第X部 AI経済 | AI計算資源・大規模モデル 体系解説
AI関連の米国上場50社 — 電力・半導体・インフラ・モデル・応用の開示を読む
AI関連の米国上場50社を、電力・半導体・AIインフラ・モデルの開発・ソフトウエアと応用の5つの区分に分け、SECへの開示で検証する。直近12か月の売上高・設備投資・残存履行義務をそろえ、資金の流れ、GPUクラウドの投資の重さ、分類の妥当性、日本企業の位置を確かめる。
Postation の入口
AIへの支出は、どの会社の売上になっているのか。AI関連の米国上場銘柄を、電力とエネルギー、計算と半導体、AIインフラ、モデルの開発、ソフトウエアと応用の5つに区分した50社の一覧がある。一覧は銘柄コードを並べただけで、各社が何を売り、どれだけ伸び、どれだけ投資しているかは書かれていない。本章では、50の銘柄コードを米証券取引委員会 (SEC) の台帳に当て、各社の年次報告と四半期報告から、直近12か月の売上高・設備投資・残存履行義務 (契約済みでまだ売上に計上していない金額) をそろえて並べる。
まず5つの区分と資金の流れを1枚の図で示し (第1節)、一覧そのものを照合して分類の論点を挙げる (第2節)。続いて区分ごとに全社の数字を表にし (第3〜7節)、資金の流れを3つの物差しで検算する (第8節)。後半では、数字を読むときの注意 (第9節)、日本企業の位置 (第10節)、残る論点 (第11節) を扱う。数字の取得日は2026年9月22日である。株価・時価総額・目標株価は載せない。
基=基礎知識篇 高=高級知識篇 投=投資者視点篇。1社・1基の単位の収支は第III部 経済、ラックと電力は第IV部 設備と国家、GPUクラウドの決算の読み方は第V部 検証で扱った。本章はそれを50社の開示で横に並べる。
1. 5つの区分を1枚で見る — 資金は応用の側から電力の側へ流れる
区分5 (ソフトウエアと応用) の会社は、自社の製品にAIを組み込んで売る。その計算は、区分4 (モデルの開発) の会社のモデルと、区分3 (AIインフラ) の会社が貸すGPUの上で動く。区分3と区分4の会社は、データセンターを建て、サーバーを買う。その代金が区分2 (計算と半導体) の売上になる。どの区分の設備も電気で動くため、発電所・送電網・配電機器を担う区分1 (電力とエネルギー) に最後の支払いが届く。
流れの大きさは、設備投資で測れる。一覧に無いマイクロソフトを加えた5社 (マイクロソフト・アマゾン・ドット・コム・アルファベット・メタ・オラクル) の直近12か月の設備投資は、合計で5,864億ドルにのぼる。これは区分2の最大手エヌビディアの直近12か月の売上高 (3,030億ドル) の1.94倍にあたる。設備投資にはGPUのほか、建物・土地・電源・冷却・ネットワーク機器・自社設計の半導体が含まれる。エヌビディアの売上を上回る分は、区分1と区分2のほかの会社、そして建設会社へ流れていることになる。
5つの区分と社数
| 区分 | 社数 | 何が入るか | 節 |
|---|---|---|---|
| 区分1 電力とエネルギー | 12社 | 発電・送電・燃料と、データセンターの中で電気を配る機器 | 第3節 |
| 区分2 計算と半導体 | 18社 | GPU・専用チップ・メモリー・光部品と、それを作る装置・基板 | 第4節 |
| 区分3 AIインフラ | 8社 | サーバー・データセンター・電源と冷却、GPUを時間で貸すクラウド | 第5節 |
| 区分4 モデルの開発 | 4社 | 大規模言語モデルを開発し、自社のサービスとクラウドで提供する会社 | 第6節 |
| 区分5 ソフトウエアと応用 | 8社 | AIを組み込んだ業務ソフト・データ基盤・配信網と、応用の実例 | 第7節 |
表1 5つの区分。社数の合計は50社。区分2 (計算と半導体) が18社で最も多い。
2. 一覧を開示で照合する — 50社は実在し、分類には6つの論点がある
照合の手順
SECが公開する銘柄コードの台帳 (2026年9月22日に取得) に50の銘柄コードを当てたところ、すべてが登録された会社に対応した。上場市場はナスダックが31社、ニューヨーク証券取引所が19社である。次に、各社が提出書類に付けている機械で読める形式の財務データから、売上高・設備投資・残存履行義務を取り出した。決算期が会社ごとに違うため、売上高と設備投資は「直近の通期 + 直近の累計 − 前年同期の累計」で直近12か月にそろえた。
伸び率 = 直近の累計 ÷ 前年同期の累計 − 1 (通期を終えたばかりの会社は、通期 ÷ 前期 − 1)
米国企業の様式 (年次報告10-K・四半期報告10-Q) で報告しない会社は個別に扱った。カメコ (40-F)、TSMC・ASML・アーム・ネビウス (20-F) は年次報告を外国企業の様式で出す。SKハイニックスは2026年7月に米国預託証券を上場したばかりで年次報告がまだ無く、SECに出した業績速報 (6-K) で確かめた。TSMCは SEC の財務データが2024年12月期までしか無いため、台湾証券取引所が公開する月次売上高を使った。スペースXは2026年6月、フォージェント・パワー・ソリューションズは2026年2月に上場しており、1年分の比較ができない数字がある。
分類の6つの論点
| 論点 | 会社 | 開示で確かめた事実 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 応用か、自動車か | テスラ (区分5) | 2026年1〜6月の売上高506億ドルのうち、自動車が72.6%を占める。自動運転とヒト型ロボットはまだ開発段階の事業である | 応用の実例として置くことはできるが、売上はAIではなく自動車の販売に連動する |
