パワーエックスMega Power 4000シリーズ(20フィート高容量蓄電システム) PowerX Mega Power 4000 series
パワーエックスが2026年8月3日に発表した20フィートコンテナ型の高容量蓄電システムである。採用する電池セルによって Type-A と Type-B の2モデルがある。公称容量は Type-A が4,692kWh、Type-B が4,233kWh である。水冷式のリン酸鉄リチウムイオン電池 (LFP) を載せ、2段積みに対応する。量産は2027年5月に岡山県玉野市で始める予定である。パワーエックスは世界市場向けの戦略機種と位置づけ、豪州や東南アジアの顧客にも提案している。
詳細解説
- 発表
- 2026年8月3日の新製品発表会で、蓄電池を系統につなぐ設備「Grid Connector」シリーズと同時に発表した。 power-x.jp
- 量産・出荷の予定
- 量産開始は2027年5月の予定で、出荷も2027年の予定である。開発中のため最終仕様は変わることがある。 contents.xj-storage.jp
- 2つのモデル
- パワーエックスは発表で、採用する電池セルに応じて蓄電容量4.6MWh と4.2MWh の2モデルを出すとした。 power-x.jp
- 開発の背景
- パワーエックスの集計では、長期脱炭素電源オークションで落札された蓄電池案件の平均規模は、2023年度の36MW から2025年度に66MW に増えた。75MW 以上の案件の比率も3%から37%に上がった。台数と現地工事の規模が費用を左右するため、1台の容量を増やした。 power-x.jp
- 販売の想定
- 蓄電所向けの系統接続設備 Grid Connector for BESS (BESS は蓄電システム) と組み合わせた標準パッケージを、国内外の大型蓄電所向けの中核に据える。豪州や東南アジアなど海外の顧客への提案を始めた。 power-x.jp
- 用途
- 特別高圧の系統用蓄電所、再エネ発電所への併設、需給調整市場・容量市場・卸電力市場の取引、最大8時間の放電、工場やデータセンターのピークカットと事業継続計画 (BCP) を挙げる。 power-x.jp
- 2024年に発表した高容量機
- 2024年9月に、20フィートで約5MWh の「Mega Power 2」を発表し、2025年7〜12月に出荷する予定としていた。その後、出荷の開始は発表されておらず、4000 シリーズとの関係も説明されていない。 power-x.jp
- 業績への影響
- パワーエックスは、2026年12月期の業績予想への影響は軽微だとした。 contents.xj-storage.jp
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 本社工場 Power Base (第1工場) の新設ライン | 岡山県玉野市田井6-9-1 | 2026年8月13日に新設ラインの品目に 4000 シリーズを加えた。ラインの稼働は2027年1月の予定で、年800台 (約2〜3.7GWh。Mega Power 2500 との生産の割合で変わる)。 | 発表時の生産地は「岡山県玉野市 (2027年5月〜)」 | contents.xj-storage.jp |
| Power Base Hokkaido | 北海道苫小牧市字植苗 | 8月13日に品目へ 4000 シリーズを加え、建屋改修の仕様を一部変えた。稼働は2027年6月から2028年7月の予定に延ばした。年800台 (約2〜3.7GWh)。 | 8月3日の発表時の生産地は「北海道苫小牧市 (2028年1月以降)」だった | contents.xj-storage.jp |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- 高密度化
- 水冷式のリン酸鉄リチウムイオン電池 (LFP) を20フィートコンテナに高密度に詰める。1台の容量は同じ大きさの従来機の約1.7倍で、同規模の蓄電所ならコンテナの台数を4割程度減らせるとパワーエックスは説明する。 power-x.jp
- 2段積み
- パワーエックスの製品で初めて2段積みに対応した。20フィートの設置面積 (約14.8平方メートル) あたり最大9,384kWh で、Mega Power 2700A の約3.4倍になる。 power-x.jp
- 複数のセル供給元
- 製造国やメーカーの異なる複数のセルの供給元に対応するコンテナ設計を採る。供給の安定とコストの低減が狙いである。 power-x.jp
- 輸送
- 国際標準化機構 (ISO) の規格に沿った20フィートコンテナで、国内では輸送時の重量を32トン以下に抑える。海外向けには、国連の危険物輸送の分類番号 UN3536 (貨物輸送ユニット内のリチウム電池) として、コンテナのまま船で運べるようにする予定である。 power-x.jp
- 耐震・耐風
