エヌビディアのAI向けラックに要る光部品は、リン化インジウム (InP) の基板から始まる。量産できるのは日本の2社と米AXTだけで、ルメンタムは日本の1社と7年契約を結び、6インチ基板の価格は1年余りで3.6倍になった。
AI向けのデータセンターで、GPU同士をつなぐ配線が銅から光へ移りつつある。2025年3月にエヌビディアが発表した光電融合 (CPO) 方式のスイッチは、光を出すレーザーを前面の外部光源にまとめ、変調をシリコン側のマイクロリング変調器に任せる設計で、必要なレーザーの本数を従来の4分の1に減らした。それでも1本当たりの出力は10倍近くを求められ、レーザーの結晶を積む土台であるInP基板の品質と口径が、そのまま歩留まりを決める。野村證券は2026年8月、公表資料と決算説明から基板・エピタキシャル基板・光デバイス・光トランシーバー・最終顧客の5階層の供給網を整理し、ルメンタムが語る「日本の1社との7年契約」の相手を住友電工と推定した。本稿はその整理に含まれる取引を1本ずつ一次資料に戻し、米証券取引委員会に提出された契約と決算、金融庁EDINETの有価証券報告書、経済産業省の鉱工業指数、米連邦準備銀行の物価系列で、光部品の利益がどの段階に落ちているかを確かめる。
5階層の供給網 — 基板3社、エピ3社、レーザー6社、最終顧客は5社
InP基板を量産する会社は世界に3社しかない。住友電気工業、JX金属、そして北京に主力工場を持つ米AXTである。基板の上に発光層を成膜するエピタキシャル基板 (エピ) の段階には、三菱電機と古河電工のように自社で成膜する会社と、英IQEや住友化学のように外販する会社がある。レーザーやフォトダイオードを作る光デバイスの段階には住友電工、ルメンタム、三菱電機、古河電工、コヒレント、AAOI (アプライド・オプトエレクトロニクス) が並び、そのうちルメンタム、コヒレント、AAOIと、住友電工から買う中国と米国の光モジュール各社が光トランシーバーに組み上げる。最終顧客は北米の大手クラウド5社、エヌビディア、グーグル、マイクロソフト、オラクルである(本稿の図1)。
図1 — InP基板から最終顧客までの5階層。実線は各社の公表に基づく取引、点線は野村證券が可能性が高いと推定する取引
取引のうち公表で確かめられるのは次の通りである。住友電工は2024年11月の決算説明でコヒレントを含む北米の光トランシーバー各社との取引に触れ、2025年3月18日にエヌビディアがCPO向けを含むシリコンフォトニクスの供給者11社の1つに同社を挙げた。2026年7月10日の日本経済新聞の取材で井上治社長は、自社製品が北米の大手クラウド5社に納める通信機器に使われていると述べた。AXTは2026年6月25日にコヒレントと、7月29日にルメンタムと、それぞれInP基板の長期契約を米証券取引委員会に届け出た。JX金属からルメンタムとAAOIへの供給、住友電工からAAOIへの供給は各社の説明で確かめられる取引で、住友電工からルメンタムとコヒレントへの供給だけが推定である。推定の根拠は、ルメンタムが「日本の1社と7年のInP基板契約」と述べ、コヒレントが2026年2月4日に「6インチ基板の供給者を複数確保した」と述べたことにある。6インチを量産するのが住友電工とAXTの2社である以上、コヒレントの複数の供給者には住友電工が含まれる、というのが野村の推論である。
住友電工の2026年3月期の有価証券報告書は、この推論を裏づける数字を残している。情報通信関連事業の売上は3,266億円で前期比46.3%増、営業利益は774億円で前期の198億円から3.9倍になり、利益率は23.7%と14.8ポイント上がった。有報の本文は「光ケーブル、光コネクタ等光配線製品、光デバイス、インジウムリン (InP) 基板などの生産能力増強」と書き、基板を独立した増産対象として挙げる。2026年4〜6月期も情報通信の営業利益は272億円で前年同期から191億円増えた。
発言の年表 — 22件のうち食い違いが2つある
野村の整理には、4社が2024年11月から2026年8月までに決算説明と公表資料で語った22件の発言が付されている(本稿の図2)。本稿は各発言を一次資料に当たって確かめ、2つの食い違いを見つけた。
