ラムリサーチ導体エッチング装置(Kiyo・Akara・Versys Metal) Kiyo / Akara / Versys Metal Conductor Etch
トランジスターのゲートやシリコン、金属など電気を通す材料をプラズマで削る装置。Kiyo は2004年に投入し、2025年2月時点で3万チャンバー超が量産ラインで稼働する (会社発表)。後継の Akara は2025年2月19日に発表し、半導体製造装置で初めて半導体式のプラズマ電源 DirectDrive を使う (会社主張)。Akara は先端 DRAM と受託生産会社 (ファウンドリー) の GAA (ゲート・オール・アラウンド) 工程で使われる。量産ラインの標準装置に採用されたとラムリサーチは説明する。価格は公表していない。
詳細解説
- 製品の区分
- 導体エッチング (反応性イオンエッチング)。素子分離 (STI)、ソース・ドレイン、高誘電率膜・金属ゲート、FinFET、多重露光、3次元 NAND に使う (Kiyo 製品ページ) lamresearch.com
- 型式
- Kiyo: Versys Kiyo、Versys Kiyo45、Kiyo C・E・F・G シリーズ。Akara (Sense.i プラットフォーム)。Versys Metal (配線の金属エッチング・金属ハードマスク)。Kiyo と Versys Metal の一部型式は Reliant (再生品) でも提供する lamresearch.com
- Akara の発表
- 2025年2月19日発表。GAA (ゲート・オール・アラウンド) トランジスター、6F2 DRAM、3次元 NAND の微細化に対応し、4F2 DRAM・CFET (相補型 FET)・3次元 DRAM へ拡張できるとラムリサーチは説明する newsroom.lamresearch.com
- Akara の採用 (会社発表)
- 主要なデバイスメーカーが先端 DRAM と受託生産会社 (ファウンドリー) の GAA の複数工程で量産ラインの標準装置に選び、追加注文で設置台数が増えているとする。顧客名は発表に無い。発表には TSMC 幹部のコメントを載せる newsroom.lamresearch.com
- Kiyo の実績 (会社発表)
- 2004年に投入し、2025年2月時点で3万チャンバー超が量産ラインで稼働する newsroom.lamresearch.com
- 共同開発
- 2026年3月10日、IBM と1nm 未満のロジック向けの5年間の共同開発を発表。Kiyo・Akara のエッチング、Striker・ALTUS Halo の成膜、Aether のドライレジストを使い、ナノシートと裏面電源供給の工程を組む newsroom.lamresearch.com
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 米国の製造拠点 (フリーモント・リバモア・トゥアラティン・シャーウッド) | 米カリフォルニア州フリーモント・リバモア、オレゴン州トゥアラティン・シャーウッド | ラムリサーチは年次報告書 (10-K・2026年6月期) で、製造・倉庫の施設をカリフォルニア、オハイオ、オレゴン、オーストリア、韓国、マレーシア、台湾に持つと説明する。フリーモント・リバモア・トゥアラティンの施設の大半とシャーウッドの製造施設は自社所有。製造の中身は部品・部分組立品・モジュールの組み立てと試験で、それを完成した装置に組み上げる | sec.gov | |
| オハイオ州の製造拠点 (イートン・スプリングフィールド) | 米オハイオ州イートン、スプリングフィールド | 会社の所在地一覧では米国の製造拠点。オハイオの製造施設は自社所有 (10-K)。何を製造するかは公表していない | lamresearch.com | |
| 韓国の製造拠点 (竜仁・華城・烏山) | 韓国京畿道竜仁市、華城市、烏山市 | 所在地一覧ではアジアの製造拠点。竜仁は年次報告書が主要な事業・研究開発拠点にも挙げる。子会社ラムリサーチ・マニュファクチャリング・コリア (Lam Research Manufacturing Korea LLC・10-K 別紙21) | lamresearch.com | |
| マレーシアの製造拠点 (バトゥカワン) | マレーシア・ペナン州バトゥカワン | アジアの製造拠点の1つで、製造施設は自社所有 (10-K)。2022年6月期から15年間の税制優遇を受け、2026年6月期の税負担を約9億6,800万ドル減らした (10-K) | sec.gov | |
| 台湾の製造拠点 (桃園・中壢) | 台湾・桃園市中壢区 | アジアの製造拠点の1つ (所在地一覧) | lamresearch.com | |
| オーストリアの製造拠点 (フィラッハ) | オーストリア・フィラッハ | 欧州の製造拠点 (所在地一覧)。フィラッハの施設は賃借で、更新または買い取りの選択権が付く (10-K)。ザルツブルクは主要な事業・研究開発拠点 (10-K) | sec.gov | |
| 製品ごとの製造地 | 公表されていない | Kiyo・Akara・Versys Metal をどの工場で組み立てるかは公表していない | sec.gov |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- Hydra (Kiyo)
- 露光工程で生じたパターンのばらつきを補正し、寸法 (CD) の均一性を高める (10-K) sec.gov
- Corvus (Kiyo)
- プラズマシースの調整でウエハー外周のチップの歩留まりを上げる (製品ページ) lamresearch.com
- DirectDrive (Akara)
- 固体素子のプラズマ源。従来のプラズマ源より100倍速く工程の変化に応答し、EUV 露光のパターン欠陥を減らすとラムリサーチは説明する (半導体製造装置で初・会社主張) newsroom.lamresearch.com
