パワーエックスPowerX Cube 360(PCS内蔵の産業用中型蓄電池) PowerX Cube 360
パワーエックスの産業用・商業用の中型蓄電システムで、パワーコンディショナー (PCS) を内蔵する。PowerX Cube 360 の公称容量は358kWh、定格容量は323kWh、出力は100kVA である。電池ユニットを最大4基つなぎ、1,432kWh まで広げられる。2024年2月に発表して受注を始め、本社工場 Power Base で作る。全国の認定販売施工会社を通じて売り、倉庫・工場・物流施設・農園に導入されている。
詳細解説
- 発表と受注の開始
- 2024年2月に産業用の中型定置用蓄電システム「PowerX Cube」を発表し、受注を始めた。 contents.xj-storage.jp
- 製品の位置づけ
- 工場・店舗・倉庫などの事業所に置く中型の定置用蓄電池で、Mega Power より設置面積が小さい。 contents.xj-storage.jp
- 初納入
- 2024年12月12日に、ウヤマ産業 (千葉県野田市) へ2台を納入したと発表した。電池ユニット2台と電気ユニット1台で合計716kWh の構成である。 power-x.jp
- 認定販売施工会社の制度
- 2024年2月28日に一次募集を始め、2025年1月31日に11社で制度を立ち上げた。認定販売施工会社の数は、2026年11月7日時点で49社が公表されている。 power-x.jp
- 用途
- 太陽光の余剰電力の蓄電、ピークカット、事業継続計画 (BCP) に備えた停電時の自立運転、デマンドレスポンス (DR) に使う。 power-x.jp
- 電力小売とのセット
- 2026年3月13日、法人向け電力小売の契約者に Cube 360 をリースで置く「バッテリーオプション」を始めた。リース料相当額を電気料金から差し引き、実質の追加負担なしとする。 power-x.jp
- サイズの展開
- パワーエックスは2つの大きさを用意するとしているが、仕様を公表しているのは PowerX Cube 360 だけである。 power-x.jp
🏭 製造工場
この製品を作る工場と、それぞれの役割。会社の発表・有価証券報告書・官公庁の資料で確かめた拠点だけを載せた。
| 工場 | 所在地 | 役割 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 本社工場 Power Base (第1工場) | 岡山県玉野市田井6-9-1 | PowerX Cube 360 を作る。年間生産能力は、電気自動車 (EV) 用急速充電器の Hypercharger と合わせて480台 (171MWh、2025年12月末)。 | 製造棟の竣工は2023年8月9日。敷地は2万8,272平方メートル。建物は妹島和世氏が設計した | contents.xj-storage.jp |
| 製造子会社 | 岡山県玉野市 | 子会社の PowerX Manufacturing が Power Base の土地をパワーエックスから借り、工場設備を持つ (2025年12月末)。 | 製品ごとの担当の分け方は公表されていない | contents.xj-storage.jp |
⚙️ 技術・仕組み
どう動くか。方式・構造・制御・材料を、会社の技術資料と特許・論文で確かめた範囲で書いた。
- オールインワン
- PCS を内蔵し、1台で施設や発電所の電力運用に使える。 power-x.jp
- 容量の拡張
- 電池ユニットを最大4基まで連結し、合計1,432kWh まで広げられる。 power-x.jp
- 自立運転
- 停電時はすぐに自立運転へ切り替え、供給回路を分けて必要な所にだけ給電できる。 power-x.jp
- 制御
- クラウド型の管理システム「PowerOS」で充放電を自動で管理する。関西電力のオンサイト導入サービスでは、そのクラウド制御「SenaSon」と連携する。 power-x.jp
- 決算説明資料の「PX PCS 100」の表記
- 決算説明資料は、自社の製品 (蓄電システム) の欄に「PowerX Cube (+PX PCS 100)」と記し、仕入れて売る周辺機器の PCS と分けている。Cube が内蔵する PCS が PX PCS 100 かどうかは明示されていない。 contents.xj-storage.jp
主要諸元
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 公称容量 / 定格容量 | 358kWh / 323kWh | power-x.jp |
| 出力 | 100kVA | power-x.jp |
| 電池ユニット数 | 最大4基 (合計1,432kWh) | power-x.jp |
| 蓄電池部の外寸 | 幅1,800mm × 奥行き1,200mm × 高さ2,550mm | power-x.jp |
| 蓄電池部の重量 | 約4.4トン | power-x.jp |
| 電池種別 | リン酸鉄リチウムイオン電池 (LFP) | power-x.jp |
| 生産地 | 岡山県玉野市 | power-x.jp |
🔩 各部品と部品メーカー