| 金融か、AIクラウドか | アイレン (区分3) | SEC の業種分類は「金融サービス」(6199) のまま。年次報告では自社を「AIクラウドの会社」と説明し、マイクロソフトとの契約の第1期分を2026年8月に引き渡した | 元はビットコインの採掘会社。登録上の分類は事業の転換に追いついていない |
| 宇宙か、モデルか | スペースX (区分4) | 事業区分は宇宙・通信・AIの3つ。AI区分 (グロック・X・計算設備) の売上は1〜6月で33億8000万ドルで、全体の27.0%。4〜6月期は1社の顧客 (開示上は「顧客B」) が売上全体の19.5%を占め、その売上はAI区分に計上された | 売上の7割強はロケットと衛星通信。AI区分は前年同期の2.3倍に伸びた |
| モデルか、インフラか | アルファベット・アマゾン・メタ (区分4) | 3社ともクラウドや自社設計のAI半導体を持つ。直近12か月の設備投資は3社で3,948億ドル | モデルを作る会社であると同時に、区分3の最大の設備の持ち主でもある |
| 応用か、インフラか | デジタルオーシャン・ファストリー (区分5) | 事業はクラウドとコンテンツ配信網。SEC の業種分類はソフトウエアの開発・データ処理 | 売上に対する設備投資は10〜11%台で、区分5のほかのソフトウエア会社 (1〜5%) より区分3に近い |
| AIとの距離 | BWXテクノロジーズ・GEベルノバ・TSMC ほか | 直近の年次報告に「データセンター」が出る回数は、BWXテクノロジーズ0回、パランティア1回、GEベルノバ2回、TSMC2回 | AIとの結び付きは、会社自身の説明でも一様ではない。回数は報告書の長さにも左右される目安である |
表2 分類の6つの論点。語数は直近の年次報告の本文で「AI」「artificial intelligence」と「data center」を数えた (大文字と小文字は区別しない)。カメコの40-Fは本文が別添のため数えていない。
一覧に無い会社
一覧は50社で閉じているが、同じ物差しで測ると抜けている会社がある。最も大きいのはマイクロソフトである。直近12か月の設備投資は1,159億ドルで、アマゾン・ドット・コム、アルファベットに次ぐ。残存履行義務は6,840億ドルで、一覧のどの会社よりも大きい。データセンター内のネットワーク機器のアリスタネットワークス、AIサーバーの組み立てのスーパー・マイクロ・コンピューター、データセンターの賃貸のエクイニクスも、区分2と区分3に入る規模がある。モデルの開発の主役であるオープンAIとアンソロピックは未上場で、一覧には入りようがない。
| 会社 | 銘柄コード | 一覧に入るとすれば | 売上高 | 伸び率 | 残存履行義務 |
|---|---|---|---|---|---|
| マイクロソフト | MSFT | 一覧に無いが、直近12か月の設備投資は5社のうち3番目 | 2026年6月期 3,318億ドル | 17.8%増 | 2026年6月 6,840億ドル |
| アリスタネットワークス | ANET | データセンター内のネットワーク機器 | 2026年6月まで 105億ドル | 36.5%増 | — |
| スーパー・マイクロ・コンピューター | SMCI | AIサーバーの組み立て | 2026年6月期 391億ドル | 77.8%増 | 2026年6月 26億1000万ドル |
| エクイニクス | EQIX | データセンターの賃貸 (不動産投資信託) | 2026年6月まで 98億ドル | 13.1%増 | 2026年6月 150億ドル |
表3 一覧に無い比較用の4社。数字の取り方は表4〜8と同じ。
3. 区分1 電力とエネルギー — 受注残の厚い機器と、売上が減る燃料・電池
12社は4つに分かれる。発電事業者 (ビストラ・コンステレーション・エナジー)、電力機器 (GEベルノバ・フォージェント・パワー・ソリューションズ・バイコー・ナビタス・セミコンダクター)、建設工事 (クアンタ・サービシズ)、燃料と原子力の部品 (カメコ・ウラニウム・エナジー・BWXテクノロジーズ) と、敷地内に置く燃料電池 (ブルーム・エナジー・フューエルセル・エナジー) である。
| 会社 | 銘柄コード・市場 | 供給するもの | 売上高 | 伸び率 | 残存履行義務 | 設備投資 | 年次報告の語数 AI / データセンター |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| GEベルノバ | GEV ニューヨーク | ガスタービン・送変電機器・風力発電設備 | 2026年6月まで 414億ドル | 19.2%増 | 2026年6月 1,763億ドル | 17億ドル | 9回 / 2回 |
| ビストラ | VST ニューヨーク | 発電 (天然ガス・原子力) と電力小売り | 2026年6月まで 192億ドル | 18.0%増 | 2026年6月 71億3000万ドル | 28億7000万ドル | 12回 / 3回 |
| コンステレーション・エナジー | CEG ナスダック | 原子力を中心とする発電 | 2026年6月まで 313億ドル | 44.5%増 | 2026年6月 119億ドル | 39億ドル | 18回 / 12回 |
| クアンタ・サービシズ | PWR ニューヨーク | 送電網・変電所・発電所の建設工事 | 2026年6月まで 329億ドル | 34.0%増 | 2026年6月 336億ドル | 7億9000万ドル | 3回 / 21回 |
