パワーエックスGrid Connectorシリーズ(系統接続設備のパッケージ) PowerX Grid Connector series
パワーエックスが2026年8月3日に発表した系統接続設備のパッケージである。パワーコンディショナー (PCS)・変圧器・高圧配電盤を工場で1つの架台にまとめて出荷し、現地の工事を据え付けと接続に絞る。蓄電所向けの「Grid Connector for BESS」(BESS は蓄電システム) は自社開発の PCS を載せ、2027年7〜9月から量産する予定だ。データセンター向けの「for DC」は電力設備・蓄電池・冷却設備を一体にし、2027年初めに試作機を置く予定である。
詳細解説
- 発表
- 2026年8月3日、Mega Power 4000 シリーズと同時に発表した。PCS などの機器を内製化し、施工のしやすさと自社の蓄電システムとの互換性を高めたとパワーエックスは説明する。 power-x.jp
- for BESS (蓄電所向け)
- 第1弾の製品。蓄電所の系統側 (6.6〜22kV) と、蓄電池の直流側 (最大1,500V) をつなぐ。パワーエックスは対象を大規模蓄電所 (特別高圧) とする。2.5MVA (ユニット1台) と5MVA (2台分) の2モデルがある。 power-x.jp
- for BESS の提供時期
- 2026年末から試作・検証を始め、2027年7〜9月から順次量産して市場に出す予定。2026年11月7日時点で量産・出荷の発表はない。 contents.xj-storage.jp
- for DC (AI データセンター向け)
- 1MW 級の AI データセンターに必要な電力設備・蓄電システム・冷却設備を架台 (スキッド) にまとめる。電力 (Power Skid)・蓄電 (Battery Skid)・冷却 (Cooling Skid) の3つのユニットを組み合わせる。 power-x.jp
- for DC の提供時期
- 2027年初めに試作機を設置し、運用と検証を経て量産準備と受注を始める予定。 contents.xj-storage.jp
- ゼロデイ接続
- 主要設備を工場で一体化して現地の施工を減らし、早く稼働させる構想で、パワーエックスは「ゼロデイ接続」と呼ぶ。所定の事前工事と手続きが済んでいることが前提で、実際の工期は構成と設置条件で変わる。 power-x.jp
- PCS の単体販売
- 新たに自社開発した PCS は、Grid Connector に組み込むほか単体でも販売する。 power-x.jp
- 業績への影響
- パワーエックスは、2026年12月期の業績予想への影響は軽微だとした。 contents.xj-storage.jp
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 製造工場 | 公表されていない | Grid Connector と自社開発の PCS をどの工場で作るか、製造を委託するかどうかは公表されていない。 | 工場で一体化して出荷すると説明している | power-x.jp |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- 工場での一体化
- 従来は個別に設計・調達・接続していた PCS・変圧器・高圧配電盤を、架台 (スキッド) の上に集約して工場で組み上げる。 power-x.jp
- 炭化ケイ素 (SiC) のパワーモジュール
- for BESS の PCS は SiC を使ったパワー半導体のモジュールを使う。変換効率は99.20%。 power-x.jp
- 運転モード
- PCS は、系統の電圧と周波数を自らつくるグリッドフォーミングと、通常の系統連系の両方に対応する。 power-x.jp
- 蓄電コンテナの接続数
- Mega Power 2500 で蓄電所を組む場合、1台の Grid Connector に最大8台をつなげる。 power-x.jp
- コストの低減
- 自社開発の PCS は従来の外部調達品より価格を抑え、変圧器や配電盤まで含めてまとめて設計し、初期費用を下げるとパワーエックスは説明する。 power-x.jp
- セキュリティー
- 制御と通信を一体で設計する。for DC では各ユニットの制御・通信の仕様とアクセス管理を一元化し、機器を個別につなぐ構成よりサイバー攻撃を受ける危険を減らすとしている。 power-x.jp
- for DC の構成
- 電力ユニットは SiC の PCS と変圧器を収めた受変電設備である。蓄電ユニットは Mega Power 2500 を内蔵し、冷却ユニットは冷却水を作る装置 (チラー) やクーラーで冷却水を送る。電源と冷却に冗長性を持たせる。 power-x.jp
- 無停電電源装置 (UPS) の簡素化
- for DC は大容量の蓄電池を標準で載せるため、構成によっては UPS などの付帯設備を簡素にでき、事業継続計画 (BCP) にも対応する。 power-x.jp
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 直流電圧範囲 (1台構成 / 2台構成) | 1,040〜1,500V (直流) / 1,040〜1,500V (直流) | power-x.jp |
| 最大直流電流 | 2,253A / 2 × 2,253A | power-x.jp |
| 直流の接続口数 | 1口または2口 / 2口または4口 | power-x.jp |
| 定格交流出力 | 最大2,331kVA / 最大4,602kVA | power-x.jp |
| 高圧側電圧 | 6.6〜22kV | power-x.jp |
| 変圧器 | 油入変圧器 2.5MVA / 5MVA、結線 Dyn11 / Dyn11 dual、一次6.6〜22kV・二次690V、国際電気標準会議 (IEC) の IEC 60076 に適合。短絡に耐える強さと内部アークの等級を定める | power-x.jp |
| 概算重量 | 約20トン / 約25トン (PCS のユニット単体は約9トン) | power-x.jp |
| 使用温度範囲 / 耐食性 | 零下20度〜40度 / C5M (海岸部など腐食の激しい環境の等級) | power-x.jp |
| PCS のユニット | 変換効率99.20%、冷却は空冷と液冷の併用、交流出力電圧690V、保護機能は SPD (サージ防護デバイス)・遮断器・絶縁監視装置 (IMD) | power-x.jp |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| パワーコンディショナー (PCS) | SiC のパワーモジュールを使う自社開発の PCS 量産の工場と、製造を委託するかどうかは公表されていない |
パワーエックス 自社開発 |
— | 日本 公表されていない |
新製品の発表 A |
| SiC パワーモジュール | 炭化ケイ素 (SiC) を使ったパワー半導体のモジュール | 公表されていない | — | 公表されていない 公表されていない |
SiC の採用だけが公表されている A |
