9月18日に期限が来る建玉は6兆2,750億ドル。うち4兆2,260億ドルは金曜の最初に付いた値段で清算され、4兆5,180億ドルは1株の受け渡しも起こさない。実際に株が動くのは、残った1兆7,570億ドルの中だけである。

米国株に連動するオプションの建玉が、2026年9月18日に一度に期限を迎える。Citadel Securities のスコット・ラブナー氏が8月31日にまとめた報告は、この日に期限が来る残高を6.2兆ドル、建玉全体の23%と書いた。同じ報告は、株価を支えてきたマーケットメーカーの持ち高がこれに合わせて薄れうる、とも記す。

この数字は、日本語や中国語で流通する要約の過程で姿を変えた。9月18日という日付に、9.6兆ドルという金額と35%という比率が結び付けられている。だがラブナー氏の報告で9.6兆ドルが指しているのは、8月末から9月18日までの3週間に期限を迎える残高の積み上げであって、1営業日の数字ではない。

金額の取り違えは、それ自体は訂正すれば済む。より根が深いのは、6.2兆ドルという数字の中身が一度も分解されないまま「歴史的規模」とだけ語られていることである。分解すると、この日に何が起き、何が起きないかは、かなりはっきりする。

内訳を1件ずつ足すと6兆2,750億ドルになる

Citadel Securities が示した内訳は6つに分かれる。金額を足し合わせると6兆2,750億ドルで、報告が丸めて示す6.2兆ドルと750億ドルの差が出る。丸めの範囲に収まっており、内訳の側に欠けはない。

区分金額報告の比率金額から再計算清算の時刻決済の方法
S&P500 の月次オプション4兆ドル63.5%63.7%寄り付き現金
個別株8,790億ドル14.1%14.0%大引け現物
SPY 以外の上場投資信託5,490億ドル8.8%8.7%大引け現物
SPY3,290億ドル5.3%5.2%大引け現物
S&P500 のウィークリーオプション2,920億ドル4.7%4.7%大引け現金
S&P500 以外の指数2,260億ドル3.6%3.6%寄り付き現金

報告が示す比率と、表示された金額から割り戻した比率は、区分ごとに0.1ポイントほどずれる。ずれるという事実が、どちらの数字が丸められているかを教えてくれる。比率は丸める前の値から作られ、金額のほうが表示のために丸められている。以下の計算では金額の側を使うため、比率は小数第1位で報告と食い違うことがある。

9月18日に期限を迎える建玉6兆2,750億ドルの内訳と、清算の時刻による2分割
9月18日に期限を迎える建玉6兆2,750億ドルの内訳と、清算の時刻による2分割

区分ごとの性格はまったく違う。S&P500 の月次オプションだけで全体の63.5%を占め、これは金融商品としては1種類しかない。残りの5区分を全部合わせても36.5%にしかならない。「6.2兆ドルの期限」と言われているものの正体は、実質的には1つの商品の期限である。

4兆2,260億ドルは、最初に付いた値段で決まる

S&P500 のオプションのうち、毎月第3金曜に期限が来る従来型は、寄り付きの値段で清算すると決まっている。清算値は、金曜の朝に500銘柄それぞれがその日最初に付けた値段を集め、指数の計算式に入れて作る。取引時間中に指数として表示された値ではない。寄り付きで値が付かない銘柄は前日の終値を代わりに使う。

S&P500 以外の主要な株価指数のオプションも、月次の期限物は同じ方式を取る。この2つを足すと4兆2,260億ドル、全体の67.3%になる。Citadel Securities の報告が示す寄り付き分4.2兆ドル・67%と一致する。

清算の時刻金額構成比何で値段が決まるか
金曜の寄り付き4兆2,260億ドル67.3%500銘柄の最初の約定価格を集めた清算値
金曜の大引け2兆490億ドル32.7%引け値
金曜の寄り付きと大引けで別々の需給が出る時間帯
金曜の寄り付きと大引けで別々の需給が出る時間帯

