長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが24日、取引時間中に一時3.055%まで上昇し、約30年ぶりの高水準を付けた。米国で追加利上げの観測が強まり、5連休明けの東京市場で国債が売られた。
国債の利回りは、国がお金を借りるときの金利にあたる。国債が売られて価格が下がると、利回りは上がる。
3.055%は財務省の統計で1996年9月以来の水準
財務省は1974年以降の国債の利回りを日次で公表している。この統計で10年債の利回りが3.055%以上だったのは、1996年9月6日(3.06%)が最後だ。同じ統計は各日の終値にあたる値で、各年限の利回りを一定の残存期間にそろえて計算しているため、市場で売買される新発10年債の利回りとは少しずれる。18日は同統計が2.981%、新発10年債が2.985%だった。24日の3.055%は、新発10年債が取引時間中に一時付けた値である。日本経済新聞は24日の水準を「1996年8月以来」とした。新発10年債の取引の記録と財務省の統計とでは、もとにする値が異なるため、何年何月以来とするかは資料によってずれる。
同じ統計で1年前の同じ日と比べると、2025年9月18日の1.615%から2026年9月18日の2.981%へ、約1.4ポイント上昇した。この1年で、10年債の利回りは2025年12月19日に2%、2026年4月30日に2.5%に乗った。9月の月平均(18日まで)は2.963%と1997年以降で最も高いが、1996年9月の月平均2.974%はわずかに下回る。
30年前は金利の低下局面、現在は上昇局面にある。1996年の月平均は6月の3.276%から12月の2.636%へ低下し、その後は長く低い水準が続いた。当時の政策金利にあたる公定歩合は0.5%で、現在の1.25%程度より低かった。日銀は18日に政策金利を1.25%程度に引き上げることを決定し、24日から適用した。
米10年債利回りは5.11%、FRB理事が追加利上げを示唆
前日の米国市場で長期金利が上がった流れを受けて、国債が売られた。米財務省の統計では、米10年債の利回りは22日の4.96%から23日に5.11%へ、0.15ポイント上昇した。米連邦準備理事会(FRB)のマイケル・バー理事は23日、住居費をテーマにした講演で、物価上昇率を適切な時期に目標まで下げるには、追加の利上げが必要になる可能性が高いとの見方を示した。FRBは9月16日に政策金利を3.75〜4.00%に引き上げたばかりで、利上げは2023年以来だった。日本経済新聞によると、欧米の購買担当者景気指数が市場予想を上回り、追加利上げの観測が強まったことも売りの要因になった。
同紙は、国債先物でサーキットブレーカーが発動したとも報じた。大阪取引所の長期国債先物には、取引を止める仕組みが2つある。1つは、値段が前日の清算値段から上下2円の制限値幅に達し、中心限月でその上限(下限)に注文が出たときに、取引を10分以上止めるもの。もう1つは即時約定可能値幅と呼ばれ、直前の値段から上下15銭以上離れた注文が出たときに、30秒止めるものだ。大阪取引所の発動一覧(24日午後1時27分更新)には、24日の国債先物の記載はなかった。
9月発行の新発10年債は、計算上、連休前から約0.5円値下がり
9月に発行された10年債で試算した。現在の新発10年債は、9月1日に入札した第383回債だ。表面利率(毎年受け取る利息の率)は2.7%、償還は2036年6月20日で、発行予定額は2兆6,000億円程度。入札には6兆5,385億円の応募があり、平均落札価格は額面100円あたり97円76銭(利回り2.995%)、最低落札価格は97円64銭(同3.011%)だった。
日本の国債の利回りは、慣行として単利で示す。1年分の利息2.7円に、償還差益(100円と価格の差)を残存年数で割った額を足し、価格で割る。発行日の9月2日を起点に97円76銭で計算し、小数第4位以下を切り捨てると2.995%となり、入札結果と一致する。
24日に一時付けた3.055%は、連休前の18日(2.985%)より0.070ポイント高い。同じ式で24日を起点に価格を求めると、3.055%では97円33銭、2.985%では97円85銭となる。端数を含めた下落幅は0.51円余りで、率にして約0.5%、額面1億円あたりでは約51万円だ。入札の平均落札価格97円76銭と比べると、額面100円あたり約0.43円、額面1億円あたり約43万円の値下がりになる。
利回りが0.01ポイント上がるごとに、この国債の価格は額面1億円あたり約7万3,000円下がる。価格の変化率は利回りの変化のおよそ7.5倍で、この倍率を修正デュレーションと呼ぶ。
国は2026年度予算で長期金利3.0%を想定
財務省によると、2026年度予算の利払い費は13.0兆円で、前年度当初より2.5兆円多い。財務省は、利払い費の見積もりに使う想定金利(積算金利)を前年度の2.0%から3.0%に引き上げた。予算編成時の直近1カ月の長期金利の平均1.9%を参考に、過去に金利が急上昇した例を考慮して決めたと説明している。想定金利は、編成時の長期金利より1.1ポイント高い。
財務省の統計で9月1〜18日の13営業日をみると、終値が3.0%を上回ったのは2日(3.006%)と15日(3.028%)の2営業日だけだ。24日は取引時間中に一時3.055%まで上がった。月平均は2026年度に入って4月の2.420%から毎月上昇してきたが、いずれも3.0%を下回り、9月(18日まで)も2.963%にとどまる。
財務省は2月、金利が試算の前提より1ポイント高い場合の国債費の増加額も試算した。2027年度に0.8兆円、2028年度に2.1兆円、2029年度に3.8兆円だ。国債は満期のたびにその時点の金利で借り換えるため、増加額は年を追って大きくなる。利払い費の膨らみ方は、日銀の1.25%への利上げと利払い費を扱った記事で詳しく計算した。
長期金利の上昇は、家計や企業の借り入れにも波及する。長期固定型の住宅ローンの金利は、10年債の利回りなどを目安に毎月見直される。企業の社債や長期の借り入れの金利も、長期金利が基準となる。長期金利3%で企業の借入負担がどう変わるかは、有価証券報告書で企業ごとに試算した記事にまとめた。株式の価値は将来の利益を金利で割り引いて計算するため、長期金利の上昇は株価を押し下げる要因になりやすい。円相場と日米の金利差の関係は、日米の金利差と円相場を分析した記事で取り上げた。
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