日本政府の半導体支援は令和3〜6年度の補正予算で約5.6兆円に達し、助成上限150億円以上の14事業で3兆415億円を占める。同じ4年間に日本の半導体製造装置は年3兆円規模で輸出され、2024年はその53%が中国向けだった。

宮城県が2025年3月に公表した「みやぎ半導体産業振興ビジョン」は46頁の資料で、国の半導体支援の全体像、各国の政策と海外の工場投資、熊本県での波及効果、半導体人材の需給、東北の関連企業、そして2024年10月に中止された県内の工場計画までを一つに束ねている。本稿はこの資料と、資料の14頁に再録された経済産業省の支援一覧を全数で書き出し、助成先企業の有価証券報告書 (金融庁EDINET)、財務省の貿易統計 (e-Stat)、Micronの10-KとTSMCの20-F (SEC EDGAR)、米連邦準備制度のデータ (FRED) で裏付ける。国の支援額が工場に落ち、工場が電気を使い、その電気を原子炉の再稼働が支えるという連鎖を、立地ごとに対応させる。円換算は資料の換算 (1ドル=150円、1ユーロ=170円) を用い、最新の為替は1ドル=159.21円 (2026年8月14日、FRED) である。

支援5.6兆円の内訳: 補正予算は7,740億円から1兆9,867億円へ増え、14事業で3兆415億円

経済産業省の資料によれば、国の補正予算に計上した半導体支援は令和3年度7,740億円、令和4年度1兆3,036億円、令和5年度1兆9,867億円、令和6年度約1.6兆円で、4年度の合計が約5.6兆円になる。助成上限150億円以上の事例として掲げられた事業は14件で、3つの基金に分かれる。特定半導体基金事業 (★) はJASM (熊本県菊陽町、ロジック28〜6nm) の1兆2,080億円、キオクシア (岩手県北上市・三重県四日市市、3次元フラッシュメモリー) の2,429億円、マイクロン (広島県東広島市、DRAM 1β・1γ) の2,135億円。ポスト5G基金事業 (▲) はラピダス (北海道千歳市、ロジック2nm) の9,200億円、東京エレクトロンほか (茨城県つくば市、先端前工程) の380億円、TSMCジャパン (同、先端後工程) の250億円、マイクロン (東広島、次世代メモリー) の250億円、日本サムスン (神奈川県横浜市、先端後工程) の200億円。経済安全保障基金事業 (●) はローム東芝デバイス&ストレージほか (宮崎県国富町・石川県能美市、SiC・Siパワー半導体) の1,294億円、SUMCO (佐賀県伊万里市・吉野ケ里町、シリコンウエハ) の750億円、富士電機デンソー (長野県松本市・愛知県幸田町・三重県いなべ市、SiCパワー半導体とSiCエピウエハ・SiCウエハ) の705億円、イビデン (岐阜県大野町、パッケージ基板) の405億円、新光電気工業 (長野県千曲市、パッケージ基板) の178億円、ルネサスエレクトロニクス (茨城県ひたちなか市・山梨県甲斐市等、マイコン) の159億円である。

日本政府の半導体支援 約5.6兆円 (令和3〜6年度補正) と、助成上限150億円以上の14事業
日本政府の半導体支援 約5.6兆円 (令和3〜6年度補正) と、助成上限150億円以上の14事業

14事業の助成上限を足すと3兆415億円で、5.6兆円の54%に当たる。特定半導体の3事業だけで1兆6,644億円、ラピダス単独で9,200億円を占め、残る4割強は基金に積まれた未執行分と150億円未満の小口事業である。金額はいずれも「政府による最大助成額」で、その後に上積みされた例がある。Micronは2025年10月3日提出の10-Kで、2025年8月期末の後に経済産業省と広島工場の更新に関する新たな助成の取り決めを結び、追加の約束額は最大5,000億円 (約34億ドル) だと記した。同社はEUV露光を使うDRAMの広島での生産に対して経産省から助成を受けていると明記しており、図の2,135億円と250億円は時点の上限にすぎない。TSMCの20-F (2025年4月17日) は、JASMが熊本県に約47万6,290平方メートルの土地を所有し、Fab 23と関連事務所がそこにあると記す。

