テスラの電動トラック「セミ」の公表済みの受注を足しても、5万台の工場の9.9日分にしかならない。テスラの説明資料は生産能力の欄に数字を入れておらず、カリフォルニア州の補助金の台帳で納車まで進んだ申請は1,492件中7件だった。

投稿は、ネバダ州スパークスのテスラ・セミ工場の北側の区画を「将来の年産5万台のセミを納車前に置く完成検査後の駐車場」と説明し、判明している受注としてアインライド500台、WattEV 370台、ペプシコ100台、ウォルマート130台、UPS 125台、ビッグF・トランスポート40台、アンハイザー・ブッシュ40台、シスコ50台の8社を並べた。本誌はこの8社の台数を各社の発表と米証券取引委員会 (SEC) への提出書類で確かめ、テスラの四半期説明資料と四半期報告書、カリフォルニア州の補助金の全件データ (16,134件)、FRED の物価と燃料、e-Stat の生産指数、金融庁 EDINET の有価証券報告書を当てた (取得日はいずれも2026年9月12日)。区画の広さそのものは本稿では扱わない。

公表されているテスラ・セミの受注は8社1,355台
公表されているテスラ・セミの受注は8社1,355台

受注1,355台は、年産5万台の工場の9.9日分

投稿の8社を足すと1,355台になる。投稿が書く年産5万台は1日137台にあたり、1,355台はその9.9日分でしかない。投稿に載っていない2026年の発注が2件ある (NICA コンテナ・フレート・ライン20台、QX ロジスティクス20台、いずれも Forum Mobility の拠点から運用)。足しても1,395台で10.2日分にとどまる。

受注1,355台は、年産5万台の工場の9.9日分
受注1,355台は、年産5万台の工場の9.9日分

1,355台の中身は2つに分かれる。2026年に発注されたのはアインライド500台、WattEV 370台、ビッグF 40台の910台 (67.2%) で、残る445台は2017〜2020年の予約である。ペプシコ100台、UPS 125台、アンハイザー・ブッシュ40台、シスコ50台は2017年12月に手付金 (1台2万ドル) を置いた申し込みで、ウォルマート・カナダの130台は2020年9月29日に約40台から増やした予約にあたる。予約した2017年の提示価格は長距離型18万ドル・標準型15万ドルで、2026年の量産車は29万ドル・26万ドルへ61〜73%上がっている (価格は本文後段)。2017年の予約が2026年の価格でそのまま注文に変わるかどうかは、各社の発表にも提出書類にも書かれていない。

2026年内に納車されると各社が公表している台数は、アインライドの約75台 (CEO の発言) と WattEV の最初の50台を足した125台である。5万台の置き場に対して、今年の公表分は0.25%になる。

テスラ自身の言葉も同じ向きにある。2026年7月22日の決算説明会でイーロン・マスク CEO は、セミを自動運転の対象にする質問に対して「テスラ・セミの総台数はまだ少なく、今年の末になっても当社の車両全体のごく小さな比率にとどまる」と答え、自動運転の機能は「今年末か来年初めごろ」に動く見込みとした。トラック運転手の不足を「本当に深刻」と述べ、自動運転のセミがその穴を埋めるとした。台数は説明会でも出ていない。

投稿が並べたテスラ・セミの受注8社を、出所ごとに確かめる

アインライドの500台は、同社が2026年8月18日に SEC へ提出した6-K (上半期決算の発表文) に「partnered with Tesla to deploy 500 Tesla Semi trucks on the Saga AI platform, tripling Einride's current fleet size, with vehicles financed through third party solutions」とある。車両は約250台から750台へ増え、2028年に1,500〜2,000台を目標にする。同社はスウェーデンのストックホルムに本社を置き、2026年6月10日にナスダックへ上場した (ティッカー ENRD)。CEO のロズベ・チャーリは業界紙の取材に、500台のうち約75台を2026年内に、残りを2027年末までに導入すると答えている。導入先はカリフォルニア・テキサス・ニュージャージー・イリノイ・ジョージアの5州で、顧客にはアマゾンが含まれる。

