パワーエックスX-PPA(蓄電池を使うオフサイト電力購入契約・アドバンスプラン) PowerX X-PPA (Advanced Plan)
X-PPA はパワーエックスが2023年11月に発表した法人向けの電力購入契約 (PPA) である。昼の太陽光を蓄電池にためて夕方以降に「夜間太陽光」として届け、風力などのベース電源と組み合わせる。2024年7月に三菱UFJ銀行の芝ビルへの供給で始まり、2025年12月に名称をアドバンスプランに改めた。契約期間は5〜10年。
詳細解説
- 発表
- 2023年11月15日に新しい法人向け電力事業「X-PPA」を発表した。最初の顧客は日本郵便の岡山郵便局 (岡山県総社市) power-x.jp
- 名称の変更
- 2025年12月に「アドバンスプラン」へ名称を変えた power-x.jp
- 仕組み
- 昼の太陽光、風力や国産の木質バイオマスなどの電気に加え、昼の太陽光を蓄電池にためて夕方以降に「夜間太陽光」として届ける。需要家の敷地の外にある発電所から送電網を通して送る (オフサイト型) 契約 power-x.jp
- 再生可能エネルギーの比率
- パワーエックスは、現在のアドバンスプランでは電気の最大80%を再生可能エネルギーで賄うとしている。発表時 (2023年11月) は最大100%とした。不足分は卸電力取引市場などから調達する power-x.jp
- 追加性
- 新しく開発された発電設備からの調達で、社会全体の再生可能エネルギーを増やすことを「追加性」と呼ぶ。野村不動産の事例では運転開始から15年以内の発電所の電気を使った power-x.jp
- 三菱UFJ銀行 芝ビル
- 2024年7月から供給。首都圏のオフィスビルへの初の導入。電力の約75%を追加性のある再生可能エネルギーから調達し、残りの環境価値も追加性のある非化石証書で補う。年間使用電力量は約470万kWh power-x.jp
- 野村不動産の2棟
- 野村不動産芝大門ビルと日本橋室町野村ビルに2024年8月から供給。年間需要の約80%を追加性のある再エネと夜間太陽光で賄い、残り約20%の環境価値はトラッキング付き非化石証書で補い、合わせて100%を追加性のある再エネとする予定とした power-x.jp
- コシダカ (カラオケ まねきねこ)
- 中国地方の11店舗 (広島7・岡山2・山口1・島根1) に2025年6月から供給。供給電力の70.9%が追加性のある再エネで、残り29.1%は卸電力取引市場などから調達する power-x.jp
- 佐賀鉄工所の藤沢工場
- 2026年4月から供給すると2026年1月15日に発表した。使用電力の60%を追加性のある再エネから、残り40%を卸電力取引市場などから調達する power-x.jp
- その他の導入先
- 京都市内のホテル (2024年8月発表)、六本木の AXALL ROPPONGI (2024年9月発表)、岡山郵便局の敷地に置いた蓄電池との組み合わせ (2024年10月発表) power-x.jp
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 電源 (工場ではない) | 全国 | 電力の契約サービスで工場は持たない。電源は相対取引の太陽光・風力・バイオマスと、パワーエックスが運用する蓄電所 | power-x.jp | |
| 秋田国見山第一風力発電所 (調達先) | 秋田県秋田市 | HSE (三菱HCキャピタルのグループ会社) の子会社、くろしお風力発電の9,950kW の風力発電所。電力は X-PPA などの小売の再エネ電源に使う (2024年7月〜2033年1月) | power-x.jp | |
| MSB神奈川愛川蓄電所 (調整力) | 神奈川県愛川町 | 蓄電所の調整力を X-PPA を含む小売の需給の調整に使う (2025年9月1日に商業運転) | 蓄電所トーリングで運用 | power-x.jp |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- 夜間太陽光
- 郊外で昼に蓄電池にためた太陽光の電気を、夜に電力系統を通して都市部の需要家に届ける power-x.jp
- 証書への依存を減らす
- 蓄電池で需給を調整することで、価格の予測が難しい非化石証書の市場への依存を大きく減らせるとパワーエックスは説明する power-x.jp
- 排出係数の調整
- 供給する電気は非化石証書などで、電気供給契約書に定める二酸化炭素の排出係数以下に調整する assets.ctfassets.net
- 再エネ電力ポリシー
- パワーエックスが定める「再エネ電力ポリシー」に従って再生可能エネルギーの電気を調達する assets.ctfassets.net
- 複数拠点の一括契約
