アドバンテスト テストハンドラー(M4872・M5241・M4841・M6242 ほか) Test Handlers (M4841 / M4872 / M4173 / M6242-M6243 / M5241)
パッケージ後の半導体をテスターへ自動搬送し、温度をかけて試験し、結果で選別する装置。SoC 向けの M4872 は、試験中の発熱に合わせて温度を制御する機能 (ATC、アクティブ・サーマル・コントロール) を備える。M4841 は最大32個同時・毎時18,500個。メモリ向けの M6242/M6243 は毎時42,200個。2025年12月発表の M5241 は最大512個同時・毎時46,000個で T5801 と垂直接続する。開発用の単体ハンドラー M4173 は遠隔操作できる。売上はテストシステム事業の「その他システム」(2026年3月期805億円) に含まれる。価格は公表していない。
詳細解説
- 製品の区分
- テストシステム周辺機器。統合報告書は、テストシステムにデバイスを搬送し温度などの試験条件を加える装置と説明し、テスター・デバイスインターフェースと統合した「テストセル」を一括提案するとする advantest.com
- M4872 (SoC・高発熱向け)
- AI や自動運転向けの高性能 SoC の試験時の急な温度上昇に、大容量の冷却・加熱で対応する ATC を搭載。チップ本体とその周辺に加える力を別々に制御する機能 (Die Force Control) で反りと割れを防ぐ advantest.com
- M4841 (MCU・DSP 量産向け)
- BGA・CSP・QFP を最大32個同時、毎時18,500個。温度範囲 -40〜+125℃ (オプションで -55〜+175℃)。ATC2.0 を備える advantest.com
- M5241 (メモリ向け・新型)
- 2025年12月10日発表。T5801 と垂直ドッキングし、T5833・T5503HS2・T5835 とも接続できる。最大512個同時、毎時46,000個、マイクロチャンバー方式。温度精度 ±1.0℃ (製品ページ)。複数の大手メモリメーカーが採用準備中で、初回出荷は2026年4〜6月の予定と発表 advantest.com · advantest.com
- M6242/M6243 (DRAM 量産向け)
- 毎時42,200個 (従来機 M6241 の2倍以上)、最大512個同時、BGA・CSP・TSOP1 advantest.com
- M4173 (開発用)
- 研究開発向けの1個ずつ試験するハンドラー。ネットワーク経由で遠隔操作でき、-45〜125℃ の3温度試験に対応 advantest.com
- チェンジキット
- パッケージの外形ごとに交換する治工具を特注設計で提供 (M6242/M6243 用、M4841 用) advantest.com
- 担当組織
- ハンドラーとデバイスインターフェースはテストシステム事業グループの DH 事業本部が担当 (執行役員 山下和之) advantest.com
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 群馬工場 | 群馬県邑楽郡邑楽町 | 有価証券報告書の「主要な設備の状況」で唯一「製造設備」と区分される国内拠点。テストシステム事業とサービス他の両方に属し、従業員349人 (2026年3月31日現在)。どの機種をここで造るかは公表されていない | advantest.com | |
| 外部委託先 (EMS) | 公表されていない | 統合報告書2026によると、品種が少なく数量が多い製品や、組み込む基板に応じて仕様を変えられる製品は EMS (電子機器受託製造サービス) の提携企業に生産を全面委託し、少量で構造が複雑な製品は自社で造る併用方式 (アドバンテストは「ハイブリッド生産」と呼ぶ)。委託先の社名と所在地は公表されていない | advantest.com | |
| アドバンテスト・コリア (天安) | 韓国忠清南道天安市 | 有価証券報告書は「製造設備等」と区分。テストシステム事業とサービス他に属し、従業員278人 (2026年3月31日現在)。関係会社の状況では「テストシステム等の製造・販売支援」。機種別の内訳は公表されていない | advantest.com | |
| 群馬R&Dセンタ | 群馬県邑楽郡明和町 | 開発設備。従業員1,212人 (2026年3月31日現在)、土地19万5,617平方メートル。統合報告書はドイツのボブリンゲンと並ぶ主要開発拠点と位置づける | advantest.com |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- アクティブ・サーマル・コントロール (ATC)
- デバイス内部温度を高速に検知し、応答の速い加熱・冷却装置で試験中の発熱変動に追従する。有価証券報告書は高低温のリアルタイム温度制御技術の開発を挙げる advantest.com
- 荷重の分離制御 (Die Force Control)
- チップ本体とその周辺に加える力を別々に制御し、反り・割れを防ぎながら温度制御付きプッシャーとの密着を高める advantest.com