- TEMPO と SNAP (Akara)
- TEMPO はプラズマ中の反応種を制御するパルス技術で、選択比と、疎密で削れ方が変わる現象 (マイクロローディング) を改善する。SNAP はイオンのエネルギーを制御し、原子レベルで形状を整える (会社発表) newsroom.lamresearch.com
- プラズマ原子層エッチング
- Kiyo はプラズマ原子層エッチングで原子レベルのばらつきを抑え、量産に足る処理能力を保つ (製品ページ) lamresearch.com
- Sense.i プラットフォーム
- Kiyo と Flex のプロセスモジュールから発展した装置の基盤。センサーで結果を最適化し、校正と保守を自動で行う。Akara と Vantex がこの上に載る lamresearch.com
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 対応ウエハー | 300mm (Akara の製品ページ) | lamresearch.com |
| 応答速度 (Akara) | プラズマ源の応答が従来の100倍、ミリ秒単位 (会社発表) | newsroom.lamresearch.com |
| 対応ウエハー (Reliant の Kiyo) | Reliant のエッチング製品は150mm から300mm (対象型式は Kiyo45・Flex45 まで) | lamresearch.com |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| プラズマ源 | DirectDrive 固体素子プラズマ源 (Akara)。Kiyo のプラズマ源の方式は製品ページに明記なし | ラムリサーチ 自社技術 |
— | 米国 公表されていない |
Akara の発表が DirectDrive を記す。自社技術 A |
| 静電チャック | ウエハー保持用の静電チャック | 公表されていない | — | 公表されていない |
Kiyo の製品ページが静電チャック技術を挙げる。供給元は公表されていない A |
| 対称形のチャンバー | 対称形のチャンバーと独立した工程調整機構 | ラムリサーチ | — | 公表されていない |
Kiyo・Versys Metal の製品ページが記す A |
| ウエハーレス自動クリーニング機構 | チャンバー内の自動洗浄 | ラムリサーチ | — | 公表されていない |
Kiyo の製品ページが記す A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1部品供給元は公表していない。一部は調達先が1社 (10-K)企業: 公表されていない
- 2組み立て自社の製造拠点で組み立てと試験。一部を外部委託企業: ラムリサーチ
- 3顧客10-K の主要顧客はマイクロン、サムスン電子、SK ハイニックス、TSMC。Akara の発表には TSMC の共同 COO (最高執行責任者) のコメントがある。IBM とは1nm 未満のロジックで共同開発 (2026年3月)企業: TSMC・IBM など
- 4研究機関2025年4月、カリフォルニア大学バークレー校に最先端のエッチング装置を寄贈 (会社発表)企業: カリフォルニア大学バークレー校
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1組み立てと試験部品・部分組立品・モジュールを組み立てて試験し、出荷前または顧客の工場で完成した装置に組み上げる。組み立てと試験は主にクリーンルームで行う (10-K)設備・企業: ラムリサーチ
- 2外部委託製造の一部、生産用の倉庫、物流を第三者に委託する契約がある (10-K)。委託先の社名は公表していない設備・企業: 公表されていない
- 3調達先が1社の部品一部の部品・部分組立品は1社からしか調達できず、代替の供給元の認定や在庫の積み増しで備える (10-K)。部品名は公表していない設備・企業: 公表されていない
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 装置本体 | 公表していない。見積もり (顧客ごとの相対取引) | 2026年11月1日に製品ページと問い合わせページで確認 | lamresearch.com |
| 参考: 前受け収益 | 顧客の前払い金などからなる前受け収益の残高は2026年6月28日時点で24億3,000万ドル (10-K)。装置の価格そのものは開示していない | 2026年6月28日 | sec.gov |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 直販 (製品営業と現場の技術者) | ラムリサーチは年次報告書で、製品マーケティングと営業の担当者に加え、装置・プロセスの技術者が顧客ごとに対応すると説明する。販売代理店の制度は開示していない | sec.gov |
| 注文と検収 | 承認済みの注文書を契約とみなす (10-K)。日本の顧客への出荷は検収まで売上に計上せず、2026年9月27日時点で検収待ちの出荷は4億6,830万ドル (8-K) | sec.gov |
| 顧客向けポータル MyLam | 技術資料・部品の注文・保守の情報は、パスワードで保護した顧客向けサイト MyLam で提供する | lamresearch.com |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 保証 | 標準保証は、材料・製造上の欠陥が無く合意した仕様に適合することを対象とする。修理か新品同等品への交換に限られ、保証期間内の通知が条件 (10-K)。年限は公表していない | sec.gov |
| 保守拠点 | 米国、中国、欧州、インド、日本、韓国、東南アジア、台湾にサービス技術者の網を置く (10-K)。日本は新横浜本社のほか、四日市・北上・大津 (熊本)・大分・諫早・高岡のサービスセンター、鶴岡・東広島・千歳のオフィス、四日市の中部パーツセンター | lamresearch.com |
