ラムリサーチパネル・基板処理装置と質量計測装置(Phoenix・Kallisto・Triton・Metior) Phoenix / Kallisto / Triton Panel & Substrate Processing, Metior Mass Metrology
先端パッケージングの基板やパネルを処理する装置群と、工程を監視する質量計測装置。Phoenix は510×515mm のパネルの剥離・現像・エッチング・めっきを全自動で行う。Kallisto は300×300mm から第5.1世代 (1,100×1,300mm) までの基板を縦型でウエット処理する。10マイクロメートル未満の微細配線をめっきする。Triton は3インチから300mm のウエハーと300×300mm までのパネルのめっき・ウエット処理。Metior はウエハーの質量変化をミリグラム未満の精度で測る。価格は公表していない。
詳細解説
- 製品の区分
- Phoenix・Kallisto・Triton は電気めっき (ECD) とウエット処理 (剥離・現像・洗浄)。製品ページの分類は先端パッケージング、先端基板、パネルレベルのファンアウト、車載、ミニ/マイクロ LED、パワー半導体など。Metior は質量計測 (製品ページ) lamresearch.com
- Phoenix
- 510×515mm の基板を全自動で大量処理するパネル処理装置。剥離 (ストリップ)、現像、エッチング、めっきに対応し、用水・用力の消費を抑える設計と製品ページは記す lamresearch.com
- Kallisto
- 300×300mm から第5.1世代 (1,100×1,300mm) までの基板を縦に保持して薬液処理する装置。有機基板とガラスコアの基板で10マイクロメートル未満の微細配線のめっきができ、片面・両面の処理を選べる。半自動と全自動がある lamresearch.com
- Triton
- 枚葉のめっきとウエット処理のモジュール式装置。酸と溶剤を1台で扱い、3インチから300mm のウエハーと300×300mm までのパネルを同じ装置で処理する。研究開発向けから量産まで拡張できると製品ページは記す lamresearch.com
- Metior
- 成膜・エッチング・洗浄の前後でウエハーの質量の変化を測り、工程の傾向と異常を把握する装置。ミリグラム未満の測定精度で、装置に組み込むモジュールと単体機がある。高アスペクト比構造の底や厚い膜など、光学計測では見えにくい対象に向く (製品ページ) lamresearch.com
- パネルレベルパッケージングの位置づけ
- ラムリサーチは年次報告書で、ウエハーより数倍大きい基板からチップやチップレットを切り出すファンアウト・パネルレベルパッケージングが歩留まりを上げ廃棄を減らすとし、これに対応する装置を持つと説明する sec.gov
- 買収による補強
- 2022年11月15日、オーストリアのウエット処理装置メーカー、セムシスコ (SEMSYSCO) の買収完了を発表。先端パッケージング向けの洗浄・めっきとファンアウト・パネルレベルパッケージングの能力を得た (金額は非公表) newsroom.lamresearch.com
- 製品一覧での分類
- ラムリサーチの製品一覧は Phoenix・Kallisto・Triton をセムシスコ (SEMSYSCO) の工程区分に分類する。型式は Phoenix VRT (縦型のレジスト処理)・Phoenix ECD・Phoenix VCA (縦型の洗浄)、Kallisto ECD CX/CM、Triton CX/CM (製品ページ) lamresearch.com
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 米国の製造拠点 (フリーモント・リバモア・トゥアラティン・シャーウッド) | 米カリフォルニア州フリーモント・リバモア、オレゴン州トゥアラティン・シャーウッド | ラムリサーチは年次報告書 (10-K・2026年6月期) で、製造・倉庫の施設をカリフォルニア、オハイオ、オレゴン、オーストリア、韓国、マレーシア、台湾に持つと説明する。フリーモント・リバモア・トゥアラティンの施設の大半とシャーウッドの製造施設は自社所有。製造の中身は部品・部分組立品・モジュールの組み立てと試験で、それを完成した装置に組み上げる | sec.gov | |
| オハイオ州の製造拠点 (イートン・スプリングフィールド) | 米オハイオ州イートン、スプリングフィールド | 会社の所在地一覧では米国の製造拠点。オハイオの製造施設は自社所有 (10-K)。何を製造するかは公表していない | lamresearch.com | |
| 韓国の製造拠点 (竜仁・華城・烏山) | 韓国京畿道竜仁市、華城市、烏山市 | 所在地一覧ではアジアの製造拠点。竜仁は年次報告書が主要な事業・研究開発拠点にも挙げる。子会社ラムリサーチ・マニュファクチャリング・コリア (Lam Research Manufacturing Korea LLC・10-K 別紙21) | lamresearch.com | |
| マレーシアの製造拠点 (バトゥカワン) | マレーシア・ペナン州バトゥカワン | アジアの製造拠点の1つで、製造施設は自社所有 (10-K)。2022年6月期から15年間の税制優遇を受け、2026年6月期の税負担を約9億6,800万ドル減らした (10-K) | sec.gov | |
| 台湾の製造拠点 (桃園・中壢) | 台湾・桃園市中壢区 | アジアの製造拠点の1つ (所在地一覧) | lamresearch.com | |
