モルガン・スタンレーは2026年7月27日、118ページの報告書でAIインフラ株の7月の下落を「押し目」と呼んだ。4つの懸念のうち実体があるのは電力不足だけで、その不足こそが電力を先に確保した資産の価値になるという組み立てである。
本稿は報告書の骨格を書き起こし、38GWの計算と1ワット15.50ドルの評価を一次資料で検算した。
報告書の筆頭はスティーブン・バード (電力・クリーンテック担当) で、米国株戦略のミシェル・ウィーバー、公共政策のアリアナ・サルバトーレ、半導体のジョセフ・ムーア、ネット企業のブライアン・ノワク、ソフトウェアのアダム・ウッド、自動車のアダム・ジョナス、中国担当のロバート・カドら14人が連名で書いた。半導体から公益、中国株、金融まで担当が横断しているのは、報告書の主張が「AIの制約は半導体から電力へ移った」という一点にあり、電力を作る側・使う側・投資する側を一つの構図に収める必要があったからだ。
7月に売られたものと、118ページの答え
7月の下落は大きかった。CNBCによれば半導体株は7月に時価総額1兆ドル超を失い、エヌビディア2,380億ドル、SKハイニックス1,760億ドル、サムスン電子1,730億ドル、マイクロン1,130億ドルが消えた。報告書はこの売りを4つの懸念に分ける。第1に企業のトークン支出が頭打ちになるという懸念、第2に中国の安価なモデルが計算需要を減らすという懸念、第3に輸出管理でモデルの提供が止まる「モデル封鎖」の懸念、第4にデータセンターが電力を得られないという懸念である。
図1 — 報告書の基本情報と要旨、4つの懸念に対する報告書の答え、本稿が一次資料で確かめた数値
報告書の要旨は6点に要約できる。AI計算の制約は半導体から電力へ移った。計算資源を「知能の高速道路」になぞらえると、渋滞の場所は工場から変電所と発電所へ動いた。米国のデータセンターは2026〜28年に68GWの電力を必要とし、建設中の15GWと系統に接続済みの15GWを引いても38GWが足りない。系統接続の待ち時間は地域により5〜7年で、この「電力確保までの時間」が価値の源泉になる。安価なAIは利用を増やす (ジェボンズのパラドックス)。買う対象は制約を解消する企業、計算資源の供給網、中国のAI企業の3群である。
同社の設備投資見通しがこの主張の土台にある。同社は5月にアマゾン、アルファベット、メタ、マイクロソフト、オラクルの2026年の設備投資を8,050億ドル、2027年を1兆1,000億ドルへ引き上げた。8月の決算後にはこれをさらに上方修正し、2028年に1兆4,000億ドルという数字を示している。1兆ドル超の投資が電力を確保できるかどうかが、報告書の言う「押し目」の成否を分ける。
トークン支出の頭打ちは本物か — 月11ドルと、55ドル対2〜3ドル
第1の懸念は具体的な出来事に根ざしている。ブルームバーグは8月4日、マイクロソフトが部門ごとにAIのトークン利用に上限を設けたと報じ、ウーバーは年間のAI予算を4月に使い切った。トークンの利用が予算の上限にぶつかれば、計算需要の伸びは止まるという読みである。
報告書はこの懸念に決済会社ランプ (Ramp) のデータで答える。企業のAI月額支出の中央値は11ドル未満で、1件の作業で人件費55ドルを浮かせるのに要するトークンの利用料は2〜3ドルにすぎない。支出が小さいのは頭打ちの証拠ではなく、始まったばかりの証拠だと読む。ランプの8月の集計では中央値は11.95ドル、上位1%の企業は月7,400ドルで、アンソロピックの企業シェアは43.5%に達した。メタは社内で月60兆トークンを使い、社員1人当たり年5万ドル相当の利用があると公表している。
図2 — ランプの決済データ、2026年の利用量の一次データ、1トークンを電力に換算する本稿の概算