| BWXテクノロジーズ | BWXT ニューヨーク | 米海軍向けの原子炉部品と核燃料、民生の原子力部品 | 2026年6月まで 35億1000万ドル | 21.8%増 | 2026年6月 84億ドル | 2億ドル | 8回 / 0回 |
| カメコ※ | CCJ ニューヨーク | ウランの採掘と燃料加工 (カナダ) | 2025年12月期 34億8000万カナダドル | 11.0%増 | — | 3億3000万カナダドル | 本文が別添 |
| ウラニウム・エナジー | UEC ニューヨーク | ウランの採掘 (米テキサス州・ワイオミング州の原位置回収) | 2026年4月まで 2,000万ドル | 69.8%減 | — | 700万ドル | 2回 / 3回 |
| ブルーム・エナジー※ | BE ニューヨーク | 固体酸化物形燃料電池による敷地内での発電 | 2026年6月まで 31億1000万ドル | 2.5倍 | — | 1億1000万ドル | 93回 / 57回 |
| バイコー※ | VICR ナスダック | 電源モジュール (電圧を変換する部品) | 2026年6月まで 4億7000万ドル | 34.9%増 | — | 3,300万ドル | 18回 / 6回 |
| ナビタス・セミコンダクター | NVTS ナスダック | 窒化ガリウム・炭化ケイ素のパワー半導体 | 2026年6月まで 3,700万ドル | 32.9%減 | — | 100万ドル | 39回 / 28回 |
| フューエルセル・エナジー | FCEL ナスダック | 炭酸塩形燃料電池による発電 | 2026年7月まで 1億5000万ドル | 3.9%減 | — | 500万ドル | 8回 / 18回 |
| フォージェント・パワー・ソリューションズ※ | FPS ニューヨーク | 配電盤・変圧器などデータセンター向けの電力機器 | 2026年6月期 14億2000万ドル | 88.5%増 | — | 1億2000万ドル | 11回 / 54回 |
表4 区分1 電力とエネルギーの12社。売上高と設備投資は直近12か月 (「期」とあるものは通期)、残存履行義務は直近の四半期末。伸び率は直近の累計の前年同期比 (「期」の会社は通期の前期比)。出典は各社の10-K・10-Q・40-F。
※ カメコ: 40-F の2025年12月期 (カナダドル)
※ ブルーム・エナジー: 2026年4〜6月期の値は SEC の財務データに未収録のため、四半期報告の本文の表から計算した
※ バイコー: 2026年4〜6月期の値は四半期報告の本文から。売上高は特許訴訟の和解金 (2025年4〜6月期の4500万ドル) を含まない
※ フォージェント・パワー・ソリューションズ: 2026年2月に上場。上場後はじめての年次報告は2026年9月15日
最も大きいのはGEベルノバで、直近12か月の売上高は414億ドル、残存履行義務は1,763億ドルある。残存履行義務は売上高の4.3年分にあたり、ガスタービンや送変電機器の注文が数年先まで埋まっていることを示す。伸びが大きいのはコンステレーション・エナジー (44.5%増)、クアンタ・サービシズ (34.0%増) で、クアンタの残存履行義務も売上高と同じ規模の336億ドルある。
データセンターの中で電気を配る機器では、2026年2月に上場したフォージェント・パワー・ソリューションズの伸びが大きい。2026年6月期の売上高は14億2000万ドルで、前期の1.9倍近くになった。年次報告によると、売上の約70%は顧客の仕様に合わせて作る製品で、データセンター向けの中圧の配電盤と乾式の変圧器を自社で製造している。敷地内で発電するブルーム・エナジーも、2026年1〜6月の売上高が前年同期の2.5倍に伸びた。四半期報告によると、その9割は米国での売上である。
一方で、売上が減っている会社も3社ある。ナビタス・セミコンダクター (32.9%減)、フューエルセル・エナジー (3.9%減)、ウラニウム・エナジー (69.8%減) である。ウラニウム・エナジーの直近12か月の売上高は2,000万ドルで、区分1の中で最も小さい。AIの電力需要という大きな話と、個々の会社の売上は別に確かめる必要がある。
4. 区分2 計算と半導体 — GPUとメモリーが伸び、光部品が続く
| 会社 | 銘柄コード・市場 | 供給するもの | 売上高 | 伸び率 | 残存履行義務 | 設備投資 | 年次報告の語数 AI / データセンター |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| エヌビディア | NVDA ナスダック | GPUとGPU間の接続、ラック単位のシステム | 2026年7月まで 3,030億ドル | 95.8%増 | 2026年7月 32億ドル | 73億5000万ドル | 164回 / 73回 |
| ブロードコム | AVGO ナスダック | 専用設計のAI半導体・通信用半導体・ソフトウエア | 2026年7月まで 891億ドル | 55.0%増 | 2026年7月 1,792億ドル | 12億5000万ドル | 77回 / 30回 |
| AMD | AMD ナスダック | GPU・CPU | 2026年6月まで 413億ドル | 44.1%増 | 2026年6月 2億2000万ドル | 16億8000万ドル | 192回 / 92回 |
| 台湾積体電路製造 (TSMC)※ | TSM ニューヨーク | 半導体の受託製造 | 2026年1〜8月 3兆3,869億台湾ドル | 39.3%増 | — | — | 31回 / 2回 |
| ASML※ | ASML ナスダック | 露光装置 (EUV) | 2025年12月期 327億ユーロ | 15.6%増 | 2025年12月 465億ユーロ | 15億7000万ユーロ | 177回 / 5回 |
