中国の通販大手ピンドゥオドゥオは、県の中継倉庫から村の受け取り拠点までの区間の中継料金も、試験的に負担し始めた。中国全体の宅配便の平均単価は2025年に約6%下がり、ヤマトホールディングスは2026年3月期に単価を2.1%上げた。

ピンドゥオドゥオは、米ナスダックに上場するPDDホールディングスが中国で運営する通販サイトである。同じ親会社の下に、日本を含む各国で営業する格安通販のティームーがある。中国で遠隔地へ送る荷物は中継倉庫を経由するため中継料金がかかり、出店者が負担してきた。報道では、送料が商品の値段を上回る例もあった。同社はこの中継料金を、2024年と2025年の2回に分けて肩代わりしてきた。中国の郵政統計と親会社の決算からは、宅配便の単価の下落と売上原価の増加が読み取れる。

中継料金の免除は2024年9月に遠隔地から始まり、2025年秋に村まで広がった

中国の報道によると、ピンドゥオドゥオは2024年9月9日から、出店者が遠隔地へ発送する荷物について、出店者が負担していた中継料金を免除した。京報網は対象として、チベット自治区、甘粛省、青海省、内モンゴル自治区などを挙げた。人民日報は2025年11月11日付の紙面で、この免除が全出店者に広がったと報じた。同紙によると、同社は中国東北部に中継倉庫を1か所増やし、内モンゴル自治区根河市向けの荷物は瀋陽経由になった。瀋陽から先の配送日数は5日以上から3日以内に短くなった。山東省でタイヤを販売する出店者は、チベット向けの送料が1本100元に達していたという。

同社は2025年4月初め、出店者向けの支援策を打ち出した。同社の説明として報じられたところでは、資金に加え、アプリ内での露出などの集客の支援を合わせ、今後3年で1,000億元超を投じる。この支援策の下でも、西部の遠隔地向けの中継料金の減免は続けている。

同社は2025年10〜12月期から、村までの無料配送を試している。中国新聞網によると、県の中継倉庫から村の受け取り拠点までの中継料金を同社が負担する。陝西省扶風県では、宅配会社11社の荷物を県の中継倉庫に集め、村の受け取り拠点71か所へ運ぶ。同社は県の中継倉庫と村の拠点を結ぶ配送網を、10を超える省・直轄市に広げたと報じられた。同社の集計では、過去1年で西部向けの注文が2桁の伸びになったとも伝えられた。

親会社の開示に支援策の額はなく、配送は外部の物流会社に委ねる

PDDホールディングスが米証券取引委員会に出した2025年12月期の年次報告書 (20-F) と、2025年10〜12月期以降の決算発表3回分を調べても、1,000億元の支援策、遠隔地の中継料金、村への配送についての記述はない。同社は年次報告書で、商品は外部の物流会社や倉庫・受け取り拠点の運営会社が届けており、その業務を直接は管理していないとしている。同社は自前の配送網を持たず、出店者が宅配会社に払う料金の一部を肩代わりしている。

損益では、売上原価の伸びが売上高の伸びを上回った。同社は売上原価が増えた主な理由に、配送関連の費用 (フルフィルメント費)、通信とサーバーの費用、決済手数料を挙げた。売上原価率は39.1%から43.7%へ4.6ポイント上がった。

区分 (12月期)2024年 (億元)2025年 (億元)前年比
売上高3,9384,318+9.7%
売上原価1,5391,888+22.7%
うち運営などの費用1,4251,745+22.4%
うち決済手数料114143+26.1%
純利益1,124994−11.6%

前年比は年次報告書の千元単位の数字から編集部が算出した。運営などの費用は、プラットフォームの運営にかかる費用で、配送関連の費用を含む。この費用は約319億元増えた。ただしこれは国内のピンドゥオドゥオと海外のティームーを合わせた連結の値で、配送関連の費用だけの額も、遠隔地の中継料金の額も分けて示されていない。中継料金の負担が売上原価をどれだけ押し上げたかは、同社の資料からは分からない。

リウ・ジュン財務担当副社長は2026年3月25日の決算発表で、投資は長期のもので、業績への影響は避けられないと述べた。2026年1〜3月期も売上原価は15%増の469億元となり、同社は再びフルフィルメント費などを理由に挙げた。4〜6月期は売上高が8%増の1,124億元、純利益が12%減の272億元だった。リウ氏は、この期に出店者と業界全体を支える投資を増やしたと説明した。アクティブな出店者の数は2024年の1,580万から2025年の1,680万に増えている。

中国の宅配便は取扱個数が13.6%増え、平均単価は約6%下がった

中国国家郵政局の2025年の統計公報によると、宅配便の取扱個数は前年比13.6%増の約1,990億件、業界の売上高は6.5%増の約1.5兆元だった。取扱個数の伸び率は売上高の伸び率の2倍を超え、1件当たりの平均単価は約6%下がった計算になる。