ここで一つ試算してみる。トークンがどれだけの電力になるかは、報告書が電力を「唯一の実体のある制約」と呼ぶ根拠を確かめる材料になる。1兆パラメーター級のモデルで1トークンを生成する計算量はパラメーター数の2倍、約2兆回の積和 (2 TFLOP) である。公称1 PFLOPS級のGPUを実効40%で稼働させると400 TFLOPSで、毎秒約200トークンを生成する。GPU1基を1kWとすれば1トークン当たり約5ジュール、冷却と給電の損失を含めて約7ジュールになる。オープンルーター (OpenRouter) が処理する週31兆トークンは43GWh、平均0.26GWにしかならず、メタの月60兆トークンでも平均0.12GWである。
公開されている推論の量は、38GWの1%にも届かない。差を埋めるのは学習、推論の長文化、1回の指示で15倍のトークンを使うAIエージェントの繰り返し処理、そして8,050億ドルの設備投資が前倒しで確保する「将来のトークン」である。電力の制約は現在の対話型AIからではなく、今後の学習とAIエージェントの処理から来る。GPUの実効利用率が20%なら1トークン当たりの電力は2倍になり、文脈長が10万トークンなら注意機構の計算がさらに乗る。報告書がトークン支出の頭打ちを退ける論理は、トークンの安さではなく、GPUの購入が電力の確保より2〜3年先行しているという時間差にある。
中国の安価なモデルとモデル封鎖 — ジェボンズのパラドックスと18日間
第2の懸念は価格である。ディープシーク (DeepSeek) のV4 Proは100万トークン当たり入力0.44ドル・出力0.87ドル、アリババのQwen 3.5-Flashは0.07ドル・0.26ドルで、オープンルーター経由の利用量の61%が中国製モデルに向かう。安価なAIが広まれば高価なGPUの需要は減る、という読みだ。
報告書はジェボンズのパラドックスで答える。19世紀の経済学者が石炭の効率化が石炭の消費を増やしたと指摘したように、AIの利用単価が下がれば用途が広がり、計算と電力の総需要は増える。オープンルーターの処理量が2025年の週5兆トークンから週31兆トークンへ増えたのは、単価の下落と同時に起きた。米商務省のAI標準・イノベーション・センター (CAISI) の評価では、ディープシークV4 Proは米国の最先端モデルに約8か月遅れており、安さは性能の差と引き換えである。エヌビディアは7月24日、オープンソース型のAIモデルを支持する書簡を出し、安価なモデルが自社のGPU需要を損なわないという立場を明らかにした。
第3の懸念は政治に由来する。アンソロピックの最上位モデルは6月12日から30日までの18日間、輸出管理の適用で一般提供が止まった。政治が供給を止め得ることを市場が学び、「モデル封鎖」という言葉が生まれた。報告書はこの封鎖が需要を消さず、供給側の集中を強めるだけと位置づける。18日間の停止は、モデルを持つ企業の交渉力を弱めるどころか、電力と計算資源を先に押さえた者の優位を際立たせた。
38GWの不足はどう数えられたか — 電力確保までの時間
第4の懸念だけを報告書は実体があると認める。米国のデータセンターが2026〜28年に必要とする電力は68GWで、建設中の15GWと、系統に接続済みか契約済みの15GWを引くと38GWが足りない。米東部の地域送電機関PJMでは接続申請から受電まで最長7年、テキサス州の電力信頼性評議会 (ERCOT) では5年かかる。ERCOTの大口接続待ちは2026年5月時点で410GWに達し、その87%がデータセンターで、1〜3月だけで198GWの申請があった。
図3 — 68GWから38GWを導く階段図、系統接続の待ち時間、報告書が示す2つの解決策と本稿の裏付け
米エネルギー情報局 (EIA) の8月の見通しは、米国のデータセンターの電力需要を2026年の75.8GWから2030年に134.4GWとしている。報告書の68GWはこの増分の3年分に相当し、かけ離れた数字ではない。調査会社グリッド・ストラテジーズが集計する5年先のピーク需要増の見通しは、2022年の23GWから2025年末に128GWへ上振れした。
