ディスコ ダイセパレータ DDS2320・ウエハーマウンタ DFM2800 DISCO Die Separator DDS2320 / Multifunction Wafer Mounter DFM2800 (DDS / DFM / DMM Series)
薄くしたウエハーをテープに貼り、チップに割る工程の装置。ダイセパレータ DDS2320 (2019年開発) は、ステルスダイシングで内部に改質層を作ったウエハーを低温でテープごと引き伸ばす。チップとチップ接着フィルム (DAF) を分けた後、温風でテープのたるみを縮める。ウエハーマウンタ DFM2800 (2007年開発) はグラインダポリッシャ DGP8761 とインライン (装置を直結)で動く。25μm厚以下のウエハーをダイシングテープでフレームに貼り、表面保護テープを剥がす。2機種はステルスダイシング後に裏面研削するステルスダイシングの後に研削で分割する工法 (SDBG)工程の出口にあり、メモリー向けの大きなチップに向く。価格は公表していない。
詳細解説
- 製品の区分
- 精密加工装置のうちダイセパレータとウエハーマウンタ。決算説明資料の製品群には「周辺装置」(2026年7〜9月の出荷額の4%) の区分があるが、ダイセパレータ・マウンタがそこに含まれるかは公表されていない disco.co.jp
- 歴史
- 2003年にインライン対応マルチウエハーマウンタ DFM2700、2007年に DFM2800、2008年に全自動ダイセパレータ DDS2300、2019年に DDS2320、2023年に炭化ケイ素 (SiC)など高硬質素材向けチップ分割装置 DDS2020、2024年に小チップ向け DDS2030 を開発 disco.co.jp
- DDS2320
- メモリー市場 (大チップ) 向けに機能を絞った直径300ミリ対応の全自動ダイセパレータ。低温での引き伸ばし (クールエキスパンド) と加熱収縮 (ヒートシュリンク) を同じユニットで行い、2つのエキスパンドユニットで並列加工する。加工対象物 (ワーク)を下向きにして分割・洗浄し、微粒子の再付着を防ぐ。付帯機器を装置内に収め占有スペースを約40%削減 (会社発表) disco.co.jp
- DFM2800
- 直径300ミリの極薄ウエハーを扱うため、バックグラインダとのインライン化に特化したマウンタ。装置内の扱う回数を従来機の5分の1に減らし、連続稼働時の最大処理能力は DFM2700 比で約50%増 (会社発表)。複数のチップを1つに収めるパッケージ (SiP) 向けのダイシングテープ一体型DAFの貼り付けに対応 disco.co.jp
- 系列
- ダイセパレータ DDS2010・DDS2020・DDS2030・DDS2300・DDS2310・DDS2320、ウエハーマウンタ DFM2800・DMM9200 (MUSUBI対応) disco.co.jp
- 用途
- スマートフォンの薄型化・大容量化で薄くなるフラッシュメモリーやメモリーコントローラの、SDBG後のチップ分割とDAF分割。ダイシングテープを貼り替えずに次のダイボンディング工程へ運べる disco.co.jp
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 桑畑工場 | 広島県呉市 | 精密加工装置と精密加工ツールの生産設備。従業員894人 (2026年3月末) | ダイセパレータ・マウンタの生産工場の内訳は公表されていない | disco.co.jp |
| 茅野工場 (長野事業所) | 長野県茅野市 | 精密加工装置と電動機などの生産設備。従業員360人 (2026年3月末) | disco.co.jp |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- テープエキスパンドによる分割
- ステルスダイシング後のウエハーをエキスパンドステージでテープごと引き伸ばして改質層から割る。その後ヒータエキスパンドステージで200℃以上の高温でテープを熱して縮め、外周のたるみを取る (ヒートシュリンク) disco.co.jp
- DAFの低温分割
- チップ積層のボンディング材に使うDAFを、低温環境でエキスパンドして高品位に分割する。DDS2320のエキスパンドステージはマイナス2〜30℃で可変 disco.co.jp
- 反転処理
- ワーク面を下向きにしてエキスパンドとヒートシュリンクを行い、分割時とテープ収縮時に出る微粒子を落下させて再付着を防ぐ。チップ化後も下向きのままスピンナ洗浄する disco.co.jp
- DFM2800の工程
- バックグラインダからワークを受け取り、表面保護テープにUVを照射 (UVテープ使用時)、画像処理で位置合わせし、ダイシングテープか2 in 1 DAFテープでテープフレームにマウント、表面保護テープを剥離してテープフレームカセットへ収納 disco.co.jp
- 極薄ウエハーの保護
- 各搬送パッドとテーブルにクリーニング機構を付け、微粒子の挟み込みによるウエハー割れを防ぐ。DGP8761とのインラインではDGP8761側でDFM2800の加工条件の設定 (レシピ)選択とスタート/ストップを一元管理 disco.co.jp
