東京エレクトロンEpisode UL・Tactras(プラズマエッチング装置) Episode UL / Tactras / UNITY Me+ (Plasma Etch Systems)
プラズマで絶縁膜や導体膜を削り回路を形づくるエッチング装置。300mm向けはEpisode UL (2020年発売、処理室 (チャンバー) 4〜12) とTactras (2006年発売、最大6チャンバー)。200mm以下で炭化ケイ素 (SiC) の溝加工に使うUNITY Me+ もある。東京エレクトロン宮城 (宮城県大和町) が開発・製造する。新規装置売上の36% (2026年3月期) を占める最大の製品群で、東京エレクトロンは絶縁膜エッチングの世界シェアを50%以上と説明する。400層のNAND型フラッシュメモリー向けの極低温エッチングは、2027年から顧客の量産ラインで使われ始める (会社説明)。価格は公表していない。
詳細解説
- 製品の区分
- 300mmウエハー対応プラズマエッチング装置 (Episode UL・Tactras) と100〜200mm対応のUNITY Me+。用途は高アスペクト比エッチング、マスク・絶縁膜エッチング、配線層 (BEOL) の絶縁膜エッチング、導体エッチング tel.co.jp
- Episode UL
- 2020年発売。チャンバーを水平に向かい合わせる設計で、処理室 (チャンバー) を4〜12の範囲で工場のレイアウトに合わせて選べる。製品ページは12チャンバーを業界で最も多いとする (会社主張)。搬送系とプロセスモジュールのセンサーで装置状態を監視するSmart Tool 機能を持つ tel.co.jp
- Tactras
- 2006年発売。最大6チャンバー。用途別にカスタマイズした仕様を持ち、基本設計を共有するため改造で用途を切り替えられる tel.co.jp
- UNITY Me+
- 200mm以下の量産ライン向け。2021年にUNITY Me を刷新。酸化膜/窒化膜加工用 (チャンバー名DRM・SCCM) とシリコン/炭化ケイ素のトレンチ加工用チャンバーを載せ、炭化ケイ素 (SiC) やタンタル酸リチウム (LT)・ニオブ酸リチウム (LN) などの基板の実績がある tel.co.jp
- 事業上の位置
- 2026年3月期の新規装置売上に占めるエッチング装置は36%。東京エレクトロンは2027年3月期に前期比25%以上の増収を見込み、通期売上1兆円が視野と説明 (2026年7月30日) tel.co.jp
- 量産採用認定 (POR) の獲得
- DRAMキャパシタのモールド工程 (絶縁膜) で大手顧客の量産採用認定 (POR)を独占し、広帯域メモリー (HBM)向けの配線工程でも高シェア (2026年4月30日)。2026年4〜9月にキャパシタのマスク工程で初めてDRAMの導体エッチングのPORを獲得。ロジック2nmのゲート全周 (GAA)構造でゲートエッチングと等方性エッチングの機会が広がる tel.co.jp
- 2030年までの目標
- DRAM配線工程向けエッチング装置の2030年までの5年間の累積売上について、東京エレクトロンは2025年10月の決算説明会で5,000億円以上と説明していたが、2026年7月には1兆円が射程に入ったと説明した (2026年7月30日 Q&A) tel.co.jp
- 市場での位置
- 東京エレクトロンは絶縁膜エッチングの世界シェアを50%以上と説明 (2026年4月30日、会社推定)。ドライエッチング装置全体の順位は統合報告書2026が「主要製品はすべて上位」とするが数字は会社推定 tel.co.jp
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 東京エレクトロン宮城 本社 | 宮城県黒川郡大和町 | プラズマエッチング装置の開発・製造 (グループ会社一覧)。従業員2,217人、帳簿価額1,533億円 (2026年3月末)。2021年9月に宮城技術革新センター、2025年4月に第3開発棟が竣工 | tel.co.jp | |
| 宮城生産革新センター (建設中) | 宮城県黒川郡大和町 | 生産・物流施設。投資予定1,040億円 (既支払318億円)、2025年6月着手・2027年8月完了予定。有価証券報告書の記載は生産能力250%増加。東京エレクトロンは決算説明会で、エッチング装置の生産能力を現状の3倍程度にすると説明 (2026年7月30日)。スマートプロダクション構想を採用 | tel.co.jp | |
| 東京エレクトロン テクノロジーソリューションズ | 山梨県韮崎市・岩手県奥州市 | グループ会社一覧は「プラズマエッチング/アッシング装置の開発・製造」も受け持つとする。どの機種かは公表されていない | tel.co.jp |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- 仕組み
- 真空チャンバーに反応ガスを入れて高周波でプラズマ化し、イオンとラジカルで膜を異方的に削る (反応性イオンエッチング)。用途ごとにチャンバーの反応空間とガス系を最適化する tel.co.jp
- 水平対向チャンバー
- チャンバーを水平に向かい合わせて設置面積を抑える設計。製品ページは「業界のパイオニア」と説明 (会社主張)。Episode UL はチャンバー数を12に増やしても1チャンバーあたりの面積を削減 tel.co.jp
- 極低温エッチング