| オーストリアの製造拠点 (フィラッハ) | オーストリア・フィラッハ | 欧州の製造拠点 (所在地一覧)。フィラッハの施設は賃借で、更新または買い取りの選択権が付く (10-K)。ザルツブルクは主要な事業・研究開発拠点 (10-K) | sec.gov | |
| 製品ごとの製造地 | 公表されていない | これらの装置をどの工場で組み立てるかは公表していない。年次報告書はザルツブルク (オーストリア) を主要な事業・研究開発拠点に挙げるが、製品との対応は記していない | sec.gov |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- 縦型のウエット処理 (Kallisto)
- 縦型の処理プラットフォームで、真空チャックによりパネルの露出面全体を処理し、厚さ200マイクロメートルまでの薄いガラスを扱える。両面同時の処理と、薬液の自動補給・監視に対応する (製品ページ) lamresearch.com
- 微細配線のめっき
- Kallisto は10マイクロメートル未満の配線を有機基板やガラスコア基板にめっきする。Triton は特許を取得した高速めっき技術で均一性と歩留まりを出すと製品ページは記す lamresearch.com
- 1台で複数の工程
- Triton は酸と溶剤を1つの装置で扱い、めっきと洗浄・剥離を狭い設置面積でこなす。終点監視と薬液の自動補給・監視に対応する (製品ページ) lamresearch.com
- 質量による工程監視 (Metior)
- 工程の前後の質量差から成膜量・除去量を直接求める。3次元構造の底や不透明な厚い膜など、光学計測が届かない対象の監視に使う (製品ページ) lamresearch.com
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 対応寸法 (Phoenix) | 510×515mm のパネル | lamresearch.com |
| 対応寸法 (Kallisto) | 300×300mm から1,100×1,300mm (第5.1世代) の基板。配線幅10マイクロメートル未満 | lamresearch.com |
| 薄いガラス (Kallisto) | 厚さ200マイクロメートルまで | lamresearch.com |
| 対応寸法 (Triton) | 直径3インチから300mm のウエハー、300×300mm までのパネル | lamresearch.com |
| 測定精度 (Metior) | ミリグラム未満 | lamresearch.com |
| 型式 (Phoenix・Kallisto・Triton) | Phoenix VRT・ECD・VCA、Kallisto ECD CX/CM、Triton CX/CM | lamresearch.com |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| めっき・ウエット処理のプラットフォーム | 縦型の処理プラットフォーム (Kallisto)、モジュール式のプラットフォーム (Triton) | ラムリサーチ | — | 公表されていない |
製品ページが記す。供給元は公表されていない A |
| 基板の搬送・保持機構 | 510×515mm パネルの全自動処理 (Phoenix)、真空チャックによる基板保持 (Phoenix・Kallisto) | ラムリサーチ | — | 公表されていない |
製品ページが記す A |
| 質量センサー | ミリグラム未満の質量測定部 (Metior) | 公表されていない | — | 公表されていない |
製品ページが精度を記す。センサーの供給元は公表されていない A |
| めっき薬液・薬品 | 酸・溶剤・めっき液 | 公表されていない | — | 製品ページが種類に触れる。供給元は公表されていない A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1部品・薬液供給元は公表していない (10-K)企業: 公表されていない
- 2買収セムシスコ (オーストリア) の買収で先端パッケージング向けの洗浄・めっきとパネルレベルパッケージングの能力を得た (2022年11月)。発表にはインテルの幹部がパネル形態の洗浄・めっきへの期待を寄せた企業: セムシスコ・インテル
- 3顧客製品ごとの納入先は公表されていない。10-K の主要顧客はマイクロン、サムスン電子、SK ハイニックス、TSMC企業: 公表されていない
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1組み立てと試験部品・部分組立品・モジュールを組み立てて試験し、出荷前または顧客の工場で完成した装置に組み上げる。組み立てと試験は主にクリーンルームで行う (10-K)設備・企業: ラムリサーチ
- 2外部委託製造の一部、生産用の倉庫、物流を第三者に委託する契約がある (10-K)。委託先の社名は公表していない設備・企業: 公表されていない
- 3調達先が1社の部品一部の部品・部分組立品は1社からしか調達できず、代替の供給元の認定や在庫の積み増しで備える (10-K)。部品名は公表していない設備・企業: 公表されていない
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 装置本体 | 公表していない。見積もり (顧客ごとの相対取引) | 2026年11月1日に製品ページと問い合わせページで確認 | lamresearch.com |