| アーム | ARM ナスダック | CPUの設計図の使用許諾 | 2026年6月まで 51億6000万ドル | 22.4%増 | 2026年6月 21億2000万ドル | 5億9000万ドル | 101回 / 25回 |
| マイクロン・テクノロジー | MU ナスダック | DRAM (HBMを含む)・NANDフラッシュ | 2026年5月まで 903億ドル | 3.0倍 | 2026年5月 50億ドル | 253億ドル | 58回 / 41回 |
| マーベル・テクノロジー | MRVL ナスダック | 専用設計のAI半導体・光通信用の半導体 | 2026年7月まで 94億5000万ドル | 32.2%増 | — | 4億7000万ドル | 72回 / 70回 |
| ルメンタム | LITE ナスダック | 光通信用のレーザーと光部品 | 2026年6月期 30億1000万ドル | 83.2%増 | — | 4億5000万ドル | 54回 / 32回 |
| コヒレント | COHR ニューヨーク | 光トランシーバー・レーザー・化合物半導体材料 | 2026年6月期 71億2000万ドル | 22.5%増 | — | 11億ドル | 49回 / 9回 |
| コーニング | GLW ニューヨーク | 光ファイバー・ケーブル・特殊ガラス | 2026年6月まで 170億ドル | 18.3%増 | — | 15億2000万ドル | 10回 / 12回 |
| ウエスタンデジタル | WDC ナスダック | ハードディスク駆動装置 (HDD) | 2026年6月期 129億ドル | 35.7%増 | — | 4億2000万ドル | 51回 / 12回 |
| サンディスク | SNDK ナスダック | NANDフラッシュとSSD | 2026年6月期 202億ドル | 2.8倍 | 2026年6月 598億ドル | 1億8000万ドル | 47回 / 4回 |
| アプライド・オプトエレクトロニクス※ | AAOI ナスダック | データセンター向けの光トランシーバー (レーザーから自社製造) | 2026年6月まで 6億ドル | 69.2%増 | — | 4億6000万ドル | 23回 / 81回 |
| AXT | AXTI ナスダック | インジウムリンなど化合物半導体の基板 (中国で製造) | 2026年6月まで 1億3000万ドル | 99.6%増 | 2026年6月 9,800万ドル | 1,400万ドル | 16回 / 15回 |
| エア・テスト・システムズ | AEHR ナスダック | ウエハー単位で通電し初期不良を選別する検査装置 | 2026年5月期 5,000万ドル | 15.2%減 | — | 200万ドル | 46回 / 8回 |
| インテル | INTC ナスダック | CPUと半導体の受託製造 | 2026年6月まで 570億ドル | 16.4%増 | — | 121億ドル | 125回 / 36回 |
| SKハイニックス※ | SKHY ナスダック | DRAM (HBMを含む)・NANDフラッシュ | 2026年1〜6月 131兆8,950億ウォン | 3.3倍 | — | — | 年次報告なし |
表5 区分2 計算と半導体の18社。数字の取り方は表4と同じ。TSMCとSKハイニックスは SEC の財務データに直近の数字が無いため、それぞれ台湾証券取引所の月次売上高と6-Kの業績速報を使った。
※ 台湾積体電路製造 (TSMC): 台湾証券取引所の月次売上高。SEC の財務データは2024年12月期までしか無い
※ ASML: 20-F の2025年12月期。2026年4〜6月期は93億ユーロ、26年通期の見通しは430億〜450億ユーロ
※ アプライド・オプトエレクトロニクス: 設備投資の2026年4〜6月期の値は四半期報告の本文から
※ SKハイニックス: 6-K の業績速報 (韓国の国際会計基準)。米国預託証券の上場は2026年7月で、年次報告はまだ無い
GPU — エヌビディアの売上の9割強はデータセンター
エヌビディアの直近12か月の売上高は3,030億ドルで、2026年2〜7月期の売上高は前年同期より95.8%増えた。2026年5〜7月期の売上高は962億ドルで、うちデータセンター向けが890億ドル (92.5%) を占める。四半期報告によると、中国向けに出荷したデータセンター用のGPU (ホッパー世代) は、同じ期間のデータセンター向け売上の1%に満たない。自社で工場を持たないため、設備投資は売上高の2.4%にとどまる。専用チップを設計するブロードコムは、残存履行義務が1,792億ドルで、売上高の2.0年分にあたる。
メモリー — 3社そろって前年の2〜3倍
この区分で最も伸びたのはメモリーである。マイクロン・テクノロジーの直近の累計 (2025年9月〜2026年5月) は前年同期の3.0倍、SKハイニックスの2026年1〜6月の売上高は131兆8950億ウォンで前年同期の3.3倍になった。SKハイニックスの同じ期間の営業利益は98兆1529億ウォンで、売上高に対する割合は74.4%に達する。サンディスクは2026年6月期の売上高が202億ドルで前期の2.8倍、さらに長期の供給契約にもとづく残存履行義務を598億ドル抱える。うち12か月以内に売上になるのは19%である。
製造と光部品 — TSMCは39.3%増、光の部品は2割〜8割増
TSMCの2026年1〜8月の売上高は3兆3869億台湾ドルで、前年同期より39.3%増えた。同社は増加の理由を「先端の製造工程の製品の需要が増えたため」と説明している。サーバーどうしを光でつなぐ部品では、ルメンタム (83.2%増)、アプライド・オプトエレクトロニクス (69.2%増)、コヒレント (22.5%増)、コーニング (18.3%増) が伸びた。