- NAND型フラッシュメモリーのチャネルホール向けにウエハーを極低温に冷やして深穴を削る。第2世代機は温暖化係数の高いフッ素系ガスをフッ化水素ガスに置き換え、第1世代比でウエハー1枚あたりの二酸化炭素 (CO2)排出を84%、消費電力を43%減らした (統合報告書2026)。400層向けの量産ラインへの展開は2027年から tel.com
- Smart Tool・自律制御
- 搬送系とプロセスモジュールの複数センサーと高速制御系で装置とプロセスの状態を監視し、データ解析で自律的なプロセス制御を行う (Episode UL) tel.co.jp
- 基礎研究
- 東京エレクトロンは有価証券報告書でプラズマ技術、シミュレーション技術、コンタミネーション制御技術を差別化のコア技術に挙げる tel.co.jp
主要諸元
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1部品調達東京エレクトロンは国内に構築した供給網を強みと説明 (2026年7月30日 Q&A)。供給元は公表されていない。東京エレクトロンは有価証券報告書でサプライヤーの供給能力不足や地政学リスクを調達リスクに挙げる企業: 公表されていない
- 2組立・検査東京エレクトロン宮城が製造し、東京エレクトロン本体が仕入れて販売企業: 東京エレクトロン宮城
- 3物流東京エレクトロンBPがグループの物流を受け持つ企業: 東京エレクトロンBP
- 4据え付け・保守国内は東京エレクトロンFE、海外は各国の販売・サービス子会社企業: 東京エレクトロンFE ほか
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1開発・評価宮城技術革新センター (2021年9月) と第3開発棟 (2025年4月) で数世代先の装置技術と生産技術を開発設備・企業: 東京エレクトロン宮城
- 2組立大和町の工場で組み立てる。2027年8月完了予定の宮城生産革新センターで生産能力を増やす (有価証券報告書の記載は250%増加)設備・企業: 東京エレクトロン宮城
- 3生産能力製品別の生産台数は公表されていない。2026年3月期の宮城の設備投資は822億円で子会社中最大設備・企業: 東京エレクトロン宮城
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| Episode UL・Tactras・UNITY Me+ | 公表していない。見積もり | 2026-11-01 | tel.co.jp |
🛒 購入方法
🛠️ アフターサービス・保守サービス
🌏 海外輸出
📈 販売の実績
💰 金額
解析 — 部品・製造・販売の特徴
エッチング装置は東京エレクトロンの新規装置売上の36%を占める最大の製品群で、絶縁膜エッチングに強い。DRAMの記憶素子 (キャパシター) や広帯域メモリー (HBM) の配線工程で採用が決まっており、DRAM投資が伸びるほど売上が増える。長年取り組んできた導体膜のエッチングで、2026年4〜9月に初めてDRAMの工程を獲得した。400層のNAND型フラッシュメモリー向けの極低温エッチングは2027年から顧客の量産に使われ始め、東京エレクトロンはシェアを広げる機会と見る。製造は宮城県大和町に集中し、東京エレクトロンは2027年夏の新工場でエッチング装置の生産能力を現状の3倍程度にすると説明する。2026年3月期の宮城の設備投資822億円は子会社中最大で、投資の重心がこの製品群にある。東京エレクトロンは2027年3月期のエッチング装置売上を1兆円、連結売上高を3兆7,000億円と見込む。
公表されていないこと
- 機種別の販売台数・価格・生産能力
- 高周波電源・真空ポンプ・静電チャックなど主要部品の供給元
- ドライエッチング装置全体の世界シェアの数字 (東京エレクトロンは絶縁膜で50%以上とだけ説明)
- 東京エレクトロン テクノロジーソリューションズが製造するプラズマエッチング/アッシング装置の機種
出所
- エッチング Episode UL シリーズ 製品ページ (2026-11-01)
- エッチング Tactras シリーズ 製品ページ (2026-11-01)
- エッチング UNITY シリーズ 製品ページ (2026-11-01)
- エッチング Certas シリーズ (比較表) (2026-11-01)
- 第63期 有価証券報告書 (2026-06-22)
- 2026年3月期 決算説明会 書き起こし (2026-04-30)
- 2026年3月期 決算説明会資料 (2026-04-30)
- 2027年3月期 第1四半期 決算説明会 書き起こし (2026-07-30)
- 2027年3月期 第1四半期 決算説明会 Q&A (2026-07-30)
- 2027年3月期 第2四半期 決算説明会 書き起こし (2026-10-30)
- Integrated Report 2026 (2026-09-15)
- Integrated Report 2026 Data Section (2026-09-15)
- グループ会社 (2026-11-01)
- 研究・開発拠点 (2026-11-01)
- NVIDIA社との協業を拡大 (2026-07-16)
- エンジニアリングサービス (2026-11-01)
出所との照合日: 2026年11月1日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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