WattEV の370台は、2026年5月5日にラスベガスの展示会 ACT Expo で発表され、同社の発表文は最初の50台を2026年に納め、2027年末に全車を稼働させるとする。300台超はオークランド港との共同事業で使い、同社は2025年時点で75台の電動トラックを運用して累計700万マイル超を走った。CEO のサリム・ユセフザデは「公募で提案を募ったうえで、コスト・性能・調達のしやすさでテスラ・セミを選んだ」と述べている。報道された金額は約1億ドルで、1台あたり27万ドルにあたる。

ビッグF・トランスポートの40台は、充電拠点を運営する Forum Mobility 経由の発注で、同社はダイムラー製の電動トラック eCascadia 9台をロングビーチ港で運用したうえでテスラを選んだ。NICA 20台、QX ロジスティクス20台と合わせて、ランチョ・ドミンゲスの拠点 (メガワット級の充電器14基、1日200台超に対応) から2027年初めに運用を始める予定である。

ウォルマート・カナダの130台は2020年9月29日の同社発表で、それ以前の約40台から3倍超に増やした。同社は2022年末までに車両の20%を電動化し、2028年に全車両を電気や水素などの動力に切り替える目標を掲げていた。UPS の125台 (2017年12月19日)、ペプシコの100台 (12月13日)、アンハイザー・ブッシュの40台、シスコの50台は、いずれも2017年11月の発表会の直後に報じられた予約で、当時の記事はペプシコが1台2万ドル以上の手付金を置いたと書く。

「他の多くの会社も試験運用して良い結果を報告している」という投稿の一文は、ArcBest (ABF フレイト) が2025年の試験運用後に購入し2026年6月の実測が1.55kWh/マイルだったこと、Paper Transport が2026年7月にシカゴで長距離型の試験運用を始めたことに対応する。台数は公表されていない。

テスラの説明資料は、ネバダの能力欄を4四半期「-」のままにしている

投稿が「年産5万台」と書く根拠は、2023年1月24日にネバダ州知事ジョー・ロンバルドが発表した36億ドルの追加投資 (セミの量産工場と年100GWh の4680電池工場、3,000人の雇用) と、工場の広さ170万平方フィート (約15万8,000平方メートル) に基づく報道である。この投資の見返りに州経済開発局 (GOED) が2023年3月2日に承認した税の減免は総額3億3,025万366ドルで、内訳は売上税の軽減 (20年間、税率を5.35%に) 6,660万ドル、事業税の全額免除 (10年) 1,755万9,539ドル、固定資産税の全額免除 (10年) 2億4,609万827ドルである。理事会の資料 (20ページ) は、投資36億ドル (法定の下限は10年で35億ドル)、雇用3,000人 (平均時給33.49ドル)、約400万平方フィートの2工場、セミの諸元を「航続500マイル、電費1マイル2kWh未満」と書き、テスラが同州で保有する3,190.41エーカーの土地に建てるとする。この20ページのどこにも「5万台」は出てこない。テスラ自身の四半期説明資料 (Update) にも、5万台という数字は出てこない。

州の減免3億3,025万ドルの条件は投資と雇用で、「5万台」は資料に無い
州の減免3億3,025万ドルの条件は投資と雇用で、「5万台」は資料に無い
説明資料のセミの状態は建設中→設備据え付け→試験生産→立ち上げ、能力欄は4期とも「-」
説明資料のセミの状態は建設中→設備据え付け→試験生産→立ち上げ、能力欄は4期とも「-」

説明資料の「設置済みの年間生産能力」の表で、ネバダのセミの状態は2025年7〜9月期「建設中 (Construction)」、10〜12月期「設備据え付け (Tooling)」、2026年1〜3月期「試験生産 (Pilot Production)」、4〜6月期「立ち上げ (Commissioning)」と1段ずつ進んでいる。能力の欄は4期とも「-」である。同じ表でテキサスのサイバーキャブは4〜6月期に「生産 (Production)」「12万5,000台超」へ変わっており、セミにだけ数字が無い。

本文の書き方も同じである。2025年10〜12月期は「セミとサイバーキャブの量産立ち上げはいずれも2026年上半期に始まる」、2026年1〜3月期は「両方の量産を今年見込む」、4〜6月期は「セミは今年ネバダの新工場で生産を始める予定どおり」と書く。テスラは2026年4月29日に「First Semi off high volume line (量産ラインから最初のセミが出た)」と投稿したが、その四半期の表は「試験生産」から「立ち上げ」へ1段進んだだけだった。

