清水建設の溶接ロボットRobo-Welder(鉄骨柱の現場溶接) Robo-Welder
清水建設が自社の建築現場で使う鉄骨柱の溶接ロボット。レーザーで溶接部の溝の形を測り、6軸のアームでトーチを動かして溶接する。2025年4月24日、台座を旋回式にして7軸とし、作業範囲を倍にした改良版の実用化を発表した。溶接能力は1時間あたり10〜12メートル。ロボットを操作する溶接技能者1人あたりの生産性は最大1.75倍になる(会社発表)。
詳細解説
- 開発の始まり
- 清水建設は2017年7月12日、建築現場の生産システム「シミズ・スマート・サイト」の構成要素として発表した。大阪大学大学院工学研究科の浅井知教授との共同開発。 shimz.co.jp
- 製造委託先 (2017年時点)
- 2017年7月の発表の時点で、製造委託先は愛知産業。3つの現場への適用が決まっていた。 shimz.co.jp
- 初めての現場
- 2018年、新大阪の高層ホテルの現場に入れた。現場溶接に合う新しい方式の開発を優先したため、溶接は10月と11月の各1回、柱2本にとどまった。 shimz.co.jp
- 虎ノ門・麻布台の現場
- 2021年2月17日、虎ノ門・麻布台プロジェクトA街区で地下階の板厚100ミリの柱を溶接したと発表した。地上階に14台を入れ、溶接長約1,800キロメートルの約15%をロボットが受け持つ計画を示した。 shimz.co.jp
- 改良版の実用化
- 2025年4月24日、アームを7軸にし、熟練の溶接技能者に近いトーチの動きを実現した改良版を開発・実用化したと発表した。都内の大規模複合施設の現場で生産性を実証した。 shimz.co.jp
- 2026年3月期の研究開発の成果
- 清水建設は2026年3月期の研究開発の成果に、改良版で技能者1人あたりの生産性を最大1.75倍にしたことを挙げた。 disclosure2dl.edinet-fsa.go…
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| ロボットの製造委託先 | 公表されていない | 2017年7月の発表の時点の製造委託先は愛知産業。改良版 (2025年) の製造委託先と製造の場所は公表されていない。 | shimz.co.jp |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- 溝の形の計測
- アームの先のレーザーセンサーで溶接部の溝 (開先) の形を測り、溶接しながら確かめる。 shimz.co.jp
- 溶接条件の決定
- 直径1.2ミリ程度の溶接ワイヤーで溝を隙間なく埋める制御を、大阪大学と共同開発したシミュレーターが担う。 shimz.co.jp
- 7軸化
- 改良版は6軸のアームを旋回式の台座 (ピボット型) に据えて7軸にし、作業範囲を倍にした。大断面の柱も両側に1台ずつ置けば、置き直さずに全周を溶接できる。 shimz.co.jp
- 熟練者に近い動き
- 溶接線を軸にしたトーチの往復 (ウィービング) を滑らかにし、トーチの角度を調整できるようにした。トーチの移動速度とワイヤーの送り速度も自動で制御する。 shimz.co.jp
- 人との分担
- 溶接技能者が品質の確認とスラグ (溶接のかす) の除去を受け持ち、ロボットの仕組みを簡素にした。 shimz.co.jp
- 今後の展開
- 清水建設は改良版を早く現場に広げ、溶接技能者の不足を補う方針を示した。 shimz.co.jp
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 寸法 (改良版) | 全長1,250ミリ、全幅440ミリ、全高850ミリ | shimz.co.jp |
| 重量 | 1台120キログラム | shimz.co.jp |
| 電源 | 三相200ボルト | shimz.co.jp |
| 溶接方法・鋼材 | ガスシールドアーク溶接。490〜590ニュートン毎平方ミリメートル級の鋼材 | shimz.co.jp |
| 対応する柱 | 柱の大きさが1,000ミリ以下なら全周を溶接できる | shimz.co.jp |
| 溶接能力 | 1時間あたり10〜12メートル (6ミリ換算。会社発表の表記)。品質は溶接技能者と同等 (会社発表) | shimz.co.jp |
| 運用 | 溶接技能者1人でロボット2台以上を操作し、技能者1人あたりの生産性は手作業の1.75倍。習熟すると1人で4台を扱える (会社発表) | shimz.co.jp |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| ロボット本体の製造 | Robo-Welder (2017年時点の機体) 2017年7月時点 |
愛知産業 製造委託先 |
— | 日本 公表されていない |
清水建設は2017年7月12日、製造委託先を愛知産業と発表した。改良版の委託先は公表されていない A |
| ロボットアーム | 6軸のロボットアーム (改良版は旋回式台座で7軸) | 公表されていない | — | 公表されていない 公表されていない |
