英海運専門紙ロイズ・リストがまとめた2025年のコンテナ取扱量の世界順位で、日本の港の最高は45位の東京港だった。マレーシア最大のクラン港で取扱量の4分の3を担うウエストポーツには、三井E&Sがクレーンを計278基納めている。
順位は、同紙が2026年8月に発表した世界の上位100港の一覧による。取扱量は20フィートコンテナに換算した個数(TEU)で表す。40フィートコンテナは2個分と数える。空のコンテナや、港で別の船に積み替える貨物も含む。
東京港など日本の港は30位以内に入らず、北米航路の寄港も細る
東京港の取扱量は前年比3.3%増の486万個だった。横浜、名古屋、神戸、大阪の各港は70〜90位台にとどまった。神戸港は前年比2.4%減だった。国土交通省の資料では、神戸港は1980年に世界4位だった。現在7位の釜山港(韓国)は、当時16位だった。
同省の2024年の集計では、東京港と横浜港、川崎港を合わせた京浜港は世界26位になる。ロイズ・リストは京浜港を1つの港として扱わず、東京港と横浜港を別々に並べている。
これに対し、首位の上海港は前年比6.9%増の5506万個を扱った。上海市によると、首位は16年連続だ。沖合の洋山港だけで2871万個と、上海港全体の5割強を占める。上位30港の取扱量を編集部が合計すると、約5億2600万個になる。上位30港で100港全体の66%を占める。上位30港の取扱量のうち48%を、上海港や寧波舟山港、深セン港、青島港など中国本土の港が占めた(図1)。
国交省は2010年、京浜港と阪神港を国際コンテナ戦略港湾に選定し、日本と北米・欧州を結ぶ直航便を増やす目標を掲げた。ただ、両港に寄る北米航路の便数は2024年11月時点で週19.5便だった。2013年の週41.4便から半減した。この間、中国航路は週150便、東南アジア航路は週137便に増えた(図2)。
日欧の直航便、仏海運大手の1本でゼロを回避
日本郵船、商船三井、川崎汽船が共同出資するコンテナ船会社オーシャン・ネットワーク・エクスプレスは2025年12月、欧州航路2本の日本寄港を取りやめると発表した。国交省は2026年1月の資料で、京浜港・阪神港と欧州を結ぶ直航便が輸出入ともなくなる見通しを示した。
その後、神戸市は2026年3月、仏海運大手CMA CGMの欧州航路が4月から神戸港に寄港すると発表した。名古屋港と横浜港にも寄る週1便で、日本と欧州を直接結ぶ航路はこれだけになる。5月には、同社の北米西岸航路の船も神戸港に初めて寄港した。
日本の輸出入貨物の一部は、釜山港など海外の港で積み替えて運ばれている。国交省の推計では、日本の輸出入貨物を運ぶコンテナの約12%が釜山港で、約7%がシンガポール港で積み替えられている。推計は2023年11月の1カ月分の調査を年換算した値だ。韓国海洋水産省によると、釜山港の2025年の取扱量のうち57%が積み替え貨物だった。
マレーシアのクラン港とジョホール港が10位と11位に
クラン港(ポートクラン)は10位で、取扱量は1514万個と過去最高だった。前年比3.4%増えた。港内のコンテナターミナルはウエストポーツとノースポートが運営し、取扱量はウエストポーツが1133万個、ノースポートが380万個だった。積み替え貨物は841万個で、全体の56%を占めた。
ジョホール港は11位で、取扱量は1511万個だった。前年比13.5%増えた。マレー半島南端のジョホール州にあるタンジュンペラパス港と、同州パシルグダンにある旧来のジョホール港を合わせた数字だ。ロイズ・リストは今回の順位から2港の合算を認め、2026年5月29日付の書簡でマレーシア運輸省に伝えた。2港の運営は別々のままだ。
このうちタンジュンペラパス港は1403万個で、前年比13.8%増えた。前年の順位では、同港は単独で15位だった。ジョホール港が11位に上がったのは、2港を合算して数えるようになったことも影響した。ロイズ・リストは取扱量が伸びた理由として、海運大手マースク(デンマーク)とハパックロイド(ドイツ)の提携「ジェミニ」の船が寄るようになったことと、紅海の混乱で積み替え貨物が集まったことを挙げた。タンジュンペラパス港の運営会社のマーク・ハーディマン最高経営責任者は2025年7月、取扱量の約6割が同提携の船の貨物だと述べていた。一方、隣のシンガポール港も前年比8.6%増で、過去最高を更新した。
岸壁クレーン(コンテナ荷役用岸壁クレーン)、中国製が世界の7割超
岸壁に設置され、コンテナ船と陸側の間でコンテナの積み降ろしを行う巨大なクレーンは、一般的にコンテナクレーンまたはガントリークレーンと呼ばれます。日本の港湾物流で使われる岸壁クレーンは、英語では一般に Quay Crane(キー・クレーン) または Ship-to-Shore Crane(STSクレーン) と呼ばれます。