| 参考: 前受け収益 | 顧客の前払い金などからなる前受け収益の残高は2026年6月28日時点で24億3,000万ドル (10-K)。装置の価格そのものは開示していない | 2026年6月28日 | sec.gov |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 直販 (製品営業と現場の技術者) | ラムリサーチは年次報告書で、製品マーケティングと営業の担当者に加え、装置・プロセスの技術者が顧客ごとに対応すると説明する。販売代理店の制度は開示していない | sec.gov |
| 注文と検収 | 承認済みの注文書を契約とみなす (10-K)。日本の顧客への出荷は検収まで売上に計上せず、2026年9月27日時点で検収待ちの出荷は4億6,830万ドル (8-K) | sec.gov |
| 顧客向けポータル MyLam | 技術資料・部品の注文・保守の情報は、パスワードで保護した顧客向けサイト MyLam で提供する | lamresearch.com |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 保証 | 標準保証は、材料・製造上の欠陥が無く合意した仕様に適合することを対象とする。修理か新品同等品への交換に限られ、保証期間内の通知が条件 (10-K)。年限は公表していない | sec.gov |
| 保守拠点 | 米国、中国、欧州、インド、日本、韓国、東南アジア、台湾にサービス技術者の網を置く (10-K)。日本は新横浜本社のほか、四日市・北上・大津 (熊本)・大分・諫早・高岡のサービスセンター、鶴岡・東広島・千歳のオフィス、四日市の中部パーツセンター | lamresearch.com |
| 部品 (スペア) | 純正部品のほか、修理・再生部品、長寿命の高性能部品、公差を緩めた低価格部品を扱う。生産を終える部品は最終受注 (ラストバイ) を案内し、代替部品を設計する | lamresearch.com |
| 改造 (アップグレード) | 次の微細化世代への対応、稼働率・処理能力・歩留まりの改善、省エネ・ガス削減の改造を、設置済みの装置に施す | lamresearch.com |
| 遠隔監視と保守の自動化 | Equipment Intelligence (装置の稼働データを使う保守・制御) で、稼働率を高め、処理能力を上げ、欠陥を減らす (10-K)。2024年12月発表の協働ロボット Dextro は、期間を定めた保守契約の一部として提供する | lamresearch.com |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| ラムリサーチ全体の地域別売上高 (2026年6月期) | 中国34%、台湾22%、韓国19%、日本9%、米国7%、東南アジア6%、欧州3%。売上高は顧客の工場の所在地で分ける (10-K)。製品群ごとの内訳は公表していない | sec.gov |
| 2026年7〜9月期 | 中国35%、韓国20%、台湾18%、日本9%、米国8%、東南アジア6%、欧州4% (8-K 2026年10月21日) | sec.gov |
| 米国の輸出管理 | ラムリサーチは年次報告書で、米国の輸出管理により中国の一部の顧客・用途向けに輸出許可が要り、許可が下りる保証は無いと説明する。2024年12月2日の追加規制についてラムリサーチは、影響は従来の想定と大筋で一致すると説明した | newsroom.lamresearch.com |
📈 販売の実績
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| パネル・基板処理装置と質量計測装置の売上高 | 公表されていない | sec.gov |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
チップを基板の上で組み合わせる先端パッケージングでは、処理する対象がウエハーから大きなパネルや基板に広がる。ラムリサーチの Phoenix・Kallisto・Triton はこの領域の装置で、Kallisto は1,100×1,300mm の基板まで扱う。ウエハーの装置とは寸法も搬送も異なる。
ラムリサーチは年次報告書で、パネルレベルのファンアウトが歩留まりを上げ廃棄を減らすと説明し、2022年のセムシスコ買収でこの領域の洗浄・めっきの能力を得た。ガラスコア基板への10マイクロメートル未満の配線めっきは、基板の高密度化の流れに合う。
Metior は用途が異なる。質量の変化で成膜・エッチング・洗浄の結果を直接測る監視装置で、3次元構造が深くなるほど光学計測が届きにくくなる場面を補う。いずれも売上高と納入先は公表されていない。
公表されていないこと
- Phoenix・Kallisto・Triton の製造拠点
- これらの装置の売上高・設置台数・納入先
- Metior の質量センサーの方式と供給元
出所
- ラムリサーチ 年次報告書 10-K (2026年6月期・2026年8月7日提出) (2026-08-07)
- ラムリサーチ 8-K 2026年7〜9月期 決算発表 (2026-10-21)
- ラムリサーチ 所在地一覧 (2026-11-01)
- ラムリサーチ 製品一覧 (2026-11-01)
- ラムリサーチ カスタマーサポート概要 (2026-11-01)
- Phoenix 製品ページ (2026-11-01)
- Kallisto 製品ページ (2026-11-01)
- Triton 製品ページ (2026-11-01)
- Metior 製品ページ (2026-11-01)
- パネルレベルファンアウト解説ページ (2026-11-01)
- セムシスコ買収完了の発表 (2022-11-15)
出所との照合日: 2026年11月1日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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