光部品の材料では、地政学の制約が数字の横にある。インジウムリンなど化合物半導体の基板を作るAXTは、売上高が直近の累計で前年同期のほぼ2倍 (99.6%増) になった。ただし製造は中国の子会社で行っており、年次報告によると、基板を中国から輸出するには中国商務省の許可が要る。同社は、インジウムリンの輸出許可を「現在直面する最大の課題」と記している。
5. 区分3 AIインフラ — 売上の数倍を投じ、10年分近い契約を抱える
| 会社 | 銘柄コード・市場 | 供給するもの | 売上高 | 伸び率 | 残存履行義務 | 設備投資 | 年次報告の語数 AI / データセンター |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| オラクル | ORCL ニューヨーク | クラウド (GPUの貸し出しを含む)・データベース | 2026年8月まで 718億ドル | 29.6%増 | 2026年8月 6,640億ドル | 757億ドル | 117回 / 56回 |
| デル・テクノロジーズ | DELL ニューヨーク | AIサーバー・ストレージ・パソコン | 2026年7月まで 1,512億ドル | 70.8%増 | 2026年7月 1,320億ドル | 35億9000万ドル | 112回 / 4回 |
| バーティブ | VRT ニューヨーク | データセンターの電源装置と冷却装置 | 2026年6月まで 115億ドル | 26.7%増 | — | 4億2000万ドル | 32回 / 31回 |
| ネビウス※ | NBIS ナスダック | GPUクラウド (オランダ本社) | 2026年1〜6月 9億8000万ドル | 6.3倍 | 2025年12月 213億ドル | 2026年1〜6月 81億3000万ドル | 254回 / 132回 |
| コアウィーブ | CRWV ナスダック | GPUクラウド | 2026年6月まで 75億9000万ドル | 2.1倍 | 2026年6月 1,037億ドル | 206億ドル | 265回 / 169回 |
| アイレン | IREN ナスダック | 自社データセンターとGPUクラウド (元はビットコインの採掘) | 2026年6月期 7億1000万ドル | 41.1%増 | 2026年6月 51億ドル | 30億ドル | 443回 / 276回 |
| アプライド・デジタル | APLD ナスダック | AI向けデータセンターの開発と長期賃貸 | 2026年5月期 6億1000万ドル | 2.7倍 | — | 28億7000万ドル | 93回 / 255回 |
| ヒューレット・パッカード・エンタープライズ | HPE ニューヨーク | サーバー・ネットワーク機器 (ジュニパー買収) | 2026年7月まで 419億ドル | 30.8%増 | 2026年7月 109億ドル | 25億4000万ドル | 165回 / 19回 |
表6 区分3 AIインフラの8社。数字の取り方は表4と同じ。ネビウスは6-Kの業績発表の2026年1〜6月の値。
※ ネビウス: 6-K の業績発表。前年同期は事業売却の組み替え後
オラクル — 6,640億ドルの契約と、売上を上回る設備投資
オラクルの残存履行義務は2026年8月末で6,640億ドルあり、直近12か月の売上高 (718億ドル) の9.3年分にあたる。四半期報告によると、このうち12か月以内に売上になるのは約13%で、37%が13〜36か月目、34%が37〜60か月目、残りはそれ以降である。直近12か月の設備投資は757億ドルで、売上高の1.05倍。2026年6〜8月期だけで285億ドルを投じ、前年同期 (85億ドル) の3.35倍になった。
GPUクラウド4社 — 投資は売上の2.7〜8.3倍
GPUを貸す専業の会社は、投資の重さがさらに際立つ。コアウィーブの直近12か月の設備投資は206億ドルで売上高の2.71倍、アイレンは4.24倍、アプライド・デジタルは4.69倍、ネビウスは2026年1〜6月だけで81億3000万ドルと売上高の8.29倍を投じた。コアウィーブの残存履行義務は1,037億ドルで、売上高の13.7年分にあたる。
契約の相手は少数である。コアウィーブの四半期報告によると、2026年4〜6月期の売上の36%が最大の顧客、26%が2番目、10%が3番目の顧客からで、前年同期は最大の顧客1社が71%を占めていた。売上の98%は顧客との長期の契約にもとづく。アイレンは、マイクロソフトとの契約の第1期分を2026年8月に引き渡し、残りは2026年10〜12月に段階的に引き渡す予定である。
機器の会社 — デルは70.8%増
サーバーを作る側では、デル・テクノロジーズの直近12か月の売上高が1,512億ドルで、直近の累計は前年同期より70.8%増えた。残存履行義務も1,320億ドルある。ネットワーク機器のジュニパーを買収したヒューレット・パッカード・エンタープライズは30.8%増、電源と冷却装置のバーティブは26.7%増である。
6. 区分4 モデルの開発 — 設備投資の最大の出し手
| 会社 | 銘柄コード・市場 | 供給するもの | 売上高 | 伸び率 | 残存履行義務 | 設備投資 | 年次報告の語数 AI / データセンター |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| アルファベット | GOOGL ナスダック | 検索・広告、クラウド、モデルの開発 (ジェミニ)、TPU | 2026年6月まで 4,459億ドル | 23.1%増 | 2026年6月 5,195億ドル | 1,324億ドル | 124回 / 29回 |