不足を埋める解決策は2つある。第1は既存の系統接続を持つ用地の転用で、代表が旧ビットコイン採掘所である。採掘所は数百MWの受電契約と変電所を既に持ち、GPUを収容する建屋へ建て替えれば接続待ちを省ける。第2は1〜3年で設置できる発電設備で、ガスタービン、燃料電池、既存原発への併設、蓄電がこれに当たる。報告書は2028年までにガスタービンで15〜20GWを見込む。
裏付けをすると、第2の解決策には時間の壁がある。GEベルノバの受注残は2026年4〜6月期に116GWで、目標は125GW。今日発注しても納期は2031年である。三菱重工業の大型機受注残は35GWに達し、生産能力を2年で倍増する方針を示した。燃料電池のブルーム・エナジーは4〜6月期の売上高が10億6,500万ドルと前年比165.5%増え、通期見通しを39億〜42億ドルに据え、オラクルと2.8GWの契約を結んだ。配電と冷却のバーティブは4〜6月期の売上高が32億7,400万ドル、受注残は150億ドルを超える。燃料面では、FREDのヘンリーハブ天然ガスが8月に2.78ドル/MMBtuと1月の7.72ドルから下がり、電力の生産者物価指数は7月に214.2 (2003年12月=100) と過去最高圏にある。発電機が足りず、燃料は安く、電力価格は上がっている。
時間の価値の計算 — 太陽光の9%と、電力確保済みの建屋の15〜19%
報告書の中核は「時間の価値 (Value of Time)」と題した比較にある。太陽光の長期買電契約は建設費が1ワット約2ドル、契約は15〜25年、借り入れなしのフリーキャッシュフロー (FCF) 利回りは約9%で、80〜90%を借入で賄えば自己資本利益率は10%台半ばから後半になる。これに対し、系統接続と受電契約を持つ「電力を確保済みの建屋 (パワードシェル)」は建設費が1ワット10〜12ドル、契約は15〜25年の固定賃料に段階的な引き上げ条項が付き、借り入れなしのFCF利回りは15〜19%に達する。報告書は1GW当たりの価値を約15倍 (約150億ドル) とし、例示した取引では1ワット当たり正味15.50ドルの価値が生まれるとした。
図4 — 太陽光と電力確保済みの建屋の収益構造の対比と、正味15.50ドルが成り立つ条件の再計算
この15.50ドルを再計算した。同社は8月24日の続報で「20年賃貸・賃料1ワット2.38ドル/年・利益率85%・建設費11.50ドル」という指標を示している。年間の現金収入は2.38×0.85で2.02ドル、建設費で割った利回りは17.6%で報告書の15〜19%の範囲に入る。20年分を割引率7%、年3%の賃料の引き上げ条項で現在価値に直すと26.9ドルとなり、建設費11.50ドルを引いた正味は15.4ドル。報告書の15.50ドルはこの条件でほぼ再現できる。
条件を動かすと評価は大きく揺れる。割引率を9%に上げれば11.3ドル、5%に下げれば20.8ドル、賃料の引き上げ条項を外せば9.9ドルに落ちる。つまり評価の核心は賃料の高さより契約の長さと賃料の引き上げ条項にあり、20年間払い続ける借り手の信用力が価値の大半を支える。実例では、グーグルがフルイドスタック (Fluidstack) の賃料の支払いを保証し、アンソロピックがライオット・プラットフォームズとテラウルフの借り手になった。同社は続報でこの枠組みを「15年・15%・15ドル」と呼び、電力確保済みの建屋の取引が10月までに相次ぐと見込む。
旧ビットコイン採掘所に集まった1,000億ドル — 図表10と決算
報告書の図表10は旧ビットコイン採掘各社の1ワット当たり企業価値 (EV/Watt) を並べる。MARAホールディングス2.72ドル、IREN 3.20ドル、ライオット・プラットフォームズ4.52ドル、サイファー・マイニング3.74ドル、ビットディア2.04ドル、ギャラクシー・デジタル3.84ドル、テラウルフ2.93ドル、コア・サイエンティフィック3.58ドル、アプライド・デジタル3.31ドル、ハット8が3.96ドルである。AIクラウドに供給される電力が13〜15ドルで評価されるなら、2〜7ドルの採掘所には3倍以上の余地があるというのが報告書の強気の根拠だ。