日本の投資家にはなじみのある仕組みである。日経平均株価のオプションと先物にも特別清算指数があり、225銘柄の寄り付きの値段から作る。日本は第2金曜、米国は第3金曜という違いがあり、2026年9月なら日本が11日、米国が18日にあたる。米国で起きるのは、日本の特別清算指数の算出を、6.2兆ドルの規模でやることである。

清算の時刻が違えば、需給が出る時刻も違う。持ち高を解消する売買は、木曜の引けから金曜の寄り付き前の板までに寄る。「大引けに需給が出る」という説明は、金額の3分の2について当たらない。

現物が動くのは1兆7,570億ドルだけ

もう1つの分け方は、決済で株が動くかどうかである。株価指数のオプションは差金決済で、権利行使しても現金の受け渡しだけが起き、株は1株も移動しない。個別株と上場投資信託のオプションは現物の受け渡しを伴う。

決済の方法金額構成比中身
現金の受け渡しのみ4兆5,180億ドル72.0%S&P500 の月次オプション・ウィークリーオプション、S&P500以外の指数
株の受け渡しあり1兆7,570億ドル28.0%個別株、SPY、SPY 以外の上場投資信託
現金決済と現物の受け渡しに分けた6兆2,750億ドル
現金決済と現物の受け渡しに分けた6兆2,750億ドル

期限が来ても、金額の72%については株式市場で1株も約定しない。支えていた買いが消えるという話が成り立つとすれば、それは建玉を持っていた側が別に組んでいた持ち高を解消するときに限られる。期限そのものが売買を生むのは28%の側だけで、しかも米国株の受け渡しは2024年5月から約定の翌営業日に短縮されているため、金曜に行使された分の株は月曜に移る。

9.6兆ドルは3週間の積み上げで、1営業日の数字ではない

ラブナー氏の報告には、金額と比率の組が2つ並んでいる。9月18日に期限が来るのが6.2兆ドルで23%。8月末から9月18日までの期間に期限が来るのが約9.6兆ドルで約35%。前者は1日、後者は3週間である。

この2つを混ぜると、1営業日に期限が来る額が1.55倍に膨らむ。混ぜた側に悪意があるとは限らない。同じ段落に4つの数字が並んでいれば、日付と金額の対応は崩れやすい。

混ざったことを外から確かめる方法がある。それぞれの金額を比率で割り戻すと、分母が出る。

  • 6.2兆ドル ÷ 23% = 26兆9,600億ドル
  • 9.6兆ドル ÷ 35% = 27兆4,300億ドル

差は1.7%で、丸めの誤差の範囲に収まる。2つの数字は同じ分母から出ている。つまり9.6兆ドルは6.2兆ドルとは別の統計ではなく、同じ建玉を別の期間で切った値である。米国株に連動するオプションの建玉全体は、およそ27兆ドルということになる。この分母はラブナー氏の報告に直接は書かれていない。

規模の位置付けも正確ではない。2026年6月の期限は7.7兆ドルで、これが記録である。9月の6.2兆ドルは8月31日時点の集計値で、報告自身が「このままいけば6月を上回る」と書いている。「歴史上最大級」と言い切れる段階の数字ではなく、期日に向かって積み上がる途中の数字である。

39回の期限日を測ると、あとで荒れる傾向は出ない

期限のあとに市場が荒れるのか。これは主張ではなく測定で決まる。セントルイス連邦準備銀行が公表するS&P500の日次終値から、2011年以降の3月・6月・9月・12月の第3金曜について、前後10営業日ずつの値動きの荒さを計算した。日々の対数収益率の標準偏差を年率に直した値で、実務ではヒストリカル・ボラティリティと呼ばれる。

39回の期限日について、期限後10日の値の期限前10日に対する比を取ると、中央値は0.971になる。期限のあとはむしろわずかに静かになっている。期限後のほうが荒れた回は39回中18回、46.2%である。

比較の相手が必要になる。期限日以外の営業日から493の区間を等間隔で取り、同じ計算をした。中央値0.946、後のほうが荒れた割合45.8%。期限日の46.2%との差は0.4ポイントで、区別が付かない。