図2 — 住友電工・ルメンタム・コヒレント・AAOIの22件の発言を日付順に。括弧内は野村の推定
1つ目はルメンタムとIQEの契約である。野村の整理は2025年12月8日の「IQEと複数年のエピタキシャル基板の長期契約」をInP基板の文脈に置くが、IQEの発表文が対象とするのは3Dセンシング向けのVCSEL (面発光レーザー) 用エピ基板で、スマートフォンや車載センサーの領域であり、データセンター向けのInPエピではない。IQEがInPエピで複数年契約を結んだ相手は、2026年に発表されたタワー・セミコンダクターである。2つ目はシエナの比率で、野村の整理は2026年6月期の売上に占めるグーグルを26.6%、シエナを16.0%と書くが、8月17日提出の10-Kは顧客Aを26.6%、顧客Bを15.0%と記し、16.0%は前の期の顧客Bの数字である。顧客名は10-Kに書かれておらず、グーグルとシエナという特定は決算説明での「グーグルが最大顧客」という発言と、コヒレント光通信の納入先からの類推である。
残る20件は一次資料と一致する。ルメンタムは2026年3月2日にエヌビディアと複数年・数十億ドル規模のレーザー部品契約を結び、同日にエヌビディアから20億ドルの出資を受けた。4月10日のブルームバーグの取材で最高経営責任者のマイケル・ハールストン氏は、InP基板について日本の1社と「極めて重要な7年の長期契約」があると述べ、日本でInP基板と光ファイバー材料とシリコンフォトニクスに強い会社としてフジクラと住友電工の名を挙げた。8月17日の投資家向け説明では「日本の供給者が作るInP基板の多くは当社向けで、7年の供給契約がある」と繰り返した。住友電工は2026年2月3日の決算説明で、情報通信部門に3年から最長7年の契約があると述べたが、製品群は明かしていない。7年という期間は光部品の商慣行では珍しく、この2つの発言の重なりが野村の推定の根拠である。JX金属の有報には長期契約の期間の記載がない。
なぜInPなのか — 直接遷移、リンの蒸気圧、6インチの難しさ
光通信のレーザーがInPでしか作れない理由は半導体の帯構造にある。シリコンは間接遷移型で、電子と正孔が再結合するときに運動量の受け渡しが要り、光を効率よく出せない。光ファイバーの損失が最も小さい波長1,310ナノメートルと1,550ナノメートルで発光する直接遷移型の材料はInP系の混晶 (InGaAsP、AlGaInAs) で、これをInP基板の上に格子定数を合わせて積層することで、欠陥の少ない発光層が得られる。基板と発光層の格子が合わないと転位が発光層に入り、レーザーの寿命と出力が落ちる(本稿の図3)。
図3 — 左はInPが要る理由と結晶成長、中は基板からチップまでの工程、右はエヌビディアのCPOスイッチが光を配る構造
InP結晶の成長は、同じ化合物半導体のガリウムヒ素より難しい。積層欠陥エネルギーが原子当たり約17ミリ電子ボルトと低く、臨界せん断応力も小さいため、わずかな温度差で転位と双晶が入る。融点近くではリンの蒸気圧が高く、るつぼの上に約25気圧のリン蒸気を掛けて組成を保つ必要がある。成長法は縦型ブリッジマン (VB) と縦型温度勾配凝固 (VGF) が主流で、住友電工とAXTがこの方式で低転位の結晶を作ってきた。業界の標準口径は4インチで、6インチは面積が2.25倍になる分だけ結晶の温度分布を均一に保つのが難しく、量産できるのは住友電工とAXTの2社にとどまる。コヒレントは2024年3月にテキサス州シャーマンとスウェーデンのイェルフェラで世界初の6インチInPデバイス工場を公表し、口径の拡大で1枚から取れるチップ数が最大4倍、チップ当たりの費用が6割下がると説明した。基板を作る側と、基板を買ってレーザーに加工する側の両方で、6インチが分かれ目になっている。