図5 — 図表10のEV/ワット、2026年に公表された長期賃貸の1ワット当たり年間賃料、SEC XBRLの営業損益と長期借入
契約は実際に積み上がっている。ライオットはテキサス州ロックデールの191MWをアンソロピックへ20年・91億ドルで貸し、年間賃料は1ワット2.38ドル、建設費は約22億ドル (1ワット11.5ドル) で、2027年12月に96MWが稼働する。テラウルフは401MWを20年・190億ドルでアンソロピックに貸し、グーグルが賃料の支払いを保証する。ハット8はルイジアナ州リバーベンドの245MWをフルイドスタックへ15年・70億ドルで貸し、年間の純営業収入 (NOI) 4億5,400万ドルを見込んで32億5,000万ドルの社債を利率6.192%で発行した。サイファーはアマゾン・ウェブ・サービス (AWS) と216MW・15年・55億ドル、アプライド・デジタルは1,410MW・360億ドル、ビットディアはノルウェーの121MWを16年・47億ドルで契約した。IRENはマイクロソフトとの97億ドルの契約で最初の区画を8月13日に引き渡し、ギャラクシーはテキサス州ヘリオスの800MWをコアウィーブへ年10億ドル超で貸す。1ワット当たりの年間賃料は1.70〜2.43ドルに収まり、報告書の指標2.38ドルと整合する。
ただし決算の様相は異なる。SECのXBRLデータで2026年4〜6月期の営業損益を見ると、MARAが5億2,110万ドルの赤字、ライオットが2億3,940万ドルの赤字、ハット8が2億630万ドルの赤字、テラウルフが1億4,040万ドルの赤字、サイファーとコア・サイエンティフィックがそれぞれ7,850万ドルの赤字である。6月決算のIRENは通期で10億4,670万ドルの営業赤字を出し、設備投資29億9,800万ドル、長期借入75億9,300万ドルを抱える。サイファーの長期借入は54億4,700万ドル、コア・サイエンティフィックは42億9,800万ドル。借り手側のコアウィーブも4〜6月期の純損失6億2,600万ドル、上半期の設備投資141億1,700万ドル、長期借入248億5,900万ドル (3月末) である。
賃料は決まったが、建屋はこれから建てる。電力確保済みの用地を貸す側の決算が黒字になるのは2027〜28年の稼働後で、それまでの建設費は社債と借り手の保証で賄われる。ライオットの場合、つなぎ融資の期限が賃料の入る前に来ることを複数の報道が指摘している。報告書の評価が成り立つには、借り手の信用と建設の工期という2つの条件が20年間そろい続ける必要がある。
3つの投資対象と、報告書の外にある反証
報告書は投資対象を3群に分ける。第1群は制約を解消する企業で、電力会社、ガスタービン、燃料電池、蓄電、送配電機器、電力を確保済みの用地、データセンターREIT、旧ビットコイン採掘所が入る。第2群は計算資源の供給網で、半導体、光部品、メモリー、装置と材料の連鎖である。第3群は中国のAI企業で、同社は別の資料で中国の最先端モデルがそれぞれ2026年に10億ドル以上の売上に達すると見込み、テンセントとアリババを「強気」に格付けした。一方で同社は8月20日、広告収入が8四半期連続で減ったバイドゥを「弱気」に引き下げており、中国のAI企業を一括りにはしていない。
報告書の外にある反証も並べておく。同社自身が8月17日の別の資料で「資本だけでは用地を確保できない」とし、地域の政治的反対を開発リスクとして織り込む必要があると書いた。ガスタービンの納期が2031年に延びた以上、15〜20GWの想定は既に発注済みの機器に依存する。1ワット15.50ドルの評価は割引率と賃料の引き上げ条項に左右され、金利が上がれば11ドル台に落ちる。そして採掘各社の営業赤字は、契約が決算に現れるまでの2年間、株価が金利と信用の変化に振り回されることを意味する。押し目は電力の物理的な制約に裏付けられているが、評価は金融条件に左右される。
日本に同じ計算を当てはめる — 変圧器の生産指数と1,500万kWの申込