| メタ | META ナスダック | SNSと広告、モデルの開発 (ラマ) | 2026年6月まで 2,282億ドル | 30.4%増 | — | 893億ドル | 143回 / 28回 |
| アマゾン・ドット・コム※ | AMZN ナスダック | 通販、クラウド (AWS)、自社設計のAI半導体 | 2026年6月まで 7,757億ドル | 18.2%増 | 2026年6月 4,960億ドル | 1,730億ドル | 30回 / 15回 |
| スペースX※ | SPCX ナスダック | ロケット・衛星通信 (スターリンク)、AI (グロック・X・計算設備) | 2026年1〜6月 125億ドル | 53.7%増 | 2026年6月 475億ドル | 2026年1〜6月 285億ドル | 年次報告なし |
表7 区分4 モデルの開発の4社。数字の取り方は表4と同じ。スペースXは2026年6月の上場後の四半期報告の2026年1〜6月の値。
※ アマゾン・ドット・コム: 残存履行義務は財務データに無く、四半期報告の本文の「主にAWSの、まだ計上していない契約額」
※ スペースX: 2026年6月に上場。通期の年次報告はまだ無い
アマゾン・ドット・コム、アルファベット、メタの直近12か月の設備投資は、それぞれ1,730億ドル、1,324億ドル、893億ドルで、3社の合計は3,948億ドルになる。伸びも速い。2026年1〜6月の設備投資は、アルファベットが806億ドルで前年同期 (396億ドル) の2.03倍、メタが491億ドルで1.67倍だった。それでも売上高に対する割合は、アマゾン22.3%、アルファベット29.7%、メタ39.1%で、区分3の会社のように売上を上回ってはいない。
契約の厚みでは、アルファベットの残存履行義務が5,195億ドルあり、うち5,139億ドルがクラウド事業である。同社は、このうち半分強を24か月以内に売上に計上する見込みとしている。アマゾン・ドット・コムは財務データに数字を出していないが、四半期報告の本文で、主にAWSの、まだ計上していない1年超の契約額を約4,960億ドルとしている。メタは売上の大半が広告で、残存履行義務を開示していない。
スペースXは、2026年6月に上場したばかりである。2026年1〜6月の売上高は125億800万ドルで前年同期より53.7%増え、同じ期間に285億ドルを設備に投じた (前年同期の4.09倍)。設備投資は売上高の2.28倍で、区分4の中では区分3に近い投資の重さである。
7. 区分5 ソフトウエアと応用 — 伸びは大きく、設備は軽い
| 会社 | 銘柄コード・市場 | 供給するもの | 売上高 | 伸び率 | 残存履行義務 | 設備投資 | 年次報告の語数 AI / データセンター |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| パランティア・テクノロジーズ | PLTR ナスダック | 政府・企業向けのデータ分析とAI導入の基盤 | 2026年6月まで 61億6000万ドル | 89.0%増 | 2026年6月 49億ドル | 4,200万ドル | 88回 / 1回 |
| サービスナウ | NOW ニューヨーク | 企業の業務手続きを自動化するクラウド | 2026年6月まで 147億ドル | 23.1%増 | 2026年6月 290億ドル | 7億3000万ドル | 141回 / 22回 |
| スノーフレーク | SNOW ニューヨーク | データの保管と分析のクラウド | 2026年7月まで 54億3000万ドル | 34.3%増 | 2026年7月 90億ドル | 5,800万ドル | 190回 / 3回 |
| クラウドフレア | NET ニューヨーク | 通信の高速化・セキュリティーのクラウド | 2026年6月まで 25億1000万ドル | 34.7%増 | 2026年6月 27億3000万ドル | 2億9000万ドル | 41回 / 8回 |
| テスラ | TSLA ナスダック | 電気自動車・蓄電池、自動運転とヒト型ロボットの開発 | 2026年6月まで 1,036億ドル | 21.0%増 | 2026年6月 100億ドル | 129億ドル | 56回 / 6回 |
| ギットラボ | GTLB ナスダック | ソフトウエアの開発と運用を一体で管理する基盤 | 2026年7月まで 10億6000万ドル | 22.2%増 | 2026年7月 12億ドル | 1,000万ドル | 86回 / 0回 |
| デジタルオーシャン | DOCN ニューヨーク | 中小企業・開発者向けのクラウド (推論のクラウドを強化) | 2026年6月まで 10億1000万ドル | 25.5%増 | — | 1億2000万ドル | 169回 / 70回 |
| ファストリー | FSLY ナスダック | コンテンツ配信とエッジでの処理 | 2026年6月まで 6億9000万ドル | 21.5%増 | 2026年6月 3億4000万ドル | 6,900万ドル | 135回 / 21回 |
表8 区分5 ソフトウエアと応用の8社。数字の取り方は表4と同じ。
伸びが最も大きいのはパランティア・テクノロジーズで、直近の累計は前年同期より89.0%増えた。クラウドフレア (34.7%増)、スノーフレーク (34.3%増)、デジタルオーシャン (25.5%増)、サービスナウ (23.1%増) が続き、8社すべてが2割以上伸びている。
