トヨタ自動車の中国の合弁などからの持分法投資損益は、2026年3月期に1,082億円と、2023年3月期の3,050億円から65%減った。中国ブランドを8段に並べた一覧では、トヨタや日産の合弁相手のブランドが多くの段に載る。

一覧は、中国で暮らす発信者が SNS で紹介したもので、最上段の「高級」には中国第一汽車集団 (一汽) の紅旗と比亜迪 (BYD) の仰望が並ぶ。ロゴは最下段の「旧来型・低価格」まで計108個ある (本誌調べ)。トヨタの中国での販売台数は2023年3月期からの3年で6%減にとどまったが、2026年4〜6月は前年同期より28%少なかった。日本の各社は、合弁相手や中国企業の技術を使った電気自動車で巻き返しを図っている。

中国の自動車ブランドの一覧は8段、上は紅旗・仰望、下は地方の低価格車

一覧は「中国自動車ブランド109社のポジショニング」と題し、中国のブランドを「高級」「ハイテク」「プレミアム」「準プレミアム」「大衆向け上位」「大衆向け」「エントリー」「旧来型・低価格」の8段に分ける。発信者は、高級電気自動車から割安な大衆車まで、109社が幅広い価格帯で競っていると説明する。一覧の右側には「高級化」「EV・スマート化が最大の競争軸」「価格競争」と書いた3本の矢印を添えた。

段本誌が数えたロゴの数主なブランド
高級3紅旗、仰望、尊界 (MAEXTRO)
ハイテク7小米 (シャオミ)、蔚来 (NIO)、理想 (Li Auto)、問界 (AITO) など
プレミアム4享界 (STELATO)、騰勢 (DENZA)、猛士 (MHERO) など
準プレミアム12嵐図 (VOYAH)、ジーカー (ZEEKR)、小鵬 (XPENG)、坦克 (TANK) など
大衆向け上位19BYD、リープモーター (Leapmotor)、深藍 (DEEPAL)、銀河 (GALAXY) など
大衆向け20吉利、奇瑞、長安、広汽、哈弗 (HAVAL)、啓辰 (VENUCIA) など
エントリー22五菱、福田、江淮、鄭州日産 (ZNA) など
旧来型・低価格21北京汽車製造廠 (BAW)、海馬、江鈴 (JMC) など

発信者は、中国では実に多くのブランドの車を見かけるとし、市場は「中国EV」とひとくくりにできず、価格、ブランド、スマート化、販売経路で細かく分かれていると書いている。本誌が数えた108個のロゴには、判読できないロゴと、文字を推定で読んだ漢字のロゴが含まれる。108は発信者が挙げる109より1つ少ない。紅旗は最上段と大衆向け上位の2か所に載るため、重複を除くと107になる。

「109社」は109の会社という意味ではない。本誌が各社の年報と照らし合わせたところ、1社で複数のブランドを展開する例が多かった。BYD は2025年の年報で BYD、騰勢、方程豹、仰望を自社ブランドに挙げており、一覧ではこれらが別々の4段に載る。奇瑞汽車は年報で主要ブランドを CHERY、JETOUR、EXEED、iCAR、LUXEED とし、一覧で別に載る風雲 (FULWIN)、OMODA、JAECOO を CHERY ブランドの中のシリーズと位置づけている。2026年の中間報告では LEPAS も同じ扱いだ。

華為技術 (ファーウェイ) と組んだ問界、智界 (LUXEED)、享界、尊界の4ブランドは、3つの段にまたがる。問界は賽力斯、智界は奇瑞、享界は北汽藍谷、尊界は江淮汽車が造り、北汽藍谷と江淮は年報で享界と尊界を華為と組んだブランドと明記している。一覧には、事業が止まったブランドも入る。NETA (合衆新能源汽車) は浙江省の裁判所が再建手続きの開始を認めており、支援企業との契約を経て、債権者の投票と裁判所の認可を待つと報じられている。集度 (JIDU) も上海の裁判所が再建手続きを受理し、愛馳 (AIWAYS) は2023年2月から生産を止めていると報じられている。

一覧は中国ブランドだけを並べ、日本勢は合弁を通じて中国の企業グループとつながる

一覧は中国のブランドだけを並べたもので、トヨタやホンダ、日産のブランドは載らない。フォルクスワーゲンやゼネラル・モーターズ (GM) のブランドも載っていない。外国の会社が関わるものとしては、合弁会社の独自ブランドが載る。日本の会社では、東風日産の啓辰 (VENUCIA)、日産が直接約2割を出資すると報じられる鄭州日産 (ZNA)、報道で東風ホンダの新エネルギー車ブランドとされる LINGXI がこれにあたる。

日本の各社の中国事業は、一覧の多くの段にブランドを持つ中国の企業グループとの合弁が担う。広汽集団の2025年の年報によると、広汽トヨタと広汽ホンダへの出資比率はどちらも50%で、広汽は自社ブランドとして伝祺、埃安 (AION)、昊鉑 (HYPTEC) を展開する。嵐図汽車の上場に伴う開示資料によると、東風日産と東風ホンダは東風と日本側が議決権を半分ずつ持つ合弁会社で、東風は子会社を通じて嵐図や猛士、奕派 (eπ) を運営する。長安マツダの出資比率は、2021年の合意時点でマツダと長安が47.5%ずつ、一汽が5%だった (マツダの発表)。トヨタは一汽とも合弁を組み、BYD とは電気自動車を研究開発する合弁会社を設けている。

