ディスコ ポリッシャ DFP8160・グラインダポリッシャ DGP8761(ストレスリリーフ) DISCO Dry Polisher DFP8160 / Grinder-Polisher DGP8761 / Dry Etcher DME8061
裏面研削で薄くしたウエハーに残る微小な研削ダメージ層を取り除き (ストレスリリーフ)、チップの抗折強度を上げる装置群。DFP8160 は水も薬液も使わない直径300ミリ対応のドライポリッシャ。DGP8761 は粗研削・仕上げ研削・ドライポリッシングを1台で続けて行い、25μm厚以下に仕上げるグラインダポリッシャ。DME8061 はプラズマでストレスリリーフと、金属不純物を捕まえる層を作るゲッタリングを行うドライエッチャだ。複数装置を連結するクラスターシステム MUSUBI の一部になる。ドライポリッシング工法は2001年にディスコが開発した。価格は公表していない。
詳細解説
- 製品の区分
- 精密加工装置のうちポリッシャ (製品サイトの区分「ポリッシャ」にドライポリッシャ・グラインダポリッシャ・ドライエッチャが並ぶ)。決算説明資料の製品群 (ブレードダイサ・レーザーソー・グラインダ・周辺装置) のどこに含まれるかは公表されていない disco.co.jp
- 歴史
- 2001年に乾式研磨方式のドライポリッシング工法を開発し、初のドライポリッシャ DFP8140 とドライポリッシングホイールを製品化。2003年に300mm対応グラインダ/ポリッシャ DGP8760、2007年に DGP8761、2016年に化学機械研磨 (CMP)対応全自動ポリッシャ DFP8141 を開発 disco.co.jp
- DFP8160
- 研磨液 (スラリー)を使わずにウエハー裏面の研削ダメージ層を除く直径300ミリ対応ドライポリッシャ。既存のグラインダ工程に後付けでき、DFG8560とのインライン (装置を直結)仕様 (オプション) がある。薬液処理が不要で環境負荷とCoO (所有コスト) の改善をディスコは挙げる disco.co.jp
- DGP8761
- DGP8760の後継。裏面研削からストレスリリーフまでを一体化し25μm厚以下の薄仕上げを安定して行う。3軸目はドライポリッシング、ウェットポリッシング (化学機械研磨 (CMP) など、オプション)、スーパーファイン研削 (Poligrind・UltraPoligrind、オプション)、Gettering DP から選べる。マルチウエハーマウンタ DFM2800 とインラインで薄ウエハーへのチップ接着フィルム (DAF)貼り付けに対応 disco.co.jp
- DME8061
- プラズマによる非接触のストレスリリーフで研削面のダメージ層を除き、続けてプロセスガスを切り替えてゲッタリング層を作るドライエッチャ。クラスターシステム MUSUBI の一部で、DMG8762 (グラインダポリッシャ)・DMM9200 (ウエハーマウンタ) と接続する構成例がある disco.co.jp
- 系列
- DFP8140・DFP8141・DFP8160 (ポリッシャ)、DGP8761・DGP8762 (グラインダポリッシャ)、DME8061 (ドライエッチャ)、MUSUBI対応の DMG8762 disco.co.jp
- 用途
- 100μm以下まで薄くした半導体ウエハー (シリコン・炭化ケイ素 (SiC)) 裏面の鏡面化とストレスリリーフ、サファイアなど光学部品の裏面鏡面化。ステルスダイシングの後に研削で分割する工法 (SDBG)工程後のチップ表面の処理 technology.disco.co.jp
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 桑畑工場 | 広島県呉市 | 精密加工装置と精密加工ツールの生産設備。従業員894人 (2026年3月末) | ポリッシャの生産工場の内訳は公表されていない | disco.co.jp |
| 茅野工場 (長野事業所) | 長野県茅野市 | 精密加工装置と電動機などの生産設備。従業員360人 (2026年3月末) | disco.co.jp |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- ドライポリッシング
- 研磨材を含むパッドを円形の基台に貼ったドライポリッシングホイールを、水も薬液も使わずテーブル上のウエハーに一定の荷重で押し当て、両方を回して面全体を鏡面にする。薬液の回収・循環・廃液処理が要らない technology.disco.co.jp
- ストレスリリーフの目的
- 裏面研削で生じた微小なダメージ層を除くとウエハーの割れや反りが減り、チップの抗折強度と歩留まりが上がる。薄化が進むほどこの工程の重みが増す disco.co.jp
- ゲッタリング
- シリコンウエハー内に研削などで微細な破砕層 (ゲッタリングサイト) を作り、重金属などの不純物を捕らえて固定する技術。Gettering DP はドライポリッシングで高い抗折強度とゲッタリング性の維持を両立するディスコ独自の方式 (会社説明) disco.co.jp
- プラズマ処理
- DME8061は六フッ化硫黄 (SF6) とアルゴン (Ar) をプロセスガスに使い、プラズマで研削面のダメージ層を除いた後、ガスを切り替えて連続でゲッタリング層を形成する。ガス除害設備は顧客側で用意する disco.co.jp
- DGP8761の加工対象物 (ワーク)の流れ
- ロボットがカセットからワークを出しポジションテーブルで中心合わせ、T1アームでチャックテーブルへ。粗研削、仕上げ研削、ドライポリッシングの順に処理し、T2アームでスピンナテーブルへ移して洗浄・乾燥、マウンタ DFM2800 へ渡すかカセットに戻す disco.co.jp