- マイクロチャンバー (M5241)
- デバイスごとの小型チャンバーで ±1.0℃ の温度精度。姿勢検知と自動復帰で搬送エラー (ジャム) を減らし、工具不要のワンタッチ交換キットで保守時間を従来比最大4分の1に短縮 (会社発表) advantest.com
- 工場自動化
- M5241 は OHT (天井搬送) や自律搬送ロボットに対応し、HM360 ソフトウエアで予知保全ができる advantest.com
- 研究開発
- 有価証券報告書は、多数個同時測定のメモリ用ハンドラー、大型パッケージ・高発熱デバイス対応の SoC 用ハンドラー、チップレット用のダイ搬送装置の開発を挙げる advantest.com
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| M4841 | 最大32個同時、毎時18,500個、-40〜+125℃ (オプション -55〜+175℃) | advantest.com |
| M6242/M6243 | 最大512個同時、毎時42,200個、-40〜+125℃ (オプション -55〜+125℃)、温度誤差 ±1.5℃以内 (-10〜+100℃) | advantest.com |
| M5241 | 垂直ドック、最大デバイス 14×22mm、最大512個同時、毎時46,000個、-40〜+125℃ (拡張 -55〜+150℃)、±1.0℃ | advantest.com |
| M4173 | 単体サイト、-45〜125℃、遠隔操作、温度サイクル試験の効率を手動比40%改善 (会社発表) | advantest.com |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| 温度制御ユニット (ATC) | ATC・ATC2.0、温度制御付きプッシャー | アドバンテスト | 6857 | 日本 公表されていない |
製品ページ A |
| 恒温槽・マイクロチャンバー | M4841 の恒温槽、M5241 のマイクロチャンバー | アドバンテスト | 6857 | 日本 公表されていない |
製品ページ A |
| チェンジキット | パッケージ別の交換治工具 | アドバンテスト | 6857 | 日本 日本・中国・韓国・マレーシア・台湾で設計・製造 (デバイスインターフェースの体制表。米国には無い) |
製品ページ A |
| 搬送機構・センサー・カメラ | 2D コード読み取り、ローテーション、姿勢検知 | 公表されていない | — | 製品ページは機能のみ記載 A | |
| 予知保全ソフトウエア | HM360 (M5241 オプション) | アドバンテスト | 6857 | 日本 | 製品ページ A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1製造EMS 委託と自社製造の併用。ハンドラーの製造拠点は公表されていない企業: アドバンテスト・EMS
- 2テスターとの組み合わせM5241 は T5801・T5833・T5503HS2・T5835 と接続。M4841 は V93000 と統合したテストセルがシンガポール・ポリテクニックの研修施設に設置企業: アドバンテスト
- 3顧客M5241 は複数の大手メモリメーカーが採用準備中 (2025年12月時点の会社発表)。社名は非公表企業: 公表されていない
- 4売上の連動投資家向け解説書は、ハンドラーとデバイスインターフェースの売上はテスターの売上と連動する傾向があるとする
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1製造製造拠点は公表されていない
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| M4841 / M4872 / M4173 / M6242 / M5241 | 公表していない。見積もり (相対取引) | 2026-11-01 | advantest.com |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 直販 (国内と韓国・中国の一部) | 有価証券報告書によると、販売は主に親会社が国内と一部の海外顧客 (韓国・中国など) を担当する | advantest.com |
| 海外販売子会社 | その他の海外顧客は アドバンテスト・アメリカ (米カリフォルニア州)、アドバンテスト・ヨーロッパ (ドイツ)、アドバンテスト台湾 (台湾新竹)、アドバンテスト・シンガポール などが担当する | advantest.com |
| リース | 顧客に半導体テストシステムを1〜3年のオペレーティング・リースで貸し出す契約がある。契約はすべて解約不能 | advantest.com |