各国の政策と海外の工場投資: 米国390億ドル、欧州430億ユーロ、韓国340兆ウォン、台湾2.1兆台湾ドル

宮城県の資料は各国の政策を並べる。米国は2022年8月のCHIPS法で半導体製造への補助390億ドル (約5.3兆円) と研究開発110億ドル (約1.5兆円)、製造・装置への設備投資に25%の税額控除を設け、2022年10月と2023年10月に対中輸出管理を強化し、2024年8月までにIntelTSMC・Samsungなど16社へ計300億ドル超の補助を決めた。中国は2014年と2019年に国家集成電路産業投資基金を設け、地方政府分を含め計10兆円超の規模で、2020年9月に集積回路企業への10年間の法人税免除を定めた。欧州は2021年3月の「デジタル・コンパス2030」で2030年までに先端半導体の世界シェア20%以上を掲げ、2022年2月に430億ユーロ (約6.2兆円) の欧州半導体法を提案し2023年9月に施行した。台湾は2019年1月から回帰投資を促す補助・優遇を設け、2023年1月に産業創新条例で研究開発費に最大25%の税額控除を適用し、回帰投資は累計2.1兆台湾ドル (約9.4兆円) に達した。韓国は2022年7月に5年間で340兆ウォン超 (約35.7兆円) の投資と10年間で15万人以上の人材育成、2030年までに世界シェア10ポイント上昇を掲げ、2023年3月に国家先端産業育成戦略で5年間25万ウォン・2026年までに340兆ウォンの民間主導投資を示した。

各国の支援と工場投資、そして日本から出ていく装置: 対中輸出は2024年に1.65兆円で半分超
各国の支援と工場投資、そして日本から出ていく装置: 対中輸出は2024年に1.65兆円で半分超

海外の工場投資は、製品・場所・投資額・稼働予定年の4項目で16件が並ぶ。TSMCのロジック (米アリゾナ、6.0兆円、2025年)、Texas Instrumentsのアナログ (米テキサス、4.5兆円、2025年)、Micronの DRAM (米ニューヨーク、3.0兆円、2024年)、Intelのロジック (米オハイオ4.2兆円 2025年、米アリゾナ3.0兆円 2024年、アイルランド・リークスリップ2.9兆円 2023年、ドイツ・マクデブルク5.1兆円 2027年)、Samsungのロジック (米テキサス、2.6兆円、2026年) とロジック・DRAM (韓国平沢、2.0兆円)、GlobalFoundriesとSTMicroelectronicsのマイコン等 (フランス・クロル、1.3兆円、2023年)、Infineonのアナログ・パワー (ドイツ・ドレスデン0.9兆円 2026年、マレーシア・クリム0.3兆円 2024年)、GlobalFoundriesのアナログ・パワー (シンガポール、0.6兆円、2023年)、UMCのロジック等 (シンガポール、0.8兆円、2024年)、ISMC (国際コンソーシアム) のアナログ (インド・カルナータカ、0.5兆円)、Nanya TechnologyのDRAM (台湾・新北市、1.5兆円、2025年) で、NRIが各種報道から作成した。世界の半導体市場は2023年に5,269億ドル (約74兆円) で、2030年に1兆ドルに達する見通し (WSTS) とされ、製品別はロジック34%、メモリー18%、マイクロ14%、アナログ15%、非IC 19%である。

日本から出ていく装置: 輸出は2024年に3兆1,235億円、中国向けが53%の1兆6,534億円

国内への5.6兆円と対になるのが、国外へ出ていく装置の金額である。財務省の貿易統計で半導体製造装置 (70131010) の輸出を追うと、2021年2兆1,642億円、2022年2兆6,482億円、2023年2兆4,074億円、2024年3兆1,235億円、2025年2兆9,973億円、2026年1〜6月1兆5,768億円で、4年間に年3兆円規模で推移した。中国向けは2021年7,962億円 (37%) から2024年1兆6,534億円 (53%) へ頂点を付け、2025年は1兆3,271億円 (44%)、2026年上半期は5,084億円 (32%) へ下がった。代わって台湾向けが2025年に7,648億円へ増え、2026年上半期は4,742億円で中国の5,084億円に迫る。韓国向けは3,490億円、米国向けは1,257億円である。半導体等電子部品 (70323000) の輸出は2025年に6兆5,880億円で、台湾向け1兆4,861億円が中国向け1兆3,345億円を抜いて首位に立ち、2026年上半期は4兆1,402億円 (台湾1兆701億円、中国9,560億円) だった。