- MUSUBI
- 共通の搬送部に複数装置を接続し、ロボット搬送で工程間の滞留とウエハー破損リスクを下げる。組み込み型の測定ユニットでプロセス中に厚み・うねり・画像を測る。MUSUBI対応なら他社の装置も接続できる (会社説明) disco.co.jp
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| DFP8160 | 加工可能ウエハー径直径200・300ミリ (1サイズ選択)、直径450ミリドライポリッシュ用ホイール、スピンドル定格出力7.5kW・1,000〜3,000回転/分、チャックテーブル0〜300回転/分、薄型力センサ内蔵、1,400×3,322×1,800mm、約2,400kg | disco.co.jp |
| DGP8761 | 直径200・300ミリ、研削軸は直径300ミリダイヤモンドホイール、Dry Polishing軸は直径450ミリドライポリッシングホイール、Wet Polishing軸は直径450ミリ研磨パッド。1,690×3,315×1,800mm (オープンカセット) / 1,690×3,452×1,800mm (FOUP)、約6,700kg (ドライポリッシュ (DP)・Poligrind仕様) / 約6,900kg (CMP仕様) | disco.co.jp |
| DME8061 | 直径300ミリ、プロセスガスSF6・Ar、1,400×2,200×1,800mm、約2,600kg | disco.co.jp |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| ドライポリッシングホイール (消耗品) | DP08シリーズ (2007年開発)、GetteringDP (DPEG-MZ 2014年、DPEG Series SZ Type 2023年) | ディスコ | 6146 | 日本 呉工場・桑畑工場 (広島県呉市) |
製品サイトの精密加工ツール区分と社史。有価証券報告書の主要な設備で呉・桑畑に精密加工ツール生産設備 A |
| グラインディングホイール (DGP8761の研削軸、消耗品) | GF01・IF・Poligrind・UltraPoligrind | ディスコ | 6146 | 日本 呉工場・桑畑工場 |
DGP8761製品ページに UltraPoligrind・Poligrind の記載、製品サイトの区分 A |
| 研磨パッド・スラリー (ウェットポリッシング軸) | 直径450ミリ研磨パッド CMP仕様はオプション |
公表されていない | — | DGP8761仕様表に「直径450ミリ研磨パッド (Wet Polishing軸)」。供給元の開示なし A | |
| プロセスガス (DME8061) | SF6・Ar | 公表されていない 顧客側で供給 |
— | DME8061仕様表にプロセスガス SF6・Ar、ガス除害設備は顧客で準備と注記 A | |
| スピンドル (主軸・モーター) | 7.5kWスピンドル (DFP8160)、新開発スピンドル (DGP8761) 加工品質に影響しない部分には購入品も使うと会社サイトは記す |
ディスコ 内製モーター。グラインダ向けの内蔵モーターは2018年の長野事業所開設以降ディスコ主導で開発 |
6146 | 日本 公表されていない (茅野工場に電動機の生産設備) |
会社サイト「内製モータのご紹介」が、スピンドルやチャックテーブルなど加工品質に直結する部品に自社開発・製造のモーターを使い、2018年の長野事業所開設以降はグラインダやレーザーソー向けの内蔵モーターの開発もディスコ主導で進めると記す。有価証券報告書は「主要部品を内製化」と茅野工場の電動機生産設備を記す A |
| 薄型力センサ (DFP8160) | 内蔵負荷センサ | 公表されていない | — | DFP8160仕様表に「内蔵負荷センサ: 薄型力センサ」。供給元の開示なし A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1消耗品ドライポリッシングホイールとグラインディングホイールはディスコ製。装置とホイールの組み合わせで加工条件を提案する企業: ディスコ
- 2主要部品主要部品を内製する方針。子会社ダイイチコンポーネンツが電動機・制御機器を造る企業: ディスコ・ダイイチコンポーネンツ
- 3工程の連結DGP8761は DFM2800 (ウエハーマウンタ) とインライン、DFP8160 は DFG8560 とインライン、DME8061 は MUSUBI で DMG8762・DMM9200 と接続企業: ディスコ
- 4販売国内は直販、海外は6か国の子会社と代理店企業: DISCO HI-TEC 各社
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1装置の組立精密加工装置の生産設備は桑畑工場と茅野工場。全装置を免震構造の棟で造る設備・企業: ディスコ 桑畑工場・茅野工場
- 2有償加工での使用本社R&Dセンターの有償加工サービスに DGP8761、中工程リサーチセンター (熊本県益城町) に MUSUBI (DMG8762・DMM9200) を置き、顧客の試作・少量生産を請け負う設備・企業: ディスコ
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| DFP8160・DGP8761・DME8061 | 公表されていない。見積もり (製品ページに価格の記載なし) | 2026-11-01 | disco.co.jp |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 国内の直販 | 営業本部 国内営業部が窓口。問い合わせフォームと近くの営業拠点から | disco.co.jp |