| 認定中古 | 子会社のアドバンテスト プリオウンド ソリューションズが、使わなくなった装置を買い取り、メーカーの技術者が仕様変更・動作確認・ライセンス切り替えをして再販する | advantest.com |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 保守契約 (カスタマ・サービス契約) | 専任エンジニアの技術支援、モジュール交換、ソフトウエア更新、校正、予防保守を含む支援パッケージ。必要なときに届くスペア部品や現地での支援を追加でき、対応可能時間の拡大や応答の迅速化のオプションもある。保証の年限は公表されていない | advantest.com |
| 校正・スペア・ソフトウエア更新 | 校正サービス、交換修理、顧客先にスペアボードを常備する仕組み、ソフトウエア更新を提供する | advantest.com |
| 遠隔保守 (ADVANTEST CONNECT+) | 半導体業界で使われる安全な遠隔接続の規格 secureWISE を使ったオンライン支援。xR (仮想現実・拡張現実の総称) を使うデジタル支援と遠隔操作に対応する | advantest.com |
| コールセンター | 日本 (0120-588-872) のほか米国・中国・欧州・シンガポール・韓国・台湾などに窓口を置く | advantest.com |
| 保守性 (M5241) | 調整不要の運用と機械治具不要のワンタッチ交換キットで保守の負荷を抑える。予知保全は HM360 オプション | advantest.com |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 海外全般 | 2026年3月期の海外売上比率は97.8%。地域別の売上高は日本251億円、日本以外のアジア1兆359億円、米州445億円、欧州231億円。アジアの伸びは台湾でのSoC半導体用試験装置の販売が主因と有価証券報告書は説明する | advantest.com |
| 輸出管理 | 輸出管理の最高責任者は代表取締役兼経営執行役員社長。米国の輸出管理規則 (EAR) の域外適用に備え、特定顧客との取引では米国原産品目の含有率と直接製品規制の該当を確認し、用途に懸念があれば確約書を取る運用。製品分野ごとの一覧ページに該当・非該当判定書の発行窓口がある | advantest.com |
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | その他システム (ハンドラー・デバイスインターフェース・システムレベルテスト) の売上高 | 805 | 億円 | 前期847億円。ハンドラー単体は非開示 | advantest.com |
| 2027年3月期 (予想) | その他システムの売上高 | 1,105 | 億円 | advantest.com |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| M5241 の保守時間 | 従来比最大4分の1 (会社発表) | advantest.com |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
テストハンドラーは装置自体の売上よりも、テスターと一体の「テストセル」として売る意味が大きい。アドバンテストはテスター・ハンドラー・デバイスインターフェースを一括提案し、統合報告書もこれを強みに挙げる。売上はその他システムとして2026年3月期805億円で、テスターの販売に連動する。
技術の核は温度制御だ。AI 向け半導体は試験中に大きく発熱し、M4872 は ATC と荷重制御で歩留まりの低下を防ぐ。メモリ向けの M5241 はマイクロチャンバーで ±1.0℃ を実現し、2025年12月の発表で複数の大手メモリメーカーが採用準備中と説明した。
初回出荷は2026年4〜6月の予定と発表したが、出荷の開始は公表されていない。製造拠点も公表されておらず、ハンドラー単体の台数も分からない。
公表されていないこと
- M5241 の初回出荷が予定どおり2026年4〜6月に行われたか
- ハンドラーの製造拠点と生産台数
- 機種別の売上高
- 販売価格
出所
- M4841 製品ページ (2026-11-01)
- M4872 製品ページ (2026-11-01)
- M4173 製品ページ (2026-11-01)
- M6242/M6243 製品ページ (2026-11-01)
- M5241 製品ページ (2026-11-01)
- M5241 発表 (2025-12-10)
- チェンジキットのページ (2026-11-01)
- デバイスインターフェースのページ (体制表) (2026-11-01)
- 有価証券報告書 第84期 (2026年3月期) (2026-06-26)
- 2026年度第2四半期 決算説明会資料 (2026-10-28)
- 統合報告書2026 (2026-10-16)
- Investors Guide (2026年10月) (2026-10)
- 取締役・執行役員 (2026-07-31)
出所との照合日: 2026年11月1日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
アドバンテスト のほかの製品
🧰 ツール・特集の入口
一次データで動く 14 本 — 銘柄の絞り込み・供給網・比較・一次データの台帳・解説・規制レンズ (すべて無料)