| 変圧器 | 油入変圧器 2.5MVA / 5MVA | 公表されていない | — | 公表されていない 公表されていない |
製品ページの仕様表 A |
| 高圧配電盤・遮断器・絶縁監視装置 | 高圧配電盤と保護機器 | 公表されていない | — | 公表されていない 公表されていない |
製品ページの仕様表 A |
| 蓄電ユニット (for DC) | Mega Power 2500 | パワーエックス | — | 日本 岡山県玉野市 |
新製品の発表 A |
| 冷却ユニット (for DC) | チラー・クーラー | 公表されていない | — | 公表されていない 公表されていない |
新製品の発表 A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1これまでの PCS の調達従来は PCS を外部から調達していた。伊藤忠商事との PowerX × Bluestorage はドイツの SMA ソーラー・テクノロジー製、丸紅の三峰川伊那蓄電所は国内メーカーの PCS を使った企業: SMA ソーラー・テクノロジーほか
- 2内製化Grid Connector から PCS を自社開発品に切り替える。パワーエックスは、内製化で仕様を最適にし、品質と保守性、調達・供給の体制を強めると説明した企業: パワーエックス
- 3部品の供給元SiC モジュール、変圧器、配電盤、冷却機器の供給元は公表されていない企業: 公表されていない
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1試作・検証for BESS は2026年末から試作・検証を始める予定。for DC は2027年初めに試作機を置く予定設備・企業: 公表されていない
- 2量産for BESS は2027年7〜9月から順次量産する予定。量産ラインの場所と能力は公表されていない設備・企業: 公表されていない
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| Grid Connector for BESS (1台構成 / 2台構成) | 公表していない。見積もり | 2026-11-07 | power-x.jp |
| Grid Connector for DC | 公表していない (受注の開始前) | 2026-11-07 | power-x.jp |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 直販 (問い合わせ) | for BESS は Mega Power と共通の窓口、for DC は専用の窓口から問い合わせる | power-x.jp |
| 標準パッケージ | Mega Power 4000 シリーズと組み合わせた標準パッケージとして、国内外の大型蓄電所に提案する | power-x.jp |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 保守 | Grid Connector に固有の保守の体制と保証は公表されていない。内製化で保守性を高めるとパワーエックスは説明する | power-x.jp |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 米国 (検討) | パワーエックスはエナジーボールトと、「Mega Power」「Grid Connector」「Mega Power DC」の3製品からなる Mega Power シリーズを最大1.5GWh 供給する検討で合意した。法的拘束力はなく、供給には最終契約の締結が要る | power-x.jp |
| 国内外の大型蓄電所 | 4000 シリーズとの標準パッケージを国内外向けの中核と位置づける。輸出の実績はない | power-x.jp |
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年11月7日時点 | 受注・出荷の発表 | 0件 | 量産は2027年7〜9月からの予定 | power-x.jp |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 開発費・設備投資 | 公表されていない | contents.xj-storage.jp |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
Grid Connector は、パワーエックスが外部から調達してきた PCS を自社開発品に替える製品である。パワーエックスはこれまで、蓄電所の PCS・変圧器・受電設備を仕入れ、蓄電池と合わせて売ってきた。PCS を自社開発品に替えれば、自社製品の範囲が蓄電池から系統接続の機器まで広がる。
Grid Connector for BESS は炭化ケイ素 (SiC) を使う PCS で、変換効率99.20%をうたう。系統の電圧と周波数を自らつくるグリッドフォーミングにも対応する。量産は2027年7〜9月の予定で、試作は2026年末に始まる。for DC は2027年初めの試作機の設置が最初の節目になる。for DC のデータセンター向けの固有の仕様は、まだ公表されていない。
公表されていないこと
- 自社開発の PCS と Grid Connector の製造工場、製造を委託するかどうかは公表されていない
- SiC モジュール・変圧器・配電盤の供給元は公表されていない
- パワーエックスが PCS の適合規格に挙げる IEC 60076 は、国際電気標準会議 (IEC) の変圧器の規格で、PCS の系統連系の認証の取得状況は示されていない
- for DC の冷却能力やデータセンター側の受電容量などの固有の仕様は公表されていない
- 販売価格は公表されていない
出所
- Grid Connector シリーズ 製品ページ (2026-11-07)
- Grid Connector for BESS 製品ページ (2026-11-07)
- Grid Connector for DC 製品ページ (2026-11-07)
- Grid Connector シリーズの発表 (2026-08-03)
- Grid Connector シリーズ発表の適時開示 (2026-08-03)
- 新製品発表会開催のお知らせ (2026-07-29)
- Mega Power 4000 シリーズの発表 (2026-08-03)
- 伊藤忠商事との PowerX × Bluestorage の発表 (2025-09-19)
- エナジーボールトとの戦略的パートナーシップ契約 (2026-11-05)
- Mega Power の問い合わせ窓口 (2026-11-07)
- 2026年12月期 第1四半期 決算説明資料 (2026-05-14)
出所との照合日: 2026年11月7日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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