設備投資の軽さは区分3と対照的である。直近12か月の設備投資の売上高に対する割合は、パランティア0.7%、ギットラボ0.9%、スノーフレーク1.1%、サービスナウ4.9%にとどまる。自前の配信網やクラウドを運ぶクラウドフレア (11.3%)、デジタルオーシャン (11.4%)、ファストリー (10.0%) は1割を超え、第2節で見たとおり区分3に近い。
8. 資金の流れを検算する — 設備投資・売上・残存履行義務の3つの物差し
物差し1 — 払う側の設備投資と、受け取る側の売上
第1節で見たとおり、5社の直近12か月の設備投資 (5,864億ドル) は、エヌビディアの売上高 (3,030億ドル) の1.94倍である。内訳は、アマゾン・ドット・コム1,730億ドル、アルファベット1,324億ドル、マイクロソフト1,159億ドル、メタ893億ドル、オラクル757億ドルである。エヌビディアの売上には、この5社以外 (GPUクラウドや各国の政府・企業) からの分も含まれる。したがって、5社の設備投資のうちエヌビディアに渡った分は、エヌビディアの売上高より小さい。残りは建物・電源・冷却・メモリー・ネットワーク機器・自社設計の半導体に向かい、区分1と区分2の多くの会社に分かれて流れる。
物差し2 — 売上の何倍を先に投じているか
区分によって、投資の重さは逆転する。区分2のエヌビディアは売上高の2.4%しか設備に使わない。区分4の3社と一覧外のマイクロソフトは2〜4割である。これに対し、区分3のGPUクラウドは売上高の2.7〜8.3倍を投じている。つまり、GPUの代金を実際に先に払い、その回収を何年も先の売上に頼っているのは、規模の小さいGPUクラウドの側である。
物差し3 — 契約済みの売上は何年分あるか
残存履行義務を直近12か月の売上高で割ると、契約済みの売上が今の売上の何年分あるかが分かる。コアウィーブ (13.7年分)、オラクル (9.3年分)、アイレンと、区分3の会社が上位を占める。区分1のGEベルノバ (4.3年分) と区分2のサンディスク (3.0年分) がそれに続く。ただしオラクルの例で見たとおり、1年以内に売上になるのはその一部である。契約が長いほど、途中で条件が変わる余地も大きい。
9. 数字を読むときの5つの注意
本章の表は、各社がSECに出した数字をそのまま使い、期間だけをそろえた。それでも、会社をまたいで比べるときに誤りやすい点が5つある。
| 注意 | 中身 | どう読むか |
|---|---|---|
| 残存履行義務の範囲は会社ごとに違う | アマゾンは XBRL に数字を出さず、四半期報告の本文で「主にAWSの、まだ計上していない契約額」を示す。メタは開示していない。サンディスクは長期の供給契約で、12か月以内に売上になるのは19% | 同じ名前の数字でも中身が違う。会社をまたいで足し合わせない |
| 決算期がずれる | エヌビディアは1月、オラクルは5月、マイクロソフトは6月に期末を迎える | 本章は「直近の通期 + 直近の累計 − 前年同期の累計」で直近12か月にそろえた。表の「まで」は12か月の終わりの月 |
| 伸び率の基準が2種類ある | 四半期報告のある会社は直近の累計の前年同期比、通期を終えたばかりの会社は通期の前期比 | 表の売上高の欄に「期」とある会社は通期の前期比である |
| 設備投資の定義 | 有形固定資産の取得による支出 (現金の支払い) を使った。リースで調達した設備は含まない | リースの多い会社は、実際の設備の増え方が表の数字より大きい |
| 株価は載せない | 本章は開示された事業の数字だけを扱い、株価・時価総額・目標株価は載せない | 投資の勧誘ではなく、開示資料の整理である |
表9 数字を読むときの5つの注意。
10. 日本の投資家の視点 — 5つの区分のどこに日本企業がいるか
一覧の50社に日本企業は1社も入っていない。しかし、50社の取引先や競合相手として見ると、日本企業の位置ははっきりしている。日本企業が多いのは、区分2の製造装置・材料・部品と、区分1の発電と送変電の機器である。
| 区分 | 日本企業 | 一覧の会社との関係 | 企業ページ | 銘柄ページ |
|---|---|---|---|---|
| 区分1 電力 | 三菱重工業 | 大型ガスタービンで GEベルノバと競う | — | 開示と需給 |
| 区分1 電力 | 日立製作所 | 変圧器など送変電機器 (日立エナジー) で GEベルノバと競う | — | 開示と需給 |
| 区分1 電力 | 富士電機 | データセンター向けの無停電電源装置など電源機器 | — | 開示と需給 |
| 区分2 半導体 | キオクシアホールディングス | サンディスクとNANDフラッシュの工場を共同で運営する | 企業DB | 開示と需給 |
| 区分2 半導体 | 東京エレクトロン | 前工程の製造装置。TSMC・SKハイニックス・マイクロンが顧客 | 企業DB | 開示と需給 |
| 区分2 半導体 | アドバンテスト | 半導体の検査装置。GPUとHBMは検査の時間が長い | 企業DB | 開示と需給 |
| 区分2 半導体 | ディスコ | HBMのチップを薄く削る研削装置と切断装置 | 企業DB | 開示と需給 |
| 区分2 半導体 | レーザーテック | EUV露光に使うマスクの検査装置 | 企業DB | 開示と需給 |
| 区分2 半導体 | イビデン | GPUを載せるパッケージ基板 | 企業DB | 開示と需給 |
| 区分2 半導体 | 信越化学工業 | シリコンウエハー | 企業DB | 開示と需給 |
| 区分2 半導体 | フジクラ・古河電気工業 | データセンター向けの光ファイバーと光ケーブルで、コーニングと競う | 企業DB | 開示と需給 |
| 区分2 半導体 | 住友電気工業 | 光通信用の部品と化合物半導体 | — | 開示と需給 |
