清水建設の省エネ設計AI「ZEB SEEKER」と脱炭素コンサルティング ZEB SEEKER
清水建設が自社で開発した省エネ設計のAI。建物の仕様を変数に数万通りの設計案を自動で作り、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の案を選ぶ。400棟以上のZEBの提案に使われた。2025年12月18日、コストを検討する機能を加えた有償コンサルティングの展開を発表した。費用は延床面積1万平方メートルあたりおおむね500万円から。
詳細解説
- 設計業務への導入
- 清水建設は2023年8月21日、ZEBの設計業務にZEB SEEKERを順次導入すると発表した。2024年4月からの改正労働基準法の適用に備え、設計者の業務を減らす狙いを示した。 shimz.co.jp
- 利用の実績
- 2025年12月18日の発表の時点で、400棟以上の建物のZEBの提案に使われた (会社発表)。 shimz.co.jp
- 有償サービスの展開
- 清水建設は2025年12月18日、ZEB SEEKERにコストを検討する機能を加え、顧客の施設のZEB化計画を立てる「脱炭素コンサルティング事業」を展開すると発表した。京葉銀行は発表の時点で利用しており、支店のZEB化の投資判断に使っている。 shimz.co.jp
- 表彰
- ZEB SEEKERを使う脱炭素コンサルティング事業は、省エネルギーセンター主催の2025年度省エネ大賞の製品・ビジネスモデル部門で資源エネルギー庁長官賞を受けた。 shimz.co.jp
- 会社の主張
- 清水建設は、コストを検討する機能を備えたAIはZEB SEEKERだけで、競合する開発事例は報告されていないとする (会社発表)。 shimz.co.jp
- 2026年3月期の研究開発の成果
- 清水建設は2026年3月期の研究開発の成果に、ZEB SEEKERへのコスト検討機能の搭載と脱炭素コンサルティング事業の開始を挙げた。 disclosure2dl.edinet-fsa.go…
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| ソフトウエアのため工場はない | 公表されていない | ZEB SEEKERは清水建設が開発したソフトウエアで、設計と提案に使う。開発を担う部署や計算に使う機器の所在地は公表されていない。 | shimz.co.jp |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- 設計案の自動探索
- 省エネ性能に関わる最大70種類の可変要素 (ガラスの種類や空調方式など) を変数に、2〜3日で数万通りの設計案を作る。 shimz.co.jp
- 3つの評価軸
- 目標の省エネ性能の指標 (BEI)、顧客の予算 (コスト指数)、事業の特性 (事業適合性) を最もよく満たす設計案を選ぶ。 shimz.co.jp
- 設備の能力の自動設定
- 清水建設は設備機器の能力を決める設計の手順をZEB SEEKERに学ばせ、断熱性能や設備方式など概要の仕様から設備の容量を自動で決められるようにした。 shimz.co.jp
- コストの算定
- エネルギー関連機器・建材・施工に関する約1,000項目のコストデータベースで概算コストを出す。データベースを更新して物価の変動に合わせる。 shimz.co.jp
- ほかの設計ツールとの連携
- 設計初期の3次元データ (ライノセラスなど) を読み込み、環境設計の各種シミュレーションツールと連携する。 shimz.co.jp
- 弱い箇所の分析
- 建物全体のエネルギー消費量だけでなく、設備・部屋ごとの消費の傾向を分析し、効率の悪い設備や損失の出る場所を示す。 shimz.co.jp
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 可変要素 | 最大70種類 (2025年12月の発表)。2023年8月の発表では50項目以上の建築・設備の仕様 | shimz.co.jp |
| 計算の量 | 2〜3日で数万通りの設計案 (2025年12月の発表) | shimz.co.jp |
| コストのデータ | 約1,000項目 | shimz.co.jp |
| 効率化の効果 | 設計者が1か月以上かけていたZEB化の検討を100倍以上効率化した (2023年8月の会社発表) | shimz.co.jp |
| 商標 | 清水建設は発表で「ZEB SEEKER®」と登録商標の記号を付けて表記する | shimz.co.jp |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| エネルギー性能の評価プログラム | Python版の建物エネルギー性能の評価プログラム (builelib) 公的な研究機関の研究者の作成 |
国土技術政策総合研究所の宮田征門氏 | — | 日本 公表されていない |
清水建設は、建物のエネルギー性能をこのプログラムで評価すると発表の注記で示した A |
| 設備機器の性能のデータ | 設備機器の性能のメーカー値のデータベース | 清水建設 データベース化 |
1803 | 日本 公表されていない |
清水建設は各設備機器の性能のメーカー値をデータベースにしたと発表した。元の値を出したメーカーの名は明らかにしていない A |
| コストのデータベース | 約1,000項目のコストデータベース | 清水建設 | 1803 | 日本 公表されていない |
清水建設はコスト検討の機能として新たに開発したと発表した A |
| 計算に使う機器 | 公表されていない | 公表されていない | — | 公表されていない 公表されていない |