清水建設はアームの軸数を公表したが、メーカーは明らかにしていない A |
| 形状の計測 | レーザーセンサー | 公表されていない | — | 公表されていない 公表されていない |
清水建設はレーザーで形を測ると発表したが、センサーのメーカーは明らかにしていない A |
| 溶接の制御 | 溶接のシミュレーター | 清水建設・大阪大学 共同開発 |
1803 | 日本 公表されていない |
清水建設は、大阪大学と共同開発したシミュレーターが制御を担うと発表した A |
| 溶接トーチ・溶接電源 | 公表されていない | 公表されていない | — | 公表されていない 公表されていない |
清水建設は溶接トーチを載せると発表したが、メーカーは明らかにしていない A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1開発清水建設が大阪大学と共同で開発した。企業: 清水建設・大阪大学
- 2製造2017年7月の時点で、清水建設は愛知産業に製造を委託した。アーム・センサー・溶接機器の個別の調達先は公表されていない。企業: 愛知産業
- 3現場での運用清水建設の現場で溶接技能者がロボットを操作し、品質の確認とスラグの除去を受け持つ。企業: 清水建設
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1設置鉄骨柱の両側に1台ずつ置く。大断面の柱でも置き直さずに全周を溶接できる。設備・企業: Robo-Welder 2台
- 2溶接溝の形を測りながら、トーチの角度と速度、ワイヤーの送り速度を自動で制御して溶接する。設備・企業: Robo-Welder
- 3確認溶接技能者が品質を確かめ、スラグを除く。設備・企業: 溶接技能者
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| Robo-Welder | 公表していない。販売は案内されていない | 2026-11-08 | shimz.co.jp |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 自社の現場で使用 | 清水建設が施工する現場で使う。外部への販売・レンタルは案内されていない。 | shimz.co.jp |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 保守 | ロボットの保守の体制は公表されていない。 | shimz.co.jp |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 日本 | 使用は日本の現場だけで、海外での使用・輸出は公表されていない。 | shimz.co.jp |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| シミズ・スマート・サイトの開発費 (ロボット全体) | 10億円超 (2018年4月時点の会社発表) | shimz.co.jp |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
Robo-Welderは、2018年から清水建設の現場で使われてきた溶接ロボットだ。2017年の時点では、製造を愛知産業に委託していた。2018年の最初の現場では、現場溶接に合う新しい方式の開発を優先し、溶接は柱2本にとどまった。2021年には虎ノ門・麻布台で14台を入れる計画を示した。2025年の改良版は、設置の手間とトーチの動きを直し、1人で2台以上を動かせる形にした。生産性1.75倍は、ロボットの設置と解体の時間を含めた技能者1人あたりの値だ。清水建設は、有資格の溶接技能者は全国で1,000人程度しか登録されていないと説明する。夏の過酷な作業と、溶接で出る煙状の粒子 (溶接ヒューム) の発がん性の認定も、ロボット化を急ぐ理由に挙げる。
公表されていないこと
- 改良版の製造委託先
- 現在の保有台数と現場の数
- ロボットアームと溶接機器のメーカー
- 1台あたりの製作費
出所
- 清水建設 ニュースリリース「Robo-Welderが7軸のロボットアームで溶接技能者同等の生産性を実現」 (2025-04-24)
- 清水建設 ニュースリリース「虎ノ門・麻布台プロジェクトで自律型ロボットと人のコラボがスタート」 (2021-02-17)
- 清水建設 ニュースリリース「新大阪の高層ホテル現場に次世代建築生産システムを初適用」 (2018-12-10)
- 清水建設 ニュースリリース「建築工事現場で最先端技術を搭載したロボットと人がコラボ」 (2017-07-12)
- 清水建設 ニュースリリース「ロボット実験棟で各種ロボットを自律制御」 (2018-04-23)
- 清水建設 有価証券報告書 (2026年3月期) (2026-06-22)
出所との照合日: 2026年11月8日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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