| 部品 (スペア) | 純正部品のほか、修理・再生部品、長寿命の高性能部品、公差を緩めた低価格部品を扱う。生産を終える部品は最終受注 (ラストバイ) を案内し、代替部品を設計する | lamresearch.com |
| 改造 (アップグレード) | 次の微細化世代への対応、稼働率・処理能力・歩留まりの改善、省エネ・ガス削減の改造を、設置済みの装置に施す | lamresearch.com |
| 遠隔監視と保守の自動化 | Equipment Intelligence (装置の稼働データを使う保守・制御) で、稼働率を高め、処理能力を上げ、欠陥を減らす (10-K)。2024年12月発表の協働ロボット Dextro は、期間を定めた保守契約の一部として提供する | lamresearch.com |
| 改造の対象 | Kiyo は複数世代にわたり改造 (アップグレード) で対応でき、保有コストを下げると製品ページは記す | lamresearch.com |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| ラムリサーチ全体の地域別売上高 (2026年6月期) | 中国34%、台湾22%、韓国19%、日本9%、米国7%、東南アジア6%、欧州3%。売上高は顧客の工場の所在地で分ける (10-K)。製品群ごとの内訳は公表していない | sec.gov |
| 2026年7〜9月期 | 中国35%、韓国20%、台湾18%、日本9%、米国8%、東南アジア6%、欧州4% (8-K 2026年10月21日) | sec.gov |
| 米国の輸出管理 | ラムリサーチは年次報告書で、米国の輸出管理により中国の一部の顧客・用途向けに輸出許可が要り、許可が下りる保証は無いと説明する。2024年12月2日の追加規制についてラムリサーチは、影響は従来の想定と大筋で一致すると説明した | newsroom.lamresearch.com |
| ファウンドリー向け | 装置・改造売上に占めるファウンドリー向けは2026年6月期54% (2025年6月期45%)。2026年7〜9月期は46%。導体エッチングだけの内訳は公表していない | sec.gov |
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年6月期 | 装置 (システム) 売上高 (新品の最先端装置) | 148億8,500万 | ドル | 前期比29.5%増。製品群ごとの内訳は公表していない | sec.gov |
| 2026年6月期 | 顧客サポート関連売上高 (サービス・部品・改造・Reliant) | 83億4,700万 | ドル | 前期比20.2%増 | sec.gov |
| 2026年7〜9月期 | 装置 (システム) 売上高 | 57億3,300万 | ドル | 前年同期比62%増 | sec.gov |
| 2025年2月時点 | Kiyo の稼働チャンバー数 (累計) | 3万超 | チャンバー | 会社発表 | newsroom.lamresearch.com |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 導体エッチング装置の売上高 | 公表されていない。ラムリサーチは年次報告書で装置の売上高を製品群で分けない | sec.gov |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
導体エッチングは、ラムリサーチが2004年の Kiyo から20年あまり続けてきた製品群だ。3万チャンバー超という稼働チャンバー数は、保守・部品・改造の売上 (2026年6月期83億4,700万ドル) の土台にもなる。Akara は GAA トランジスターと DRAM の微細化という節目に合わせて出した装置だ。半導体式のプラズマ電源で応答を100倍速くしたとラムリサーチは説明する。
採用先の社名は発表に無い。発表に TSMC 幹部のコメントが載り、IBM との5年の共同開発に Akara が入ることまでが確かめられる範囲だ。ファウンドリー向けの比率が2026年6月期に54%へ上がった背景を、ラムリサーチは成熟ノードと最先端の両方の投資と説明する。
日本では東京エレクトロン (8035) と日立製作所 (6501) が競合 (年次報告書)。装置ごとの納入先は公表されていない。
公表されていないこと
- Kiyo・Akara を組み立てる工場
- Akara の採用先の社名と設置台数
- 導体エッチング装置だけの売上高
- 静電チャック・高周波 (RF) 電源の供給元
出所
- ラムリサーチ 年次報告書 10-K (2026年6月期・2026年8月7日提出) (2026-08-07)
- ラムリサーチ 8-K 2026年7〜9月期 決算発表 (2026-10-21)
- ラムリサーチ 所在地一覧 (2026-11-01)
- ラムリサーチ 製品一覧 (2026-11-01)
- ラムリサーチ カスタマーサポート概要 (2026-11-01)
- Kiyo 製品ページ (2026-11-01)
- Akara 製品ページ (2026-11-01)
- Akara 発表 (2025-02-19)
- Sense.i 製品ページ (2026-11-01)
- Versys Metal 製品ページ (2026-11-01)
- IBM との共同開発の発表 (2026-03-10)
- ラムリサーチ 10-Q (2026年7〜9月期) (2026-10-22)
出所との照合日: 2026年11月1日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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