制約も説明資料に書かれている。4〜6月期の資料は「電池パックの生産能力の拡大が、短期の車両生産台数を増やす上での主な制約」とし、「サイバーキャブとテスラ・セミの両方の量産立ち上げを支えるために4680電池の生産を増やしている」と続ける。セミの電池は、同じ2026年に量産を始める自動運転タクシー車両「サイバーキャブ」と同じ4680を取り合う。

SEC への四半期報告書 (10-Q) では、2026年6月期の本文に「Semi」の語が1回だけ現れる。「テスラ・セミの生産に備えて公共のメガチャージャーの設置を始めた」という文で、3月期の同じ文は「生産」ではなく「量産立ち上げ (ramp) に備えて」だった。2025年12月期の年次報告書 (10-K) は「2022年にセミの初期生産と納車を始めた」と書き、Semi は3回、Nevada は12回、Megacharger は0回である。

補助金の台帳で数える: 交付申請1,492件、納車まで進んだのは7件

受注台数の公表は会社ごとにばらつくが、カリフォルニア州には1台ごとの台帳がある。州大気資源局 (CARB) の大型ゼロエミッション車の購入補助 HVIP は、交付申請の全件 (2026年7月31日時点で16,134件) を購入者名・メーカー・補助額・進み具合つきで公開している。テスラ・セミの申請は1,492件 (2025年871件、2026年は7月末までに621件) で、補助額の合計は2億2,324万5,000ドルにのぼる。

カリフォルニア州の補助金: 交付申請1,492件に対し、納車済みの引き換えは7件
カリフォルニア州の補助金: 交付申請1,492件に対し、納車済みの引き換えは7件

この台帳の「Redemption Status」は、車両が納車されてディーラーに補助金が支払われたかどうかを示す (支払い済みを「引き換え済み (Redeemed)」と表示する)。テスラの1,492件のうち引き換えは7件 (0.47%) で、2025年に申請された871件でも6件しか納車に至っていない。過去のクラス8 (車両総重量33,001ポンド超) の申請は、2021年分が540件全部、2022年分が727/734件 (99.0%)、2023年分が352/389件 (90.5%)、2024年分が418/519件 (80.5%) と、申請の翌年までにほぼ納車されてきた。

2025〜26年のクラス8トラックの補助申請はテスラが85.4%
2025〜26年のクラス8トラックの補助申請はテスラが85.4%

申請の数だけを見れば、テスラの存在感は圧倒的である。2025〜26年のクラス8のうちバス系メーカーを除く1,747件のうち1,492件 (85.4%) がテスラで、BYD 54件、フレートライナー (ダイムラー) 44件、ナビスター36件、ボルボ32件が続く。ただし納車済みはフレートライナー25/44件、ボルボ12/32件、BYD 17/54件に対し、テスラは7/1,492件で、申請の順位と納車の順位が逆になっている。

クラス8の補助申請は、申請の翌年までにほぼ納車されてきた
クラス8の補助申請は、申請の翌年までにほぼ納車されてきた

申請が需要の上限を示すわけでもない。テスラの申請者は159社で、うち43社が1社の上限である20件ちょうどを申請している。港湾のコンテナ輸送 (ドレージ) 向けの枠が2025年に434件、2026年に440件を占め、2026年は上限の27万ドルの申請が153件ある。Electrek が2026年2月10日に報じた時点では992件・1億6,500万ドルだったので、5か月で500件増えた。テスラが HVIP の対象になったのは2025年で、2024年以前の申請は0件である。金額で見ると、2025〜26年のクラス8全体 (バスを含む2,712件) の補助額468,173,092ドル (約4億6,817万ドル) のうちテスラは223,245,000ドルで47.7%を占め、HVIP が2010年の開始から積み上げた1,662,998,988ドル (約16億6,300万ドル) の13.4%にあたる。申請の77.7% (1,159件) は州が「不利な条件にある地域」と定める地区の事業者で、2026年の申請の53% (330件) は小規模事業者の枠である。20件以上を申請した46社の合計は936件で全体の62.7%、5件以下の小口は90社285件である。