9月だけを取り出すと、別の姿が出る。

期限日前10日後10日後10日の騰落当日のVIX
2017年9月15日7.353.520.48+0.77%10.17
2018年9月21日5.995.830.97−1.51%11.68
2019年9月20日5.2815.802.99−1.34%15.32
2020年9月18日22.5620.770.92+0.87%25.83
2021年9月17日8.1418.402.26−1.71%20.81
2022年9月16日28.6820.010.70−7.43%26.30
2023年9月15日10.1111.991.19−3.65%13.79
2024年9月20日10.137.790.77+0.85%16.15
2025年9月19日4.916.421.31+0.77%15.45
39回の期限日で測った前後10営業日の値動きと、期限日以外の区間との比較
39回の期限日で測った前後10営業日の値動きと、期限日以外の区間との比較

9回のうち荒れたのは4回、44.4%。全体と変わらない。ところが期限後10営業日の騰落は9回中5回が下落で、平均は−1.38%になる。4四半期をならした平均は+0.63%だから、9月だけが2ポイント低い。

読み替えるとこうなる。9月の期限のあとに起きているのは、値動きが荒くなることではなく、下がりやすくなることである。この2つは別の現象で、同じ「緩衝材が消える」という言葉で説明できるものではない。下がりやすさのほうは、自社株買いの買い付け停止期間や年度末の持ち高調整といった、期限とは独立の要因が別に存在する。

記録を作った6月の期限は、祝日で木曜に前倒しされていた

2026年6月の期限が7.7兆ドルの記録だったことは、検証にとって好都合である。もし建玉の大きさが期限後の荒れ方を決めるなら、記録の回のあとがいちばん荒れるはずだからである。

まず日付を確かめる。2026年6月の第3金曜は19日にあたるが、この日は米国の祝日で市場が休みだった。FREDのS&P500にも6月19日の観測値がない。期限の金曜が休場のときは前営業日に繰り上がる決まりで、記録の7.7兆ドルは木曜の6月18日に処理された。日付だけを機械的に第3金曜と置くと、この回は取りこぼす。

その6月18日の前後を測ると、前10営業日の変動率は22.96%、後10営業日は11.56%。史上最大の期限のあと、値動きの荒さは半分になった。期限後10日の騰落は+0.49%である。

直近8回を並べると、大きさと荒れ方が結び付いていないことがさらにはっきりする。

期限日前10日後10日後10日の騰落
2024年9月20日10.137.790.77+0.85%
2024年12月20日17.6714.460.82−0.37%
2025年3月21日21.8940.871.87−10.47%
2025年6月20日11.199.190.82+4.39%
2025年9月19日4.916.421.31+0.77%
2025年12月19日11.337.430.66+1.61%
2026年3月20日14.5621.511.48+1.62%
2026年6月18日22.9611.560.50+0.49%

いちばん荒れたのは2025年3月21日で、比1.87、10営業日で10.47%の下げ。この回の建玉は記録ではない。荒れるかどうかを決めているのは期限の大きさではなく、そのとき何が起きていたかである。

建玉より1日の売買高のほうが大きい

6.2兆ドルという金額の受け取り方は、枚数に直すと変わる。9月8日のS&P500は7,673.52で、指数オプションは1枚が指数の100倍だから、1枚の想定元本は767,352ドルになる。

  • S&P500 の月次オプション4兆ドル ÷ 76万7,352ドル = 521万枚
  • 6兆2,750億ドル全体 = 808万枚

Cboe Global Markets が7月31日に出した四半期報告書によれば、2026年4-6月の指数オプションの1日平均売買高は620万枚である。

区分2026年4-6月前年同期伸び
市場全体7,280万枚5,720万枚+27.3%
指数オプション620万枚470万枚+31.9%
複数の取引所に上場する銘柄1,570万枚1,260万枚+24.6%
建玉を枚数に直し、1日の売買高と並べた図
建玉を枚数に直し、1日の売買高と並べた図