基板の上の工程は3段ある。有機金属気相成長 (MOCVD) でInGaAsPやAlGaInAsの多重量子井戸を数ナノメートル単位で積層するエピタキシャル成長、波長を1本に選ぶ回折格子を結晶内に刻んで劈開し端面を鏡にするチップ化、そしてチップをキャリアに載せてレンズと光ファイバーに結合する組み立てである。連続発振型 (CW-DFB) のレーザーは光を出すだけで、変調は別の素子が担う。電界吸収型変調器集積レーザー (EML) は変調器を同じチップに集積し、着脱式の光トランシーバーで主に使われてきた。住友化学は2026年8月31日、茨城県日立市で4インチInPエピ基板の量産を始め、2030年代半ばに約100億円の売上を見込むと公表した。エピを外販する会社が増えることは、基板の段階の希少性を変えない。
レーザーからCPOへ — 外部光源18個、レーザー144本、ポート当たり2ワット
エヌビディアが2025年3月に発表したQuantum-X Photonicsは、毎秒115テラビットの容量に800ギガビットのポートを144個持つ。光エンジンは1.6テラビットで、毎秒200ギガビットのマイクロリング変調器8個を、TSMCのCOUPE工程で電子回路の上に積層する。レーザーはスイッチの前面に外部光源 (ELS) として18個並び、1個に出力200ミリワットのCW-DFBレーザーが8本入る。合計144本のレーザーが576の送信レーンを賄い、1個のELSが32レーンに光を配る。従来の着脱式モジュールはレーンごとにEMLを持つため、同じ容量でレーザーは4倍要る。エヌビディアはこの構成で電力効率を3.5倍、ポート当たりの消費電力を約2ワット (従来のEMLは約10ワット) と説明した。
この設計変更が需要の中身を変える。変調をシリコン側のマイクロリング変調器が担うため、InPのレーザーは「光を出すだけ」の連続発振型になり、しかも1本で32レーン分の光を賄う出力が要る。TrendForceの2026年6月の集計では、EMLとCW-DFBを合わせた月産能力は2026年に5,070万個で、EMLはルメンタム、ブロードコム、三菱電機の3社で約72%、CW-DFBはブロードコム、住友電工、コヒレント、台湾LandMarkの4社で約74%の能力を持つ。エヌビディアのELS向けには古河電工が出力100ミリワット級のDFBチップを、ルメンタムが350ミリワット級の超高出力レーザーを公表している。高出力の連続発振レーザーは結晶欠陥に弱く、基板の品質がそのまま歩留まりになる。ルメンタムのハールストン氏が2026年7月8日にパリの会合で「InPの不足はDRAMやNANDより深刻になる」と述べ、注文が「従来の通信会社の数百個から数億個に跳ね上がった」と説明したのは、この段階の話である。同社の出荷は顧客の需要を3割以上下回っている。
契約と前払いの金額 — SECに残った数字
エヌビディアは2026年3月2日、ルメンタムとコヒレントにそれぞれ20億ドルを出資し、複数年の購入契約と将来の生産能力への優先権を得た。ルメンタムへの出資は1株695.31ドルの優先株約290万株、コヒレントへは普通株である。購入契約の金額は「数十億ドル規模」とだけ公表され、開示された数字ではない(本稿の図4)。
図4 — 上段は2026年3月以降の契約、中段は5社の直近決算、下段は基板と金属の価格と中国の輸出規制
基板の段階で金額が確定している契約は2つある。ルメンタムはAXTに対し、契約締結から2031年12月31日までInP基板の年間の最低購入量を確保し、保証金4,350万ドルを30営業日以内に、2028年に条件を定めて同額をもう1回支払う。保証金は出荷代金に充当される。コヒレントはAXTと6インチInP基板の3年契約を結び、2,230万ドルを前払いした。AXTは北京工場の能力を2026年から2028年にかけて増強し、合意した数量をコヒレントに割り当てる。AXTの2026年4〜6月期は売上4,760万ドルで前年同期の2.6倍、InP基板の売上は3,070万ドルと全体の65%を占め、粗利率は前四半期の29.9%から45%へ上がった。同社は7〜9月期の売上を6,600万ドル以上、InPの生産能力を四半期の売上換算で2026年末に6,000万ドル、2027年末に1億3,000万ドルと見込む。基板の価格は2025年初から2026年4月までに6インチ1枚で1,400ドルから5,000ドルへ、2インチで800ドルから2,300〜2,500ドルへ上がり、インジウム地金は2026年8月に1キロ805ドルと、2025年の約250ドルの3倍を超えた。
