Dolaは、中国の字節跳動 (バイトダンス) が海外向けに提供するAIアシスタントのアプリだ。運営はシンガポールの法人で、日本でも日本語で使える。同社が中国向けに提供する「豆包 (ドウバオ)」とは別のアプリだ。

日本のApp StoreにあるDolaのページには、販売元として「SPRING SG PTE. LTD.」と表示されている。Dolaの日本語版のプライバシーポリシーも、個人情報を管理する責任者 (データ管理者) として、シンガポールに登記されたSPRING (SG) PTE. LTD. を挙げている。米経済誌フォーブスは2024年1月17日、この会社をバイトダンスの新しい子会社と報じた。

Dolaは旧名Cici、使う言語モデルは公表していない

Dolaの前身は「Cici」というAIアプリだ。日本のApp Storeには、Ciciの名前だった2023年12月に投稿された利用者のレビューが残っている。2025年11月ごろに名称をDolaに改めた。Dolaの名前で出した現在のプライバシーポリシーは2025年12月17日に発効し、日本語版は2026年8月31日に更新された。

前述のフォーブスの報道によると、バイトダンスの広報担当者は、当時のCiciを含む同社の海外向けAIアプリが、米オープンAIの大規模言語モデル「GPT」を米マイクロソフトのクラウドサービス「Azure」経由で使っていると説明した。中国にいるバイトダンスの社員が、権限の管理と承認の手続きを経て、これらのアプリの利用者データにアクセスすることがあるとも述べた。現在のDolaがどの言語モデルを使っているかは公表されていない。英語版のプライバシーポリシー (2026年7月31日更新) は、利用者が入力した内容の提供先の例としてグーグルの「Gemini」を挙げている。日本語版は「LLMを含む統合AIツールの第三者開発者」とだけ書き、社名を出していない。

App Storeの説明によると、Dolaは会議や記事の要約、文章の作成、画像や動画の生成、数学の問題の解説、音声での対話などに対応する。無料でも機能ごとに決められた1日の利用回数までは使え、回数を増やせる有料プランが「プラス」「プロ」「マックス」の3種類ある。App Storeでの対象年齢は13歳以上で、プライバシーポリシーも13歳未満の利用を認めていない。2026年10月3日時点で、日本のApp Storeの「仕事効率化」カテゴリーのランキングで42位と表示されていた。

豆包は中国向けで、バイトダンスが自社開発した言語モデルを使う

豆包は、バイトダンスが中国で提供する対話型AIのアプリである。中国のIT系ニュースサイト、品玩 (ピンウェスト) によると、豆包は2023年8月18日に公開された。大規模言語モデルを使ったバイトダンス初の独立したアプリで、公開当初は同社の短編動画アプリ「抖音 (ドウイン)」のアカウントでログインできた。中国の経済ニュースサイト、界面新聞によると、豆包は同月にバイトダンスが発表した自社開発の言語モデル「雲雀 (英語名スカイラーク)」を基にしていた。雲雀はその後、「豆包」の名を冠した言語モデル群に改称された。

界面新聞は、バイトダンスのAI製品の特徴として、中国向けの豆包と海外向けのCiciのように、2つの市場で並行して展開する点を挙げている。ただし、両者は同じアプリを言語ごとに作り分けたものではない。運営会社も提供する国や地域も異なり、それぞれの公開当時は言語モデルも別のものを使っていた。豆包は中国で利用者を大きく伸ばしている。IT系ニュースサイトのIT之家は2026年6月、経済メディアの晩点LatePostの記事を引いて、2026年上半期には1日当たりの利用者が2億人を超えたと伝えた。豆包は、2026年10月3日時点で日本のApp Storeでは配信されていない。

Dolaのチャットの内容はAIの学習に使われることがあり、設定で止められる

Dolaの日本語版のプライバシーポリシーによると、運営会社は、利用者が入力した文章やチャットの履歴、アップロードしたファイル、音声、画像などを収集する。運営会社は集めた情報をAIモデルの学習などサービスの改善に使うことがあり、利用者はアカウント設定で学習への利用を止められると記している。ポリシーは、パスワードやクレジットカード番号などの個人情報や機密性の高い情報をチャットに入力しないよう利用者に求めている。

日本向けの追加規定はなく、日本の利用者には全ての国・地域に共通する本文が適用される。本文は、個人情報が利用者の住む国の外にあるサーバーに保存されることや、国外に移されることがあると書くが、保存先の国名は挙げていない。ブラジルや欧州など一部の国・地域向けの追加規定は、保存先の例としてインドネシア、マレーシア、シンガポールを挙げ、欧州向けにはこれに米国を加えている。

ポリシーによると、運営会社は集めた情報をグループ会社と共有し、グループ会社は保存やコンテンツの配信、AIモデルの学習を含む製品や技術の改善・開発などに使うことがある。グループ会社の社名は記載されていない。ポリシーの中でバイトダンスの名前が出てくるのは、ブラジル向けの規定にあるデータ保護責任者の連絡先 (bytedance.com のメールアドレス) だけだ。学習への利用を止める設定が、グループ会社での利用にも効くかどうかは書かれていない。

業務で使うなら機密情報は入れず、学習への利用を止めておく

集めた情報はグループ会社と共有され、国外に移されることもある。業務で使うなら、ポリシーが求めるとおり個人情報や機密情報を入力しないことと、チャットの内容をAIの学習に使わせない設定にしておくことが前提になる。

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