清水建設は計算に使う機器やクラウドを明らかにしていない A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1開発清水建設が自社で開発し、短い周期で改良を重ねる開発の手法 (アジャイル開発) で改良を続ける方針。企業: 清水建設
- 2評価の土台建物のエネルギー性能は、国土技術政策総合研究所の研究者が作ったPython版のプログラムで評価する。企業: 国土技術政策総合研究所
- 3提供清水建設が設計時のZEBの提案と、有償の脱炭素コンサルティングに使う。外部の販売会社は公表されていない。企業: 清水建設
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1施設の選定顧客の施設群のエネルギーデータを分析し、建て替えや改修で省エネの効果が見込める施設を選ぶ。設備・企業: 清水建設
- 2要望の聞き取り最大70種類の可変要素について顧客の要望を聞き、事業の特性を踏まえて5段階で評価する。設備・企業: 清水建設
- 3モデル化と探索対象施設の3次元モデルを作り、聞き取りの結果をZEB SEEKERに入れて2〜3日で数万通りの設計案を出す。設備・企業: ZEB SEEKER
- 4提案省エネ性能・予算・事業適合性を最もよく満たす設計案を提案する。期間は3か月程度。設備・企業: 清水建設
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 脱炭素コンサルティング | 延床面積1万平方メートルあたりおおむね500万円から (用途・規模で異なる。税込か税抜かは公表されていない) | 2025-12-18 | shimz.co.jp |
| ソフトウエア単体 | 公表していない。ソフトウエア単体の販売は案内されていない | 2026-11-08 | shimz.co.jp |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 清水建設への直接の依頼 | 脱炭素コンサルティングは清水建設が直接受ける。清水建設は脱炭素に向けた技術 (GX) の一つとして紹介している。 | shimz.co.jp |
| 設計・施工の提案 | 清水建設が建物の設計の初期段階で顧客にZEBの案を示すときに使う。 | shimz.co.jp |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| データの更新 | コストのデータベースは物価の変動に合わせて更新する。 | shimz.co.jp |
| 提案後の支援 | コンサルティングの後の設計・工事・運用の支援の内容と料金は公表されていない。 | shimz.co.jp |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 日本 | 公表された利用例は日本の建物だけで、海外での提供は公表されていない。 | shimz.co.jp |
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年12月18日時点 | ZEBの提案に使われた建物 | 400以上 | 棟 | 会社発表 | shimz.co.jp |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 脱炭素コンサルティングの費用の目安 | 延床面積1万平方メートルあたりおおむね500万円から | shimz.co.jp | |
| 連結研究開発費 (2026年3月期・会社全体) | 231億円 | disclosure2dl.edinet-fsa.go… |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
ZEB SEEKERは、清水建設が設計の提案に使い、有償のコンサルティングにも使うAIだ。2023年は設計者の作業を減らす社内の道具として出発した。2025年12月にコストの計算を加え、施設を持つ企業の投資判断を助ける有償のサービスに広げた。料金は延床面積1万平方メートルあたりおおむね500万円からで、期間は3か月程度だ。清水建設は、このサービスで改修や建て替えの計画づくりから関わる。省エネの評価には、公的機関の研究者が作ったプログラムを使っている。2023年の発表では、約150床の病院に、保守・運用費・快適性のどれを重んじるかで違う3つの案を3日で出した例を挙げた。案はZEBの一段手前の水準 (ZEB Ready) を目指すものだった。京葉銀行は、支店のZEB化の投資判断に使っている (2025年12月の発表の時点)。
公表されていないこと
- コンサルティングの受注件数と売上高
- コンサルティングの後に設計・工事を受注した件数
- ZEB SEEKERが使う機械学習の手法の詳細
- 計算に使う機器やクラウドの提供元
出所
- 清水建設 ニュースリリース「AIが省エネ性能とコストを両睨みで評価、顧客最適なZEB化計画を提案」 (2025-12-18)
- 清水建設 ニュースリリース「AIでZEBの設計業務を代替!」 (2023-08-21)
- 清水建設 技術紹介 ZEB SEEKER (2026-11-08)
- 清水建設 有価証券報告書 (2026年3月期) (2026-06-22)
出所との照合日: 2026年11月8日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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