- 慣性計測装置 (IMU) で揺れを検知し、電路を遮断するなどの安全制御をする (標準装備)。基礎に適切に固定すれば、最も強い階級のハリケーンに相当する風速に耐えるとパワーエックスは説明する。 power-x.jp
- 騒音対策
- 吸音材と、逆位相の音で騒音を打ち消す装置 (アクティブ・ノイズキャンセリング) をオプションで載せられる。 power-x.jp
- サイバーセキュリティー
- 既存製品が取得した IoT 機器のセキュリティー適合ラベル「JC-STAR」を、4000 シリーズでも取得する予定だ。 power-x.jp
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 公称容量 (Type-A / Type-B) | 4,692kWh / 4,233kWh | power-x.jp |
| 定格容量 (Type-A / Type-B) | 4,222kWh / 3,810kWh | power-x.jp |
| 運転電圧範囲 | 1,040〜1,477V | power-x.jp |
| 寸法 | 幅2,438mm × 奥行き6,058mm × 高さ2,500mm (20フィートスタンダード、ISO 規格) | power-x.jp |
| 重量 | 最大34トン (輸送時32トン) | contents.xj-storage.jp |
| 電池材料 / 冷却方式 | リン酸鉄リチウムイオン電池 (LFP) / 水冷 | power-x.jp |
| 保護等級 | 防じん・防水の保護等級 (IP) は標準が IP55 で、IP56 はオプション | power-x.jp |
| 適応・準拠規格 (取得予定を含む) | 国連の危険物分類 UN3536・コンテナ安全条約 (CSS、筐体)、国際電気標準会議 (IEC) の IEC 62619 と IEC 62933、米国の安全規格 UL 9540A と UL 1973、JC-STAR★1 (レベル1) | power-x.jp |
| 2段積みの容量 | 2台で最大9,384kWh | power-x.jp |
| 量産開始 | 2027年5月 (予定) | contents.xj-storage.jp |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| 電池セル | リン酸鉄リチウムイオン (LFP) セル (Type-A と Type-B でセルが異なる) | 公表されていない | — | 公表されていない (製造国の異なる複数の供給元) 公表されていない |
パワーエックスは製造国やメーカーの異なる複数の供給元に対応するとだけ説明し、社名を公表していない A |
| 水冷式電池モジュール | 水冷式の LFP 電池モジュール | 公表されていない | — | 公表されていない 公表されていない |
水冷式であることだけが公表されている A |
| 慣性計測装置 (IMU) | 地震検知用の IMU | 公表されていない | — | 公表されていない 公表されていない |
製品ページの標準装備の説明 A |
| 系統接続設備 | 蓄電所向けの Grid Connector for BESS (自社開発のパワーコンディショナー (PCS)・油入変圧器・高圧配電盤) 量産は2027年7〜9月からの予定 |
パワーエックス PCS は自社開発 |
— | 日本 公表されていない |
同日発表の標準パッケージ A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1セル4000 シリーズは製造国やメーカーの異なる複数の供給元に対応する。現行品はセルを中国の売上上位のメーカーから調達し、モジュールを中国から輸入する (有価証券報告書と会社の説明)企業: 公表されていない
- 2組立本社工場 (2027年〜) と北海道の新工場 (2028年7月〜予定) で組み立てる計画である企業: パワーエックス
- 3海外向け輸送国連の危険物分類 UN3536 として、コンテナのまま船で運べるようにする予定である企業: 公表されていない
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1本社工場の新設ライン既存設備を使って増設し、Mega Power 2500 と 4000 シリーズの2品目を受注に応じて作る。年800台で、容量は2品目の構成により約2〜3.7GWh の幅になる設備・企業: Power Base 第1工場
- 2工程の構成4000 シリーズの組立工程、試験設備、2段積みの試験方法は公表されていない設備・企業: 公表されていない
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| Mega Power 4000 Type-A / Type-B | 公表していない。見積もり (問い合わせ窓口から依頼) | 2026-11-07 | power-x.jp |