この数字は宮城県の資料が示す「装置と材料では日本勢が大きな存在感」を裏付ける。2023年の半導体製造装置市場は約1,340億ドル (約18.7兆円) で、東京エレクトロンは売上290.1億ドル (約1.8兆円) の世界4位、エッチング装置で23%、枚葉式洗浄装置で28%、縦型熱処理炉で59%、コータ・デベロッパで89%のシェアを持つ。半導体材料市場は703億ドル (約9.8兆円) で、シリコンウエハは信越化学工業 29%とSUMCO 24%、フォトレジストはJSR 27%・東京応化工業 26%・信越化学16%、外販フォトマスクはテクセンド・フォトロニクス・大日本印刷が上位を占める。米国の半導体生産者物価指数 (FRED) は2026年7月に28.99で前月の29.75から下がり、米国の半導体工業生産指数は191.9で上がっており、装置と材料の需要は工場の稼働に先行して動く。

熊本の波及と宮城の中止: 60社1.6兆円4,300人に対し、大衡村には「特別高圧電源を確保した用地」が残った

資料はJASM進出後の熊本県を波及の実例として置く。JASMの進出決定以降、半導体関連企業60社が熊本県と立地協定を結び、約1.6兆円の投資と約4,300人の雇用が見込まれる (2024年9月時点)。主な計画は東京応化工業 (菊池市、新工場、130億円以上)、荏原製作所 (南関町、新棟)、東京エレクトロン九州 (合志市、新棟、約430億円)、日本マーテック (熊本市、事業所新設、約10億円・20人)、テラプローブ (芦北町、機械設備増設、約20億円・21人)、JASM第1工場 (菊陽町、約86億ドル・約1,700人)、三菱電機パワー半導体 (合志市の設備増強と菊池市の新棟、約1,000億円)、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ (菊陽町、設備増設、約20億円)、JCU (益城町、拠点設立、約84億円・50人)、ルネサス (錦工場・川尻工場の車載マイコン増強)、倉敷紡績 (菊池市、製造装置用樹脂加工品、約20億円) で、第2工場分は含まれない。半導体関連エンジニアの求人は2013年を1とすると2024年前期に14.9倍に達し、電子情報技術産業協会の推計では今後10年の半導体人材の必要数は北海道・東北6,000人、関東12,000人、中部6,000人、近畿4,000人、中国・四国3,000人、九州12,000人の計4万3,000人である。

宮城県の側は、ビジョンの策定経過に2024年10〜11月の「半導体工場建設計画の中止を踏まえ、ビジョンの内容を一部見直し」という一行を残す。中止されたのは台湾PSMCとSBIホールディングスが大衡村の第二仙台北部中核工業団地に計画したJSMCの工場で、資料はJSMCホールディングスの資料に基づいて「立地環境の優位性」を書き直している。将来の増設を見込んだ四角に近い広い土地、敷地内に敷設済みの工業用水と下水、工業団地近くの複数の変電所による特別高圧電源、自治体と連携したガスの安定供給、東北自動車道大衡ICまで約3分、東北新幹線仙台駅まで約30分、24時間運用できる仙台空港まで約40分、仙台塩釜港まで約25分という条件である。中止された計画から残ったのは、電気と水と道路を確保した用地と、工場建設の工程・スケジュール感の知見で、県は2030年を節目に「みやぎシリコンバレー」の拠点工場を誘致する目標を立て直した。

