パワーエックスPowerX Energy(法人向け電力小売) PowerX Energy corporate electricity retail
PowerX Energy は、蓄電池メーカーのパワーエックスが高圧・特別高圧の法人に電気を売る小売サービスである。料金を1年固定するフラット、契約が1年か3年で一部を市場に連動させるセミフラット、夜も再生可能エネルギーを届けるアドバンスの3プランがある。市場連動のメニューもある。供給は沖縄を除く全国9エリアで、2024年7月に法人への供給を始めた。
詳細解説
- 提供会社
- 株式会社パワーエックス (登記上の本店: 岡山県玉野市)。電気事業法に基づく小売電気事業者 (登録) で、特定卸供給事業者 (届出) でもある power-x.jp
- 事業の開始
- 2023年に小売電気事業者として登録し、2024年7月から法人向けの電力供給を始めた power-x.jp
- 報告セグメント
- 電力事業。電力小売のほか、蓄電所の販売と運営 (所有者に固定の対価を払うトーリング型と、電力市場での運用を中心とするマーチャント型 (収入は市場の価格で変わる)) を含む contents.xj-storage.jp
- フラットプラン
- 契約期間1年。従量単価を固定し、燃料費や市場価格による増減をしない。CO2 の削減の度合い (実質ゼロ・50%・指定なし) を選べる。2025年9月3日に申し込みの受け付けを始めた power-x.jp
- セミフラットプラン
- 契約期間は1年か3年 (2025年9月3日の発表。サービスページの表示は1〜3年)。従量料金の基本部分は固定し、市場価格と基準価格の差を係数で一部反映する power-x.jp
- アドバンスプラン (旧X-PPA)
- 電力購入契約 (PPA) の X-PPA を2025年12月に改称したプラン。昼の太陽光を蓄電池で夜に回す「夜間太陽光」と風力を組み合わせ、最大80%を再生可能エネルギーで賄う。契約期間5〜10年 power-x.jp
- 市場連動メニュー
- この3プランのほか、市場価格に連動するメニューもある power-x.jp
- バッテリーオプション
- 電力小売の全メニューの加入者が、PowerX Cube 360 (公称358kWh) を敷地に置けるオプション。月々のリース料と同じ額を電気料金から割り引き、実質の負担を0円にする。2026年3月13日に提供を始めた power-x.jp
- 対象顧客
- 高圧・特別高圧で受電する法人。低圧は対象外 power-x.jp
- 主な導入先
- 三菱UFJ銀行 芝ビル (2024年7月〜)、野村不動産の都内オフィス2棟 (2024年8月〜)、コシダカの「カラオケ まねきねこ」11店舗 (2025年6月〜) など。佐賀鉄工所の藤沢工場には2026年4月から供給すると1月15日に発表した power-x.jp
- 卸供給
- 電力事業者向けに、蓄電池の調整力と容量を生かした卸供給も行う power-x.jp
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 電源の調達 (工場ではない) | 全国 | 電力小売のサービスで工場は持たない。電源は相対契約を結んだ発電所、蓄電所、日本卸電力取引所から調達する | assets.ctfassets.net | |
| 秋田国見山第一風力発電所 (調達先) | 秋田県秋田市 | HSE (三菱HCキャピタルのグループ会社) の子会社くろしお風力発電が持つ9,950kW の風力発電所。2024年7月〜2033年1月に電力と非化石価値をパワーエックスに供給する | パワーエックスの電力小売で風力由来の電気を使う最初の事例 | power-x.jp |
| ウインドパーク美里 (調達先) | 三重県津市美里町 | シーテックが持つ1万6,000kW の陸上風力。再生可能エネルギーの固定価格買取制度 (FIT) の買取期間を終えた「卒FIT」の電源で、このうち4,000kW 分を2026年6月〜2029年5月に調達する。風力の電気を束ねて取引する事業者 (アグリゲーター) は再生可能エネルギー推進機構 | power-x.jp | |
| 系統蓄電所 (調整力) | 神奈川県愛川町・三重県津市など | パワーエックスが運用する系統蓄電所の調整力を小売の需給の調整に使う | power-x.jp |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- 蓄電池による価格の固定
- パワーエックスは、自社で運用する系統蓄電所の調整力と電源調達のノウハウを組み合わせ、価格変動の影響を抑えた料金を組んだと説明する power-x.jp
- 夜間太陽光
- 日中の太陽光の電気を蓄電池にためて夕方以降に供給し、風力などのベース電源と組み合わせる (アドバンスプラン) power-x.jp
- 環境価値の調整
- フラット・セミフラットでは、CO2 (二酸化炭素) の排出を実質ゼロにするか、50%減らすか、指定しないかを選べる。非化石証書で CO2 の排出係数を調整する power-x.jp
- CO2 排出係数 (2024年度実績)
- 事業者全体の調整後排出係数は 0.000368 t-CO2/kWh。非化石証書は全量が非FIT 非化石証書 (再エネ指定あり) assets.ctfassets.net
- 電源構成の区分
- 相対取引の太陽光・風力 (FIT 認定ではない電源)、電源種を特定しない相対取引と卸電力取引所の電気に分けて開示する assets.ctfassets.net
- バッテリーオプションの運用
- 平時はパワーエックスが顧客の敷地の蓄電システムを運用し、停電時は自立運転で店舗や工場に電気を送る power-x.jp
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 供給電圧 | 特別高圧は原則2万ボルト以上、高圧は原則6,000ボルト。周波数は50ヘルツか60ヘルツ | assets.ctfassets.net |