- オプション
- スタンドアロン用のロボット/シングルロードポート、ダイシングテープの装置内プリカット、粘着テープによる保護テープ剥離、ウエハー表面IDの認識 (ビジョンシステム) disco.co.jp
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| DDS2320 最大ワークサイズ | 直径300ミリ (12インチ (300ミリ)テープフレームのみ対応) | disco.co.jp |
| DDS2320 エキスパンド | 温度マイナス2〜30℃可変、突き上げ量0〜30mm (ステップ0.001mm)、突き上げ速度0.001〜400mm/s、温風150〜250℃・流量0〜30L/min | disco.co.jp |
| DDS2320 寸法・質量 | 1,300×1,800×1,800mm、約1,126kg | disco.co.jp |
| DFM2800 対応径・精度 | 直径200ミリ/直径300ミリ。ウエハー貼り付け精度 X/Y ±0.5mm以下・θ ±0.5度以下、ダイシングテープ貼り付け精度 X/Y ±1.0mm以下 | disco.co.jp |
| DFM2800 寸法・質量 | 2,150×2,643×1,800mm、約3,100kg | disco.co.jp |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| ダイシングテープ・DAF・表面保護テープ (消耗材) | ダイシングテープ、ダイシングテープ一体型DAF (2 in 1 DAFテープ)、UV硬化型を含む表面保護テープ ディスコ製品サイトの関連製品にテープフレームとカセットはあるがテープ自体はない |
公表されていない | — | DFM2800製品ページに対応テープの種類を記載。テープメーカーの開示なし A | |
| テープフレーム・テープフレームカセット | テープフレーム、ダイシングカセット 製造元の開示なし。ディスコが販売する関連製品として記載 |
ディスコ 関連製品として販売 |
6146 | 日本 公表されていない |
製品サイトの関連製品に tapeframe・dicingcassette のページ A |
| エキスパンドユニット (冷却・温風一体) | 新開発エキスパンドユニット (DDS2320) | ディスコ | 6146 | 日本 公表されていない |
製品ページに「新開発のエキスパンドユニット」と記載 A |
| UV照射部・ビジョンシステム (DFM2800) | UV照射機構、ウエハー表面ID認識 (ビジョンシステム、オプション) | 公表されていない | — | 製品ページに機能の記載、供給元の開示なし A | |
| 搬送ロボット・駆動部 | 公表されていない | 公表されていない ディスコは主要部品を内製する方針と記すが、加工品質に影響しない部分は購入品も使う |
6146 | 日本 公表されていない |
有価証券報告書「主要部品を内製化」と会社サイト「内製モータのご紹介」(購入品と組み合わせて使用)。部品ごとの内製・外注の内訳は非開示。会社サイトはディスコ開発のウエハー自動搬送ロボットに内製のインホイールモーターを使うと記す B |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1前工程の装置ステルスダイシング機 (DFL7362・DFL7341) で改質層を作り、グラインダポリッシャ (DGP8761) で裏面研削し、マウンタ (DFM2800) で貼り替え、ダイセパレータ (DDS) で分割するSDBGの流れをディスコ1社でそろえる企業: ディスコ
- 2消耗材ダイシングテープ・DAF・保護テープは装置の対象材料。供給元は公表されていない企業: 公表されていない
- 3主要部品主要部品を内製する方針。子会社ダイイチコンポーネンツが電動機・制御機器を造る企業: ディスコ・ダイイチコンポーネンツ
- 4販売国内は直販、海外は6か国の子会社と代理店企業: DISCO HI-TEC 各社
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1装置の組立精密加工装置の生産設備は桑畑工場と茅野工場。全装置を免震構造の棟で造る設備・企業: ディスコ 桑畑工場・茅野工場
- 2有償加工での使用中工程リサーチセンター (熊本県益城町) とシンガポール・韓国の拠点に DDS2300 を置き、顧客の試作・少量生産とテストカットに使う設備・企業: ディスコ
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| DDS2320・DFM2800 | 公表されていない。見積もり (製品ページに価格の記載なし) | 2026-11-01 | disco.co.jp |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 国内の直販 | 営業本部 国内営業部が窓口。問い合わせフォームと近くの営業拠点から | disco.co.jp |
