エヌビディアの次々世代のAI向けサーバー群「NVL576」は、GPUを72個ずつ収めたラック8本を銅線と光でつなぐ。TSMCは光電融合の部品の生産を2026年に始める。光への移行が進むと、基板の銅張積層板 (CCL) は安いグレードで足りる。
AI関連の投資といえば、まず画像処理半導体 (GPU) が思い浮かぶ。しかし、台湾の証券アナリストが2026年9月16日にまとめた分析メモは、投資の中心がGPU以外へ広がる4つの変化を挙げている。自律的に仕事をこなすAIエージェントの普及でCPUの需要が増えること、電気信号を光信号に変える光電融合 (CPO) が広がること、半導体パッケージと特定用途向け半導体 (ASIC) が大型化すること、そしてガラス基板の実用化である。本稿はこの4点をすべて取り上げ、エヌビディアとTSMCの発表、光通信の業界団体OIFの規格案、パナソニック インダストリーの製品データ、インテルとAMDの説明、グーグルと大日本印刷の発表 (いずれも2026年9月17日に確認) と照らし合わせて、企業が公式に示した数字と、報道や推計にとどまる数字とを分けた。
AIエージェントの普及でCPUの需要が増え、インテルはCPUとGPUの比率が1対8から1対4になったと説明した
これまでAIの学習と推論は、GPUが計算の中心を担ってきた。分析メモが最初に挙げる変化は、AIエージェントの普及である。AIエージェントは、人の指示を受けて作業を始め、段取りを決め、必要なソフトや外部サービスを選び、検索拡張生成 (RAG、外部の資料を検索して回答に反映する技術) で情報を集めて分析するまでを、自律的にこなす。こうした処理は、外部との通信の窓口になるサーバー (ウェブゲートウェイ)、汎用サーバー、常時稼働するストレージ (データの保存装置) に大きく依存する。メモは、データセンターの消費電力の配分が「GPU 4GWに対しCPU 1GW」から1対1に近づき、CPUの使用量と消費電力がGPUに迫る可能性があると指摘する。
CPUの比率が高まっていること自体は、半導体各社の説明で裏付けられる。インテルのリップブー・タン最高経営責任者 (CEO) は2026年4月23日の決算説明会で、CPUとGPUの比率は「かつて1対8だったが、今は1対4になった」と述べた。AMDは自社のブログで、AIエージェントの普及によってCPUとGPUの比率は1対4から1対2、さらには1対1に向かうとの見方を示した。英アームは、出力1GWのデータセンターに必要なCPUのコア数が3,000万個から1億2,000万個に増えると説明している。エヌビディアも、次世代CPU「Vera」に独自設計のコア「Olympus」を88個 (同時に処理できる命令の流れは176本) 搭載し、メモリー容量を最大1.5TB、GPUとの通信速度を毎秒1.8TBに高めた (2026年1月5日発表)。ただし、各社が示したのはいずれもCPUとGPUの個数の比率である。メモが記す「4GW対1GW」という電力の比率は、一次資料では確認できなかった (未確認)。
光電融合でGPUのすぐそばで信号が光に変わると、GPU1個あたりの通信容量は10倍超に増え、基板のCCLは安いグレードで足りる
メモが2番目に挙げるのは光通信である。AI向けの計算機の接続は、ラック内の接続 (スケールアップ)、ラック同士の接続 (スケールアウト)、データセンター同士の接続 (スケールアクロス) の3階層に分けて語られる。メモによると、最近は半導体チップ同士を光でつなぐ「スケールイン」も議論され始めた。電気信号を光信号に変える部品 (光エンジン) をどこに置くかによって、方式の呼び名が変わる。
表1 光エンジンの置き場所で分けた3方式 (台湾の分析メモによる整理)
| 方式 | 光エンジンの置き場所 | 使う光エンジン |
|---|---|---|
| CPO (光電融合) | 半導体と同じパッケージ基板の上 | TSMCの「COUPE」(光回路のチップ (PIC) と電子回路のチップ (EIC) を一体にした部品) |
| NPO | マザーボード上の半導体の近くに、ソケットで取り付ける | CPOと同じ |
| OIO | 半導体を載せる中継基板 (インターポーザー) の上 | CPOと同じ |