東北の集積と東京エレクトロン宮城: 装置製造業の出荷額は熊本7,153億円に次ぐ宮城6,144億円

宮城県が誘致の根拠とする集積は具体的である。県内ではアドバンテストの試験装置研究所 (仙台市)、東京エレクトロン宮城のプラズマエッチング装置 (大和町)、アルプスアルパインの車載モジュール (大崎市)、ラピスセミコンダクタのマイコン・ディスプレードライバー (大衡村) があり、東北各地にルネサスの後工程 (米沢市)、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリングのCMOSイメージセンサー (鶴岡市) と半導体レーザー (白石市)、日本マイクロニクスの検査器具 (平川市)、富士電機津軽セミコンダクタの車載マイコン・IGBT (五所川原市)、キオクシア岩手のNAND (北上市)、デンソー岩手の前工程・IGBT・センサー (金ケ崎町)、秋田新電元のダイオード (由利本荘市)、Orbrayのダイヤモンドウエハ (湯沢市)、日本テキサス・インスツルメンツのアナログIC (会津若松市)、信越半導体のシリコンウエハ (西郷村)、アルバックのスパッタリング装置 (八戸市)、福島サンケンのウエハ検査 (二本松市)、ジャパンセミコンダクターのMCU・パワーMOSFET (北上市)、アムコー・テクノロジー・ジャパンの後工程 (北上市)、ミネベアパワーデバイスのパワーダイオード (南相馬市)、東北エプソンのCMOS・LSI (酒田市)、スタンレー電気のLEDチップ (鶴岡市)、オン・セミコンダクター会津のファウンドリ、DOWAセミコンダクター秋田の高純度ガリウム (秋田市) が並ぶ。

東京エレクトロン宮城は2011年10月に操業を始め、従業員は1,842人 (2024年7月時点) で、宮城県の半導体製造装置製造業の製造品出荷額等は2012年の1,118億円から2022年の6,144億円へ10年で約6倍に増え、熊本県の7,153億円に次ぐ全国2位になった。3位以下は愛知県3,764億円、神奈川県3,242億円、山梨県2,891億円である。東北大学は約8,500平方メートルの大規模クリーンルーム群を持ち、2022年6月に「半導体テクノロジー共創体」を設け、スピントロニクスの省電力半導体 (CIES)、製造プロセス・部素材・イメージセンサー (NICHe)、MEMS設計・プロセス (μSIC) の3拠点で社会実装を進める。東北大学ベンチャーパートナーズは1号ファンド96.8億円、2号78億円で大学発の新興企業に投資し、青葉山キャンパスの約4万平方メートルにサイエンスパークを整備する。

工場はどの原子炉の電気で動くか: 女川2号機・島根2号機の再稼働と泊3号機の審査合格が立地と重なる

国の支援先を電力会社の管内で見ると、原子炉の再稼働と立地が重なる。ラピダスの千歳は北海道電力 (9509) の管内で、泊3号機は2025年7月に原子力規制委員会の審査に合格し、同社は2027年の再稼働を目指す。JASMの菊陽は九州電力 (9508) の管内で、川内1・2号機と玄海3・4号機の4基が運転中で国内の電力会社で最も多い。マイクロンの東広島は中国電力 (9504) の管内で、島根2号機が2024年12月に13年ぶりに再稼働した。キオクシア岩手の北上と、中止された宮城県大衡村の用地はともに東北電力 (9506) の管内で、女川2号機が2024年11月に東日本大震災で被災した原子炉として初めて再稼働した。大衡村に残った「複数の変電所による特別高圧電源」は、この再稼働の後に確保された条件である。

助成を受ける工場は、どの電力会社の、どの原子炉の電気で動くか: 立地と再稼働の対応表
助成を受ける工場は、どの電力会社の、どの原子炉の電気で動くか: 立地と再稼働の対応表