- コシダカの11店舗は、複数の店舗の電力契約をまとめて切り替えた初めての例で、店舗の移転などで需要が変わっても拠点を入れ替えられる power-x.jp
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 契約期間 (現在) | 5〜10年 | power-x.jp |
| 契約期間 (発表時) | 10年から (2023年11月) | power-x.jp |
| 価格のヘッジ | 固定 (サービスページの表示)。約款には市場価格に連動する電源調達費調整額の式があり、係数と基準価格は電気供給契約書で決める | assets.ctfassets.net |
| 環境価値 | あり | power-x.jp |
| 対象 | 特別高圧・高圧で受電する法人 | assets.ctfassets.net |
| 契約の自動継続 | 意思表示がなければ契約期間の満了後も1年ごとに同じ条件で続く | assets.ctfassets.net |
| 中途解約の違約金 | 見積書の違約金算定基準額÷12×残りの月数×0.2 | assets.ctfassets.net |
| 約款の実施日 | 2023年11月1日 | assets.ctfassets.net |
| 第1期の募集 (発表時) | 東京電力エリアを中心に15MW | power-x.jp |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| 風力の電源 | 秋田国見山第一風力発電所 (9,950kW) パワーエックスの電力小売で風力由来の電気を使う最初の事例 |
くろしお風力発電 HSE の全額出資子会社 |
— | 日本 秋田県秋田市 |
パワーエックスと HSE の共同発表 A |
| 固定価格買取制度 (FIT) の期間を終えた (卒FIT) 風力の電源 | ウインドパーク美里のうち4,000kW 分 (2026年6月〜2029年5月) 法人向け電力サービスの電源として使う |
シーテック 発電所の保有者 |
— | 日本 三重県津市 |
パワーエックスの発表 A |
| 太陽光・バイオマスの電源 | 運転開始から15年以内の太陽光・バイオマス・風力など (野村不動産の事例) 顧客が求めれば発電所と蓄電所の諸元を開示するとする |
公表されていない 発電所名は開示されていない |
— | 日本 | パワーエックスと野村不動産の発表 A |
| 蓄電所 | パワーエックスが運用する系統蓄電所 (Mega Power 2700A を使う) | パワーエックス 東証グロース 485A |
— | 日本 岡山県玉野市 |
パワーエックスの発表 A |
| 環境価値 | トラッキング付き非化石証書 | 公表されていない 調達先 |
— | 日本 | パワーエックスと野村不動産の発表 A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1再エネの買い取りパワーエックスが小売事業者として発電事業者から再生可能エネルギーの電気を買う。2023年11月の発表時には太陽光や陸上風力の電源も募った企業: HSE など
- 2時間のずらし昼の太陽光を蓄電所で夜に回す企業: パワーエックス
- 3不足分の調達残りを卸電力取引市場などから調達し、環境価値は非化石証書で補う企業: 日本卸電力取引所など
- 4託送と供給一般送配電事業者の送配電網で需要場所に届ける企業: 各エリアの一般送配電事業者
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1データの提供受電候補地点の契約容量、通年の30分値の需要データ、あれば自家消費の太陽光の30分値設備・企業: 顧客
- 2見積もりと契約電気料金のシミュレーションをもとに、見積もりの条件で契約を結ぶ設備・企業: パワーエックス 電力事業部
- 3電源の割り当て追加性のある再エネ、夜間太陽光、市場調達の比率を需要家ごとに組む (三菱UFJ銀行は約75%、コシダカは70.9%、佐賀鉄工所は60%)設備・企業: パワーエックス
- 4供給毎月の計量に基づいて料金を請求する設備・企業: パワーエックス・一般送配電事業者
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| X-PPA (発表時の案内) | 再エネの単価は1kWh あたり25円から (税込みか税抜きかは示されていない) | 2023-11-15 | power-x.jp |
| アドバンスプラン (現在) | 公表していない。基本料金単価と従量料金単価は電気供給契約書に書く | 2026-11-07 | assets.ctfassets.net |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 直販 | パワーエックスの電力事業部に問い合わせ、概算のシミュレーションから始める | power-x.jp |