| 供給地域 | 北海道・東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州の9エリア。電気事業法が定める離島には約款を適用しない | assets.ctfassets.net |
| 契約電力 | 特別高圧と500kW 以上の高圧は協議で決める。500kW 未満の高圧はその月と前11か月の最大需要電力の大きい方 | assets.ctfassets.net |
| 料金の構成 | 基本料金、従量料金、電源調達費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金の合計に付帯契約料金を加える。単価は電気供給契約書に書く | assets.ctfassets.net |
| 電源調達費調整額 (アドバンスプランの約款) | 日本卸電力取引所のスポット価格の月平均と基準市場価格の差に、調整係数と使用電力量を掛ける。基準価格と係数は2段階で、電気供給契約書で決める | assets.ctfassets.net |
| フラット・セミフラットの契約期間 | 成立日から供給開始日の1年後まで。満了の3か月前までに意思表示がなければ1年ずつ自動延長 | assets.ctfassets.net |
| 約款の実施日 | フラット・セミフラットの約款は2025年9月1日、アドバンスプランの約款は2023年11月1日から実施 | assets.ctfassets.net |
| 中途解約の違約金 | 見積書の違約金算定基準額÷12×残りの月数×0.2 (アドバンス、フラット・セミフラットとも同じ式) | assets.ctfassets.net |
| 支払い | 口座振替。計量日が15日までなら翌月末、16日以降なら翌々月末。遅延利息は年10% | assets.ctfassets.net |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| 風力の電源 | 秋田国見山第一風力発電所 (9,950kW、市場価格に上乗せ額を払うフィード・イン・プレミアム (FIP) 制度に移った) HSE の出資は三菱HCキャピタル85.1%、日立パワーソリューションズ14.9% |
くろしお風力発電 HSE の全額出資子会社 |
— | 日本 秋田県秋田市 |
パワーエックスと HSE の共同発表 A |
| 卒FIT の風力の電源 | ウインドパーク美里のうち4,000kW 分 アグリゲーターは再生可能エネルギー推進機構 |
シーテック 発電所の保有者 |
— | 日本 三重県津市 |
パワーエックスの発表 A |
| 調整力 (蓄電所) | パワーエックスが運用する系統蓄電所 (MSB神奈川愛川蓄電所など) | パワーエックス 蓄電システムの製造と運用、東証グロース 485A |
— | 日本 岡山県玉野市 |
パワーエックスの発表 A |
| 需要家側の蓄電システム | PowerX Cube 360 (公称358kWh、バッテリーオプション) 大規模な施設には大型蓄電システムを提案する |
パワーエックス 東証グロース 485A |
— | 日本 岡山県玉野市 |
パワーエックスの発表 A |
| 環境価値 | 非FIT 非化石証書 (再エネ指定あり) | 公表されていない 調達先 |
— | 日本 | 排出係数の開示資料 A |
| 送配電 | 一般送配電事業者の託送供給 使用電力量は一般送配電事業者の電力計で量る |
各エリアの一般送配電事業者 | — | 日本 | 約款 A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1電源の調達相対契約の太陽光・風力 (FIT 認定ではない電源)、電源種を特定しない相対取引、日本卸電力取引所から調達する企業: HSE・シーテック・日本卸電力取引所など
- 2時間のずらしパワーエックスが運用する系統蓄電所で、電気が余る時間帯に充電し、需要の高い時間帯に放電する企業: パワーエックス
- 3環境価値の付与非化石証書で排出係数を契約で決めた値以下に調整する企業: パワーエックス
- 4託送一般送配電事業者の送配電網で需要場所に届ける。工事費負担金は実費で顧客に請求する企業: 各エリアの一般送配電事業者
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1データの提供受電候補地点の契約容量、電力会社の通年の30分値の需要データ、あれば自家消費の太陽光の30分値 (フラットは30分値が不要)設備・企業: 顧客
- 2見積もり電気料金のシミュレーション設備・企業: パワーエックス 電力事業部
- 3申し込み・契約申込書の提出、見積もりの条件での契約締結、口座振替の申し込み設備・企業: 顧客・パワーエックス
- 4供給開始電力の供給を始める設備・企業: パワーエックス・一般送配電事業者
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| フラットプラン | 公表していない。需要家ごとの使用実績・契約条件・エリアで個別に算定する | 2025-09-03 | power-x.jp |
| セミフラットプラン | 公表していない。個別に見積もる | 2025-09-03 | power-x.jp |
| アドバンスプラン | 公表していない。単価は電気供給契約書に書く | 2026-11-07 | assets.ctfassets.net |
| バッテリーオプション | 初期投資は実質0円。リース契約が必要で、月額リース料相当額を電気料金から差し引く | 2026-03-13 | power-x.jp |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 直販 | パワーエックスの電力事業部が受け付ける。問い合わせのページから概算のシミュレーションを依頼できる | power-x.jp |