2017年の予約者は、補助金ではテスラ以外を買っている

同じ台帳で投稿の8社を名前で引くと、2026年の発注者と2017年の予約者で様子が違う。

補助金の申請者名簿で、投稿の8社はどう見えるか
補助金の申請者名簿で、投稿の8社はどう見えるか

アインライド (EINRIDE LOGISTICS INC) は20件、WattEV は20件、ビッグFは15件をテスラで申請している。ビッグFの発注40台に対して申請は15件、WattEV の370台に対して20件、アインライドの500台に対して20件で、いずれも上限20件の枠か、それより少ない。WattEV は他社製で22件、ビッグFは9件 (運用中の eCascadia) の申請もある。

2017年に予約した4社はテスラの申請が1件も無い。ペプシコ (フリトレー名義を含む) は他社製で162件、UPS は270件、シスコは136件、アンハイザー・ブッシュは41件を申請している。アインライドの顧客であるアマゾン (アマゾン・ロジスティクス) も34件すべて他社製である。投稿に無い会社では、コストコ20件、NFI 20件、DHL 12件 (うち引き換え1)、ABF 11件、JBハント5件、フェデックス2件が並び、納車が進んでいるのはネボヤ (25件、うち引き換え5、1件あたり20万1,000ドル) と DHL の2社にとどまる。

ペプシコの86台は3拠点、うち2拠点の車両は公的補助で買われた
ペプシコの86台は3拠点、うち2拠点の車両は公的補助で買われた

ペプシコの申請が0件なのは、同社の車両が HVIP の対象になる前に納車されたためである。2024年9月の展示会 IAA で示された内訳はモデスト15台・サクラメント21台・フレズノ50台の86台で、2026年7月の報道は「100台近く」と書く。モデストの車両は CARB の事業 (総額1,540万ドル、フリトレー分1,220万ドル、自己負担1,350万ドル)、サクラメントの21台のうち18台と充電設備は地元の大気管理当局の450万ドル (1台25万ドル) で買われた。ペプシコが2025年12月期の10-K (2026年2月3日提出) に書いた Tesla・electric vehicle・electric truck の語数はいずれも0で、UPS の10-K は「車両12万5,000台のうち代替燃料・先端技術車1万9,000台」、シスコは「electric and other alternative fuel vehicles」1回、ウォルマートは Tesla 0回である。2017年に予約した4社の年次報告書は、テスラ・セミを固有名詞で書いていない。

港湾の申請が多い理由の一つだった規制も、形を変えている。CARB の「先進的クリーン車両群規則 (ACF)」は2023年11月1日から港湾ドレージ車両の新規登録をゼロエミッション車に限る決まりだったが、連邦環境保護庁 (EPA) の適用除外を得られず、州は訴訟の和解でドレージと大規模事業者向けの要件を取り下げると約束し、2025年9月25日の理事会で廃止を決めた (業界紙の報道、廃止の発効は2027年1月1日の見込み)。CARB の規則の案内は現在、州と地方政府の車両群だけを対象と書く。義務が消えた後の2026年にも港湾向けの申請は440件あり、申請の動機は規制から補助金と運用費へ移っている。

港湾の電動化を義務づけた規則は2025年9月に廃止が決まり、補助金の申請だけが残った
港湾の電動化を義務づけた規則は2025年9月に廃止が決まり、補助金の申請だけが残った

アインライドの500台は、誰の金で買うのか

投稿の1,355台のうち500台を占めるアインライドは、上場企業なので金の出所を提出書類で追える。8月18日の6-K は、500台を「外部からの資金調達で賄い、増資なしに受注を売上高へ変える」と書く。同社の2026年上半期は売上高2億7,300万スウェーデン・クローナ (2,700万ドル、恒常通貨で+26%)、純損失11億2,000万クローナ (前年8億8,700万クローナ)、6月末の現金7億4,800万クローナ (7,700万ドル) で、上場時に1億1,300万ドルの私募増資を受けた。