販売側の決算は段階によって様相が異なる。ルメンタムの2026年6月期は売上30億1,400万ドルで前期の1.8倍、第4四半期 (4〜6月) は10億600万ドルで前年同期の2.1倍、粗利率は50.4%に達した。営業利益は5億2,500万ドルで前期の1億8,000万ドルの赤字から転じたが、米国会計基準の純損益は69億3,500万ドルの赤字で、これは転換社債の消却損77億5,700万ドルという現金支出を伴わない損失によるものである。10-Kは「中国が日本への輸出を制限し、当社の基板供給網が世界的に影響を受けた」とも記す。コヒレントの2026年6月期は売上71億1,800万ドル (22.5%増)、純利益8億500万ドルで、第4四半期はデータセンター・通信部門が16億1,500万ドルと全体の79%を占め、前年同期比59%増となった。同社は内製のInP生産を2026年末までに2倍、2027年にさらに2倍超にすると述べ、シャーマン工場の拡張に6億5,000万ドルを投じ、CHIPS法で5,000万ドルの支援を受ける。AAOIの2026年4〜6月期は売上1億9,190万ドルで前年同期の1.9倍、800Gの製品が前四半期比で2倍超になったが、営業損益は2,470万ドルの赤字である。2025年の売上4億5,570万ドルのうちマイクロソフトが28.8%を占め、2024年はマイクロソフト46.6%、オラクル12.4%であった。エヌビディア自身の2026年5〜7月期は売上962億2,100万ドル、データセンターが890億ドルで前年同期の2.2倍である。
粗利率を並べると、値上がりの恩恵がどこに落ちたかが見える。基板のAXTは45%、レーザーのルメンタムは50.4%、光トランシーバーまで組み上げるコヒレントは通年で37%、AAOIは赤字である。基板の価格が3.6倍になる間に利益率が最も上がったのは基板とレーザーの段階で、組み立ての段階は数量が増えても利益が薄い。
中国の輸出規制 — 精製インジウムの7割と、北京工場からの許可
InPの供給を絞るもう1つの要因は中国である。中国は2025年2月、InPを輸出許可の対象に加え、精製インジウムの生産の約7割を握る立場から、2026年には輸出量を前年比で約3分の2減らし、対米では77%減とする状況が税関統計を基に報じられた。AXTの北京工場からの出荷も中国当局の許可次第で、同社は2025年6月末に最初のInP輸出許可を得たあと、2026年4〜6月期は売上の半分超が中国向けになった。ルメンタムの10-Kが記す「中国の日本向け輸出制限」は、2026年1月に中国が軍民両用品の対日輸出を制限した措置を指し、基板の原料であるインジウムの供給が日本の2社にも影響したことを示す。基板を作れるのが3社で、そのうち1社の工場が北京にあり、原料の7割が中国にある構造が、7年契約と保証金という珍しい商慣行を生んでいる。
日本の5社 — 有報の語数、増産の金額、鉱工業指数
光部品の各社は、有価証券報告書にこの供給網をどう書いたか。2026年3月期の有報本文で「InP」または「インジウムリン」が出るのはJX金属 (10回) と住友電工 (4回) だけで、三菱電機、古河電工、フジクラは0回である。「CPO」または「光電融合」は三菱電機11回、古河電工10回、フジクラ6回、住友電工1回、JX金属0回で、「エヌビディア」の社名は5社とも0回であった。フジクラは有報で「CPO向けには当社の偏波面保持機能ファイバの採用が進み、2025年度にはCPO向け出荷が増加」と明記し、古河電工はCPOを「需要動向を踏まえた先行的な取り組み」と書く。JX金属は「光通信向け材料としてのInP基板」をAIサーバー向けの主力製品に挙げた(本稿の図5)。
図5 — 左は有報本文の語数、中は公表された増産投資、右は部門業績と鉱工業指数
