していない | sec.gov |
| 2026年7〜9月期 | 中国35%、韓国20%、台湾18%、日本9%、米国8%、東南アジア6%、欧州4% (8-K 2026年10月21日) | sec.gov |
| 米国の輸出管理 | ラムリサーチは年次報告書で、米国の輸出管理により中国の一部の顧客・用途向けに輸出許可が要り、許可が下りる保証は無いと説明する。2024年12月2日の追加規制についてラムリサーチは、影響は従来の想定と大筋で一致すると説明した | newsroom.lamresearch.com |
| 韓国・シンガポール | 韓国向け売上高は2026年6月期に45億500万ドル (19%)、東南アジア向けは12億4,600万ドル (6%) (10-K)。両地域は ALTUS Halo の早期採用先としてラムリサーチが2025年2月19日の発表で挙げた | sec.gov |
📈 販売の実績
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| ALTUS の売上高 | 公表されていない | sec.gov |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
3次元 NAND のワード線とロジックのコンタクトで、タングステンからモリブデンへの切り替えが始まった。ラムリサーチはタングステン ALD を20年あまり手がけ、2025年2月にモリブデン ALD の Halo を出した。モリブデンはバリア層が要らず工程が減るとラムリサーチは説明し、マイクロンは量産に入れたとコメントした。
採用先としてラムリサーチが挙げるのは韓国とシンガポールの NAND 工場と先端ロジック工場で、社名は無い。DRAM は開発段階 (2025年2月時点) だった。材料の切り替えは装置の更新を伴うため、既設の ALTUS の改造と新規の装置の両方の需要に関わる。
ラムリサーチは年次報告書で金属成膜の競合にアプライドマテリアルズを挙げる。日本の装置メーカーは金属成膜の競合に名が無い。
公表されていないこと
- ALTUS を組み立てる工場
- ALTUS・Halo の売上高と設置台数
- モリブデン前駆体の供給元
- DRAM 向け Halo の採用時期
出所
- ラムリサーチ 年次報告書 10-K (2026年6月期・2026年8月7日提出) (2026-08-07)
- ラムリサーチ 8-K 2026年7〜9月期 決算発表 (2026-10-21)
- ラムリサーチ 所在地一覧 (2026-11-01)
- ラムリサーチ 製品一覧 (2026-11-01)
- ラムリサーチ カスタマーサポート概要 (2026-11-01)
- ALTUS 製品ページ (2026-11-01)
- ALTUS Halo 発表 (2025-02-19)
- メタライゼーション解説ページ (2026-11-01)
- 極低温エッチング解説ページ (ALTUS W・Halo の記述) (2026-11-01)
出所との照合日: 2026年11月1日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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