| 海外の子会社・代理店 | 米国・中国・韓国・東南アジア・台湾・インド・欧州の拠点と代理店 | disco.co.jp |
| 購入前のテストカット | 韓国 (板橋) のラボに DDS2300、各地のラボに DGP8761+DFM2800 のインライン構成を置き、無償で加工検証 | disco.co.jp |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| メンテナンス・部品 | メンテナンスサービス、部品供給・部品の修理。保証の年限は公表されていない | disco.co.jp |
| 操作の継承 | DFM2800は従来機の操作方式を継承しつつ画面を大きくし、インラインではDGP8761側から一元管理できる | disco.co.jp |
| 研修 | 購入顧客向けの研修。海外5か所に研修センター | disco.co.jp |
| リサイクル | 使用済み装置の解体・リサイクルサービス | disco.co.jp |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 全体 | 国内製造・輸出型で海外売上高比率89.7% (2026年7〜9月)。本装置単独の仕向け地別は公表されていない | disco.co.jp |
| 地域別 (2026年3月期、全製品) | 中国1,349億7,500万円、台湾1,173億7,800万円、日本456億600万円、韓国330億6,900万円など。ダイセパレータ・マウンタの韓国向けの内訳は公表されていない | disco.co.jp |
| 輸出管理 | 2026年8月にディスコは新たな輸出規制の対象になったとの情報を否定。機種ごとの該非は公表されていない | disco.co.jp |
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年7〜9月 | 周辺装置の出荷額構成比 | 4 | % | 前四半期比+4%、前年同期比+149%。ダイセパレータ・マウンタがここに含まれるかは非開示 | disco.co.jp |
| 2026年1〜3月 | 周辺装置の出荷額構成比 | 4 | % | 前四半期比+69%、前年同期比+44% | disco.co.jp |
| 2026年10〜12月 (予想) | 周辺装置出荷額の前四半期比 | +10 | % | 会社の概算見通し | disco.co.jp |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 精密加工装置の売上高 (全装置) | 2,739億5,700万円 (2026年3月期) | disco.co.jp |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
ダイセパレータとマウンタは単独の売上が開示されない装置だが、SDBG工程の出口にあり、レーザーソーとグラインダポリッシャが売れれば一緒に導入される。周辺装置の出荷額は2026年7〜9月に前年同期比149%増と、装置群の中で伸び率が最も高い。DDS2320 はメモリー向けの大チップに機能を絞った機種だ (製品ページ)。フラッシュメモリーやメモリーコントローラーの薄いチップの分割が対象になる (会社説明)。ディスコはSDBGの前後工程を自社装置でそろえ、1台ずつではなく流れとして売る。テープやDAFは顧客が別途調達する材料で、供給元は装置側からは開示されない。ディスコは2026年10〜12月の周辺装置出荷を前四半期比10%増と見ている。メモリーの積層数が増えるほどチップは薄くなり、分割と貼り替えの難しさが装置の需要に変わる。
公表されていないこと
- DDS2320・DFM2800 の販売価格と出荷台数
- ダイセパレータ・マウンタが決算説明資料の「周辺装置」区分に含まれるか
- ダイシングテープ・DAF・保護テープの供給元
- 生産工場の内訳 (桑畑か茅野か)
- DMM9200・DDS2020・DDS2030 の詳細仕様
出所
- DDS2320 製品ページ (2026-11-01)
- DFM2800 製品ページ (2026-11-01)
- SDBGプロセス (ディスコ) (2026-11-01)
- ステルスダイシング加工 (ディスコ) (2026-11-01)
- テープフレーム (関連製品) (2026-11-01)
- 社史 (ディスコ) (2026-11-01)
- 有価証券報告書 第87期 (2026-06-16)
- 2026年度 第2四半期 決算説明資料 (2026-10-22)
- 2025年度 第4四半期 決算説明資料 (2026-04-22)
- 有償加工サービス (ディスコ) (2026-11-01)
- テストカットサポート (ディスコ) (2026-11-01)
- 内製モータのご紹介 (ディスコ) (2026-11-01)
出所との照合日: 2026年11月1日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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