増産の金額は基板2社で確定している。JX金属 (5016) は2026年6月16日、InP基板の生産能力を2025年度比で7〜10倍に引き上げるため、4か年で最大1,200億円を投じる方針を決め、磯原工場 (茨城県北茨城市) の増強に加えてひたちなか地区に新工場を建てる。2025年7月、10月、2026年2月に公表した投資を合わせると総額は約1,500億円である。同社の2026年4〜6月期は半導体材料部門の売上が520億円 (34.2%増)、部門利益が144億円 (68.9%増) で、全社の営業利益は814億円と2.8倍になった。住友電気工業 (5802) は180億円を投じ、伊丹製作所のInP基板の能力を2024年度比3.1倍に2028年度までに引き上げる。2025年11月の計画は2023年度比2.4倍であったから、半年で目標を積み増した。情報通信部門の営業利益の増分576億円は、この投資額の3.2倍を1年で回収した計算になる。井上社長は光ファイバーの新工場と米国生産については2028年度まで「慎重に見極める」と述べ、基板と光ファイバーで投資の判断に差をつけている。
レーザーとエピの段階では、三菱電機 (6503) がデータセンター向けEMLの生産能力を2024年度比3倍に2028年度までに引き上げ、伊丹の高周波光デバイス製作所を増強する。同社はデータセンター向け光デバイスで世界首位級のシェアを持ち、電気自動車市場の減速で需要が伸び悩む電力半導体向け投資の一部を光デバイスへ振り向けた。古河電気工業 (5801) は2025年12月17日、CPOの外部光源に使う出力100ミリワット級のDFBレーザーチップの新工場を岩手県北上市に建て、380億円を投じて2028年4月に量産を始め、2025年度比5倍以上の能力にすると公表した。2026年8月4日には光ファイバーとケーブルの能力を2025年度末比2倍にする1,000億円の投資も決めた。フジクラ (5803) は2026年3月期に情報通信部門で売上6,530億円、営業利益1,527億円を上げ、全社の営業利益1,887億円の8割を稼いだ。2027年3月期の営業利益予想は4,320億円へ上方修正され、3年で5,300億円を投じる中期計画は2028年度に売上1兆6,000億円、営業利益3,150億円を掲げる。
産業全体の数量は経済産業省の鉱工業指数に出ている。通信用ケーブル・光ファイバ製品の生産指数 (2020年=100) は2019年度の80.4から2025年度の220.9へ2.7倍になり、2026年1〜3月期は243.5である。一方、米連邦準備銀行のFREDにある米国の光ファイバーケーブル製造の生産者物価指数は2025年6月で86.6 (2003年12月=100) と、20年前の水準を下回ったままである。ケーブルは数量が伸びても単価が上がらず、基板は数量が伸びて単価が3.6倍になった。同じ光の供給網でも、利益の落ちる段階は基板とレーザーに偏る。
投資家が確かめる3つの指標 — 7年契約の相手、6インチ、輸出許可
供給網のうち数字が確定していない箇所は3つある。1つ目はルメンタムの7年契約の相手で、住友電工が製品群を明かさず、JX金属の有報に期間の記載がないため、決算説明での言及を待つほかない。住友電工の情報通信部門の利益率が2027年3月期にどこまで上がるかが、間接的な指標になる。2つ目は6インチ基板の量産で、コヒレントは内製のInPを2027年に4倍超にすると述べ、AXTは6インチの開発が進んでいると述べたが、JX金属と住友電工は口径を公表していない。6インチをどの基板メーカーが量産できるかで、レーザー各社の調達先と価格が決まる。3つ目は中国の輸出許可で、AXTの7〜9月期の売上予想6,600万ドルは「追加の許可が下りれば上振れ」と条件付きであり、日本向けの原料供給も同じ当局の判断に依存する。
エヌビディアの2026年5〜7月期のデータセンター売上890億ドルに対し、光部品の基板の段階は3社合わせても年間で数百億円の規模にすぎない。その小さな階層に、20億ドルの出資2件と1億900万ドルの保証金・前払いと7年契約が集中している。
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