メモが強調するのは、CPOとNPOは同じ光エンジンを使い、違いは取り付ける場所と接続部品だけだという点である。COUPEは、電子回路のチップを光回路のチップの上に重ねた光エンジンで、TSMCの3次元積層技術「SoIC-X」で作る。TSMCは2024年4月、COUPEを2025年に小型の着脱式光モジュール向けとして認証し、2026年に同社のパッケージ技術「CoWoS」に組み込む計画を示した。2026年4月23日には、COUPEをパッケージ基板に載せた光電融合の製品の生産を2026年に始めると発表した。基板の外に着脱式の光モジュールを置く従来の方式に比べて、電力効率は2倍、信号の遅延は10分の1になり、毎秒200ギガビットで動作する微小なリング状の光変調器を使う。NPOが普及してもCPOの供給網は不要にならない、というメモの見方は、こうした部品の共通性と整合する。3方式の違いはCPO・NPO・LPOを比べた記事で解説した。
光部品の需要が増える具体例として、メモはエヌビディアの次々世代GPU「Rubin Ultra」を使うサーバー群「NVL576」を挙げる。メモによると、NVL576はラック8本で構成し、スイッチ専用のラックは置かず、1ラックにGPU72個とスイッチ72個を収める。エヌビディアは2026年3月16日の技術ブログで、Vera Rubin Ultra NVL576について「Rubin Ultra GPUを72個ずつ搭載したMGX NVLラック8本を、銅線と光の直接接続によって、GPU576個からなる単一のNVLink接続網にまとめる」と説明しており、ラック8本に72個ずつという構成は公式の説明と一致する。スイッチ専用のラックについての記述はなく、スイッチはラック内の棚 (トレイ) に収める。「スイッチ72個」は、トレイが9段から18段に増えてスイッチ用の半導体が72個になる、という分析会社の説明に基づく。エヌビディアが2025年3月18日の開発者会議「GTC 2025」で示した構想では、「Kyber」と呼ぶラック1本にGPUのチップ576個を収め、ラック1本の消費電力は600kW、FP4 (4ビットの数値形式) での推論性能は15エクサフロップスだった。2026年3月の説明では、Kyberはラック1本でGPU144個の「NVL144」とされ、Kyberを8本つないだ「NVL1152」はさらに次の世代「Feynman」の製品と位置づけられた。
通信容量の数字は、企業の公表値と外部の推計とを分けて読む必要がある。エヌビディアによると、現行の次の世代にあたる「Rubin」のGPU間接続技術「NVLink 6」は、GPU1個あたり双方向で毎秒3.6TB、72個構成のラック「NVL72」全体で毎秒260TBの通信容量を持ち、通信用半導体「ConnectX-9」はGPU1個あたり毎秒1.6テラビットで外部とつながる。米調査会社セミアナリシスは、Rubin UltraのGPU1個あたりのラック内向けの通信容量を片方向で毎秒14.4テラビットと見積もり、ラック同士の接続には光が必要になると分析する。同社の整理では、現行の「Blackwell」世代でGPU1個に割り当てられる光通信の容量は、8個構成のサーバー「HGX」で毎秒800ギガビット、NVL72で毎秒1.6テラビットである。一方、メモは、Rubin UltraではGPU1個あたり約12.8テラビットの光通信の容量が新たに必要になるとし、BlackwellではGPU1個につき800ギガビットの光モジュール1個だったことと比べて、光モジュール全体の需要は約8倍に膨らむ可能性があるとする。12.8テラビットと約8倍という数字はエヌビディアの資料には見当たらず、メモ独自の推計である (未確認)。
エヌビディアは光電融合を使ったスイッチも製品化している。「Spectrum-X Photonics」は毎秒800ギガビットの接続口 (ポート) を128個 (合計毎秒102.4テラビット) または512個 (同409.6テラビット)、「Quantum-X Photonics」は同じく144個 (同115テラビット) 備える。同社によると、従来型に比べて電力効率は3.5倍、レーザーの数は4分の1で、信号の損失は22デシベルから約4デシベルに減る。Quantum-Xは2026年初め、Spectrum-Xは2026年後半の出荷を予定する。