| 約款・重要事項説明 | 高圧・特別高圧のフラット・セミフラットとアドバンスの約款と重要事項説明書を公開している | power-x.jp |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 契約の更新 | フラット・セミフラットは満了の4か月前までに翌年の条件を示し、3か月前までに意思表示がなければ1年延長する | assets.ctfassets.net |
| 電源の開示 | アドバンスプランでは、顧客が求めれば調達する再生可能エネルギーの発電所と蓄電所の諸元を開示する | assets.ctfassets.net |
| 蓄電システムの保守 | バッテリーオプションの蓄電システムは施工・保守・運用をすべてパワーエックスが担う | power-x.jp |
| 需要拠点の入れ替え | コシダカの事例では、店舗の移転などで需要が変わっても拠点の入れ替えに対応するとした | power-x.jp |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 国内のみ | 電力小売は沖縄を除く国内9エリアで提供する。海外で電力小売を始める計画は公表されていない | power-x.jp |
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年1〜12月 | 電力事業セグメントの売上高 | 11 | 億円 | 10億5,400万円 (前期の2.7倍)。セグメント利益3,500万円。電力販売と蓄電システムの販売を含む | contents.xj-storage.jp |
| 2026年1〜6月 | 電力事業セグメントの売上高 | 12 | 億円 | 11億7,000万円 (前年同期の4.8倍)。セグメント利益8,900万円。うち電力小売や蓄電所の運営のように期間に応じて計上する売上は7億6,700万円 | contents.xj-storage.jp |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 電力事業の従業員 (2025年12月末、臨時雇用者3人は含まない) | 4人 | contents.xj-storage.jp | |
| 三菱UFJ銀行 芝ビルの年間使用電力量 | 約470万kWh | power-x.jp | |
| 野村不動産の2棟の年間使用電力量 | 合計約1,100万kWh | power-x.jp | |
| コシダカの11店舗の年間使用電力量 | 約200万kWh | power-x.jp |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
PowerX Energy は、蓄電池メーカーが自社の蓄電所の調整力を電力小売の料金に組み込んだサービスである。フラットプランは1年間、従量単価を燃料費や市場価格で増減させずに固定する。電気代の見通しを立てたい企業向けの設計である。
電源は相対契約の太陽光・風力と、電源種を特定しない相対取引・卸電力取引所から調達する (2024年度の開示)。風力は HSE の秋田国見山第一風力発電所 (2033年1月まで) と、卒FIT のウインドパーク美里の4,000kW 分 (2029年5月まで) を確保した。パワーエックスは、料金の固定を自社で運用する系統蓄電所の調整力と電源調達のノウハウで実現したと説明する。
2026年3月に始めたバッテリーオプションは、小売の契約と需要家の敷地への PowerX Cube の設置を一体で売る。平時はパワーエックスが蓄電池を運用し、停電時は自立運転で店舗や工場に電気を送る。
公表されていないこと
- 電力小売だけの売上高、契約件数、販売電力量は公表されていない。
- 2024年度の電源構成の比率は、数値の表としては公表されていない。
- フラットプランとセミフラットプランの料金の単価は公表されていない。
出所
- 電力提供サービス (PowerX Energy) (2026-11-07)
- PowerX Energy 蓄電所サービス (2026-11-07)
- 重要事項説明書・約款 (2026-11-07)
- 電気需給約款 (フラットプラン・セミフラットプラン) (2025-09-01)
- 電気需給約款 (アドバンスプラン) (2023-11-01)
- 重要事項説明書 (フラットプラン・セミフラットプラン) (2026-11-07)
- 重要事項説明書 (アドバンスプラン) (2026-11-07)
- CO2排出係数・電源構成・非化石証書使用状況 (2024年度実績) (2026-11-07)
- 固定単価の法人向け電力サービス、受付開始 (2025-09-03)
- 法人向け電力供給サービス「バッテリーオプション」の提供を開始 (2026-03-13)
- HSEと陸上風力の電力受給契約を締結 (2024-07-01)
- 卒FITの陸上風力発電所から電力調達を開始 (2026-06-01)
- 「MSB神奈川愛川蓄電所」の商業運転を開始 (2025-09-08)
- JA三井リースと三重県津市の系統蓄電所で需給調整市場・一次調整力の運用を開始 (2026-03-19)
- 三菱UFJ銀行 芝ビルに蓄電池を活用した再エネ電力を供給します (2024-01-30)
- 野村不動産の都内オフィスビル2棟に「X-PPA」による再エネを導入 (2024-05-13)
- 「カラオケ まねきねこ」11店舗に再エネ電力を導入 (2025-03-25)
- 有価証券報告書 第5期 (2025年12月期) (2026-03-25)
- 2026年12月期 第2四半期 (中間期) 決算短信 (2026-08-13)
出所との照合日: 2026年11月7日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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