| 約款 | アドバンスプランの電気需給約款と重要事項説明書を公開している | power-x.jp |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 電源の開示 | 顧客の求めに応じて、調達する再生可能エネルギーの発電所と蓄電所の諸元を開示する | assets.ctfassets.net |
| 需要の変化への対応 | 店舗の移転などで需要が変わっても、需要拠点の入れ替えに対応する (コシダカの事例) | power-x.jp |
| 温室効果ガスの削減量 | コシダカの11店舗では年間約896トンの温室効果ガスの削減を見込むとした | power-x.jp |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 国内のみ | 国内の特別高圧・高圧の需要家向けで、海外での提供は公表されていない | power-x.jp |
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年1〜12月 | 電力事業セグメントの売上高 | 11 | 億円 | 10億5,400万円。X-PPA だけの売上は公表されていない。電力小売・蓄電所運営・蓄電システム販売を含む | contents.xj-storage.jp |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 芝ビルの年間使用電力量 | 約470万kWh | power-x.jp | |
| 野村不動産の2棟の年間使用電力量 | 合計約1,100万kWh | power-x.jp | |
| コシダカの11店舗の年間使用電力量 | 約200万kWh | power-x.jp | |
| 第1期の募集 (2023年11月) | 15MW | power-x.jp |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
X-PPA は、需要家の敷地に発電設備を置かないオフサイトの電力購入契約に、蓄電池による夜間の供給を足した商品である。パワーエックスは、都市部で再エネ電源や蓄電池を置きにくい企業向けと位置づける。
導入先の再エネ比率は案件ごとに違う。三菱UFJ銀行の芝ビルは約75%、コシダカの店舗は70.9%、佐賀鉄工所の工場は60%を追加性のある再エネで賄う。残りは市場から調達し、環境価値を非化石証書で補う。
商品の条件は発表時から変わった。契約期間は10年からが5〜10年に短くなり、再エネの比率の表示は最大100%から最大80%になった。サービスページは価格を「固定」と示すが、約款には市場価格との差で料金を増減する電源調達費調整額の式がある。
公表されていないこと
- X-PPA (アドバンスプラン) の契約件数、供給電力量、売上高は公表されていない。
- 現在のアドバンスプランの料金の単価は公表されていない。
- 2024年半ばに計画した第2期の募集を実施したかどうかは発表されていない。
- 夜間太陽光に使う蓄電所の容量の合計は公表されていない。
出所
- 蓄電池に溜めた再エネを「夜間太陽光」として提供する、新たな法人向け電力事業を発表 (2023-11-15)
- 電力提供サービス (PowerX Energy) (2026-11-07)
- 三菱UFJ銀行 芝ビルに蓄電池を活用した再エネ電力を供給します (2024-01-30)
- 野村不動産の都内オフィスビル2棟に「X-PPA」による100%追加性のある再エネを導入 (2024-05-13)
- 「カラオケ まねきねこ」11店舗に再エネ電力を導入 (2025-03-25)
- 佐賀鉄工所の工場に蓄電池を活用した再エネ電力を供給 (2026-01-15)
- HSEと陸上風力の電力受給契約を締結 (2024-07-01)
- 卒FITの陸上風力発電所から電力調達を開始 (2026-06-01)
- 「MSB神奈川愛川蓄電所」の商業運転を開始 (2025-09-08)
- 重要事項説明書 (アドバンスプラン) (2026-11-07)
- 電気需給約款 (アドバンスプラン) (2023-11-01)
- 重要事項説明書・約款 (2026-11-07)
- 有価証券報告書 第5期 (2025年12月期) (2026-03-25)
出所との照合日: 2026年11月7日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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