コンテナ港の荷役は、主に2種類のクレーンが担う。岸壁クレーンと呼ばれる大型のクレーンが、着岸した船からコンテナを降ろす。降ろしたコンテナは、港内専用のトレーラーでコンテナ置き場(ヤード)まで運ぶ。ヤードではタイヤで走る門型のトランスファークレーンがコンテナを積み上げる。港の外へ運び出すコンテナを陸送のトレーラーに積むのも、このクレーンだ。三井E&Sは、どちらのクレーンも手がけている(図3)。
米議会調査局によると、世界の岸壁クレーンの7割超は中国製だ。米下院の国土安全保障委員会と中国特別委員会は2024年の報告書で、米国の港で使われている岸壁クレーンの約8割が中国の上海振華重工製だと指摘した。
三井E&Sが英業界誌の調べをもとに示した資料によると、同社は2025年の岸壁クレーンの世界シェアで4位だった。納入数ベースのシェアは7%で、同年は16基を納めた。同社の岸壁クレーンの累計出荷は、2025年10月に500基に達した。
三井E&S、マレーシアとベトナムでクレーン受注、港湾クレーン事業の営業益は2.3倍
三井E&Sは2025年6月、クラン港のウエストポーツからヤード用のトランスファークレーン15基を受注した。ウエストポーツには、これまでにトランスファークレーン218基と岸壁クレーン60基を納めている。ベトナム南部ドンナイ省のフオックアン港の運営会社からも、岸壁クレーンと電動のトランスファークレーンを11基ずつ、計22基受注した。
港湾クレーンの製造と保守を手がける物流システム事業の2026年3月期の受注高は666億円だった。前期比12%減ったが、会社計画は上回った。国内の大型案件が減った一方、東南アジア向けの大型案件や米国向けの受注を積み上げた。
売上高は前期比4%増の652億円だった。同社によると、ベトナムでの生産が増収に寄与し始めた。営業利益は前期の2.3倍の139億円だった。大分工場で生産効率を高めて原価を下げたことで、海外の大型案件の採算が改善した。
| 物流システム事業 | 受注高 | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 761億円 | 628億円 | 60億円 |
| 2026年3月期 | 666億円 | 652億円 | 139億円 |
| 2027年3月期(会社予想) | 650億円 | 700億円 | 100億円 |
同社は2026年8月、物流システム事業の今期の営業利益見通しを100億円に引き上げた。従来は80億円だった。それでも前期比28%の減益となる見通しだ。中期経営計画では、米国とアジア(日本を除く)でシェアを広げるため、生産体制を強化する方針を示した。
米国が中国製クレーンを警戒、ロングビーチ港の2社が三井E&Sに発注
米政府は2024年2月、中国製の港湾クレーンがサイバー攻撃に使われる恐れがあるとして、港湾のサイバー防衛の強化策を打ち出した。三井E&Sはその後、ロングビーチ港のターミナル運営会社2社からクレーンを受注した。最初の受注は2024年11月のハイブリッド型のトランスファークレーン8基で、同社にとって米政府の強化策の発表後で初の米国向け案件となった。2025年9月には岸壁クレーン2基を受注した。同社は発表で、このクレーンを米国の安全保障上の要請に沿って設計し、通商政策の変化にも対応させたと説明した。
米通商代表部(USTR)は2025年10月、通商法301条に基づき、中国製の岸壁クレーンに100%の追加関税を課すと決めた。関税は11月9日に発動したが、米中首脳の合意を受け、USTRは翌日から1年間、海事・物流・造船分野の措置をすべて停止した。USTRは2026年10月23日、停止期間を2027年1月9日まで延長する案を公表した。三井E&Sの2件の受注はいずれも米国が関税を最終的に決める前で、同社は関税が受注に与える影響を明らかにしていない。
日本も港の荷役システムを事前審査、遠隔操作クレーンに補助
日本でも、港の荷役を管理するシステムを、国が経済安全保障の観点から事前に審査する仕組みができた。2025年4月、経済安全保障推進法に基づく基幹インフラの事前審査の対象に、一般港湾運送事業(港での荷役を元請けとして引き受ける事業)が加わった。同年11月からは、事業者がコンテナの配置や積み降ろしを管理するシステムを導入したり、その維持管理を外部に委託したりする際に、国の事前審査を受ける必要がある。設備の面では、政府が2025年12月に閣議決定した2026年度予算案に、遠隔操作クレーンの導入補助が新たに盛り込まれた。
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