アインライドの500台は1億4,500万ドル、担保融資の枠は2,500万ドル
アインライドの500台は1億4,500万ドル、担保融資の枠は2,500万ドル

「外部からの資金調達」の中身は、1週間後の8月25日の6-K に出た。米子会社アインライド・ロジスティクスが2026年8月15日に ATEL グロース・キャピタル (サンフランシスコ) と結んだ融資契約で、枠は2,500万ドル、担保はセミ・トラクターで、新たに取得する「テスラ製のセミ・トラクター (または他社製の同等車両)」に差し替えられる。親会社アインライドAB と米国法人が保証し、融資枠の設定手数料は枠の0.75%である。長距離型29万ドルで500台は1億4,500万ドル、標準型26万ドルでも1億3,000万ドルになり、2,500万ドルの枠で買えるのは86〜96台 (17〜19%) にとどまる。CEO が2026年内に導入するとした約75台と同じ桁で、残り425台の資金は公表されていない。

上半期の純損失を上半期の換算率 (10.11クローナ/ドル) でドルに直すと1億1,100万ドルで、500台の車両代とほぼ同じ額を半年で失っている。同社は2028年にキャッシュフローの収支均衡を目指すと書く。なお同社の目論見書 (424B3、2026年9月4日) によれば、アマゾンは同社の新株予約権694万1,402個を保有する顧客でもある。上場前の2026年5月7日に提出した登録届出書 (F-4/A、約208万字) に Tesla の語は1回も無く、車両の供給元として書かれているのは BYD (15回)、ボルボ (8回)、スカニア (5回)、ダイムラー (4回) である。同じ届出書は、2025年の売上高の上位2社が15%と11%を占め、契約済みで未計上の売上高15億8,000万クローナを2027年から2032年にかけて計上すると記す。500台のテスラは、この届出書の3か月後に決まった。

テスラ・セミの価格は29万ドル、比較対象の軽油は統計開始以来の最高値

量産車の価格は、Electrek が2026年2月10日に顧客の見積と HVIP のデータから報じた長距離型 (500マイル) 29万ドル、標準型 (325マイル) 約26万ドルである。2017年の提示は18万ドル・15万ドルだったので61.1%・73.3%の値上げになる。CARB のデータではゼロエミッションのクラス8トラックの平均価格が2024年に43.5万ドルで、テスラの長距離型はその66.7%にあたる。HVIP の補助は2026年の申請で上限27万ドルが153件、15万ドルが152件、12万ドルが125件あり、上限を引くと長距離型の自己負担は2万ドル、標準の12万ドルなら17万ドルになる。

量産車の価格は2017年の提示から61〜73%上がり、補助の上限を引くと2万ドル
量産車の価格は2017年の提示から61〜73%上がり、補助の上限を引くと2万ドル

諸元は800kW の3モーターで1,000馬力超、メガチャージャー (1,200kW、テスラの2025年7〜9月期の資料) で30分に約70%の充電、テスラの示す電費は75,000ポンド積載で1.72kWh/マイル、ArcBest の2026年6月の実測は1.55kWh/マイル、ペプシコは0.8kWh/km である。

軽油は1ガロン5.967ドルで、1994年の統計開始以来の最高値
軽油は1ガロン5.967ドルで、1994年の統計開始以来の最高値

燃料側の比較対象は、量産が始まる年に過去最高になった。全米平均の軽油小売価格は2026年9月7日に1ガロン5.967ドルで、1994年3月の統計開始以来の最高値である。前の最高は2022年6月20日の5.810ドルで、年初の3.477ドルから71.6%、前年同週の3.766ドルから58.4%上がった。WTI 原油は4月7日に114.58ドルまで上がり、9月9日は97.26ドルだった。一方で電力の生産者物価も2026年8月に210.882 (2019年1月の149.2から+41.4%) で、燃料と電気の差は開いていない。

大型トラックの物価は最高、輸送業の雇用はピークから7.4%減
大型トラックの物価は最高、輸送業の雇用はピークから7.4%減

買う側の市場は縮んでいる。大型トラック製造の生産者物価は2026年8月に167.895 (2019年1月比+11.5%) で期間内の最高を更新し、トラック輸送業の雇用は2022年10月の158万8,600人から2026年8月の147万300人へ7.4%減った。トラック輸送量指数は2026年6月に113.3で、2019年8月の最高120.4を下回ったままである。運ぶ量が増えていない市場に、年産5万台の工場が建った。