| 海外の子会社・代理店 | 米国・中国・韓国・東南アジア・台湾・インド・欧州の拠点と代理店 | disco.co.jp |
| 購入前のテストカット | 本社ラボに DFP8140・DGP8761・DMG8762、米国に DFP8140・DGP8760+DFM2700、シンガポールに DGP8761 CMP・DGP8761+DFM2800、中国に DGP8760+DFM2800、台湾・韓国に DGP8761+DFM2800 を置き無償で加工検証 | disco.co.jp |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| メンテナンス・部品 | メンテナンスサービス、部品供給・部品の修理。保証の年限は公表されていない | disco.co.jp |
| 従来機との共通性 | DGP8761は砥石・ドレッサーボードが従来機と互換で、操作方法とGUIの画面構成も共通 | disco.co.jp |
| 研修 | 購入顧客向けの研修。海外5か所に研修センター | disco.co.jp |
| リサイクル | 使用済み装置の解体・リサイクルサービス | disco.co.jp |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 全体 | 国内製造・輸出型で海外売上高比率89.7% (2026年7〜9月)。ポリッシャ単独の仕向け地別は公表されていない | disco.co.jp |
| 地域別 (2026年3月期、全製品) | 中国1,349億7,500万円、台湾1,173億7,800万円、日本456億600万円、その他アジア441億1,500万円、米州349億300万円、韓国330億6,900万円、欧州268億3,900万円 | disco.co.jp |
| 輸出管理 | 2026年8月にディスコは新たな輸出規制の対象になったとの情報を否定。機種ごとの該非は公表されていない | disco.co.jp |
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 精密加工装置の売上高 (全装置) | 2,739億5,700万円 | 円 | ポリッシャ単独の売上高・台数は公表されていない | disco.co.jp |
| 2026年7〜9月 | グラインダの出荷額構成比 (グラインダポリッシャを含むかは非開示) | 26 | % | 周辺装置は4% | disco.co.jp |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 研究開発費 | 341億5,600万円 (2026年3月期)。有価証券報告書はレーザーやプラズマを用いた加工技術の開発を記す | disco.co.jp |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
ポリッシャは単独では売上が開示されない装置だが、ウエハーが薄くなるほど研削後のダメージ除去が歩留まりを左右する。ディスコは2001年に薬液を使わないドライポリッシングを開発し、研削・研磨・マウントを1つの流れにつないだ。DGP8761 は研削からストレスリリーフまでを1台で終え、DFM2800 と組めば25μm厚以下のウエハーをテープに貼るまで人手を介さない。広帯域メモリー (HBM) のように十数枚のチップを積むメモリーでは、この厚さと強度が製品の歩留まりを左右する。DME8061 のプラズマ処理と MUSUBI のクラスター化は、砥石のディスコが砥石以外の手段を工程に組み込む動きだ。有価証券報告書がリスクに挙げた「砥石に代わる加工技術」への備えでもある。消耗品のホイールは装置の稼働に連動して売上が続く。
公表されていないこと
- DFP8160・DGP8761・DME8061 の販売価格
- ポリッシャ単独の売上高・出荷台数 (決算説明資料の製品群に単独の区分がない)
- 生産工場の内訳 (桑畑か茅野か)
- 研磨パッド・スラリー・力センサ・プラズマ電源の供給元
- DGP8762・DMG8762 の仕様
出所
- DFP8160 製品ページ (2026-11-01)
- DGP8761 製品ページ (2026-11-01)
- DME8061 製品ページ (2026-11-01)
- 研磨パッドによる乾式研磨加工 (ディスコの技術解説サイト) (2026-11-01)
- MUSUBI (ディスコ) (2026-11-01)
- DP08 シリーズ 製品ページ (2026-11-01)
- 社史 (ディスコ) (2026-11-01)
- 有価証券報告書 第87期 (2026-06-16)
- 2026年度 第2四半期 決算説明資料 (2026-10-22)
- 有償加工サービス (ディスコ) (2026-11-01)
- テストカットサポート (ディスコ) (2026-11-01)
- 拠点情報・アクセス (ディスコ) (2026-11-01)
- 内製モータのご紹介 (ディスコ) (2026-11-01)
出所との照合日: 2026年11月1日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
ディスコ のほかの製品
🧰 ツール・特集の入口
一次データで動く 14 本 — 銘柄の絞り込み・供給網・比較・一次データの台帳・解説・規制レンズ (すべて無料)