メモがここから導く結論は、光電融合の普及がプリント基板の材料選びを変えるというものだ。半導体のすぐそばで信号を光に変えてしまえば、マザーボードを流れるのは低速の制御信号だけになる。そうなると、基板の材料であるCCLは、最高級の「M8」や「M9」ではなく「M4」で足りる。M4やM8は、パナソニック インダストリーのCCL「MEGTRON (メグトロン)」シリーズのグレード名である。同社の公表値によると、信号の損失の大きさを示す誘電正接 (Df、小さいほど損失が少ない) は、M4 (品番R-5725) が0.0074 (周波数13GHz)、M6が0.0037、M7が0.0023、M8 (品番R-5795) が0.0012 (同14GHz) で、M4の値はM8の約6.2倍にあたる (記者の計算)。信号の伝わる速さに関わる比誘電率 (Dk) は、M4が3.68、M8が3.08である。毎秒224ギガビットの伝送に対応するM9は2025年1月に発表されたが、DkとDfは公表されていない。パナソニックは2025年9月12日、AIサーバーや通信インフラ向けの需要拡大を受けてMEGTRONを増産すると発表している。AIサーバー1台に使われる基板の金額が、エヌビディアの製品で2世代の間に4倍超に増えたことは、AIサーバーのプリント基板を検証した記事で取り上げた。メモは、CCLを高性能品に切り替えるたびに単価が上がるという従来の構図が、根本から変わるとみている。
銅線でどこまで信号を送れるかについても、メモと一次資料には開きがある。メモは、1回線あたり毎秒448ギガビットの高速伝送回路 (SerDes) では、銅の配線は5〜10cmも信号を送れない可能性があり、全面的に光へ切り替える必要があるとする。OIFが2025年11月4日に公表した448ギガビット規格 (CEI-448G) の枠組み文書は、目標とする伝送距離を、基板上の短距離用 (VSR) で200mm以上、コネクターを2つ挟む長距離用 (LR) で1m以上と定め、製品が市場に出る時期を2027〜28年と見込む。5〜10cmという記述は一次資料にはなく (未確認)、セミアナリシスは「448ギガビットで数cmを超えて信号を送れるかどうかは、なお不透明だ」と記している。記者の見立てでは、OIFが目標とする伝送距離の短さからも、光への移行が進む方向は読み取れる。ただ、ラック内の銅線がすべて光に置き換わる時期は、規格が固まる2027年以降に出る製品を見なければ分からない。
半導体パッケージの大型化で参入できる企業は絞られ、TSMCは露光面積の9.5倍を2027年、14倍を2028年に量産する
メモが3番目に挙げるのは、先端パッケージとASICである。メモは、半導体の開発費が回路線幅28nmの世代で約1億ドル、1nmの世代では10億ドルを超えるとし、半導体の設計はもはや少ない資産で営める事業ではなく、資金力のある大手しか手がけられなくなったと指摘する。米調査会社IBSの推計では、設計費は28nmが5,130万ドル、7nmが2億9,780万ドル、5nmが5億4,220万ドル、3nmが5億〜15億ドルである (米専門メディアのセミコンダクター・エンジニアリング、2018年)。英アームが米証券取引委員会 (SEC) に提出した書類は、IBSの推計として7nmを約2億4,900万ドル、2nmを約7億2,500万ドルと記している。世代が進むごとに設計費が跳ね上がる傾向はメモと同じだが、メモの「28nmで約1億ドル」はIBSの推計より大きく、「1nmで10億ドル超」という推計は公表されたものが見当たらない (未確認)。
パッケージの大きさは、露光装置が1回で焼き付けられる最大面積 (レチクルサイズ) の何倍にあたるかで表される。メモは、CoWoSでは5.5倍までは技術が確立しているが、9倍になると基板の反りが深刻になると指摘する。TSMCは2025年4月23日、9.5倍のCoWoSを2027年に量産し、広帯域メモリー (HBM) を12個以上搭載できるようにすると発表した。2026年4月23日には、現行品は5.5倍で、演算用チップ約10個とHBM20個を載せられる14倍品を2028年に、14倍を超える製品を2029年に生産すると発表した。ウエハー全体を1つのシステムとして使う40倍の「SoW-X」と、次世代プロセス「A14」のチップ同士を重ねるSoICも、2029年を予定する。メモが「9倍」とする製品は、TSMCの公表資料では9.5倍である。