日本には旧ビットコイン採掘所という転用資産がない。代わりに「電力確保までの時間」を握るのは、送電網を持つ電力会社と、発電機や変圧器を作る重電各社である。国内のデータセンターの立地では、東京電力パワーグリッドへの大口接続申込が1,500万kWに達し、電力8社の30か所の変電所で接続制約が生じ、千葉県印西市では新規接続に最長10年待ちの事例が出た。電力広域的運営推進機関 (OCCTO) は2026年1月、2034年度の需要を2024年度比6%増と見込み、増分の主因にデータセンターと半導体工場を挙げた。
図6 — e-Statの鉱工業指数で見た電力機器の国内生産、日本の系統接続の数字、EDINETの言及回数、FREDの燃料と電力価格
e-Statの鉱工業指数 (2020年=100) で電力機器の生産を追うと、需要と供給のずれが数字に表れる。大型で特注の非標準変圧器は2018年度の104.9から2024年度に64.7へ落ち、2025年度は69.8、2026年1〜3月期も69.8にとどまる。標準変圧器は100.5、開閉制御装置は96で横ばい、一般用蒸気タービンは22.2と2018年度の7分の1である。データセンターの需要が急増しているのに国内生産が増えないのは、大型変圧器の納期が80〜120週に延び、電気新聞によれば三菱電機 (6503)の赤穂工場では新規受注の納入が2030年以降になるためだ。生産指数が上がらないのは注文がないからではなく、生産枠が既に埋まっているからである。
供給側は投資を積み増している。東芝は2025年10月に送変電機器の増産投資を2.4倍に拡大し、日立製作所 (6501)傘下の日立エナジーは変圧器部品の増産に370億円を投じる。三菱重工業 (7011)はガスタービンの生産能力を2年で倍増する方針で、IHI (7013)も有価証券報告書でガスタービンに4回触れた。EDINETで2026年6月提出の有価証券報告書を機械集計すると、「データセンター」の言及回数はKDDI (9433)が41回、ソフトバンクグループ (9984)が40回、ソフトバンクが30回で、三菱重工業が12回、関西電力 (9503)が10回、九州電力 (9508)が9回、三菱電機が9回、東京電力ホールディングス (9501)が6回、北海道電力 (9509)が4回である。東京電力は「変圧器」を22回記載している。電力会社の報告書でデータセンターが語られる回数は、需要側の通信各社の3分の1以下にとどまり、電力を持つ側がまだそれを収益の柱として位置づけていないことを示す。
米国の計算を日本に当てはめると、1ワット当たり10〜12ドルの建屋に15〜19%の利回りを与えるのは系統接続の希少性であり、その希少性は日本のほうが強い。ただし日本では電力会社が接続を配分し、賃料の引き上げ条項を20年固定する借り手も、社債市場で建設費を調達する採掘所もない。日本で「電力確保までの時間」を持つのは電力会社と重電各社であり、報告書の枠組みはそのまま国内のデータセンター関連銘柄に移すより、変圧器とタービンの受注残を読み解く手掛かりとして使うほうが正確である。系統用蓄電池の交付決定額と落札事業者の動きも、同じ「時間を買う」需要の国内版として見ることができる。
押し目の条件を確かめる4つの数字
報告書が正しいかどうかは、これから出る数字で確かめられる。第1に同社が10月までに相次ぐと見込む電力確保済みの建屋の取引で、1ワット当たりの賃料が2ドル台を保つか。第2にGEベルノバの受注残と納期で、2031年の納期が縮まるか延びるか。第3にランプのAI支出指数で、中央値が11ドル台から上がるか、上限設定で止まるか。第4に採掘各社の7〜9月期決算で、建設の工期とつなぎ融資の期限が守られるか。電力の物理的な制約は動かないが、評価を支える金利と信用は動く。押し目かどうかは、その2つが20年間そろうかどうかに懸かっている。
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