| 導入費用 (会社の説明) | Mega Power 2700A・2500 と比べ試験・輸送費を大きく減らすとパワーエックスは説明する (金額は公表されていない) | 2026-11-07 | power-x.jp |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 直販 (問い合わせ) | 「Mega Power / Grid Connector for BESS へのお問い合わせ」の窓口から相談する。受注の発表はまだない | power-x.jp |
| 標準パッケージ | Grid Connector for BESS と組み合わせた標準パッケージとして、国内外の大型蓄電所に提案する | power-x.jp |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 保守体制 | 4000 シリーズに固有の保守の内容や保証年数は公表されていない。既存製品は PowerOS で遠隔監視し、国内のパートナーと保守する | power-x.jp |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 豪州・東南アジアなど | 世界市場向けの戦略機種として、国内外の顧客への提案を始めた。受注の発表はない | power-x.jp |
| 米国 (検討) | エナジーボールトと、Mega Power シリーズを最大1.5GWh 供給する検討で合意した (2026年11月5日、法的拘束力なし)。4000 シリーズを含むかどうかは示されていない | power-x.jp |
| 輸出管理 | 外為法や米国の輸出管理規則の対象かどうかは公表されていない | contents.xj-storage.jp |
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年11月7日時点 | 受注の発表 | 0件 | 量産開始は2027年5月の予定 | power-x.jp |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 本社工場の新設ライン (2500 と 4000 を製造) の総事業費 | 20億円 | power-x.jp |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
4000 シリーズは、大型化する国内の特別高圧蓄電所と海外市場の両方を狙う20フィートの高容量機である。Type-A の公称4,692kWh は Mega Power 2700A の約1.7倍で、2段積みなら同じ面積に約3.4倍の容量を置ける。
大きく変えたのはセルの調達で、製造国の異なる複数の供給元に対応できる設計にした。パワーエックスは、供給の安定と調達環境の変化への対応を狙いに挙げた。米国では、クリーンエネルギーの税額控除を受ける蓄電事業に、懸念される外国事業体 (FEOC) の要件がかかる (2026年11月5日の会社発表)。ただし Type-A と Type-B のセルの供給元は公表されていない。量産は2027年5月の予定で、受注の発表はまだない。
公表されていないこと
- Type-A と Type-B のセルの供給元と製造国は公表されていない
- 販売価格と受注の見込み台数は公表されていない
- 規格の取得済みと取得予定の区別は示されていない
- Type-A の公称容量は4,692kWh と4,680kWh の2通りが、2段積みの容量は9,384kWh と9,360kWh の2通りが示されている
- 2024年に発表した Mega Power 2 (約5MWh) との関係は説明されていない
出所
- Mega Power 4000 シリーズ 製品ページ (2026-11-07)
- Mega Power 4000 シリーズの発表 (2026-08-03)
- Mega Power 4000 シリーズ発表の適時開示 (主な仕様) (2026-08-03)
- 蓄電システムの生産計画を一部変更 (2026-08-13)
- 本社工場の製造ライン増設の変更 (適時開示) (2026-08-13)
- 苫小牧の新工場の変更 (適時開示) (2026-08-13)
- Grid Connector シリーズの発表 (2026-08-03)
- 新しい定置用蓄電池2機種の発表 (2024-09-26)
- エナジーボールトとの戦略的パートナーシップ契約 (2026-11-05)
- 本社工場に大型蓄電システムの製造ラインを増設 (2026-03-23)
- Made in Japan Promise (2026-11-07)
- 半期報告書 第6期中 (2026-08-13)
出所との照合日: 2026年11月7日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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