助成先の収益構造は、有価証券報告書 (2026年3月期) で割れる。キオクシアホールディングス (285A) は売上2兆3,376億円・営業利益8,704億円 (37.2%)・研究開発費1,411億円・設備投資2,837億円、東京エレクトロン (8035) は売上2兆4,435億円・営業利益6,249億円 (25.6%)・研究開発費2,779億円・設備投資2,160億円、アドバンテスト (6857) は売上1兆1,286億円・営業利益4,991億円 (44.2%) で、市況で稼ぐ側にいる。一方で経済安全保障基金の対象は薄い。ローム (6963) は売上4,812億円に対し営業利益109億円 (2.3%) で設備投資824億円を続け、SUMCO (3436、2025年12月期) は売上2,150億円で営業損失64億円、設備投資800億円である。富士電機 (6504) は売上1兆2,276億円・営業利益1,366億円 (11.1%)、デンソー (6902) は売上7兆5,400億円・営業利益5,525億円 (7.3%)・研究開発費6,901億円、イビデン (4062) は売上4,162億円・営業利益620億円 (14.9%)、ルネサス (6723) は売上7,987億円・営業利益1,927億円 (24.1%)、三菱電機 (6503) は売上5兆8,948億円・営業利益4,331億円 (7.3%) で熊本に約1,000億円を投じる。国の助成は利益率の高い装置・テスタではなく、利益率が薄いか赤字のウエハ・パワー半導体・新設工場に集まっており、稼ぐ工程は市場が、稼げない工程は国策が支える分担になっている。

国の補助対象の条件と「日の丸半導体」凋落の5要因、そして県が競う受け皿

資料の26頁は令和7年3月時点の補助対象を条件で示す。特定半導体のロジックはメタルピッチ100nm以下の生産施設で、ゲート絶縁膜に比誘電率7超の材料を用い、申請者がFinFETを生産する技術水準を持つこと。メモリーはメモリセル面積1,370平方nm以下で申請者がEUV露光の技術水準を持つか、積層数160以上であること。従来型半導体のパワー半導体はSiCを中心に原則2,000億円以上の事業規模で、導入する設備が先端的であること。マイコン・アナログは300億円以上の事業規模で民間だけでは困難であること。補助率は特定半導体が1/2以内、従来型が1/3以内である。この条件を満たす計画が立地を決め、都道府県はその受け皿を競う。39〜40頁は1988年に50.3%だった日本の世界シェアが2023年に9.1%へ下がった要因を5つ挙げる。1986〜96年の日米半導体協定による外国製シェアの義務付けとダンピング防止、PC向けDRAMでの過剰品質、総合電機の一部門としてシリコンサイクル下で投資判断が遅れた構造、IDMからファウンドリ・OSATへの水平分業への未対応、1970年代に成功した官民合同開発の再始動失敗である。再編の系譜は1999年のエルピーダメモリ設立と2013年のマイクロンによる買収、2010年のルネサス設立、2017年の東芝メモリ (現キオクシア) 設立、2022年のラピダス設立で、ルネサスの岩手工場はデンソー、会津工場はオンセミ、三重工場はUMCへ売却された。

関連銘柄: 助成の受け皿と電力、材料・装置、売買の推奨や評価は示さない

本稿の主題は半導体支援と電力であり、希土類でなく「助成先・電力・材料・装置」の銘柄を置く。数字は2026年3月期の有価証券報告書 (EDINET) によるもので、売買の推奨や評価は示さない。

材料では信越化学工業 (4063、売上2兆5,740億円・営業利益率24.7%・設備投資3,397億円)、レーザーテック (6920、営業利益率49.1%)、ディスコ (6146、42.3%) が宮城県の資料に装置・材料の主要企業として登場する。希土類の関連銘柄は先行記事に役割別の整理がある。

確かめられる点

第1に、令和7年度補正予算で半導体支援の累計が5.6兆円からどこまで増えるか、ラピダスマイクロンの追加分が経産省の一覧に反映されるか。第2に、貿易統計で半導体製造装置の輸出が2026年通年で3兆円を保つか、中国向けの比率が32%からさらに下がり台湾向けが首位になるか。第3に、泊3号機の再稼働が北海道電力の公表どおり2027年に実現し、ラピダスの量産開始と時期が重なるか。第4に、宮城県が2030年を節目に掲げる拠点工場の誘致で、大衡村の用地に次の計画が入るか。第5に、SUMCOロームの営業利益が2027年3月期の有価証券報告書で改善し、経済安全保障基金の助成が稼働に結び付いたかを数字で確かめられる。

国の5.6兆円は工場の建設費に落ち、工場は電気を使い、電気は再稼働した原子炉が支える。宮城県の資料が率直に記した「工場計画の中止」は、条件を満たした用地と電源があっても企業側の判断ひとつで立地が消えることを示しており、支援額の大きさより、条件を満たす計画がどこに現れるかを追う方が投資家には役に立つ。