部品は諸元表と発表で存在を確かめたものを並べ、メーカーは会社か部品メーカーの発表、有価証券報告書、分解調査の報道で供給元を確かめられたときだけ社名を書いた。確かめられない部品は「公表されていない」。載っていない会社は「関与していない」ではなく「公表資料で確かめられていない」。確度 A は会社の一次資料、B は報道。
| 部品 | 品名・型式 | メーカー | 銘柄 | 国・製造拠点 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| 電池セル | リン酸鉄リチウムイオン (LFP) セル | 公表されていない 中国のセルメーカー |
— | 中国 公表されていない |
パワーエックスは全製品で同じセルを使い、中国の売上上位のメーカーから調達すると説明する A |
| 電池モジュール | LFP の電池モジュール | 公表されていない 中国の仕入先 |
— | 中国 公表されていない |
パワーエックスは蓄電池製品の電池モジュールを中国から輸入している (有価証券報告書) A |
| パワーコンディショナー (PCS、電気ユニット) | PX PCS 100 (100kVA) と推定 推定。資料は PX PCS 100 を「蓄電システム (製品)」の欄に置き、周辺機器 (商品) の PCS と分けている。内蔵 PCS との関係は明示されていない |
公表されていない 決算説明資料は自社の製品の欄に載せる |
— | 公表されていない 公表されていない |
決算説明資料の「PowerX Cube (+PX PCS 100)」の表記と、出力100kVA の一致からの推定 B |
| 制御ソフトウエア | PowerOS | パワーエックス 自社開発 |
— | 日本 ソフトウエアのため対象外 (サーバーは国内) |
製品ページ A |
🔗 部品製造サプライチェーン
材料から部品・組み立て・販売までを、上流から下流の順に並べた。
- 1セル・モジュールMega Power と同じセルを使い、同じ材料をまとめて買って調達価格を下げるとパワーエックスは説明する企業: 公表されていない
- 2組立本社工場 Power Base で組み立てる企業: パワーエックス・PowerX Manufacturing
- 3販売・施工研修を終えた認定販売施工会社が販売・施工・保守を担う企業: 認定販売施工会社 (49社)
🏗️ 製造ライン
工場の中でこの製品がどう作られるか。工程の順に、ラインの構成・設備・自動化・検査・生産能力を、会社の発表と工場見学の記録で確かめた範囲で書いた。
- 1量産Power Base で Hypercharger とともに作る。工場の量産体制で組立から出荷までを一貫して行う設備・企業: Power Base
- 2工程の構成Cube の組立工程の構成と設備は公表されていない。Power Base で2024年7月に試験稼働した水冷モジュールのライン (2024年7月19日の発表) は、2024年12月期に減損損失を計上した (有価証券報告書)設備・企業: 公表されていない
💴 販売価格
| 型番・グレード | 税込価格 (円) | 時点 | 出所 |
|---|---|---|---|
| PowerX Cube 360 | 公表していない。見積もり (問い合わせ窓口から依頼) | 2026-11-07 | power-x.jp |
| バッテリーオプション (リース) | リース料相当額を電気料金から差し引き、実質の追加負担なし (金額は個別の見積もり) | 2026-03-13 | power-x.jp |
🛒 購入方法
| 経路 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 認定販売施工会社 | 北海道から沖縄まで地域ごとの認定販売施工会社が提案・販売・設置をする。一覧は製品サイトに載る | power-x.jp |
| 直販 (問い合わせ) | 製品ページの見積もり・相談の窓口から依頼できる | power-x.jp |
| 電力小売のバッテリーオプション | 高圧・特別高圧の電力を契約する法人に、パワーエックスの電力小売とセットにして、リースで導入する。施工・保守・運用はパワーエックスが担う | power-x.jp |
| 関西電力のオンサイト導入サービス | 関西電力が顧客の敷地に設置し、顧客は初期投資なしで使う | power-x.jp |
🛠️ アフターサービス・保守サービス
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 遠隔監視 | PowerOS で稼働を遠隔監視する。JALアグリポートの農園でも PowerOS で監視しながら運用している | power-x.jp |
| 施工後の保守 | 認定販売施工会社が施工後も保守を続け、パワーエックスはその会社を定期的に評価する | power-x.jp |
| 保証 | 製品ごとに保証書を出すが、標準の保証年数は公表されていない | power-x.jp |
🌏 海外輸出
| 仕向け地 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 海外 | PowerX Cube の輸出の実績や計画は公表されていない | contents.xj-storage.jp |
📈 販売の実績