個別の製品についてのメモの記述は、大半がまだ報道の域を出ない。メモによると、グーグルの「Humufish」(型番A5922、台湾のメディアテックが設計) は、2027年に9倍に挑む数少ない製品で、インテルのパッケージ技術「EMIB」を使う。エヌビディアのRubin Ultraは5.5倍にとどめ、GPUのチップ2枚をSoICで重ねる。2028年には、HBMを8層積んだ「Hum fish」と12層積んだ「Trigger fish」が登場し、いずれもメディアテックが設計を担い、EMIBの改良版「EMIB-T」を使って、2nmの演算用チップと3nmの入出力用チップを組み合わせる。2029年には、費用対効果を重視した「Merope」(AMDとブロードコムが関与し、SoICとCoWoSを併用) と、「Icefish」(メディアテックと台湾の創意電子 (GUC) が関与する可能性があり、SoICとEMIB-Tを併用) が続く。ただしメモ自身も、製造技術も受注する企業もまだ固まっていないと断っている。
表2 先端パッケージに関するメモの記述と、一次資料・報道との照合
| 比べる点 | メモの記述 | 一次資料・報道で確認できたこと |
|---|---|---|
| Rubin Ultraの構造 | 5.5倍にとどめ、GPUのチップ2枚をSoICで重ねる | GTC 2025では、露光面積いっぱいの大型チップ4枚とHBM4eを16個。2026年の報道では、チップ2枚とHBM4Eを8個、パッケージはCoWoS-Lに変更 (エヌビディアは未確認)。SoICの採用は報道のみで、チップ2枚を重ねるとの記述はない |
| グーグルの開発名 | Humufish、Trigger fish、Merope、Icefish | いずれも報道や業界関係者の情報。Triggerfishはメディアテックが担当し2027年10〜12月に量産 (アナリストのミンチー・クオ氏)。Icefishは入出力用チップの生産をサムスン電子と協議中で2028年に量産 (台湾の調査会社トレンドフォース)。Meropeは米マーベル・テクノロジーと共同開発 (米ネットメディアのジ・インフォメーション)。A5922は報道が見当たらない |
| チップ間の接続 | 3次元から6次元のトーラス接続へ。1個あたりの接続数は6本から12本に、外部との光通信は毎秒3.2テラビットに | グーグルの公開資料では、TPU7xは3次元のトーラス接続で、TPU v4は1個あたり6本。6次元と12本は、セミアナリシスがXに投稿した未確認情報 (2026年8月) にしかない |
| EMIB | グーグルが9倍品にEMIBを、2028年の製品にEMIB-Tを採用 | インテルはEMIB-Tを「チップ同士をつなぐ配線部品 (ブリッジ) に貫通電極を加えたもの」と説明し、2027年に量産が始まると報じられた。外部の顧客が大型のAI向けパッケージに採用することを、インテルは明言していない |
グーグルが公式に示した最新の製品は、2025年4月9日に発表したAI半導体「Ironwood」(TPUの第7世代) である。最大9,216個をつないで1つの計算機として使え、1個あたりの演算性能は8ビットの数値形式 (FP8) で4,614テラフロップス、HBMの容量は192GB、メモリーの転送速度は毎秒7.37TB、チップ間の通信速度は毎秒1.2テラビットで、9,216個構成の演算性能は42.5エクサフロップスに達する。同社の公開資料によると、TPU7xは3次元のトーラス接続 (チップを格子状に並べ、両端を輪のようにつなぐ方式) を採用し、1方向あたりの通信速度は毎秒200GB、旧世代のTPU v4は1個あたり6本の接続を持つ。Rubin Ultraは、GTC 2025では露光面積いっぱいの大型チップ4枚とHBM4eを16個、メモリー容量1TBとされていた。しかし2026年7月、セミアナリシスの分析をもとに、チップ2枚とHBM4Eを8個に減らし、パッケージはCoWoS-Lを使う設計に改めたと報じられた。理由は基板の反りと発熱である。トレンドフォースによると、チップ4枚のままではパッケージは露光面積の7.5〜8倍になる。CoWoSの限界と次の選択肢は、CoWoSとCoPoSの違いを解説した記事で取り上げた。