S&P500 の月次オプションの建玉521万枚は、指数オプションの0.84日分にあたる。6.2兆ドル全体でも1.30日分である。建玉は残高、売買高は1日の取引量で、そのまま比べる数字ではない。それでも、市場が1日で回している量が期限を迎える残高を上回っているという事実は、残高が消えることの重みを測る物差しになる。

もう1つ、規模の感覚をつかむ数字がある。同じ報告書によれば、指数オプション1枚当たりの手数料収入は0.953ドル。想定元本76万7,352ドルに対する比率は、100万分の1.24である。1億ドルの想定元本を清算して、取引所の取り分は124ドルにしかならない。想定元本という数字が何を表していて何を表していないかは、この比率がよく示している。

連邦公開市場委員会は、期限の2日前に終わっている

期限のあとに金融政策の決定や物価統計が重なれば反応が大きくなる、という筋書きは、日程を確かめる必要がある。2026年9月の連邦公開市場委員会は15日と16日の2日間で、決定の公表は16日水曜の米東部時間14時。経済見通しと政策金利見通しを伴う回にあたる。

期限は18日金曜だから、決定は2日前に済んでいる。順序は逆である。市場が金融政策の結果を織り込む作業は、期限を迎える前に終わる。

そして同じ18日の大引けには、別の需給が控える。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの四半期の定期入れ替えが、この日の取引終了後に効力を持つ。発行済株式数の見直しと浮動株比率の更新を伴い、2026年の入れ替えは11銘柄の採用と11銘柄の除外。入れ替え後の構成銘柄表は9月4日から配られている。指数に連動する資金は、効力発生の直前の値段で持ち高を合わせる必要があるため、売買は引けに集中する。

時刻何が起きるか金額の目安事前に分かるか
金曜の寄り付き指数オプションの清算値の決定4兆2,260億ドル建玉から推測するだけ
金曜の大引け指数の定期入れ替えと株数の更新連動資金の規模に比例銘柄も方向も公表済み
翌週の月曜現物の受け渡し1兆7,570億ドルの一部行使の結果を見てから

金額も方向も事前に分かるほうの需給は大引けにあり、推測しかできないほうは寄り付きにある。報道の重心は、この2つの逆に置かれている。

「ガンマ」という語は、日米どちらの開示書類にも出てこない

この話題の中心にある語は、マーケットメーカーが保有するオプションの持ち高が価格の変化に対してどう反応するかを表す。相場解説では毎日のように使われる。制度上の開示書類ではどうか。

金融庁のEDINETから、2026年3月期の有価証券報告書を9社分取り出して全文を検査した。

会社オプションデリバティブ指数オプションガンマ
大和証券グループ本社5613300
野村ホールディングス528900
三菱UFJフィナンシャル・グループ447720
東海東京フィナンシャル・ホールディングス656720
日本取引所グループ475760
SBIホールディングス603900
松井証券622620
岡三証券グループ234000
マネックスグループ114800

9社すべてで0回である。米国側も同じで、証券取引委員会の全文検索にかけると、2024年以降の提出書類で「dealer gamma」は0件、「triple witching」は4件しかない。4件のうち1件はナスダックの決算資料である。

「0DTE」は1,523件と多く出るが、提出者の顔ぶれが違う。上位は ETF Opportunities Trust と Tidal Trust II で、いずれも上場投資信託を出す信託である。証券会社の書類ではなく、オプションの売りで分配金を出す上場投資信託の届出書に出てくる語になっている。相場解説の語彙と、規制当局に出す書類の語彙は、日米どちらでも重なっていない。

もっとも、規制の側が何も述べていないわけではない。岡三証券グループの有価証券報告書は、想定元本という数字の性格について次のように書く。

契約額等は、あくまでもデリバティブ取引における名目的な契約額又は計算上の想定元本であり、当該金額自体がデリバティブ取引のリスクの大きさを示すものではありません。

6.2兆ドルという数字をどう読むべきかは、日本の開示制度の側が定型文で答えている。

持ち高の実額を見る手はある。Citadel Advisors が8月14日に米国証券取引委員会へ出した四半期の保有報告 (13F) は、6月30日時点で16,127銘柄・8,750億9,600万ドルを載せる。