| 区分3 インフラ | さくらインターネット | GPUクラウド。コアウィーブ・ネビウスと同じ事業の型 | 企業DB | 開示と需給 |
| 区分4 モデル | ソフトバンクグループ | オープンAIへの出資 | 企業DB | 開示と需給 |
| 区分4 モデル | 富士通 | 自社の言語モデルとサーバー向けCPUの開発 | 企業DB | 開示と需給 |
表10 5つの区分と日本企業。フジクラ・古河電気工業の行のリンクはフジクラのページである。
読み方 — 伸びている区分の、取引先を探す
第4節で見たとおり、区分2で最も伸びたのはメモリーである。マイクロン・SKハイニックス・サンディスクがそろって前年の2〜3倍に売上を伸ばした。メモリーの工場を増やすには前工程の製造装置が要り、HBMを作るには薄く削る装置と検査装置が要る。キオクシアはサンディスクと工場を共同で運営しており、同じ需要の波を受ける立場にある。
区分1では、GEベルノバの残存履行義務が売上の4年分を超えていることが、競合する日本の重電大手にとっての需要の目安になる。区分3のGPUクラウドの採算は、日本ではさくらインターネットの決算で確かめられる。読み方は第V部 検証で扱った。
11. 残る5つの論点と、章のまとめ
第1に、GPUクラウドの投資の資金はどこから来るのか。 売上の数倍を先に投じる会社は、借り入れや株式の発行でその差を埋めている。金利と資本市場の条件が変われば、区分3の投資の速さは真っ先に変わる。
第2に、契約の相手が少数に偏っていないか。 コアウィーブは上位3社で売上の7割強を占め、スペースXは1社の顧客が売上の2割近くを占める。残存履行義務の大きさは、少数の相手の支払い能力に左右される。
第3に、契約済みの売上はいつ売上になるのか。 オラクルの6,640億ドルのうち、1年以内に売上になるのは約13%である。契約の期間が長いほど、需要や価格が変わったときの見直しの余地も大きい。
第4に、メモリーの伸びは続くのか。 メモリーは需要と供給の波で価格が大きく動く製品である。前年の2〜3倍という伸びがどこまで続くかは、各社の工場の増強の速さと、区分3・区分4の設備投資の伸びの両方で決まる。
第5に、地政学の制約はどこに出るのか。 エヌビディアの中国向けの出荷はデータセンター売上の1%に満たず、AXTの基板は中国の輸出許可に左右される。制約は、一覧の上の区分より、下の区分の部品と材料に出やすい。
出典 (取得日 2026-09-22)
- 米証券取引委員会 (SEC) が公開する銘柄コードの台帳と、各社の登録情報 (業種分類・決算期・提出書類の一覧)
- SEC の財務データ (各社が提出書類に付ける機械で読める形式のデータ) — 売上高、有形固定資産の取得による支出、残存履行義務
- 各社の年次報告 (10-K・20-F・40-F) と四半期報告 (10-Q) — 事業の内容、語数の計測、以下の個別の開示
- エヌビディア 2026年5〜7月期の四半期報告 — 売上高962億ドル、データセンター向け890億ドル、中国向けの出荷はデータセンター売上の1%未満
- オラクル 2026年6〜8月期の四半期報告 — 残存履行義務6,640億ドルと計上予定 (約13%・37%・34%・残り)
- アルファベット 2026年4〜6月期の四半期報告 — 残存履行義務5,195億ドル、うちクラウド5,139億ドル、半分強を24か月以内に計上
- アマゾン・ドット・コム 2026年4〜6月期の四半期報告 — 主にAWSの、まだ計上していない1年超の契約額 約4,960億ドル
- コアウィーブ 2026年4〜6月期の四半期報告 — 上位3社の顧客の比率 (36%・26%・10%)、前年同期の71%、契約にもとづく売上98%
- スペースX 2026年4〜6月期の四半期報告 — 事業区分、AI区分の売上、顧客Bの比率、設備投資
- テスラ 2026年4〜6月期の四半期報告 — 自動車の売上高367億5000万ドル、売上高合計506億2300万ドル (1〜6月)
- サンディスク 2026年6月期の年次報告 — 残存履行義務598億ドル、12か月以内の計上19%
- フォージェント・パワー・ソリューションズ 2026年6月期の年次報告 — 製品の構成 (約70%・25%・3%・2%)、中圧の配電盤と乾式の変圧器
- AXT 2025年12月期の年次報告 — 中国での製造、中国商務省の輸出許可、インジウムリンの輸出許可を最大の課題とする記述
- アイレン 2026年6月期の年次報告 — マイクロソフトとの契約の引き渡しの予定
- ネビウス 2026年4〜6月期の業績発表 (6-K) — 2026年1〜6月の売上高9億8130万ドル、設備投資81億3030万ドル
- SKハイニックス 2026年4〜6月期の業績 (6-K、2026年7月29日) — 1〜6月の売上高131兆8950億ウォン、営業利益98兆1529億ウォン。米国預託証券の上場に関する提出書類 (2026年7月)
- ASML 2026年4〜6月期の業績 (6-K、2026年7月15日) — 売上高93億ユーロ、2026年通期の見通し430億〜450億ユーロ
- 台湾証券取引所が公開する上場会社の月次売上高 — TSMCの2026年8月の売上高と1〜8月の累計、増加の理由
- 本誌の関連する章 — 第III部 経済、第IV部 設備と国家、第V部 検証、第IX部 計算機、データセンター関連銘柄の利益構造
- 直近12か月の売上高と設備投資、伸び率、設備投資と売上高の比、残存履行義務の年数、5社の合計は、上記の開示をもとにした記者の計算である
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