中国の乗用車の小売を集計する全国乗用車市場情報連合会 (乗連会) によると、中国ブランドのシェアは2024年の61%から2025年に65%へ上がった。日本車のシェアは2025年12月に12.1%と、前年同月の13.4%から下がった。

トヨタの中国の販売台数は6%減、持分法投資損益は65%減った

トヨタの決算説明資料には毎年「中国事業」の欄があり、合弁などからの持分法投資損益、中国の連結子会社の営業利益、トヨタ・レクサスの中国での販売台数が並ぶ。本誌は2022年3月期から2026年3月期までの5期について、3つの数値を表にまとめた。

決算期持分法投資損益 (中国)連結子会社の営業利益 (中国)中国での販売台数
2022年3月期2,343億円2,908億円191万5,000台
2023年3月期3,050億円1,945億円187万6,000台
2024年3月期2,689億円1,956億円190万2,000台
2025年3月期1,069億円1,827億円178万9,000台
2026年3月期1,082億円1,975億円176万4,000台
トヨタの中国の持分法投資損益と中国での販売台数。持分法投資損益は2023年3月期の3,050億円から2026年3月期の1,082億円へ減り、販売台数は187万6,000台から176万4,000台へ6%減った
トヨタの中国の持分法投資損益と中国での販売台数。持分法投資損益は2023年3月期の3,050億円から2026年3月期の1,082億円へ減り、販売台数は187万6,000台から176万4,000台へ6%減った

2023年3月期から2026年3月期にかけて、販売台数は6%減っただけだが、持分法投資損益は65%減った。中国の連結子会社の営業利益は1,945億円から1,975億円と、ほぼ横ばいだった。性質の異なる2つの利益を単純に合計すると、4,995億円から3,057億円へ39%減った計算になる。トヨタの持分法投資損益のうち中国は2026年3月期に1,082億円で、全体の5,527億円の約2割を占める。

本誌の試算では、持分法投資損益を販売台数で割ると、1台当たりでは2023年3月期の約16万円から2026年3月期の約6万円に下がった。ただし、中国の合弁は12月決算のため、3月期の持分法投資損益にはおおむね前年1〜12月の利益が反映されるため、4月から翌年3月までの販売台数とは対象期間が3か月ずれる。販売台数には輸入するレクサスも含まれるため、この計算はあくまで目安だ。

2026年4〜6月は、販売台数の落ち込みが大きくなった。トヨタ・レクサスの中国での販売台数は32万4,000台で、前年同期の45万台の72.0%にとどまった。持分法投資損益は160億円と、前年同期の233億円を下回った。中国の乗用車市場そのものも縮んでおり、乗連会の集計では2026年1〜8月の小売台数は1,171万6,000台と、前年同期より20.8%少ないと報じられている。

ホンダが米証券取引委員会 (SEC) に提出した2026年3月期の年次報告書によると、同社は中国の競争激化で一部の合弁の収益性が大きく悪化したため、これらの合弁への投資について908億8,200万円の減損損失を計上した。ホンダの中国での販売台数は、ピークの2020年の162万6,972台から2025年に64万5,345台へ減ったと報じられている。報道によると、日産の中国での販売台数はピークの2018年に156万4,000台だった。日産の資料によると、2025年は65万3,024台だった。

トヨタ・日産・マツダ、中国企業の技術を使った電気自動車で巻き返しを図る

トヨタ、日産、マツダは、中国企業の技術を使った電気自動車を、主に10万〜18万元前後の価格帯に投入している。

一汽トヨタが2025年6月に発売した bZ5 は、BYD のブレード電池と BYD 系のモーター、中国の新興企業モメンタ (Momenta) の運転支援技術を使い、価格は12万9,800〜15万9,800元と報じられた。広汽トヨタの bZ3X もモメンタの運転支援技術を搭載し、2025年3月に発売された。価格は10万9,800元からだ。東風日産が2025年4月に発売した N7 は、価格が11万9,900〜14万9,900元で、モメンタの運転支援技術を採用した。報道によると、N7 の納車台数は同年12月11日までに累計5万台に達した。長安マツダの EZ-6 と EZ-60 は、マツダが長安汽車と共同開発した車台を使うと報じられている。

日産は中国を輸出拠点としても活用し始めた。同社は2025年度の決算説明会で、中国から N7 とフロンティアプロを輸出すると説明した。報道によると、フロンティアプロは2026年4〜6月に中南米向け、N7 は同年9月に東南アジア向けの出荷が始まった。マツダも、長安マツダの南京工場で造る EZ-6 を「MAZDA 6e」として欧州で売っていると報じられている。

一覧の8段のうち多くの段に、日本の各社の合弁相手のブランドが入っている。トヨタの中国の持分法投資損益は2026年3月期までの3年で約3分の1に縮み、2026年4〜6月は販売台数も前年同期より28%減った。トヨタ、日産、マツダの3社は、中国企業の技術を取り込んだ10万元台の電気自動車で巻き返しを急ぐ。

トヨタ、日産、ホンダ、マツダの事業や開示資料は、トヨタの企業ページと銘柄ページ、日産の企業ページと銘柄ページ、ホンダの企業ページ、マツダの企業ページで確認できる。中国メーカーの情報は、BYD、吉利、小鵬、賽力斯の企業ページと、電気自動車の企業データベースにまとめた。

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