区分2026年3月末2026年6月末伸び
合計6,184億7,300万ドル8,750億9,600万ドル+41.5%
コール2,548億9,100万ドル3,655億6,500万ドル+43.4%
プット2,224億3,900万ドル3,353億1,100万ドル+50.7%
現物1,411億4,300万ドル1,742億2,100万ドル+23.4%
オプションの比率77.2%80.1%+2.9ポイント

1四半期でオプションの金額が46.8%増え、全体の8割を超えた。ただしこの数字の読み方には条件が2つある。第1に、13Fの金額欄はオプションについて原資産の時価を書く決まりで、オプションそのものの値段ではない。8,750億ドルは「オプションが対象とする株の時価」であって「投じた額」ではない。第2に、届出を出しているCitadel Advisorsは運用会社で、9月18日の見通しを書いたCitadel Securitiesはマーケットメーカーである。創業者は同じでも法人は別で、同じ持ち高を見ているわけではない。届出書の原本を1件ずつ突き合わせないと数字の意味が反転する例は、この四半期にも起きている。

日本の家計は、貯蓄の4分の1を有価証券に置いている

米国株の期限が日本の読者にとってどれだけの重みを持つかは、8年前とは違う。総務省統計局の家計調査から、二人以上の世帯の全国平均を取り出す。

時点貯蓄現在高うち有価証券有価証券の比率
2018年1-3月期1,798万円232万円12.9%
2026年1-3月期2,118万円511万円24.1%
日本の家計の貯蓄に占める有価証券の比率
日本の家計の貯蓄に占める有価証券の比率

有価証券は2.20倍になり、貯蓄全体は1.18倍にとどまった。8年間で増えた貯蓄320万円のうち279万円、87.2%が有価証券の増加で説明が付く。預貯金がほとんど増えないなかで、株式と投資信託の値上がりと買い増しだけが貯蓄を押し上げた形になっている。

比率が12.9%だった時期なら、米国の指数オプションの期限は他人事だった。24.1%になった今は、平均的な世帯の貯蓄の4分の1が、直接あるいは投資信託を通じて世界の株価と結び付いている。伝わり方が変わったのは市場の側ではなく、受け手の側である。

日本の市場を運営する側の数字も同じ方向を向く。日本取引所グループの有価証券報告書は、収益が「売買・取引代金、取引数量、想定元本額等に一定の料率を乗じて算定・計上される」と書き、9社のなかで「指数オプション」の語が最も多い6回出てくる。手数料が想定元本に比例する構造は、Cboe の1枚0.953ドルと同じ設計である。

当日、何時に何を見るか

第1に、木曜の引けから金曜の寄り付きまでの時間帯である。清算値は500銘柄それぞれの最初の約定価格を集めて作るため、指数として表示された値とは一致しない。寄り付き直後の指数と清算値がずれることは異常ではなく、仕組みどおりである。ここでずれの幅が普段より大きければ、寄り付き前の板に持ち高調整の売買が寄ったことを示す。

第2に、金曜の大引けである。指数の定期入れ替えに伴う売買はここに集まる。銘柄と方向は公表済みで、規模は連動資金の額から計算できる。当日の需給のうち、事前に金額を見積もれるのはこちらだけである。

第3に、翌週月曜の受け渡しである。現物の受け渡しを伴う1兆7,570億ドルのうち、実際に行使された分だけが株の移動になる。行使の結果は金曜の夜に確定し、株は月曜に動く。

期限を過ぎたあとに市場の反応が大きくなるかどうかは、金利と物価の分解金の値上がりを支えた買い手の中身と同じで、そのときに何が起きているかで決まる。9月8日時点の10年債利回りは4.78%、物価連動債の利回りは2.43%、ハイイールド債の上乗せ幅は2.67%と、信用の側に緊張の兆しはない。VIXは15.72で、2026年の最低14.25から1.5ポイントしか離れていない。支えが薄くなるとしても、支えを必要とする力が今のところ見当たらない。