日本の関連企業と、次に数字が出る日付

日本で大型トラックを作るいすゞ自動車 (7202) の2026年3月期の有価証券報告書は、売上収益3兆4,790.74億円 (前期3兆2,356.48億円、+7.5%)、純利益1,348.76億円 (前期1,400.62億円、▲3.7%) で、「EV」94回、「BEV」18回、「大型トラック」10回に対し「テスラ」は0回である。同社は2026年1月に栃木・愛知間の自社部品物流ルートで自動運転大型トラックの公道実証を始め、2025年11月から横浜市内約80店舗でバッテリー交換式の小型トラック「エルフEV」の配送実証を続ける。テスラの電池を作るパナソニックホールディングス (6752) の報告書は、売上高8兆487.22億円 (前期8兆4,581.85億円、▲4.8%)、純利益1,895.40億円 (前期3,662.05億円、▲48.2%) で、「テスラ」8回はすべて役員の経歴 (テスラエナジー事業部) に現れ、「4680」は1回だけである。トヨタ自動車 (7203) の報告書 (純利益3兆8,480.98億円、前期4兆7,650.86億円) に「テスラ」は無い。日野自動車 (7205) の2026年3月期の報告書は EDINET で見つからなかった (未取得)。

日本の大型トラック生産は2025年に+6.8%、いすゞの有価証券報告書に「テスラ」は0回
日本の大型トラック生産は2025年に+6.8%、いすゞの有価証券報告書に「テスラ」は0回

e-Stat の鉱工業生産指数 (2020=100) で普通トラックは2024年の114.1から2025年の121.9へ6.8%上がり、2026年1〜3月は128.0で2019年の124.6を超えた。小型トラックは2024年の74.4から2025年の88.7へ19.2%戻したが、2019年の115.2には届いていない。

次に数字が出る日付
次に数字が出る日付

次に確かめる日付を並べておく。2026年9月24日にテスラはセミ工場の開所式を開く。10月下旬の7〜9月期の説明資料で、能力の表のセミが「立ち上げ」から「生産」に変わり能力欄に数字が入るかどうか、11月までの10-Q で Semi の記載が1回から増えるかどうかが読める。CARB の HVIP の全件データは毎月更新され、テスラの引き換えが7件から動く月が納車の始まりになる。アインライドの約75台は2026年末、WattEV の最初の50台も2026年内、Forum Mobility のランチョ・ドミンゲス拠点は2027年初めに稼働し、アインライド500台と WattEV 370台の完了期限はいずれも2027年末である。

よくある質問

「EOL」とは何か。 生産ラインの終端 (End of Line) を指し、組み立てを終えた車両が検査を受けて出荷を待つ工程にあたる。投稿はその後の駐車場を「納車前の完成車置き場」と呼んでいる。置き場の広さは工場の能力ではなく、どれだけ納車前に滞留させられるかを示す。

HVIP の「引き換え」とは何か。 カリフォルニア州の HVIP では、購入者がディーラーを通じて交付申請を出し、車両が納車された後にディーラーへ補助金が支払われる。この支払い済みの状態を台帳では Redeemed (引き換え済み) と表示する。申請の件数は買う意思を、引き換えの件数は納車の事実を示す。

2017年の予約は今も有効なのか。 各社の発表にも提出書類にも、予約の取り消しや注文への切り替えは書かれていない (未取得)。予約時の手付金は1台2万ドルで、当時の提示価格18万ドルに対して2026年の価格は29万ドルである。ペプシコは予約100台に対して86台を運用しているが、その大半は公的補助で買われている。

テスラ・セミの電池はモデルYと同じか。 説明資料は4680電池の生産をサイバーキャブとセミの量産立ち上げのために増やすと書く。パナソニックがネバダで作る2170電池はモデル3・モデルYの系統で、パナソニックの有価証券報告書に「4680」は1回しか出てこない。

ネバダの置き場が何台ぶんかは、置き場の広さでは決まらない。テスラの説明資料の能力欄が「-」から数字に変わる日と、補助金の台帳の引き換えが7件から動く日が、年産5万台の入口になる。投資家向けの個別銘柄レポートと技術デューデリジェンスのご相談は、本誌の法人窓口で受け付けている。