地域別に見ると、伸び方の違いがはっきりする。

地域取扱個数 (億件)取扱個数の前年比売上高 (億元)平均単価 (元)
東部1,401.4+10.6%11,006.17.85
中部396.5+20.9%2,346.95.92
西部191.6+23.0%1,586.38.28
全国1,989.5+13.6%14,939.37.51

平均単価は売上高を取扱個数で割った値で、全国の売上高は3地域の合計。いずれも編集部が算出した。売上高の前年比は東部が4.8%増、中部が12.1%増、西部が10.3%増だった。西部は全国の取扱個数の9.6%にとどまるが、伸び率は23.0%と3地域で最も高く、2025年の増加分の約15%を占めた。一方で西部の平均単価の下落率は約10.3%と、東部の約5.2%より大きい。

統計公報は、地域別の数字が荷物を引き受けた地域で数えたものか、届けた地域で数えたものかを書いていない。引き受けた地域の値なら、西部の平均単価は西部から発送された荷物の単価になり、西部へ届ける荷物の料金を直接示す数字ではない。ピンドゥオドゥオの施策が西部の伸びにどれだけ寄与したかを示す数字も統計公報にはなく、統計には他の通販会社の荷物も含まれる。

荷物を受け取る村の拠点も増えた。村の宅配の受け取り拠点は2025年末に43万か所で、前年末より3,000か所増えた。一方、中国郵政が担う農村の配達路線は9万8,000本と2,000本減り、郵便の農村への配達は週平均6回だ。1人当たりの宅配便の利用は年141.6件に達した。

日本の宅配便は取扱個数が横ばいで、ヤマトは単価を上げて低採算の荷物を絞った

国土交通省の集計では、2024年度 (24年4月〜25年3月) の日本の宅配便の取扱個数は約50億個で、前年度比0.5%増にとどまった。集計期間は異なるが、中国の2025年の取扱個数は日本の約40倍にあたる。このうちトラックで運ぶ宅配便では、ヤマト運輸の宅急便が約23億2,000万個 (1.2%増) で47.2%を占めた。佐川急便の飛脚宅配便は約12億7,000万個 (7.4%減)、日本郵便のゆうパックは約10億9,600万個 (8.5%増) だった。

ヤマトホールディングス自身の集計では、2026年3月期の宅急便など3商品の取扱数量は約19億4,100万個で1.0%減った一方、平均単価は711円から726円に2.1%上がった。国土交通省の集計とは範囲が異なる。個人と小口法人向けの部門は2025年10月に運賃を引き上げ、通期の数量も2.2%増えた。大口法人向けの部門は低採算の荷物の取り扱いを抑える方針を進め、数量は3.7%減った。同社は、この数量の減少が想定を超えたとも説明している。集配を外部に委託する費用は944億円から1,086億円に15.1%増えた。2027年3月期は数量が0.5%増、平均単価が737円になると見込む。

中国では取扱個数が増えて平均単価が下がり、通販会社が遠隔地向けの中継料金の一部を肩代わりしている。日本では最大手のヤマトが単価を上げ、引き受ける荷物を選んでいる。通販サイトでは、楽天グループの楽天市場が、同じ店で同じ配送先に送る注文が3,980円 (税込) 以上なら送料無料とする一方、沖縄・離島など一部地域向けは9,800円 (税込) 以上を基準にしている。遠隔地向けの基準額は通常の約2.5倍で、楽天市場は配送費の高さを送料無料の基準額に反映させている。

PDDホールディングスの損益では、中国の村向けの中継料金とティームーの海外の配送費が売上原価として一括で計上され、分けて開示されていない。施策の費用の増え方は、売上原価の伸び率が売上高の伸び率を上回り続けるかどうかで推し量るしかない。2026年4〜6月期の売上原価は480億元と、前年同期の459億元から約4.7%増え、伸び率は売上高の8%を下回った。前年は7〜9月期の決算を11月18日に発表しており、この関係が続くかは次の発表で分かる。

※2026年10月16日、一次資料に基づき全面的に書き直しました。旧版の出典欄にあった「2025年の全国宅配便取扱量1520億個」は、国家郵政局の統計公報の1,989億5,000万件に改めました。出典欄の決算発表は、発表者をPDDホールディングス、日付を2026年3月25日に改めました。流通総額と利用者数が増えたとの記述は同発表にないため削除しました。物流向けAIへの累計800億元の投資、ウランチャブのデータセンターへのGPUの導入、仕分けミス率0.01%未満などの記述は出所を確認できず、「自社でコントロールする物流網」との記述は年次報告書 (配送は外部の物流会社に委ねている) と合わないため削除しました。「千億扶持」を1,000億元の支援とした記述は、3年間の資金と集客の支援などを合わせた総額であることを明記しました。

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