| 期間 | 指標 | 値 | 単位 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2024年12月 | ウヤマ産業の野田流通加工センターに初納入 | 2台・716kWh | 台 | power-x.jp | |
| 2025年5月 | 粟倉電機製作所の本社工場 (岡山県美作市) に納入 | 1台・358kWh・蓄電システムの出力80kW | 台 | 出力316kW の太陽光発電設備と連携 | power-x.jp |
| 2025年6月 | ニチレイの釧路物流センターに納入 | 1台・358kWh | 台 | 2025年6月下旬に稼働 | power-x.jp |
| 2025年2月18日 | 鈴与商事の鈴与エコプロダクツ本社第2工場 (静岡県袋井市) への設置を発表 | 358kWh・出力80kW | 太陽光発電と組み合わせた電力購入契約 (PPA) の実証。2025年4月に運転を始める見込みと2月に発表した | power-x.jp | |
| 2025年12月 | JALアグリポートの農園で運転開始 | 台数は公表されていない | 2026年6〜7月、太陽光発電の直接給電と蓄電池の充放電で、農園の使用電力のおよそ6割を再生可能エネルギーで賄った (会社発表) | power-x.jp | |
| 2025年12月25日 | 関西電力の蓄電池オンサイト導入サービスで採用 | Cube 360 と Mega Power 2700A | 共栄フード向けは Cube 3台・969kWh (決算説明資料) | power-x.jp | |
| 2025年1〜12月 | 定置用蓄電池の販売高 (Mega Power と Cube の合計) | 175億3,900万円 | 円 | Cube 単独の売上高は公表されていない | contents.xj-storage.jp |
💰 金額
| 項目 | 値 | 備考 | 出所 |
|---|---|---|---|
| Power Base の年間生産能力 (Hypercharger と Cube の合計、2025年12月末) | 480台 (171MWh) | contents.xj-storage.jp |
解析 — 部品・製造・販売の特徴
PowerX Cube は、系統用の Mega Power とは別に、中小の事業所に蓄電池を広げるための製品である。パワーエックスは自社の営業より、認定販売施工会社の販売網に頼る。認定販売施工会社の数は、2025年1月の11社から49社に増えた。認定の前に研修を課し、施工後の保守も認定会社が担う仕組みである。
納入の発表は倉庫、部品工場、物流施設、農園と業種が広い一方、1件あたり1〜3台にとどまる。Cube 単独の売上高は公表されていない。蓄電システム (BESS) 事業の柱は Mega Power である。2026年3月に始めたリースでは、Cube の利用とパワーエックスの電力小売の契約がひとまとまりになる。製造は本社工場で、年480台の能力の枠を Hypercharger と分け合う。2027年1月からは同じ工場で Mega Power の新設ラインも動く予定だ。
公表されていないこと
- 2つの大きさのうち、360 以外の型の仕様は公表されていない
- 出力は製品の仕様では最大100kVA (皮相電力)、案件では蓄電システムの出力80kW (有効電力) と示され、単位が異なる
- 累計の出荷台数と単独の売上高は公表されていない
- 内蔵 PCS の型名と設計・製造の主体は公表されていない (決算説明資料に「PX PCS 100」の表記があるだけ)
- 販売価格と標準の保証年数は公表されていない
出所
- PowerX Cube 製品ページ (2026-11-07)
- PowerX Cube 認定販売施工会社の一覧 (2026-11-07)
- PowerX Cube の見積もり窓口 (2026-11-07)
- 産業用中型蓄電池の認定販売施工会社を募集開始 (2024-02-28)
- PowerX Cube 360 の初納入 (2024-12-12)
- 認定販売施工会社制度を開始 (2025-01-31)
- 粟倉電機製作所への納入 (2025-05-22)
- ニチレイロジグループへの納入 (2025-06-30)
- 鈴与商事との事業モデル構築 (2025-02-18)
- JAL グループの農園の夏いちご (2026-08-31)
- 関西電力の蓄電池オンサイト導入サービスで採用 (2025-12-25)
- バッテリーオプションの提供開始 (2026-03-13)
- 有価証券報告書 第5期 (2025年12月期) (2026-03-25)
- 半期報告書 第6期中 (2026-08-13)
- 2026年12月期 第1四半期 決算説明資料 (2026-05-14)
- Power Base (2026-11-07)
- Made in Japan Promise (2026-11-07)
- 自社工場にて水冷式電池モジュール生産ラインを試験稼働 (2024-07-19)
出所との照合日: 2026年11月7日。数字は出所の書類のまま。株価・時価総額は扱わない。
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