光電融合と大型CoWoSの反り対策になるガラス基板は、TSMCとイビデンなどの協力が報じられ、大日本印刷は2028年度に量産体制を整える
メモが4番目に挙げるのはガラス基板である。メモによると、5.5倍のパッケージでSoICを使う場合でも反りは深刻で、ガラス基板はその解決策の1つと目され、エヌビディアもブロードコムも採用に前向きだという。製造では、ガラスに微細な貫通穴 (TGV) を開けて金属で埋め、その上下に絶縁フィルム (ABF) を重ねて配線層を作る。TGVは、ガラス基板の表と裏を電気的につなぐ経路で、シリコンの貫通電極 (TSV) にあたる。インテルは2023年9月18日、ガラス基板を2020年代後半に実用化すると発表し、利点として、配線の密度が10倍になること、回路パターンのゆがみが50%減ること、平らで熱や力による変形が少ないことを挙げた。
TSMCの取り組みは、まだ報道でしか伝えられていない。台湾の電子業界紙デジタイムズは2026年6月16日、TSMCがイビデン、台湾の液晶パネル大手の群創光電 (イノラックス) と組んで、パネル状の基板を使うパッケージ技術「CoPoS」とガラス基板の開発を進めていると報じた。アナリストのミンチー・クオ氏は、TSMCが2026年6月11日に電子回路の展示会「JPCA Show 2026」で示した資料の内容として、ガラス基板を使うと反りが16%改善し、実効的な熱膨張係数が19%下がり、実効的な弾性率が31%上がり、電気抵抗が27%、インダクタンスが42%減ること、量産は2028年10〜12月から2029年1〜3月の見通しであることを伝えた (資料の原本は入手できていない)。
供給網が分散し始めたというメモの指摘は、各社の発表からも読み取れる。国内では、大日本印刷が2025年12月16日、久喜工場 (埼玉県久喜市) でTGVを備えたガラス基板の試作ラインを2025年12月から順次稼働させ、2026年初めにサンプルの提供を始め、2028年度に量産体制を整えると発表した。基板の大きさは510mm×515mmである。TOPPANは2026年7月6日、韓国のJNTCとTGVの実用化に向けた契約を結んだ。韓国のサムスン電機は2025年4〜6月に試作品を製造したが、合弁会社「GlaSSEM」の稼働は、目標としていた2027年後半から2028年以降にずれ込んだ。台湾の欣興電子 (ユニマイクロン) は、レーザーでガラスの性質を変えたうえで薬液で穴を開ける製法を公表しているものの、研究と試作の段階にある。メモが名前を挙げる台湾の南亜電路板 (南亜PCB) については発表が見当たらず、イノラックスも、TSMCとの協力を伝える報道のほかに公表資料はない。記者の見立てでは、ガラス基板が量産の入り口に立つのは2028年度から2029年にかけてで、反りの問題が深刻になる9.5倍以上のCoWoSの量産と時期が重なる。
4つの変化に共通するのは、利益の源泉がGPUそのものから、その周辺の部品や材料へ移りつつあることだ。AIエージェントの普及で、CPUとGPUの個数の比率は1対8から1対4に高まった。TSMCは、COUPEを使った光電融合の製品の生産を2026年に始め、エヌビディアのNVL576はラック8本を光でつなぐ。その先では、マザーボードのCCLは、Dfが0.0012のM8でなく0.0074のM4で足りるようになる。高性能品への切り替えで単価を上げてきた日本の材料メーカーの成長の筋書きは、光電融合を採用した基板では通用しなくなる。一方で、CPUとGPUの電力の比率、GPU1個あたりの光通信の容量、パッケージの倍率、グーグルの製品の開発名、ガラス基板の量産時期を一次資料で確かめると、メモの数字より小さいか、報道にとどまるか、時期が遅いかのいずれかだった。投資の中心がGPU以外へ広がるという方向は、各社の公式発表で裏付けられる。ただし、その速さを測る物差しはメモの数字ではなく、TSMCの工程表と、パナソニックや大日本印刷が示す量産の時期である。
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